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行政契約
公害防止協定 最二小判平成21年7月10日
概要
町とその区域内に産業廃棄物処理施設を設置している産業廃棄物処分業者とが締結した公害防止協定における、上記施設の使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは、これらの定めにより、廃棄物処理法に基づき上記業者が受けた知事の許可が効力を有する期間内にその事業又は施設が廃止されることがあったとしても、同法の趣旨に反しない。
判例
事案:旧福間町の地位を合併により承継した上告人が、本件土地に本件処分場を設置している被上告人に対し、福間町と被上告人との間の公害防止協定で定められた本件処分場の使用期限が経過したと主張して、本件土地を本件処分場として使用することの差止めを求めた事案において、公害防止協定中、使用期限の定めが廃棄物処理法の趣旨に反するかどうかが問題となった。
判旨:「旧協定が締結された当時の廃棄物処理法(平成9年法律第85号による改正前のもの。以下、単に『廃棄物処理法』というときは、同改正前のものをいう。)は、廃棄物の排出の抑制、適正な再生、処分等を行い、生活環境を清潔にすることによって、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とし(1条)、その目的を達成するために廃棄物の処理に関する規制等を定めるものである。そして、同法は、産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと定めるとともに(14条4項)、知事は、所定の要件に適合していると認めるときでなければ同許可をしてはならず(14条6項)、また、同許可を受けた者(以下『処分業者』という。)が同法に違反する行為をしたときなどには、同許可を取り消し、又は期間を定めてその事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができると定めている(14条の3において準用する7条の3)。さらに、同法は、処理施設を設置しようとする者は、当該施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと定めるとともに(15条1項)、知事は、所定の要件に適合していると認めるときでなければ同許可をしてはならず(15条2項)、また、同許可に係る処理施設の構造又はその維持管理が同法の規定する技術上の基準に適合していないと認めるときは、同許可を取消し、又はその設置者に対し、期限を定めて当該施設につき必要な改善を命じ、若しくは期間を定めて当該施設の使用の停止を命ずることができると定めている(15条の3)。 これらの規定は、知事が、処分業者としての適格性や処理施設の要件適合性を判断し、産業廃棄物の処分事業が廃棄物処理法の目的に沿うものとなるように適切に規制できるようにするために設けられたものであり、上記の知事の許可が、処分業者に対し、許可が効力を有する限り事業や処理施設の使用を継続すべき義務を課すものではないことは明らかである。そして、同法には、処分業者にそのような義務を課す条文は存せず、かえって、処分業者による事業の全部又は一部の廃止、処理施設の廃止については、知事に対する届出で足りる旨規定されているのであるから(14条の3において準用する7条の2第3項、15条の2第3項において準用する9条3項)、処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。したがって、旧期限条項が同法の趣旨に反するということはできないし、同法の上記のような趣旨、内容は、その後の改正によっても、変更されていないので、本件期限条項が本件協定が締結された当時の廃棄物処理法の趣旨に反するということもできない。 そして、旧期限条項及び本件期限条項が知事の許可の本質的な部分にかかわるものではないことは、以上の説示により明らかであるから、旧期限条項及び本件期限条項は、本件条例15条が予定する協定の基本的な性格及び目的から逸脱するものでもない。
以上によれば、福間町の地位を承継した上告人と被上告人との間において、原審の判示するような理由によって本件期限条項の法的拘束力を否定することはできないものというべきである。」
判旨:「旧協定が締結された当時の廃棄物処理法(平成9年法律第85号による改正前のもの。以下、単に『廃棄物処理法』というときは、同改正前のものをいう。)は、廃棄物の排出の抑制、適正な再生、処分等を行い、生活環境を清潔にすることによって、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とし(1条)、その目的を達成するために廃棄物の処理に関する規制等を定めるものである。そして、同法は、産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと定めるとともに(14条4項)、知事は、所定の要件に適合していると認めるときでなければ同許可をしてはならず(14条6項)、また、同許可を受けた者(以下『処分業者』という。)が同法に違反する行為をしたときなどには、同許可を取り消し、又は期間を定めてその事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができると定めている(14条の3において準用する7条の3)。