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行政上の法律関係

国税滞納処分への民法177条の適用 最三小判昭和31年4月24日

概要
国税滞納処分による差押については、民法177条の適用があるものと解すべきである。
判例
事案:土地を買い受けたXが、売主に対する国税滞納処分として差し押さえた土地に対してなした公売処分が無効であることの確認等を求めた事案において、民法177条が租税滞納処分にも適用されるか否かが問題となった。

判旨:「国税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、あたかも、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであり、租税債権がたまたま公法上のものであることは、この関係において、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由となるものではない。それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用があるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第21問 ウ)
民法177条は、本来、私人間の法律関係を規律するものであるから、公権力の行使や公の行政活動については、これが直接適用されることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.4.24)は、「国税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、あたかも、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであり、租税債権がたまたま公法上のものであることは、この関係において、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由となるものではない。それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある…。」としている。
したがって、民法177条は、公権力の行使や公の行政活動についても直接適用される。

(H24 予備 第13問 ウ)
民法第177条は、私経済上の取引の安全を保障するために設けられたものであるから、国税滞納処分による差押えの関係には適用されることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.4.24)は、「国税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、あたかも、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであり、租税債権がたまたま公法上のものであることは、この関係において、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由となるものではない。それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある…。」としている。

(R1 予備 第13問 ウ)
国税滞納処分における国の地位は、民事上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであるから、国税滞納処分による差押えの関係においても民法第177条の適用がある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.4.24)は、「国税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、あたかも、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであり、租税債権がたまたま公法上のものであることは、この関係において、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由となるものではない。それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある…。」としている。

(R6 予備 第13問 ア)
国税滞納処分による差押えについては、国家が権力的手段をもって強制的に行うもので、対等な私人間の経済取引とはその本質を異にするから、私経済上の取引の安全を保障する規定である民法第177条は適用されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.4.24)は、「国税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、あたかも、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであり、租税債権がたまたま公法上のものであることは、この関係において、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由となるものではない。それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある…。」としている。
総合メモ

国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権への会計法30条の適用 最三小判昭和50年2月25日

概要
①国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたって、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解すべきである。
②国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権に会計法30条は適用されず、その消滅時効期間は、10年と解すべきである。
判例
事案:自衛隊員であった亡Aが自衛隊駐屯地において服務中、大型自動車に轢かれ死亡した本件事故について、亡Aの父母である上告人らが、被上告人国に対し、損害賠償を求めた事案において、国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権に会計法30条の消滅時効規定が適用されるか問題となった。

判旨:①「国と国家公務員(以下『公務員』という。)との間における主要な義務として、法は、公務員が職務に専念すべき義務(国家公務員法101条1項前段、自衛隊法60条1項等)並びに法令及び上司の命令に従うべき義務(国家公務員法98条1項、自衛隊法56条、57条等)を負い、国がこれに対応して公務員に対し給与支払義務(国家公務員法62条、防衛庁職員給与法4条以下等)を負うことを定めているが、国の義務は右の給付義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下『安全配慮義務』という。)を負っているものと解すべきである。もとより、右の安全配慮義務の具体的内容は、公務員の職種、地位及び安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべきものであり、自衛隊員の場合にあっては、更に当該勤務が通常の作業時、訓練時、防衛出動時(自衛隊法76条)、治安出動時(同法78条以下)又は災害派遣時(同法83条)のいずれにおけるものであるか等によっても異なりうべきものであるが、国が、不法行為規範のもとにおいて私人に対しその生命、健康等を保護すべき義務を負っているほかは、いかなる場合においても公務員に対し安全配慮義務を負うものではないと解することはできない。けだし、右のような安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、公務員が前記の義務を安んじて誠実に履行するためには、国が、公務員に対し安全配慮義務を負い、これを尽くすことが必要不可欠であり、また、国家公務員法93条ないし95条及びこれに基づく国家公務員災害補償法並びに防衛庁職員給与法27条等の災害補償制度も国が公務員に対し安全配慮義務を負うことを当然の前提とし、この義務が尽くされたとしてもなお発生すべき公務災害に対処するために設けられたものと解されるからである。」
 ②「会計法30条が金銭の給付を目的とする国の権利及び国に対する権利につき5年の消滅時効期間を定めたのは、国の権利義務を早期に決済する必要があるなど主として行政上の便宜を考慮したことに基づくものであるから、同条の5年の消滅時効期間の定めは、右のような行政上の便宜を考慮する必要がある金銭債権であって他に時効期間につき特別の規定のないものについて適用されるものと解すべきである。そして、国が、公務員に対する安全配慮義務を懈怠し違法に公務員の生命、健康等を侵害して損害を受けた公務員に対し損害賠償の義務を負う事態は、その発生が偶発的であって多発するものとはいえないから、右義務につき前記のような行政上の便宜を考慮する必要はなく、また、国が義務者であっても、被害者に損害を賠償すべき関係は、公平の理念に基づき被害者に生じた損害の公正な填補を目的とする点において、私人相互間における損害賠償の関係とその目的性質を異にするものではないから、国に対する右損害賠償請求権の消滅時効期間は、会計法30条所定の5年と解すべきではなく、民法167条1項により10年と解すべきである。」
過去問・解説
(H24 予備 第13問 エ)
国が、勤務中の事故により損害を被った公務員に対して、安全配慮義務違背による損害賠償の義務を負う関係には、会計法第30条は適用されず、当該関係における消滅時効期間については、民法の規定が適用される。

