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内閣

第65条

条文
第65条(行政権)
 行政権は、内閣に属する。
過去問・解説
(H19 司法 第15問 ウ)
憲法第73条は、「他の一般行政事務の外」に内閣が行うものとして、第1号ないし第7号で重要な行政事務を列挙している。憲法上、同条以外に、内閣が行政事務を行う一般的権限を有することを示す規定はない。

(正答)  

(解説)
憲法65条は、「行政権は、内閣に属する」と規定しており、内閣が行政事務を行う一般的権限を有することを示す73条以外の規定である。
総合メモ

第66条

条文
第66条(内閣の組織、国会に対する連帯責任)
① 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
② 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
③ 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
過去問・解説
(H22 司法 第17問 ア)
内閣総理大臣が欠けたときは、内閣は総辞職しなければならない。なぜなら、憲法は、内閣総理大臣に「首長」たる地位を与えており、これが欠けた場合には内閣の一体性が失われることになるからである。

(正答)  

(解説)
憲法70条は、「内閣総理大臣が欠けたとき…は、内閣は、総辞職をしなければならない」と規定している。そして、憲法66条1項は、「内閣は…その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」と規定しており、内閣総理大臣に「首長」たる地位を与えている。

(H27 共通 第17問 ウ)
内閣総理大臣は、内閣という合議体において、単なる同輩中の首席ではなく、首長の立場にあり、その他の国務大臣の任免権を専権として有する。したがって、文民統制の観点から内閣総理大臣は文民でなければならないとしても、その他の国務大臣が文民である必要はない。

(正答)  

(解説)
憲法66条2項は、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と規定している。
総合メモ

第68条

条文
第68条(国務大臣の任命及び罷免)
① 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
② 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
過去問・解説
(H22 司法 第17問 イ)
内閣総理大臣は、国務大臣の任免権を有するから、その意思に反しても一方的にこれを罷免することはできる。ただし、国務大臣を罷免する場合には、閣議において他の国務大臣の承認を求めなければならない。

(正答)  

(解説)
憲法68条2項は、「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」と規定している。したがって、国務大臣の罷免について、閣議で他の国務大臣の承認を求める必要はない。

(H25 司法 第17問 イ)
国務大臣については、内閣総理大臣が必ず国会議員の中から指名されなければならないのとは異なり、国会議員以外の者を任命することもできるが、その過半数は衆議院議員の中から選ばなければならない。

(正答)  

(解説)
憲法68条1項は、国務大臣の「過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない」と規定している。

(R1 司法 第15問 ア)
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負うことから、閣議によってその職権を行うことが求められ、したがって、国務大臣の罷免については、閣議にかけて決定しなければ、行うことができない。

(正答)  

(解説)
憲法68条2項は、「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」と規定している。したがって、国務大臣の罷免について、閣議決定は必要ない。

(R2 司法 第15問 ア)
内閣総理大臣は国会議員以外の者を国務大臣に任命することができるが、国務大臣の過半数は国会議員の中から選ばなければならない。

(正答)  

(解説)
憲法68条1項は、「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない」と規定している。
総合メモ

第69条

条文
第69条(内閣不信任決議の効果)
 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
過去問・解説
(R5 司法 第15問 ア)
衆議院において内閣不信任決議案が可決されたときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職をしなければならないが、参議院における問責決議には、かかる法的効力はない。

(正答)  

(解説)
憲法69条は、「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し…たときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」と規定している。そして、参議院における問責決議場合について法的効力を定めた規定は存在しない。
総合メモ

第70条

条文
第70条(内閣総理大臣の欠缺・新国会の招集と内閣の総辞職)
 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
過去問・解説
(H22 司法 第17問 ア)
内閣総理大臣が欠けたときは、内閣は総辞職しなければならない。なぜなら、憲法は、内閣総理大臣に「首長」たる地位を与えており、これが欠けた場合には内閣の一体性が失われることになるからである。

(正答)  

(解説)
憲法70条は、「内閣総理大臣が欠けたとき…は、内閣は、総辞職をしなければならない」と規定している。そして、憲法66条1項は、「内閣は…その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」と規定しており、内閣総理大臣に「首長」たる地位を与えている。

(H25 司法 第17問 ウ)
衆議院が内閣不信任を決議した場合でも、内閣がこれに対抗して衆議院の解散に踏み切り、その後の総選挙で内閣を支持する与党が過半数の議席を獲得した場合には、内閣は総辞職するか否か自ら決することができる。

(正答)  