さらに、同法は、処理施設を設置しようとする者は、当該施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと定めるとともに(15条1項)、知事は、所定の要件に適合していると認めるときでなければ同許可をしてはならず(15条2項)、また、同許可に係る処理施設の構造又はその維持管理が同法の規定する技術上の基準に適合していないと認めるときは、同許可を取消し、又はその設置者に対し、期限を定めて当該施設につき必要な改善を命じ、若しくは期間を定めて当該施設の使用の停止を命ずることができると定めている(15条の3)。 これらの規定は、知事が、処分業者としての適格性や処理施設の要件適合性を判断し、産業廃棄物の処分事業が廃棄物処理法の目的に沿うものとなるように適切に規制できるようにするために設けられたものであり、上記の知事の許可が、処分業者に対し、許可が効力を有する限り事業や処理施設の使用を継続すべき義務を課すものではないことは明らかである。そして、同法には、処分業者にそのような義務を課す条文は存せず、かえって、処分業者による事業の全部又は一部の廃止、処理施設の廃止については、知事に対する届出で足りる旨規定されているのであるから(14条の3において準用する7条の2第3項、15条の2第3項において準用する9条3項)、処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。したがって、旧期限条項が同法の趣旨に反するということはできないし、同法の上記のような趣旨、内容は、その後の改正によっても、変更されていないので、本件期限条項が本件協定が締結された当時の廃棄物処理法の趣旨に反するということもできない。 そして、旧期限条項及び本件期限条項が知事の許可の本質的な部分にかかわるものではないことは、以上の説示により明らかであるから、旧期限条項及び本件期限条項は、本件条例15条が予定する協定の基本的な性格及び目的から逸脱するものでもない。
以上によれば、福間町の地位を承継した上告人と被上告人との間において、原審の判示するような理由によって本件期限条項の法的拘束力を否定することはできないものというべきである。」
過去問・解説
(H23 司法 第26問 ア)
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
【判示】
「規定(注1)は、知事が、処分業者としての適格性や処理施設の要件適合性を判断し、産業廃棄物の処分事業が廃棄物処理法の目的に沿うものとなるように適切に規制できるようにするために設けられたものであり、上記の知事の許可(注2)が、処分業者に対し、許可が効力を有する限り事業や処理施設の使用を継続すべき義務を課すものではないことは明らかである。そして、同法には、処分業者にそのような義務を課す条文は存せず、かえって、処分業者による事業の全部又は一部の廃止、処理施設の廃止については、知事に対する届出で足りる旨規定されているのであるから(中略)、処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。したがって、(中略)本件期限条項が(中略)廃棄物処理法の趣旨に反するということもできない。」
(注1)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の諸規定を指す。
(注2)廃棄物処理法が定める産業廃棄物処理業の許可及び処理施設の設置許可を指す。
【記述】
市町村は、処分業者との間で公害防止協定を締結し、法律又は条例に根拠がなくても、協定の定めにより処分業者に対し、公害防止のための義務を課すことができる。
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
【判示】
「規定(注1)は、知事が、処分業者としての適格性や処理施設の要件適合性を判断し、産業廃棄物の処分事業が廃棄物処理法の目的に沿うものとなるように適切に規制できるようにするために設けられたものであり、上記の知事の許可(注2)が、処分業者に対し、許可が効力を有する限り事業や処理施設の使用を継続すべき義務を課すものではないことは明らかである。そして、同法には、処分業者にそのような義務を課す条文は存せず、かえって、処分業者による事業の全部又は一部の廃止、処理施設の廃止については、知事に対する届出で足りる旨規定されているのであるから(中略)、処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。したがって、(中略)本件期限条項が(中略)廃棄物処理法の趣旨に反するということもできない。」
(注1)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の諸規定を指す。
(注2)廃棄物処理法が定める産業廃棄物処理業の許可及び処理施設の設置許可を指す。
【記述】
市町村は、処分業者との間で公害防止協定を締結し、法律又は条例に根拠がなくても、協定の定めにより処分業者に対し、公害防止のための義務を課すことができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」としている。
したがって、市町村は、契約としての協定で、処分業者に対し、公害防止のための義務を課すことができる。
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」としている。
したがって、市町村は、契約としての協定で、処分業者に対し、公害防止のための義務を課すことができる。
(H23 司法 第26問 イ)
