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行政法の一般原則
一斉検問の根拠条文 最三小決昭和55年9月22日
概要
警察官が、交通取締の一環として、交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のため、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、警察法2条1項を根拠に適法に行うことができる。
判例
事案:警察による自動車の一斉検問について、組織法である警察法2条1項の規定をもって根拠規範とすることの可否が問題となった。
判旨:「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきものであるが、それが国民の権利、自由の干渉にわたるおそれのある事項にかかわる場合には、任意手段によるからといって無制限に許されるべきものでないことも同条2項及び警察官職務執行法1条などの趣旨にかんがみ明らかである。しかしながら、自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること、その他現時における交通違反、交通事故の状況などをも考慮すると、警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである。」
判旨:「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきものであるが、それが国民の権利、自由の干渉にわたるおそれのある事項にかかわる場合には、任意手段によるからといって無制限に許されるべきものでないことも同条2項及び警察官職務執行法1条などの趣旨にかんがみ明らかである。しかしながら、自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること、その他現時における交通違反、交通事故の状況などをも考慮すると、警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである。」
過去問・解説
(H24 予備 第13問 ア)
警察法第2条第1項が「交通の取締」を警察の責務として定めていることなどに照らせば、警察官が、交通取締りの一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無に関わりなく短時間の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法である。
警察法第2条第1項が「交通の取締」を警察の責務として定めていることなどに照らせば、警察官が、交通取締りの一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無に関わりなく短時間の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法である。
(正答)〇
(解説)
判例(最決昭55.9.22)は、「警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なもの…。」としている。
判例(最決昭55.9.22)は、「警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なもの…。」としている。
(R4 予備 第16問 ウ)
警察官による交通違反の予防、検挙を目的として、警察法第2条及び警察官職務執行法第1条の趣旨を踏まえ強制力を伴わない任意手段により行われる自動車の検問は、自動車の運転者が合理的に必要な限度で行われる交通の取締りに協力すべきであることを考慮して許容されるものであるから、車両の外観、走行の態様等に異常が見られる場合でなければ許されない。
警察官による交通違反の予防、検挙を目的として、警察法第2条及び警察官職務執行法第1条の趣旨を踏まえ強制力を伴わない任意手段により行われる自動車の検問は、自動車の運転者が合理的に必要な限度で行われる交通の取締りに協力すべきであることを考慮して許容されるものであるから、車両の外観、走行の態様等に異常が見られる場合でなければ許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決昭55.9.22)は、「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべき…。」としており、車両の外観、走行の態様等に異常が見られる場合でなければ許されないとはしていない。
判例(最決昭55.9.22)は、「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべき…。」としており、車両の外観、走行の態様等に異常が見られる場合でなければ許されないとはしていない。
総合メモ
課税処分についての信義則の適用 最二小判昭和62年10月30日
概要
課税処分について、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて信義則の適用がある。
判例
事案:Xは、事業所得について、昭和46年分につき、青色申告の承認を受けることなく青色申告書による確定申告をしたところ、所轄の税務署長Yは、承認の有無の確認を怠り同申告書を受理し、さらに昭和47年ないし50年分については、Xに青色申告用紙を送付し、Xの青色申告書による確定申告を受理するとともに、その申告に係る税額を収納してきた。ところが、税務署長Yは、昭和48年及び49年分の所得税について白色申告とみなして更正処分を行った。ここでXが提起した更正処分の取消訴訟において、法律による行政の原理との抵触が生ずる場合、いかなる要件のもとに信義則が優先されるのか問題となった。
判旨:「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。そして、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない。」
判旨:「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。そして、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない。」
過去問・解説
(H18 司法 第25問 イ)
