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手形法・小切手法 手形法85条にいう利得 最一小判昭和43年3月21日

概要
AとBが、本件手形の振出しの際、本件原因債務を消滅させ、本件手形上の権利だけを残すことを合意していた場合において、本件手形上の権利が時効により消滅したときは、Bは、Aに対し、利得償還請求権を取得する。
判例
事案:被上告人がA及びBに対して、同人らに対する請負代金債務の支払のために本件各手形を振出し、右Aらはこれを上告人に対しその額面に相当する金員を取得して裏書した後、上告人の本件手形上の権利がすべて時効により消滅したという事案において、BはAに対し、手形法85条にいう利得償還請求権を取得するかが問題となった。

判旨:「上告人の本件各手形上の権利は、その振出人である被上告人に対してはもとより、その裏書人である大倉鉄工所らに対しても、既に時効によって消滅しており、しかも上告人は同人らに対してなんらの原因債権をも有しないというのであるから、手形振出の基礎たる原因関係において被上告人に利得が生じているならば、上告人は被上告人に対し、同人の受けた利益の限度においてその償還を求め得るものといわなければならない。ところで、原審の確定した前記事実によれば、被上告人は大倉鉄工所および広田に対して、同人らに対する請負代金債務の支払のために本件各手形を振出し、右大倉鉄工所らはこれを上告人に対しその額面に相当する金員を取得して裏書した後、上告人の本件手形上の権利がすべて時効により消滅したというのであるから、上告人はもはや同人らに対し償還請求権を行使することはできず、ひいて本件手形の受取人である大倉鉄工所らが被上告人に対して有していた原因債権もまた消滅に帰し、振出人たる被上告人は本件手形振出の原因たる請負代金債務を免れることにより現実に利得をしたものということができる。被上告人の右利得は、上告人の有する手形上の権利の時効消滅により生じたものであって、手形法85条にいわゆる利得に当たるものと解しなければならない。」
過去問・解説
(H25 司法 第55問 オ)
AとBが、本件手形の振出しの際、本件原因債務を消滅させ、本件手形上の権利だけを残すことを合意していた場合において、本件手形上の権利が時効により消滅したときは、Bは、Aに対し、利得償還請求権を取得しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.21)は、本肢と同種の事案において、「上告人の本件各手形上の権利は、その振出人である被上告人に対してはもとより、その裏書人である大倉鉄工所らに対しても、既に時効によって消滅しており、しかも上告人は同人らに対してなんらの原因債権をも有しないというのであるから、手形振出の基礎たる原因関係において被上告人に利得が生じているならば、上告人は被上告人に対し、同人の受けた利益の限度においてその償還を求め得るものといわなければならない。」としている。
したがって、本肢のような場合、本件手形上の権利が時効により消滅したときは、Bは、Aに対し、利得償還請求権を取得する。
総合メモ
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