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
*【判示】は、(H23 司法 第26問 ア)を参照。
【記述】
市町村ではなく県が処分業者との間で公害防止協定を締結し、処分業者に対し、県知事が廃棄物処理法に基づいて行った許可が効力を有する期間内に、事業や処理施設を廃止する義務を課すことも、同法に抵触しない。
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
*【判示】は、(H23 司法 第26問 ア)を参照。
【記述】
市町村ではなく県が処分業者との間で公害防止協定を締結し、処分業者に対し、県知事が廃棄物処理法に基づいて行った許可が効力を有する期間内に、事業や処理施設を廃止する義務を課すことも、同法に抵触しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」としている。
したがって、県知事は、上記内容の公害防止協定の締結により、処理業者に対し、上記義務を課すことができる。
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」としている。
したがって、県知事は、上記内容の公害防止協定の締結により、処理業者に対し、上記義務を課すことができる。
(H23 司法 第26問 ウ)
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
*【判示】は、(H23 司法 第26問 ア)を参照。
【記述】
Yが本件協定の本件期限条項に違反して処理施設の使用を継続した場合、県知事は廃棄物処理法に基づく処理施設の設置許可を撤回することができる。
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
*【判示】は、(H23 司法 第26問 ア)を参照。
【記述】
Yが本件協定の本件期限条項に違反して処理施設の使用を継続した場合、県知事は廃棄物処理法に基づく処理施設の設置許可を撤回することができる。
(正答)✕
(解説)
①許認可等を与えられた者が当該許認可等を付与した趣旨に抵触する違法行為を行った場合、②許認可等の要件事実が事後的に消滅したといえるような場合には、許認可等の根拠規定自体が①や②の場合には撤回を許容する趣旨を含意している見るべきであるとの理由から、明文の規定がなくても職権撤回が可能であると解されている(宇賀克也「行政法概説Ⅰ 行政法総論」第8版419頁)。
判例(最判平21.7.10)は、「本件期限条項が本件協定が締結された当時の廃棄物処理法の趣旨に反するということもできない」、「本件期限条項は、本件条例15条が予定する協定の基本的な性格及び目的から逸脱するものでもない。」と判示しているが、だからといって、YとA町との間で締結された行政契約である本件協定中の本件期限条項に違反することは、X市がYに対し産業廃棄物処理施設の設置許可を付与した趣旨に抵触するものではなく(①)、同設置許可の要件事実の事後消滅に当たるものでもない(②)。そして、廃棄物処理法には、職権撤回に関する明文規定は存在しない。したがって、Yが本件協定の本件期限条項に違反して処理施設の使用を継続した場合、県知事は廃棄物処理法に基づく処理施設の設置許可を撤回することはできない。
①許認可等を与えられた者が当該許認可等を付与した趣旨に抵触する違法行為を行った場合、②許認可等の要件事実が事後的に消滅したといえるような場合には、許認可等の根拠規定自体が①や②の場合には撤回を許容する趣旨を含意している見るべきであるとの理由から、明文の規定がなくても職権撤回が可能であると解されている(宇賀克也「行政法概説Ⅰ 行政法総論」第8版419頁)。
判例(最判平21.7.10)は、「本件期限条項が本件協定が締結された当時の廃棄物処理法の趣旨に反するということもできない」、「本件期限条項は、本件条例15条が予定する協定の基本的な性格及び目的から逸脱するものでもない。」と判示しているが、だからといって、YとA町との間で締結された行政契約である本件協定中の本件期限条項に違反することは、X市がYに対し産業廃棄物処理施設の設置許可を付与した趣旨に抵触するものではなく(①)、同設置許可の要件事実の事後消滅に当たるものでもない(②)。そして、廃棄物処理法には、職権撤回に関する明文規定は存在しない。したがって、Yが本件協定の本件期限条項に違反して処理施設の使用を継続した場合、県知事は廃棄物処理法に基づく処理施設の設置許可を撤回することはできない。
(H23 司法 第26問 エ)
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、それぞれ同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
*【判示】は、(H23 司法 第26問 ア)を参照。
【記述】
市町村が処分業者に対し、公害防止協定に基づく義務の履行を求める訴えは、法律上の争訟に当たる。
次の文章は、A町と産業廃棄物処分業者(以下「処分業者」という。)であるYとが締結した公害防止協定(以下「本件協定」という。)に定められた、Yの産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の使用期限を平成15年12月31日とする旨の条項(以下「本件期限条項」という。)に基づき、A町の地位を合併により承継したX市がYに対し、Yの処理施設の使用の差止めを求める訴えについて判断を示した最高裁判所平成21年7月10日第二小法廷判決の判示の一部である。以下の記述について、それぞれ同判決の考え方に適合する場合には〇を、適合しない場合には×を選びなさい。