信義誠実の原則及び信頼保護の原則は行政上の法律関係にも適用される場合があるが、課税関係においては、租税法律主義の厳格な適用による納税者間の平等を犠牲にしてもなお納税者の信頼を保護しなければならない特別の事情がない場合には信頼保護の要請は劣後する。
信義誠実の原則及び信頼保護の原則は行政上の法律関係にも適用される場合があるが、課税関係においては、租税法律主義の厳格な適用による納税者間の平等を犠牲にしてもなお納税者の信頼を保護しなければならない特別の事情がない場合には信頼保護の要請は劣後する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭62.10.30)は、「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべき…。」としている。
判例(最判昭62.10.30)は、「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべき…。」としている。
(H20 司法 第23問 イ)
最高裁判所の判例によれば、民事上の法律関係を規律する原理として生まれた信義誠実の原則は、租税法律主義が妥当する租税法律関係については適用されないと解されている。
最高裁判所の判例によれば、民事上の法律関係を規律する原理として生まれた信義誠実の原則は、租税法律主義が妥当する租税法律関係については適用されないと解されている。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭62.10.30)は、「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべき…。」として、信義則の適用自体は認めている。
判例(最判昭62.10.30)は、「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべき…。」として、信義則の適用自体は認めている。
(H30 予備 第13問 ア)
納税者が、所得税について、青色申告の承認を受けることなく、青色申告書による確定申告をしたところ、税務署長が青色申告の承認があるかどうかの確認を怠り申告書を受理し、さらに、翌年分以降の所得税についても青色申告用紙を送付し、青色申告書による確定申告を受理するなどしてきた事案に関する最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決(裁判集民事152号93頁)は、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係において、信義則の法理の適用が認められるかどうかの判断に当たっては、納税者が税務官庁の表示した公的見解を信頼して行動した後に、その表示に反する課税処分が行われたため、経済的不利益を受けることになったかどうか、また、その表示を信頼し、その信頼に基づいて行動したことについて納税者に帰責事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠であると判断したものである。
納税者が、所得税について、青色申告の承認を受けることなく、青色申告書による確定申告をしたところ、税務署長が青色申告の承認があるかどうかの確認を怠り申告書を受理し、さらに、翌年分以降の所得税についても青色申告用紙を送付し、青色申告書による確定申告を受理するなどしてきた事案に関する最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決(裁判集民事152号93頁)は、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係において、信義則の法理の適用が認められるかどうかの判断に当たっては、納税者が税務官庁の表示した公的見解を信頼して行動した後に、その表示に反する課税処分が行われたため、経済的不利益を受けることになったかどうか、また、その表示を信頼し、その信頼に基づいて行動したことについて納税者に帰責事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠であると判断したものである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭62.10.30)は、租税法律関係における信義則の適用について、「租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。そして、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものである…。」としている。
判例(最判昭62.10.30)は、租税法律関係における信義則の適用について、「租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。そして、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものである…。」としている。
総合メモ
地方公共団体による企業誘致施策の変更が不法行為責任を生ずる場合 最三小判昭和56年1月27日
概要
地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当長期にわたる右施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合において、右勧告等に動機づけられて右活動又はその準備活動に入った者が右施策の変更により社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被ることとなるときは、これにつき補償等の措置を講ずることなく右施策を変更した地方公共団体は、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、右の者に対する不法行為責任を免れない。
判例
事案:Xが、Y村の前村長が推進した企業誘致政策に基づいて本件工場建設に着手したところ、本件工場建設に反対の立場をとる現村長Aが当選し、Aが本件工場建設に対する協力を拒否した結果、本件工場建設が不可能となったため、Y村に対して提起した損害賠償請求訴訟において、法律による行政の原理との抵触が生じない場合の信義則の適用について問題となった。