(解説)
憲法70条は、「衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない」と規定している。したがって、衆議院議員総選挙で政府与党が過半数の議席を獲得した場合であっても、内閣は総辞職しなければならず、総辞職の是非を自ら決することはできない。

(R5 司法 第15問 イ)
内閣総理大臣は、国会議員でなければならないから、国会議員の当選の効力に関する訴訟の結果、自己の当選が無効となったときは、憲法第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」に当たり、内閣は、総辞職をしなければならない。

(正答)  

(解説)
憲法70条は、「内閣総理大臣が欠けたとき…は、内閣は、総辞職をしなければならない」と規定している。そして、憲法67条1項前段は、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と規定している。したがって、国会議員の当選の効力に関する訴訟の結果、自己の当選が無効となったときは、「内閣総理大臣が欠けたとき」(憲法70条)に当たるため、内閣は総辞職しなければならない。

(R5 司法 第15問 ウ)
衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙の後に初めて国会が召集されたときは、憲法の規定により、内閣は、総辞職をしなければならない。

(正答)  

(解説)
憲法70条は、「衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない」と規定しており、参議院議員通常選挙の後に初めて国会が召集されたときには、内閣は総辞職する必要はない。
総合メモ

第73条

条文
第73条(内閣の職務)
 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 
 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
 二 外交関係を処理すること。
 三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
 四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
 五 予算を作成して国会に提出すること。
 六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
 七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
過去問・解説
(H18 司法 第6問 イ)
内閣は、A国との間で、相手国から引渡請求を受けた犯罪人を相互に引き渡す義務を課す犯罪人引渡条約を締結した。ところが、内閣が事後にその承認を国会に求めたところ、国会は、引渡義務の対象から自国民が除外されていないことを理由に、引渡義務の対象から自国民を除外するとの条項を付して、その犯罪人引渡条約を承認するとの議決をした。この件につき、条約の締結に際して、内閣が事前に国会の承認を受けることは条約の成立要件であるから、この犯罪人引渡条約は、新たな条項の有無にかかわらず国内法上効力が認められない。

(正答)  

(解説)
憲法73条は、「内閣は…左の事務を行ふ」(柱書)としたうえで、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」(3号)と規定している。したがって、事後の国会承認も認められる以上、内閣が事前に国会の承認を受けることは条約の成立要件ではない。

(H18 司法 第12問 エ)
内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、国務を総理するほか、外交関係について国会に報告することを職務とするが、外交関係の処理と条約の締結は内閣が行うべき事務である。

(正答)  

(解説)
憲法73条は、「内閣は…左の事務を行ふ」(柱書)としたうえで、「国務を総理すること」(1号)と規定している。そして、憲法72条は、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」と規定している。したがって、国務の総理は、内閣の事務であって、内閣総理大臣の職務ではない。

(H20 司法 第16問 ウ)
内閣総理大臣は国務大臣の任免権、国務大臣の訴追に対する同意権及び予算の作成・提出権を有するが、これらはすべて内閣総理大臣の専権事項であるので、閣議にかけて決定する必要はない。

(正答)  

(解説)
憲法73条は、「内閣は…左の事務を行ふ」(柱書)としたうえで、「予算を作成して国会に提出すること」(同5号)と規定している。したがって、予算の作成・提出権は内閣総理大臣の専権事項ではない。

(R6 司法 第18問 イ)
次の対話は、地方自治に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する学生の回答は正しいか。

教授.条例によって罰則を設けることは、罪刑法定主義との関係で問題はないでしょうか。また、 条例によって罰則を設けることができるとした場合、その罰則には、法律上、何らかの制限は課されているでしょうか。
学生.条例は、住民の代表機関である地方公共団体の議会の議決によって成立する民主的な立法であり、実質的には法律に準ずるものといえますから、条例によって罰則を設けることはできますし、その罰則には、法律上、特段の制限は課されていません。

(正答)  

(解説)
憲法73条6号但書は、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と規定し、命令への罰則の一般的委任を禁止している。そして、判例(最大判昭37.5.30)は、「条例によつて刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的」である必要があると判示しており、法律上、特段の制限が課されていないわけではない。

(R6 司法 第19問 ウ)
条約の締結は内閣の権限であるが、事前に国会の承認を求めたのに得られなかった条約を内閣が締結することはできず、また、事後に国会の承認を得られなかった条約は国内法的にその効力を有しない。

(正答)  

(解説)
憲法73条3号は、「内閣…の事務」として、「条約を締結すること。」と規定している。そして、同号但書は、「事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」と規定している。
総合メモ