*【判示】は、(H23 司法 第26問 ア)を参照。
【記述】
市町村が処分業者に対し、公害防止協定に基づく義務の履行を求める訴えは、法律上の争訟に当たる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平21.7.10)は、「本件期限条項が公序良俗に違反するものであるか否か等につき更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。」として、本案判決をしていることから、訴訟要件である法律上の争訟性が満たされていることが前提とされている。
したがって、市町村が処分業者に対し、公害防止協定に基づく義務の履行を求める訴えは、法律上の争訟に当たる。
判例(最判平21.7.10)は、「本件期限条項が公序良俗に違反するものであるか否か等につき更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。」として、本案判決をしていることから、訴訟要件である法律上の争訟性が満たされていることが前提とされている。
したがって、市町村が処分業者に対し、公害防止協定に基づく義務の履行を求める訴えは、法律上の争訟に当たる。
(H24 司法 第28問 ウ)
D市は、産業廃棄物処理業者Eとの間で公害防止協定を締結する場合には、当該協定において、必要があると認めるときは、D市職員をしてEの所有する処理施設に実力で立ち入らせ、検査を行わせることができる旨を定めることができる。
D市は、産業廃棄物処理業者Eとの間で公害防止協定を締結する場合には、当該協定において、必要があると認めるときは、D市職員をしてEの所有する処理施設に実力で立ち入らせ、検査を行わせることができる旨を定めることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」として、公害防止協定が行政と私人の間の契約として、拘束力を有することを示している。
他方で、法律による行政の原理からすれば、協定の中に強制的な行政調査権などを定めることは許されない。
したがって、D市職員をしてEの所有する処理施設に実力で立ち入らせ、検査を行わせることができる旨を定めることはできない。
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」として、公害防止協定が行政と私人の間の契約として、拘束力を有することを示している。
他方で、法律による行政の原理からすれば、協定の中に強制的な行政調査権などを定めることは許されない。
したがって、D市職員をしてEの所有する処理施設に実力で立ち入らせ、検査を行わせることができる旨を定めることはできない。
(H29 予備 第17問 ウ)
地方公共団体が、産業廃棄物処分業者に対して、当該地方公共団体と当該産業廃棄物処分業者との間で締結した公害防止協定に基づく義務の履行を求める訴えは、法律上の争訟とはいえないから、不適法である。
地方公共団体が、産業廃棄物処分業者に対して、当該地方公共団体と当該産業廃棄物処分業者との間で締結した公害防止協定に基づく義務の履行を求める訴えは、法律上の争訟とはいえないから、不適法である。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.7.10)は、「本件期限条項が公序良俗に違反するものであるか否か等につき更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。」として、本案判決をしていることから、訴訟要件である法律上の争訟性が満たされていることが前提とされている。
判例(最判平21.7.10)は、「本件期限条項が公序良俗に違反するものであるか否か等につき更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。」として、本案判決をしていることから、訴訟要件である法律上の争訟性が満たされていることが前提とされている。
(R6 予備 第18問 イ)
産業廃棄物の処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方である町に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく道府県知事の許可に期限を付するに等しいため、同法の趣旨に反する。
産業廃棄物の処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方である町に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく道府県知事の許可に期限を付するに等しいため、同法の趣旨に反する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」としている。
判例(最判平21.7.10)は、「処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではない。」としている。
総合メモ
給水拒否に関する水道法15条1項にいう「正当の事由」 最二小決平成元年11月8日
概要
市の宅地開発指導要綱を遵守させるため給水契約の締結を留保した行為は、水道法15条1項にいう給水契約の締結を拒んだ行為にあたるとされ、給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長するような事情にもならないとして、このような場合に給水契約の締結を拒むことは水道法15条1項にいう給水契約を拒みうる「正当の理由」にはあたらない。