判旨:「地方公共団体の施策住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと信頼し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との間に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であっても、右のように密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき信義衡平の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる信頼に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめるものといわなければならない。そして、前記住民自治の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤をなす政治情勢の変化をもってただちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の信頼を保護しないことが許されるもの解すべきではない。これを本件についてみるのに、前記事実関係に照らせば、D前村長は、村議会の賛成のもとに上告人に対し本件工場建設に全面的に協力することを言明したのみならず、その後退任までの2年近くの間終始一貫して本件工場の建設を促し、これに積極的に協力していたものであり、上告人は、これによって右工場の建設及び操業開始につき被上告人の協力を得られるものと信じ、工場敷地の確保・整備、機械設備の発注等を行ったものであって、右は被上告人においても予想し、期待するところであったといわなければならない。また、本件工場の建設が相当長期にわたる操業を予定して行われ、少なからぬ資金の投入を伴うものであることは、その性質上明らかである。このような状況のもとにおいて、被上告人の協力拒否により、本件工場の建設がこれに着手したばかりの段階で不可能となったのであるから、その結果として上告人に多額の積極的損害が生じたとすれば、右協力拒否がやむをえない客観的事情に基づくものであるか、又は右損害を解消せしめるようななんらかの措置が講じられるのでない限り、右協力拒否は上告人に対する違法な加害行為たることを免れず、被上告人に対しこれと相当因果関係に立つ損害としての積極的損害の賠償を求める上告人の請求は正当として認容すべきものといわなければならない。」
判旨:「地方公共団体の施策住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと信頼し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との間に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であっても、右のように密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき信義衡平の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる信頼に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめるものといわなければならない。そして、前記住民自治の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤をなす政治情勢の変化をもってただちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の信頼を保護しないことが許されるもの解すべきではない。これを本件についてみるのに、前記事実関係に照らせば、D前村長は、村議会の賛成のもとに上告人に対し本件工場建設に全面的に協力することを言明したのみならず、その後退任までの2年近くの間終始一貫して本件工場の建設を促し、これに積極的に協力していたものであり、上告人は、これによって右工場の建設及び操業開始につき被上告人の協力を得られるものと信じ、工場敷地の確保・整備、機械設備の発注等を行ったものであって、右は被上告人においても予想し、期待するところであったといわなければならない。また、本件工場の建設が相当長期にわたる操業を予定して行われ、少なからぬ資金の投入を伴うものであることは、その性質上明らかである。このような状況のもとにおいて、被上告人の協力拒否により、本件工場の建設がこれに着手したばかりの段階で不可能となったのであるから、その結果として上告人に多額の積極的損害が生じたとすれば、右協力拒否がやむをえない客観的事情に基づくものであるか、又は右損害を解消せしめるようななんらかの措置が講じられるのでない限り、右協力拒否は上告人に対する違法な加害行為たることを免れず、被上告人に対しこれと相当因果関係に立つ損害としての積極的損害の賠償を求める上告人の請求は正当として認容すべきものといわなければならない。」
過去問・解説
(H19 司法 第24問 ウ)
地方公共団体の企業誘致施策が変更されたことによる損害の賠償を誘致の相手方の企業が請求した事件について、最高裁判所は、特定の者に対する行政の具体的勧誘を伴った場合であって、求められた活動が長期にわたる施策の継続を前提として初めてこれに投入する資金・労力に相応する効果を生じ得るものであるときには、代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り、信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びる、と判断した。
地方公共団体の企業誘致施策が変更されたことによる損害の賠償を誘致の相手方の企業が請求した事件について、最高裁判所は、特定の者に対する行政の具体的勧誘を伴った場合であって、求められた活動が長期にわたる施策の継続を前提として初めてこれに投入する資金・労力に相応する効果を生じ得るものであるときには、代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り、信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びる、と判断した。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭56.1.27)は、「決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当期間にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、…右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び…る…。」としている。
