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商法総則・商行為法 営業につき他人からその名義の使用を許された者が営業活動上惹起された交通事故に基づく損害賠償義務者であることを前提として被害者との間で示談契約を締結した場合の商法23条(現14条)の適用 最二小判昭和52年12月23日

概要
営業につき他人からその名義の使用を許された者が、営業活動上惹起された交通事故に基づく不法行為上の損害賠償義務者であることを前提とし、被害者との間で、単にその支払金額と支払方法を定めるにすぎない示談契約を締結した場合には、右契約の締結にあたり、被害者が名義貸与者をもって営業主と誤認した事実があったとしても、右示談契約に基づき支払うべきものとされた損害賠償債務は、商法23条にいう「其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務」(現:14条「当該取引によって生じた債務」)にあたらない。
判例
事案:営業につき他人からその名義の使用を許された者が営業活動上惹起された交通事故に基づく損害賠償義務者であることを前提として、被害者との間で示談契約を締結した場合に、商法23条(現:商法14条)の適用があるかが問題となった。

判旨:「商法23条(現:商法14条)の規定の趣旨は、第三者が名義貸与者を真実の営業主であると誤認して名義貸与を受けた者との間で取引をした場合に、名義貸与者が営業主であるとの外観を信頼した第三者の受けるべき不測の損害を防止するため、第三者を保護し取引の安全を期するということにあるというべきであるから、同条にいう『其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務』とは、第三者において右の外観を信じて取引関係に入ったため、名義貸与を受けた者がその取引をしたことによって負担することとなった債務を指称するものと解するのが相当である。それ故、名義貸与を受けた者が交通事故その他の事実行為たる不法行為に起因して負担するに至った損害賠償債務は、右交通事故その他の不法行為が名義貸与者と同種の営業活動を行うにつき惹起されたものであっても右にいう債務にあたらないのはもとより、かようにしてすでに負担するに至った本来同条の規定の適用のない債務について、名義貸与を受けた者と被害者との間で、単にその支払金額と支払方法を定めるにすぎない示談契約が締結された場合に、右契約の締結にあたり、被害者が名義貸与者をもって営業主すなわち損害賠償債務の終局的な負担者であると誤認した事実があったとしても、右契約に基づいて支払うべきものとされた損害賠償債務をもって、前記法条にいう『其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務』にあたると解するのは相当でないというべきである。」
過去問・解説
(H29 予備 第27問 4)
商号使用の許諾を受けた者が交通事故その他の事実行為たる不法行為に起因して負担するに至った損害賠償債務は,自己の商号を使用して営業を行うことを他人に許諾した商人が責任を負う「当該取引によって生じた債務」に当たらない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭52.12.23)は、「商法23条(現:商法14条)…にいう『其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務』とは、第三者において右の外観を信じて取引関係に入ったため、名義貸与を受けた者がその取引をしたことによって負担することとなった債務を指称するものと解するのが相当である。」とした上で、「名義貸与を受けた者が交通事故その他の事実行為たる不法行為に起因して負担するに至った損害賠償債務は、前記法条にいう『其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務』にあたると解するのは相当でないというべきである。」としている。
したがって、商号使用の許諾を受けた者が交通事故その他の事実行為たる不法行為に起因して負担するに至った損害賠償債務は、現行商法14条にいう「当該取引によって生じた債務」に当たらない。
総合メモ
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