【参照条文】会計法
第30条 金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、5年間これを行わないときは、時効に因り消滅する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.2.25)は、「国に対する右損害賠償請求権の消滅時効期間は、会計法30条所定の5年と解すべきではなく、民法167条1項により10年と解すべき…。」としている。
したがって、国の公務員に対する安全配慮義務違背による損害賠償の義務を負う関係には、会計法第30条は適用されず、当該関係における消滅時効期間については、民法の規定が適用される。

(R1 予備 第13問 ア)
国家公務員の災害補償について国家公務員法や国家公務員災害補償法等に詳細な定めが置かれていることからすると、国が国家公務員に対して、安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負うとはいえない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.2.25)は、「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下『安全配慮義務』という。)を負っているものと解すべきである。」とした上で、「国家公務員法93条ないし95条及びこれに基づく国家公務員災害補償法並びに防衛庁職員給与法27条等の災害補償制度も国が公務員に対し安全配慮義務を負うことを当然の前提とし、この義務が尽くされたとしてもなお発生すべき公務災害に対処するために設けられたもの…である。」としている。
したがって、判例は、国家公務員の災害補償について国家公務員法や国家公務員災害補償法等に詳細な定めが置かれていることを根拠として、国が国家公務員に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負うことがあるとしている。

(R6 予備 第13問 ウ)
会計法第30条については、国を当事者とする公法上の金銭債権に限って適用されるとの見解もあるが、判例は、会計法第30条は、国の権利義務を早期に決済する必要があるなど主として行政上の便宜を考慮した規定であるとして、国の安全配慮義務違反を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権についても同条所定の消滅時効期間の適用を認めた。

【参照条文】会計法
第30条 金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、これを行使することができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.2.25)は、「会計法30条が金銭の給付を目的とする国の権利及び国に対する権利につき5年の消滅時効期間を定めたのは、国の権利義務を早期に決済する必要があるなど主として行政上の便宜を考慮したことに基づくものである…。」とした上で、「国が、公務員に対する安全配慮義務を懈怠し違法に公務員の生命、健康等を侵害して損害を受けた公務員に対し損害賠償の義務を負う事態は、その発生が偶発的であって多発するものとはいえないから、右義務につき前記のような行政上の便宜を考慮する必要はなく、また、国が義務者であっても、被害者に損害を賠償すべき関係は、公平の理念に基づき被害者に生じた損害の公正な填補を目的とする点において、私人相互間における損害賠償の関係とその目的性質を異にするものではないから、国に対する右損害賠償請求権の消滅時効期間は、会計法30条所定の5年と解すべきではなく、民法167条1項により10年と解すべき…。」としている。
総合メモ

公営住宅の使用関係への民事上の信頼関係の法理の適用 最一小判昭和59年12月13日

概要
公営住宅の使用関係にも民事上の信頼関係の法理の適用がある。
判例
事案:Xの所有する公営住宅に入居していたYは、Xの許可を受けることなく、同住宅に増築等をしたため、XはYに対して公営住宅法32条に基づき、使用許可を取り消し、住宅の明渡しを請求した事案において、公営住宅の使用関係についても信頼関係の法理が適用されるか否かが問題となった。