判例(最判昭56.1.27)は、「決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当期間にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、…右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び…る…。」としている。
(H25 共通 第38問 1)
損失補償請求権として法律構成することが考えられる事案について、損害賠償を認めることにより解決される例がある。こうした例として、民間の事業者が村の工場誘致施策に応じて投資した後、村長が交代し、村が事業者に対し代償的措置を執らずに施策を変更した場合に、村が事業者の受けた積極的損害を賠償する不法行為責任を負う例が挙げられる。
損失補償請求権として法律構成することが考えられる事案について、損害賠償を認めることにより解決される例がある。こうした例として、民間の事業者が村の工場誘致施策に応じて投資した後、村長が交代し、村が事業者に対し代償的措置を執らずに施策を変更した場合に、村が事業者の受けた積極的損害を賠償する不法行為責任を負う例が挙げられる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭56.1.27)は、「施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめる…。」としており、損失補償を代償措置として挙げつつ、不法行為に基づく損害賠償請求について判断している。
したがって、本肢のような事案は、損失補償請求権として法律構成することが考えられる事案について、損害賠償を認めることにより解決される例に当たる。
判例(最判昭56.1.27)は、「施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめる…。」としており、損失補償を代償措置として挙げつつ、不法行為に基づく損害賠償請求について判断している。
したがって、本肢のような事案は、損失補償請求権として法律構成することが考えられる事案について、損害賠償を認めることにより解決される例に当たる。
(H30 予備 第13問 イ)
地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定し、特定の者に対し同施策に適合する特定内容の活動を促す個別的具体的な勧告ないし勧誘をし、当該特定の者も、相当長期にわたる同施策の継続を前提にして初めて投入した資金や労力に相応する効果を生じ得るような性質の特定内容の活動を行ったが、その後の施策の変更により、当該特定の者に看過し得ない程度の積極的損害が発生した事案に関する最高裁判所昭和56年1月27日第三小法廷判決(民集35巻1号35頁)は、上記事情の下において上記損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びると判断したものである。
地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定し、特定の者に対し同施策に適合する特定内容の活動を促す個別的具体的な勧告ないし勧誘をし、当該特定の者も、相当長期にわたる同施策の継続を前提にして初めて投入した資金や労力に相応する効果を生じ得るような性質の特定内容の活動を行ったが、その後の施策の変更により、当該特定の者に看過し得ない程度の積極的損害が発生した事案に関する最高裁判所昭和56年1月27日第三小法廷判決(民集35巻1号35頁)は、上記事情の下において上記損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びると判断したものである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭56.1.27)は、「右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめる…。」としている。
判例(最判昭56.1.27)は、「右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめる…。」としている。
総合メモ
消滅時効の主張が信義則上許されない場合 最三小判平成19年2月6日
概要
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき健康管理手当の支給認定を受けた被爆者が、外国へ出国したことに伴いその支給を打ち切られたため、未支給の健康管理手当の支払を求める訴訟において、支給義務者が地方自治法236条所定の消滅時効を主張することは、信義則に反し許されない。
判例
事案:原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき健康管理手当の支給認定を受けた被爆者が、外国へ出国したことに伴いその支給を打ち切られたため、未支給の健康管理手当の支払を求める訴訟において、支給義務者が地方自治法236条所定の消滅時効を主張することが信義則上許されるかが問題となった。