判例
事案:水道事業者であるXが、市の宅地開発指導要綱に従わなかったところ、水道法15条1項にいう給水契約の締結を拒んだ行為にあたるとして、市が、Xとの給水契約の締結を拒んだ事案において、宅地開発指導要綱に従わなかったことが水道法15条1項の「正当な理由」に当たるかが問題となった。
判旨:「原判決の認定によると、被告人らが本件マンションを建設中の山基建設及びその購入者から提出された給水契約の申込書を受領することを拒絶した時期には、既に、山基建設は、武蔵野市の宅地開発に関する指導要綱に基づく行政指導には従わない意思を明確に表明し、マンションの購入者も、入居に当たり給水を現実に必要としていたというのである。そうすると、原判決が、このような時期に至ったときは、水道法上給水契約の締結を義務づけられている水道事業者としては、たとえ右の指導要綱を事業主に順守させるため行政指導を継続する必要があったとしても、これを理由として事業主らとの給水契約の締結を留保することは許されないというべきであるから、これを留保した被告人らの行為は、給水契約の締約を拒んだ行為に当たると判断したのは、是認することができる。 また、原判決の認定によると、被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」
判旨:「原判決の認定によると、被告人らが本件マンションを建設中の山基建設及びその購入者から提出された給水契約の申込書を受領することを拒絶した時期には、既に、山基建設は、武蔵野市の宅地開発に関する指導要綱に基づく行政指導には従わない意思を明確に表明し、マンションの購入者も、入居に当たり給水を現実に必要としていたというのである。そうすると、原判決が、このような時期に至ったときは、水道法上給水契約の締結を義務づけられている水道事業者としては、たとえ右の指導要綱を事業主に順守させるため行政指導を継続する必要があったとしても、これを理由として事業主らとの給水契約の締結を留保することは許されないというべきであるから、これを留保した被告人らの行為は、給水契約の締約を拒んだ行為に当たると判断したのは、是認することができる。 また、原判決の認定によると、被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」
過去問・解説
(H18 司法 第27問 ア)
水道事業者である地方公共団体が、同地方公共団体が定めた建築指導要綱に基づく行政指導に従わないことを理由に、建築中のマンションにつき給水契約の締結を拒否した場合、それが、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」があり、違法な拒否には当たらない。
水道事業者である地方公共団体が、同地方公共団体が定めた建築指導要綱に基づく行政指導に従わないことを理由に、建築中のマンションにつき給水契約の締結を拒否した場合、それが、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」があり、違法な拒否には当たらない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平元.11.8)は、「被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」としている。
したがって、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」が認められず、違法な拒否に当たる。
判例(最決平元.11.8)は、「被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」としている。
したがって、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」が認められず、違法な拒否に当たる。
総合メモ
給水拒否に関する水道法15条1項にいう「正当の理由」 最一小判平成11年1月21日
概要
水道事業者である町が水道水の需要の増加を抑制するためマンション分譲業者との給水契約の締結を拒否したことに水道法15条1項にいう「正当の理由」があるとされた。
判例
事案:マンション分譲行者であるXが建築予定のマンションについての給水契約締結の申込みをしたところ、慢性的な水不足に悩む水道事業者であるY町が、その申込みを拒否した事案において、ことには水道法15条1項にいう「正当の理由」があるといえるか。
判旨:「法15条1項にいう『正当の理由』とは、水道事業者の正常な企業努力にもかかわらず給水契約の締結を拒まざるを得ない理由を指すものと解されるが、具体的にいかなる事由がこれに当たるかについては、同項の趣旨、目的のほか、法全体の趣旨、目的や関連する規定に照らして合理的に解釈するのが相当である。 いうまでもなく、水道は、国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであるが、我が国においては、地形、気象、人口等の自然的社会的諸条件のため、需要に見合った水道用水の確保は必ずしも容易ではなく、水は貴重な資源である(法2条1項参照)。