判旨:「公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。ところで、右法及び条例の規定によれば、事業主体は、公営住宅の入居者を決定するについては入居者を選択する自由を有しないものと解されるが、事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、両者の間には信頼関係を基礎とする法律関係が存するものというべきであるから、公営住宅の使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為をした場合であっても、賃貸人である事業主体との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取消し、その明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第25問 ウ)
公営住宅法及びこれに基づく条例の規定によれば、公営住宅の事業主体は、公営住宅の入居者を決定するに際しては入居者を選択する自由は認められていないと解されるので、入居後における入居者と事業主体との間の公営住宅の使用関係について、賃貸借契約関係における信頼関係の法理の適用はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭59.12.13)は、「事業主体は、公営住宅の入居者を決定するについては入居者を選択する自由を有しないものと解されるが、事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、両者の間には信頼関係を基礎とする法律関係が存するものというべきであるから、公営住宅の使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為をした場合であっても、賃貸人である事業主体との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取消し、その明渡を請求することはできない…。」として、公営住宅の事業主体と入居者との間の公営住宅の使用関係について、賃貸借契約関係における信頼関係の法理を適用できることを示している。

(R6 予備 第13問 イ)
公営住宅の使用関係については、基本的に私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはないから、公営住宅法及びこれに基づく条例に特別の定めがない限り、原則として民法及び借地借家法が適用される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭59.12.13)は、「公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用がある…。」としている。
総合メモ

建築基準法65条所定の建築物の建築への民法234条1項の適用 最判平成元年9月19日

概要
建築基準法65条所定の建築物の建築には、民法234条1項は適用されない。
判例
事案: Y所有の土地に隣接する土地を所有するXが、Yが建築した建物は境界線から50cmの距離を置かないものであるから民法234条1項に違反するとして、本件建物うち境界線から50cmの距離を置かない部分の収去等を求めた事案において、建築基準法65条所定の建築物の建築にも民法234条1項が適用されるか問題となった。

判旨:「建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当である。けだし、建築基準法65条は、耐火構造の外壁を設けることが防火上望ましいという見地や、防火地域又は準防火地域における土地の合理的ないし効率的な利用を図るという見地に基づき、相隣関係を規律する趣旨で、右各地域内にある建物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができることを規定したものと解すべきであって、このことは、次の点からしても明らかである。すなわち、第1に、同条の文言上、それ自体として、同法6条1項に基づく確認申請の審査に際しよるべき基準を定めたものと理解することはできないこと、第2に、建築基準法及びその他の法令において、右確認申請の審査基準として、防火地域又は準防火地域における建築物の外壁と隣地境界線との間の距離につき直接規制している原則的な規定はない(建築基準法において、隣地境界線と建築物の外壁との間の距離につき直接規制しているものとしては、第1種住居専用地域内における外壁の後退距離の限定を定めている54条の規定があるにとどまる。)から、建築基準法65条を、何らかの建築確認申請の審査基準を緩和する趣旨の例外規定と理解することはできないことからすると、同条は、建物を建築するには、境界線から50センチメートル以上の距離を置くべきものとしている民法234条1項の特則を定めたものと解して初めて、その規定の意味を見いだしうるからである。
 本件についてこれをみると、上告人所有地は準防火地域に指定され、上告人建物の外壁は耐火構造であるというのであるから、建築基準法65条により、上告人建物の建築は、本件土地部分においても許容されるというべきである。
 そうすると、上告人建物の建築について民法234条1項の規定が適用されるものとした原審の判断は、法令の解釈適用を誤ったものであり、この違法が判決に影響を及ぼすことが明らかである。この点の違法をいう論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、原審の適法に確定した前記事実関係のもとにおいては、右説示に徴し、本件土地部分に存する上告人建物の部分の収去を求める被上告人の本訴請求は理由がないから、第1審判決中右請求を認容した上告人敗訴部分を取消し…、被上告人の右請求を棄却すべきである。」
過去問・解説
(H29 予備 第14問 イ)
建物を築造する場合に境界線から50センチメートル以上の距離を保つべきことを定める民法第234条第1項の規定は、建築基準法第65条の定める防火地域又は準防火地域内にある耐火構造の外壁を有する建築物についても、直ちに適用が排除されるものではなく、民法の規定により保護される隣地の採光・通風、相隣者間の生活利益を犠牲にしてもなお制限を超える建築を許すだけの合理的な理由がある場合に限って、建築基準法の規定が優先適用される。 

【参照条文】建築基準法 (隣地境界線に接する外壁) 
第65条 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、 その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.9.19)は、「建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたもの…。」としている。
したがって、建築基準法65条所定の建築物の建築には、民法234条1項は適用されない。
総合メモ

食品衛生法第21条による食肉販売の営業許可を受けない者のなした食肉買入契約の効力 最二小判昭和35年3月18日

概要
食品衛生法21条は単なる取締法規すぎないから、同条に基づく食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉買入契約は無効とならない。
判例
事案:Xが、Yに対し、本件精肉の売買契約に基づく売掛代金の支払いを求めた事案において、食品衛生法21条による食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉買入契約の効力が問題となった。