判旨:「被爆者援護法等に基づく健康管理手当は、原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ、原子爆弾の放射能の影響による造血機能障害等の障害に苦しみ続け、不安の中で生活している被爆者に対し、毎月定額の手当を支給することにより、その健康及び福祉に寄与することを目的とするものである(原爆特別措置法5条、被爆者援護法前文、27条参照)。前記事実関係等によれば、被上告人らは、その申請により本件健康管理手当の受給権を具体的な権利として取得したところ、上告人は、被上告人らがブラジルに出国したとの一事により、同受給権につき402号通達に基づく失権の取扱いをしたものであり、しかも、このような通達や取扱いには何ら法令上の根拠はなかったというのである。通達は、行政上の取扱いの統一性を確保するために、上級行政機関が下級行政機関に対して発する法解釈の基準であって、国民に対し直接の法的効力を有するものではないとはいえ、通達に定められた事項は法令上相応の根拠を有するものであるとの推測を国民に与えるものであるから、前記のような402号通達の明確な定めに基づき健康管理手当の受給権について失権の取扱いをされた者に、なおその行使を期待することは極めて困難であったといわざるを得ない。他方、国が具体的な権利として発生したこのような重要な権利について失権の取扱いをする通達を発出する以上、相当程度慎重な検討ないし配慮がされてしかるべきものである。しかも、402号通達の上記失権取扱いに関する定めは、我が国を出国した被爆者に対し、その出国時点から適用されるものであり、失権取扱い後の権利行使が通常困難となる者を対象とするものであったということができる。 以上のような事情の下においては、上告人が消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れようとすることは、違法な通達を定めて受給権者の権利行使を困難にしていた国から事務の委任を受け、又は事務を受託し、自らも上記通達に従い違法な事務処理をしていた普通地方公共団体ないしその機関自身が、受給権者によるその権利の不行使を理由として支払義務を免れようとするに等しいものといわざるを得ない。そうすると、上告人の消滅時効の主張は、402号通達が発出されているにもかかわらず、当該被爆者については同通達に基づく失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情のない限り、信義則に反し許されないものと解するのが相当である。本件において上記特段の事情を認めることはできないから、上告人は、消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れることはできないものと解される。」
判旨:「被爆者援護法等に基づく健康管理手当は、原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ、原子爆弾の放射能の影響による造血機能障害等の障害に苦しみ続け、不安の中で生活している被爆者に対し、毎月定額の手当を支給することにより、その健康及び福祉に寄与することを目的とするものである(原爆特別措置法5条、被爆者援護法前文、27条参照)。前記事実関係等によれば、被上告人らは、その申請により本件健康管理手当の受給権を具体的な権利として取得したところ、上告人は、被上告人らがブラジルに出国したとの一事により、同受給権につき402号通達に基づく失権の取扱いをしたものであり、しかも、このような通達や取扱いには何ら法令上の根拠はなかったというのである。通達は、行政上の取扱いの統一性を確保するために、上級行政機関が下級行政機関に対して発する法解釈の基準であって、国民に対し直接の法的効力を有するものではないとはいえ、通達に定められた事項は法令上相応の根拠を有するものであるとの推測を国民に与えるものであるから、前記のような402号通達の明確な定めに基づき健康管理手当の受給権について失権の取扱いをされた者に、なおその行使を期待することは極めて困難であったといわざるを得ない。他方、国が具体的な権利として発生したこのような重要な権利について失権の取扱いをする通達を発出する以上、相当程度慎重な検討ないし配慮がされてしかるべきものである。しかも、402号通達の上記失権取扱いに関する定めは、我が国を出国した被爆者に対し、その出国時点から適用されるものであり、失権取扱い後の権利行使が通常困難となる者を対象とするものであったということができる。 以上のような事情の下においては、上告人が消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れようとすることは、違法な通達を定めて受給権者の権利行使を困難にしていた国から事務の委任を受け、又は事務を受託し、自らも上記通達に従い違法な事務処理をしていた普通地方公共団体ないしその機関自身が、受給権者によるその権利の不行使を理由として支払義務を免れようとするに等しいものといわざるを得ない。そうすると、上告人の消滅時効の主張は、402号通達が発出されているにもかかわらず、当該被爆者については同通達に基づく失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情のない限り、信義則に反し許されないものと解するのが相当である。本件において上記特段の事情を認めることはできないから、上告人は、消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れることはできないものと解される。」
過去問・解説
(H30 予備 第13問 ウ)
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者に対して支給される健康管理手当の受給権につき、法令上の根拠がないのに、被爆者が国外に居住地を移した場合に失権の取扱いとなるものと定めた違法な通達に基づき、地方公共団体が支給を打ち切った事案に関する最高裁判所平成19年2月6日第三小法廷判決(民集61巻1号122頁)は、上記通達に基づき違法な事務処理をしていた地方公共団体が、未支給の健康管理手当の支給義務を免れるために消滅時効を主張することは、特段の事情のない限り、信義則に反し許されないと判断したものである。
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者に対して支給される健康管理手当の受給権につき、法令上の根拠がないのに、被爆者が国外に居住地を移した場合に失権の取扱いとなるものと定めた違法な通達に基づき、地方公共団体が支給を打ち切った事案に関する最高裁判所平成19年2月6日第三小法廷判決(民集61巻1号122頁)は、上記通達に基づき違法な事務処理をしていた地方公共団体が、未支給の健康管理手当の支給義務を免れるために消滅時効を主張することは、特段の事情のない限り、信義則に反し許されないと判断したものである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平19.2.6)は、国の担当者が発出していた違法な通達に従い違法な事務処理をしていた地方公共団体が上告人である事案において、「上告人が消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れようとすることは、…402号通達が発出されているにもかかわらず、当該被爆者については同通達に基づく失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情のない限り、信義則に反し許されない…。」としている。
