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短答判例
開業準備行為の商行為性 最一小判昭和47年2月24日
概要
特定の営業を開始する目的で準備行為をした者は、その準備行為によって商人たる資格を取得し、その準備行為は営業のためにする行為として商行為となる。もっとも、準備行為は、客観的に開業準備行為と認められ得るものであることを要し、単なる金銭の借入れは、行為者の主観的目的のみでは原則として開業準備行為とはならない。ただし、取引の相手方が開業準備のための借入れであることを知っている場合には、開業準備行為として商行為性が認められる。
判例
事案:映画館を開業しようとしていた者が、その開業準備資金として金銭を借り入れたところ、その消費貸借契約が商行為に当たるかが問題となった。特に、①営業開始前にされた開業準備行為が商行為となるか、②金銭の借入れのように外形上その目的が明らかでない行為について、どのような場合に開業準備行為として商行為性が認められるかが問題となった。
判旨:「特定の営業を開始する目的でその準備行為をした者は、その行為により営業を開始する意思を実現したものであつて、これにより商人たる資格を取得するのであるから、その準備行為もまた商人がその営業のためにする行為として商行為となるものであることは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和32年(オ)第1183号、同33年6月19日第一小法廷判決、民集12巻10号1575頁参照)。そして、その準備行為は、相手方はもとよりそれ以外の者にも客観的に開業準備行為と認められうるものであることを要すると解すべきところ、単に金銭を借入れるごとき行為は、特段の事情のないかぎり、その外形からはその行為がいかなる目的でなされるものであるかを知ることができないから、その行為者の主観的目的のみによつて直ちにこれを開業準備行為であるとすることはできない。もつとも、その場合においても、取引の相手方が、この事情を知悉している場合には、開業準備行為としてこれに商行為性を認めるのが相当である。ところで、本件において原審の確定するところによれば、上告人は、被上告人に対し本件金員を貸与するにあたつては、被上告人が映画館開業の準備資金としてこれを借り受けるものであることを知悉していたというのであつて、右事実認定は原判決挙示の証拠に照らして肯認することができるから、右消費貸借契約を商行為として、これに商法522条を適用した原審の判断は相当であつて、原判決に所論の違法はない。」
判旨:「特定の営業を開始する目的でその準備行為をした者は、その行為により営業を開始する意思を実現したものであつて、これにより商人たる資格を取得するのであるから、その準備行為もまた商人がその営業のためにする行為として商行為となるものであることは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和32年(オ)第1183号、同33年6月19日第一小法廷判決、民集12巻10号1575頁参照)。そして、その準備行為は、相手方はもとよりそれ以外の者にも客観的に開業準備行為と認められうるものであることを要すると解すべきところ、単に金銭を借入れるごとき行為は、特段の事情のないかぎり、その外形からはその行為がいかなる目的でなされるものであるかを知ることができないから、その行為者の主観的目的のみによつて直ちにこれを開業準備行為であるとすることはできない。もつとも、その場合においても、取引の相手方が、この事情を知悉している場合には、開業準備行為としてこれに商行為性を認めるのが相当である。ところで、本件において原審の確定するところによれば、上告人は、被上告人に対し本件金員を貸与するにあたつては、被上告人が映画館開業の準備資金としてこれを借り受けるものであることを知悉していたというのであつて、右事実認定は原判決挙示の証拠に照らして肯認することができるから、右消費貸借契約を商行為として、これに商法522条を適用した原審の判断は相当であつて、原判決に所論の違法はない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%
(R8 予備 第27問 イ)
判例の趣旨によれば、自然人が業として商行為を行うことを開始する前に行った行為であっても、その営業のためにする行為として商行為となることがある。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭47.2.24)は、「特定の営業を開始する目的でその準備行為をした者は、その行為により営業を開始する意思を実現したものであつて、これにより商人たる資格を取得するのであるから、その準備行為もまた商人がその営業のためにする行為として商行為となる」としている。
したがって、自然人が業として商行為を行うことを開始する前に行った行為であっても、その営業のためにする行為として商行為となることがある。