市町村は、このような水道事業を経営する責任を負うものである(地方自治法2条3項3号、4項、法6条2項参照)ところ、法は、市町村を始めとする地方公共団体に対し、水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならず(法2条1項)、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定、実施するとともに、水道事業を経営するに当たっては、その適正かつ能率的な運営に努めなければならないとの責務を課し(法2条の2第1項)、他方、国民に対しては、市町村等の右施策に協力するとともに、自らも、水の適正かつ合理的な使用に努めなければならないとの責務を課している(法2条2項)。 右にみたとおり、水道が国民にとって欠くことのできないものであることからすると、市町村は、水道事業を経営するに当たり、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、可能な限り水道水の需要を賄うことができるように、中長期的視点に立って適正かつ合理的な水の供給に関する計画を立て、これを実施しなければならず、当該供給計画によって対応することができる限り、給水契約の申込みに対して応ずべき義務があり、みだりにこれを拒否することは許されないものというべきである。しかしながら、他方、水が限られた資源であることを考慮すれば、市町村が正常な企業努力を尽くしてもなお水の供給に一定の限界があり得ることも否定することはできないのであって、給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法15条1項にいう『正当の理由』があるものとして、これを拒むことが許されると解すべきである。 以上の見地に立って考えると、水の供給量が既にひっ迫しているにもかかわらず、自然的条件においては取水源が貧困で現在の取水量を増加させることが困難である一方で、社会的条件としては著しい給水人口の増加が見込まれるため、近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生ずることが確実に予見されるという地域にあっては、水道事業者である市町村としては、そのような事態を招かないよう適正かつ合理的な施策を講じなければならず、その方策としては、困難な自然的条件を克服して給水量をできる限り増やすことが第1に執られるべきであるが、それによってもなお深刻な水不足が避けられない場合には、専ら水の需給の均衡を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策を執ることも、やむを得ない措置として許されるものというべきである。そうすると、右のような状況の下における需要の抑制施策の1つとして、新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、現に居住している住民の生活用水を得るためではなく住宅を供給する事業を営む者が住宅分譲目的でしたものについて、給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには、法15条1項にいう『正当の理由』があるということができるものと解される。」
判旨:「法15条1項にいう『正当の理由』とは、水道事業者の正常な企業努力にもかかわらず給水契約の締結を拒まざるを得ない理由を指すものと解されるが、具体的にいかなる事由がこれに当たるかについては、同項の趣旨、目的のほか、法全体の趣旨、目的や関連する規定に照らして合理的に解釈するのが相当である。 いうまでもなく、水道は、国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであるが、我が国においては、地形、気象、人口等の自然的社会的諸条件のため、需要に見合った水道用水の確保は必ずしも容易ではなく、水は貴重な資源である(法2条1項参照)。市町村は、このような水道事業を経営する責任を負うものである(地方自治法2条3項3号、4項、法6条2項参照)ところ、法は、市町村を始めとする地方公共団体に対し、水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならず(法2条1項)、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定、実施するとともに、水道事業を経営するに当たっては、その適正かつ能率的な運営に努めなければならないとの責務を課し(法2条の2第1項)、他方、国民に対しては、市町村等の右施策に協力するとともに、自らも、水の適正かつ合理的な使用に努めなければならないとの責務を課している(法2条2項)。 右にみたとおり、水道が国民にとって欠くことのできないものであることからすると、市町村は、水道事業を経営するに当たり、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、可能な限り水道水の需要を賄うことができるように、中長期的視点に立って適正かつ合理的な水の供給に関する計画を立て、これを実施しなければならず、当該供給計画によって対応することができる限り、給水契約の申込みに対して応ずべき義務があり、みだりにこれを拒否することは許されないものというべきである。しかしながら、他方、水が限られた資源であることを考慮すれば、市町村が正常な企業努力を尽くしてもなお水の供給に一定の限界があり得ることも否定することはできないのであって、給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法15条1項にいう『正当の理由』があるものとして、これを拒むことが許されると解すべきである。 