判例(最判平19.2.6)は、国の担当者が発出していた違法な通達に従い違法な事務処理をしていた地方公共団体が上告人である事案において、「上告人が消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れようとすることは、…402号通達が発出されているにもかかわらず、当該被爆者については同通達に基づく失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情のない限り、信義則に反し許されない…。」としている。
総合メモ
行政権の濫用 最二小判昭和53年6月16日
概要
個室付浴場業(いわゆるトルコぶろ営業)の規制を主たる動機、目的とする知事の本件児童遊園設置認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、個室付浴場業を規制しうる効力を有しない。
判例
事案:児童福祉施設からの距離制限規定に違反して個室付浴場業(いわゆるトルコぶろ営業)を営んだとして起訴された事案において、個室付浴場業の規制を主たる動機、目的として知事がした、児童遊園設置認可処分の適法性・有効性が問題となった。
判旨:「記録を精査しても、本件当時余目町において、被告会社のトルコぶろ営業の規制以外に、若竹児童遊園を無認可施設から認可施設に整備する必要性、緊急性があったことをうかがわせる事情は認められない。
本来、児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、情操をゆたかにすることを目的とする施設(児童福祉法40条参照)なのであるから、児童遊園設置の認可申請、同認可処分もその趣旨に沿ってなされるべきものであって、前記のような、被告会社のトルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とする余目町の若竹児童遊園設置の認可申請を容れた本件認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざるをえない(なお、本件認可処分の適法性、有効性が争点となっていた被告会社対山形県間の仙台高等裁判所昭和47年(行コ)第3号損害賠償請求控訴事件において被告会社のトルコぶろ営業に対する関係においての本件認可処分の違法・無効を認めた控訴審判決が、最高裁判所昭和49年(行ツ)第92号の上告棄却判決(本件認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であるとした。)により確定していることは、当裁判所に顕著である。)。
そうだとすれば、被告会社の本件トルコぶろ営業については、これを規制しうる児童福祉法7条に規定する児童福祉施設の存在についての証明を欠くことになり、被告会社に無罪の言渡をすべきものである。」
判旨:「記録を精査しても、本件当時余目町において、被告会社のトルコぶろ営業の規制以外に、若竹児童遊園を無認可施設から認可施設に整備する必要性、緊急性があったことをうかがわせる事情は認められない。
本来、児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、情操をゆたかにすることを目的とする施設(児童福祉法40条参照)なのであるから、児童遊園設置の認可申請、同認可処分もその趣旨に沿ってなされるべきものであって、前記のような、被告会社のトルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とする余目町の若竹児童遊園設置の認可申請を容れた本件認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざるをえない(なお、本件認可処分の適法性、有効性が争点となっていた被告会社対山形県間の仙台高等裁判所昭和47年(行コ)第3号損害賠償請求控訴事件において被告会社のトルコぶろ営業に対する関係においての本件認可処分の違法・無効を認めた控訴審判決が、最高裁判所昭和49年(行ツ)第92号の上告棄却判決(本件認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であるとした。)により確定していることは、当裁判所に顕著である。)。
そうだとすれば、被告会社の本件トルコぶろ営業については、これを規制しうる児童福祉法7条に規定する児童福祉施設の存在についての証明を欠くことになり、被告会社に無罪の言渡をすべきものである。」
過去問・解説
(H22 司法 第22問 ウ)
最高裁判所の判例によれば、特定の者Aによる個室付浴場の営業を阻止しようとする町が、児童福祉法にいう児童福祉施設の周囲200メートル以内においては風俗営業等取締法(現在の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律。以下「取締法」という。)によって個室付浴場の営業が禁止されることに着目し、Aの個室付浴場の開業予定地から200メートル未満の場所において児童福祉施設の設置の認可申請をした場合において、知事が当該申請を容れて行った認可処分に行政権の濫用に相当する違法性があるものとされるときは、Aは、当該処分の取消しを求めることなく営業を開始・継続したとしても、他に取締法に違反するところがなければ、取締法違反の罪によって処罰されない。