判旨:「本件売買契約が食品衛生法による取締の対象に含まれるかどうかはともかくとして同法は単なる取締法規にすぎないものと解するのが相当であるから、上告人が食肉販売業の許可を受けていないとしても、右法律により本件取引の効力が否定される理由はない。」
過去問・解説
(H25 司法 第21問 イ)
DがEの経営する飲食店においてランチを注文し、Dが食事を終えた事例において、Eが食品衛生法第52条第1項に基づく飲食店営業許可を得ていない場合には、無許可営業は原則として当該営業上締結された契約の無効事由となるため、DはEからの飲食代金の支払請求に対し支払を拒否することができる。

【参照条文】食品衛生法
第51条 都道府県は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業(中略)であつて、政令で定めるものの施設につき、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。
第52条 前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2、3 (略)

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.3.18)は、食品衛生法21条による食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉買入契約の効力が問題となった事案において、「本件売買契約が食品衛生法による取締の対象に含まれるかどうかはともかくとして同法は単なる取締法規にすぎないものと解するのが相当であるから、上告人が食肉販売業の許可を受けていないとしても、右法律により本件取引の効力が否定される理由はない。」としている。
本肢において、Eは食品衛生法52条に基づく許可を受けていないものの、食品衛生法は単なる取締法規であるため、営業上締結された契約の無効事由とはならない。
したがって、DE間の契約は有効であるから、DはEからの飲食代金の支払請求に対し支払を拒否することができない。
総合メモ

公水使用権の性質 最三小判昭和37年4月10日

概要
公水使用権は、公共用物たる公水の上に存する権利であることにかんがみ、河川の全水量を独占排他的に利用し得る絶対不可侵の権利ではなく、使用目的を充たすに必要な限度の流水を使用し得る権利に過ぎない。
判例
事案:河川および渓流の流水につき水利権を有し、同権利は私法上の排他的独占使用権としての性質を有するとして、Yが訴外Aに対してした発電水利使用ならびに本件各河川の水の使用および工作物設置許可処分等の取消を求めた事案において、公水使用権の性質が問題となった。

判旨:「公水使用権は、それが慣習によるものであると行政庁の許可によるものであるとを問わず、公共用物たる公水の上に存する権利であることにかんがみ、河川の全水量を独占排他的に利用しうる絶対不可侵の権利ではなく、使用目的を充たすに必要な限度の流水を使用しうるに過ぎないものと解するのを相当とする…。」
過去問・解説
(R4 予備 第13問 ア)
慣習法は、行政法の法源として認められる場合があるが、公水使用権のように私人の権利の根拠として用いられる場合、行政法の法源としては認められない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.4.10)は、「公水使用権は、それが慣習によるものであると行政庁の許可によるものであるとを問わず、共用物たる公水の上に存する権利であることにかんがみ、河川の全水量を独占排他的に利用しうる絶対不可侵の権利ではなく、使用目的を充たすに必要な限度の流水を使用しうるに過ぎないものと解するのを相当とする…。」としている。
したがって、慣習法は、公水使用権のように私人の権利の根拠として用いられる場合、行政法の法源として認められる余地がある。
総合メモ

公共用財産について取得時効が成立する場合 最二小判昭和51年12月24日

概要
公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、当該公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げない。
判例
事案:Xが、土地台帳には登載されていない無番地の国有地であった本件係争地について、本件係争地周辺の各農地の売渡しを受けたのと同時に所有の意思をもって占有を開始し、10年の経過とともに時効により所有権を取得したとして、国に対し、その所有権確認を求めた事案において、公共用財産について公用廃止決定がなくても取得時効が成立するかが問題となった。

判旨:「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、右公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第21問 エ)
公共用財産である水路が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失した事例において、Iが当該水路の土地(以下「本件土地」という。)を20年以上にわたり水田として利用し、平穏かつ公然と占有を続けてきた場合には、最高裁判所の判例によれば、本件土地について取得時効が成立するが、公用廃止決定がなされていないことから、Iが取得できるのは公用制限を伴う本件土地所有権である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.12.24)は、「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、右公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げないものと解するのが相当である。」としている。
本肢において、公共用財産である水路は、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失しており、かつ、その上にIが本件土地を20年以上にわたり水田として利用し、平穏かつ公然と占有を続けている。
したがって、本肢における水路は、公用廃止決定がなされていなくても、黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の対象となる。
よって、Iが取得できるのは公用制限を伴わない土地所有権である。
総合メモ