以上の見地に立って考えると、水の供給量が既にひっ迫しているにもかかわらず、自然的条件においては取水源が貧困で現在の取水量を増加させることが困難である一方で、社会的条件としては著しい給水人口の増加が見込まれるため、近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生ずることが確実に予見されるという地域にあっては、水道事業者である市町村としては、そのような事態を招かないよう適正かつ合理的な施策を講じなければならず、その方策としては、困難な自然的条件を克服して給水量をできる限り増やすことが第1に執られるべきであるが、それによってもなお深刻な水不足が避けられない場合には、専ら水の需給の均衡を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策を執ることも、やむを得ない措置として許されるものというべきである。そうすると、右のような状況の下における需要の抑制施策の1つとして、新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、現に居住している住民の生活用水を得るためではなく住宅を供給する事業を営む者が住宅分譲目的でしたものについて、給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには、法15条1項にいう『正当の理由』があるということができるものと解される。」
過去問・解説
(H18 司法 第27問 ウ)
水道事業者である地方公共団体が、建築予定のマンションについての給水契約締結の申込みを拒否した場合、それが、専ら慢性的な水不足の状況の下で水道水の需要の増加を抑制する目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」がないため、違法な拒否に当たる。
【参照条文】水道法
第15条第1項 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
水道事業者である地方公共団体が、建築予定のマンションについての給水契約締結の申込みを拒否した場合、それが、専ら慢性的な水不足の状況の下で水道水の需要の増加を抑制する目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」がないため、違法な拒否に当たる。
【参照条文】水道法
第15条第1項 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平11.1.21)は、「水の供給量が既にひっ迫しているにもかかわらず、自然的条件においては取水源が貧困で現在の取水量を増加させることが困難である一方で、社会的条件としては著しい給水人口の増加が見込まれるため、近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生ずることが確実に予見されるという地域にあっては、水道事業者である市町村としては、そのような事態を招かないよう適正かつ合理的な施策を講じなければならず、その方策としては、困難な自然的条件を克服して給水量をできる限り増やすことが第1に執られるべきであるが、それによってもなお深刻な水不足が避けられない場合には、専ら水の需給の均衡を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策を執ることも、やむを得ない措置として許されるものというべきである。」とした上で、「給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには、法15条1項にいう『正当の理由』があるということができるものと解される。」としている。
したがって、専ら慢性的な水不足の状況の下で水道水の需要の増加を抑制する目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」が認められ、拒否は適法である。
判例(最判平11.1.21)は、「水の供給量が既にひっ迫しているにもかかわらず、自然的条件においては取水源が貧困で現在の取水量を増加させることが困難である一方で、社会的条件としては著しい給水人口の増加が見込まれるため、近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生ずることが確実に予見されるという地域にあっては、水道事業者である市町村としては、そのような事態を招かないよう適正かつ合理的な施策を講じなければならず、その方策としては、困難な自然的条件を克服して給水量をできる限り増やすことが第1に執られるべきであるが、それによってもなお深刻な水不足が避けられない場合には、専ら水の需給の均衡を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策を執ることも、やむを得ない措置として許されるものというべきである。」とした上で、「給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには、法15条1項にいう『正当の理由』があるということができるものと解される。」としている。
したがって、専ら慢性的な水不足の状況の下で水道水の需要の増加を抑制する目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」が認められ、拒否は適法である。
(H24 司法 第28問 ア)