最高裁判所の判例によれば、特定の者Aによる個室付浴場の営業を阻止しようとする町が、児童福祉法にいう児童福祉施設の周囲200メートル以内においては風俗営業等取締法(現在の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律。以下「取締法」という。)によって個室付浴場の営業が禁止されることに着目し、Aの個室付浴場の開業予定地から200メートル未満の場所において児童福祉施設の設置の認可申請をした場合において、知事が当該申請を容れて行った認可処分に行政権の濫用に相当する違法性があるものとされるときは、Aは、当該処分の取消しを求めることなく営業を開始・継続したとしても、他に取締法に違反するところがなければ、取締法違反の罪によって処罰されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭53.6.16)は、本肢と同種の事案において、「トルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とするB町のC児童遊園設置の認可申請を容れた本件認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざるをえない…。そうだとすれば、被告会社の本件トルコぶろ営業については、これを規制しうる児童福祉法7条に規定する児童福祉施設の存在についての証明を欠くことになり、被告会社に無罪の言渡をすべき…。」としている。
したがって、本肢のような場合、Aは、当該処分の取消しを求めることなく営業を開始・継続したとしても、他に取締法に違反するところがなければ、取締法違反の罪によって処罰されない。
判例(最判昭53.6.16)は、本肢と同種の事案において、「トルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とするB町のC児童遊園設置の認可申請を容れた本件認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざるをえない…。そうだとすれば、被告会社の本件トルコぶろ営業については、これを規制しうる児童福祉法7条に規定する児童福祉施設の存在についての証明を欠くことになり、被告会社に無罪の言渡をすべき…。」としている。
したがって、本肢のような場合、Aは、当該処分の取消しを求めることなく営業を開始・継続したとしても、他に取締法に違反するところがなければ、取締法違反の罪によって処罰されない。
総合メモ
行政権の濫用 最二小判昭和53年5月26日
概要
個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的としてされた知事の児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものとして国家賠償法1条1項にいう公権力の違法な行使にあたるとされた事例
判例
事案:県知事が、風俗営業等取締法により児童福祉施設の近辺では個室付浴場の営業が禁止されていることに着目し、個室付浴場の開業を阻止する目的で児童福祉施設である児童遊園設置を認可した行為について、行政権の著しい濫用によるものとして国家賠償法1条1項にいう公権力の違法な行使に当たるかどうかが問題となった。
判旨:「本件児童遊園設置認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であり、かつ、右認可処分とこれを前提としてされた本件営業停止処分によって被上告人が被った損害との間には相当因果関係があると解するのが相当であるから、被上告人の本訴損害賠償請求はこれを認容すべきである。」
判旨:「本件児童遊園設置認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であり、かつ、右認可処分とこれを前提としてされた本件営業停止処分によって被上告人が被った損害との間には相当因果関係があると解するのが相当であるから、被上告人の本訴損害賠償請求はこれを認容すべきである。」
過去問・解説
(H18 司法 第25問 ア)
私人がその権利を濫用する場面には権利濫用禁止の原則が適用されるが、国又は地方公共団体の行為が問題となったケースについて、権利の濫用ないし行政権の濫用を理由として違法と認定されることはない。
私人がその権利を濫用する場面には権利濫用禁止の原則が適用されるが、国又は地方公共団体の行為が問題となったケースについて、権利の濫用ないし行政権の濫用を理由として違法と認定されることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭53.5.26)は、個室付営業の開業を阻止することを主たる目的として、知事が児童遊園設置許可処分をした事案において、「本件児童遊園設置認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であ…る。」としている。
したがって、国又は地方公共団体の行為についても、権利の濫用ないし行政権の濫用を理由として違法と認定されることがある。
判例(最判昭53.5.26)は、個室付営業の開業を阻止することを主たる目的として、知事が児童遊園設置許可処分をした事案において、「本件児童遊園設置認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であ…る。」としている。
したがって、国又は地方公共団体の行為についても、権利の濫用ないし行政権の濫用を理由として違法と認定されることがある。
総合メモ
関税率表を適用する場合の判断基準 大阪高判昭和44年9月30日
概要
全国の税務官庁の大多数が、事実上、特定の期間、特定の課税物件について、法定の課税標準ないし税率よりも軽減された課税標準ないし税率で関税の賦課、徴収処分をしていて、しかもその後、法定の課税標準ないし税率との差額を実際に徴収したこともなく、また追徴する見込みもないような場合には、その状態の継続する期間中に右の慣例に反してなされた関税の賦課、徴収処分は、租税平等主義に反し、違法である。
判例
事案:信号用品を輸入し神戸税関長から30%の税率で関税を徴収されたXが、同時期に、同物品につき横浜税関長及び大阪伊丹出張所長は20%の税率で関税を徴収していたため、神戸税関に課された10%分が無効であるとして訴えた事案において、法律による行政の原理と平等原則とが抵触する場合にいずれを優先させるか問題となった。
