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代理商

第27条

条文
第27条(通知義務)
 代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
過去問・解説
(H19 司法 第51問 エ)
Aの販売する商品をBが買い付けるに当たりCが関与する法的形態について、CがAから委託を受けた媒介代理商である場合には、売買契約はA・B間に成立する。

(正答)  

(解説)
27条は、「代理商」について、「商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないもの」と定義している。
したがって、Aの販売する商品をBが買い付けるに当たりCが関与する法的形態について、CがAから委託を受けた媒介代理商である場合には、売買契約はA・B間に成立する。

(H19 司法 第51問 オ)
Aの販売する商品をBが買い付けるにあたりCが関与する法的形態について、CがAから委託を受けた締約代理商であり、その旨をBに明示して契約する場合には、売買契約はA・B間に成立する。

(正答)  

(解説)
商法27条は、「代理商」について、「商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないもの」と定義しており、「取引の代理…をする者」を締約代理商といい、「取引…の媒介をする者」を媒介代理商という。前者は委任(643条)、後者は準委任(656条)である。締約代理商・媒介代理商と本人との間の法律関係については、契約又は他の法令に別段の定めがない限り、委任に関する民法・商法の一般規定が適用されるのが原則である(弥永真生「リーガルマインド商法総則・商行為法」第3版82頁)。
したがって、CがAから委託を受けた締約代理商であり、その旨をBに明示して契約する場合には、民法99条1項の適用により、売買契約はA・B間に成立する。

(H21 司法 第50問 2)
代理商は、取引の代理をした場合においては、商人の請求があるときに限り、遅滞なく、その旨の通知を発しなければならない。

(正答)  

(解説)
27条は、「代理商…は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。」と規定しており、商人の請求の有無にかかわらず、通知を必要としている。

(H23 司法 第52問 ア)
Aが個人旅行を予定しているB(商人ではないものとする。)のために一定の行為を業としてする場合に、AがBから委託を受けてBの希望に添うレンタカー契約の締結を媒介する場合、Aは、Bの代理商に該当する。

(正答)  

(解説)
27条は、「代理商」について、「商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないもの」と定義している。
本肢の事例では、Bは商人ではないため、Aは、「商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者」ではなく、「代理商」に当たらない。

(H28 予備 第27問 ア)
代理商は、商業使用人の一種である。

(正答)  

(解説)
27条は、「代理商」について、「商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないもの」と定義している。また、商法は、第6章(20条~26条)で商業使用人について規定する一方で、これを区別して、第7章(27条~31条)で代理商について定めている。これらのことから、代理商は、商業使用人の一種であるとはいえない。
総合メモ

第28条

条文
第28条(代理商の競業の禁止)
① 代理商は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。        
 一 自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
 二 その商人の営業と同種の事業を行う会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
② 代理商が前項の規定に違反して同項第1号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。        
過去問・解説
(H21 司法 第50問 4)
代理商は、商人の許可を受けなければ、自ら営業を行うことができない。

(正答)  

(解説)
28条1項1号は、代理商が「商人の許可を受けなければ…してはならない」行為として、「自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること」を挙げるにとどまり、代理商が自ら営業を行うこと自体は禁止していない。
これに対し、支配人については、「自ら営業を行うこと」も禁止されている(23条1項1号)。

(R4 予備 第28問 オ)
問屋は、委託者の許可を得ない限り、自己又は第三者のために、委託者の営業又は事業の部類に属する取引をすることができない。

(正答)  

(解説)
28条1項1号は、代理商が「商人の許可を受けなければ…してはならない」行為として、「自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること」を挙げているが、問屋(551条)については、そのような制限は設けられていない。
総合メモ

第29条

条文
第29条(通知を受ける権限)
 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、第526条第2項の通知その他売買に関する通知を受ける権限を有する。
過去問・解説
(H21 司法 第50問 5)
物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、売買契約成立後、当該売買契約の目的物に瑕疵がある旨の買主からの通知を受ける権限を有する。

(正答)  

(解説)
526条2項は、商人間の売買において目的物の種類・品質・数量に関する契約不適合がある場合における買主の通知義務を定めているところ、29条は、「物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、第526条第2項の通知その他売買に関する通知を受ける権限を有する。」と規定している。したがって、物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、売買契約成立後、当該売買契約の目的物に瑕疵がある旨の買主からの通知を受ける権限を有する。
総合メモ

第30条

条文
第30条(契約の解除)
① 商人及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、2箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
② 前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、商人及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。
過去問・解説
(H21 司法 第50問 3)
代理商は、契約の期間を定めなかったときは、いつでも、その代理商契約を解除することができる。

(正答)  

(解説)
30条1項は、「商人及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、2箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。」と規定している。
したがって、代理商は、契約の期間を定めなかったときは、「2か月前までに予告」をして、その代理商契約を解除することができる。
総合メモ

第31条

条文
第31条(代理商の留置権)
 代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、商人のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。
過去問・解説
(H21 司法 第50問 1)
代理商は、取引の代理をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、当事者が別段の意思表示をしていない限り、その弁済を受けるまでは、当該取引によって占有するに至った物以外の物であっても、商人のために当該代理商が占有する物を留置することができる。

(正答)  

(解説)
民法295条1項本文は、「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは…」と規定しており、留置権について、被担保債権と目的物の牽連関係が要求されている。
これに対し、商法31条は、「取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権」と規定するにとどまり、代理商の留置権について、被担保債権と目的物の牽連関係を要求していない(弥永真生「リーガルマインド商法総則・商行為法」第3版83頁)。
総合メモ