判旨:「憲法84条は租税法律主義を規定し、租税法律主義の当然の帰結である課・徴税平等の原則は、憲法14条の課・徴税の面における発現であると言うことができる。みぎ租税法律主義ないし課・徴税平等の原則に鑑みると、特定時期における特定種類の課税物件に対する税率は日本全国を通して均一であるべきであって、同一の時期に同一種類の課税物件に対して賦課・徴収された租税の税率が処分庁によって異なるときには、少くともみぎ課・徴税処分のいづれか一方は誤った税率による課・徴税をした違法な処分であると言うことができる。けだし、収税官庁は厳格に法規を執行する義務を負っていて、法律に別段の規定がある場合を除いて、法律の規定する課・徴税の要件が存在する場合には必ず法律の規定する課・徴税をすべき義務がある反面、法律の規定する課・徴税要件が存在しない場合には、その課・徴税処分をしてはならないのであるから・同一時期における同一種類の課税物件に対する2個以上の課・徴税処分の税率が互に異なるときは、みぎ2個以上の課・徴税処分が共に正当であることはあり得ないことであるからである。そしてみぎ課税物件に対する課・徴税処分に関与する全国の税務官庁の大多数が法律の誤解その他の理由によって、事実上、特定の期間特定の課税物件について、法定の課税標準ないし税率より軽減された課税標準ないし税率で課・徴税処分をして、しかも、その後、法定の税率による税金とみぎのように軽減された税率による税金の差額を、実際に追徴したことがなく且つ追徴する見込みもない状況にあるときには、租税法律主義ないし課・徴税平等の原則により、みぎ状態の継続した期間中は、法律の規定に反して多数の税務官庁が採用した軽減された課税標準ないし税率の方が、実定法上正当なものとされ、却って法定の課税標準、税率に従った課・徴税処分は、実定法に反する処分として、みぎ軽減された課税標準ないし税率を超過する部分については違法処分と解するのが相当である。したがって、このような場合について、課税平等の原則は、みぎ法定の課税標準ないし税率による課・徴税処分を、でき得る限り、軽減された全国通用の課税標準および税率による課・徴税処分に一致するように訂正し、これによって両者間の平等をもたらすように処置することを要請しているものと解しなければならない。」
判旨:「憲法84条は租税法律主義を規定し、租税法律主義の当然の帰結である課・徴税平等の原則は、憲法14条の課・徴税の面における発現であると言うことができる。みぎ租税法律主義ないし課・徴税平等の原則に鑑みると、特定時期における特定種類の課税物件に対する税率は日本全国を通して均一であるべきであって、同一の時期に同一種類の課税物件に対して賦課・徴収された租税の税率が処分庁によって異なるときには、少くともみぎ課・徴税処分のいづれか一方は誤った税率による課・徴税をした違法な処分であると言うことができる。けだし、収税官庁は厳格に法規を執行する義務を負っていて、法律に別段の規定がある場合を除いて、法律の規定する課・徴税の要件が存在する場合には必ず法律の規定する課・徴税をすべき義務がある反面、法律の規定する課・徴税要件が存在しない場合には、その課・徴税処分をしてはならないのであるから・同一時期における同一種類の課税物件に対する2個以上の課・徴税処分の税率が互に異なるときは、みぎ2個以上の課・徴税処分が共に正当であることはあり得ないことであるからである。そしてみぎ課税物件に対する課・徴税処分に関与する全国の税務官庁の大多数が法律の誤解その他の理由によって、事実上、特定の期間特定の課税物件について、法定の課税標準ないし税率より軽減された課税標準ないし税率で課・徴税処分をして、しかも、その後、法定の税率による税金とみぎのように軽減された税率による税金の差額を、実際に追徴したことがなく且つ追徴する見込みもない状況にあるときには、租税法律主義ないし課・徴税平等の原則により、みぎ状態の継続した期間中は、法律の規定に反して多数の税務官庁が採用した軽減された課税標準ないし税率の方が、実定法上正当なものとされ、却って法定の課税標準、税率に従った課・徴税処分は、実定法に反する処分として、みぎ軽減された課税標準ないし税率を超過する部分については違法処分と解するのが相当である。したがって、このような場合について、課税平等の原則は、みぎ法定の課税標準ないし税率による課・徴税処分を、でき得る限り、軽減された全国通用の課税標準および税率による課・徴税処分に一致するように訂正し、これによって両者間の平等をもたらすように処置することを要請しているものと解しなければならない。」
過去問・解説
(H18 司法 第26問 ウ)
事務処理の全国的な統一のために発せられた通達に反する措置を税務署長が行った場合、その措置は、他の税務署長が通達に準拠して行った措置との関係において、平等原則違反を理由に違法と判断される余地がある。
事務処理の全国的な統一のために発せられた通達に反する措置を税務署長が行った場合、その措置は、他の税務署長が通達に準拠して行った措置との関係において、平等原則違反を理由に違法と判断される余地がある。
(正答)〇
(解説)
裁判例(大阪高判昭44.9.30)は、「課税物件に対する課・徴税処分に関与する全国の税務官庁の大多数が法律の誤解その他の理由によって、事実上、特定の期間特定の課税物件について、法定の課税標準ないし税率より軽減された課税標準ないし税率で課・徴税処分をして、しかも、その後、法定の税率による税金とみぎのように軽減された税率による税金の差額を、実際に追徴したことがなく且つ追徴する見込みもない状況にあるときには、租税法律主義ないし課・徴税平等の原則により、みぎ状態の継続した期間中は、法律の規定に反して多数の税務官庁が採用した軽減された課税標準ないし税率の方が、実定法上正当なものとされ、却って法定の課税標準、税率に従った課・徴税処分は、実定法に反する処分として、みぎ軽減された課税標準ないし税率を超過する部分については違法処分と解する…。」としている。
したがって、本肢のような措置は、他の税務署長が通達に準拠して行った措置との関係において、平等原則違反を理由に違法と判断される余地がある。
裁判例(大阪高判昭44.9.30)は、「課税物件に対する課・徴税処分に関与する全国の税務官庁の大多数が法律の誤解その他の理由によって、事実上、特定の期間特定の課税物件について、法定の課税標準ないし税率より軽減された課税標準ないし税率で課・徴税処分をして、しかも、その後、法定の税率による税金とみぎのように軽減された税率による税金の差額を、実際に追徴したことがなく且つ追徴する見込みもない状況にあるときには、租税法律主義ないし課・徴税平等の原則により、みぎ状態の継続した期間中は、法律の規定に反して多数の税務官庁が採用した軽減された課税標準ないし税率の方が、実定法上正当なものとされ、却って法定の課税標準、税率に従った課・徴税処分は、実定法に反する処分として、みぎ軽減された課税標準ないし税率を超過する部分については違法処分と解する…。」としている。
したがって、本肢のような措置は、他の税務署長が通達に準拠して行った措置との関係において、平等原則違反を理由に違法と判断される余地がある。