最高裁判所の判例によれば、新規に大規模マンションの建設を予定している住宅分譲業者AがB市に給水申込みをした事案において、B市が水道事業者として正常な企業努力をしているにもかかわらず近い将来において水不足が生ずることが確実に予見される場合には、水道法第15条第1項にいう「正当の理由」が認められることから、B市はA の給水契約の申込みを拒否することができる。
【参照条文】水道法
第15条 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。
2、3 (略)
最高裁判所の判例によれば、新規に大規模マンションの建設を予定している住宅分譲業者AがB市に給水申込みをした事案において、B市が水道事業者として正常な企業努力をしているにもかかわらず近い将来において水不足が生ずることが確実に予見される場合には、水道法第15条第1項にいう「正当の理由」が認められることから、B市はA の給水契約の申込みを拒否することができる。
【参照条文】水道法
第15条 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。
2、3 (略)
(正答)〇
(解説)
判例(最判平11.1.21)は、「近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生ずることが確実に予見されるという地域にあっては、水道事業者である市町村としては、そのような事態を招かないよう適正かつ合理的な施策を講じなければならず、その方策としては、困難な自然的条件を克服して給水量をできる限り増やすことが第一に執られるべきであるが、それによってもなお深刻な水不足が避けられない場合には、専ら水の需給の均衡を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策を執ることも、やむを得ない措置として許されるものというべきである。」とした上で、「新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、現に居住している住民の生活用水を得るためではなく住宅を供給する事業を営む者が住宅分譲目的でしたものについて、給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには、法15条1項にいう『正当の理由』があるということができる…。」としている。
判例(最判平11.1.21)は、「近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生ずることが確実に予見されるという地域にあっては、水道事業者である市町村としては、そのような事態を招かないよう適正かつ合理的な施策を講じなければならず、その方策としては、困難な自然的条件を克服して給水量をできる限り増やすことが第一に執られるべきであるが、それによってもなお深刻な水不足が避けられない場合には、専ら水の需給の均衡を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策を執ることも、やむを得ない措置として許されるものというべきである。」とした上で、「新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、現に居住している住民の生活用水を得るためではなく住宅を供給する事業を営む者が住宅分譲目的でしたものについて、給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには、法15条1項にいう『正当の理由』があるということができる…。」としている。
(H30 予備 第18問 エ)
水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から受けた給水契約の申込みを拒否するか否かを判断するに当たり、正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得ることを考慮することが許される。
水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から受けた給水契約の申込みを拒否するか否かを判断するに当たり、正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得ることを考慮することが許される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平11.1.21)は、「水が限られた資源であることを考慮すれば、市町村が正常な企業努力を尽くしてもなお水の供給に一定の限界があり得ることも否定することはできないのであって、給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法15条1項にいう『正当の理由』があるものとして、これを拒むことが許される…。」としている。
したがって、判例は、給水契約の申込拒否の「正当の理由」の考慮要素として、正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得ることを考慮している。
判例(最判平11.1.21)は、「水が限られた資源であることを考慮すれば、市町村が正常な企業努力を尽くしてもなお水の供給に一定の限界があり得ることも否定することはできないのであって、給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法15条1項にいう『正当の理由』があるものとして、これを拒むことが許される…。」としている。
したがって、判例は、給水契約の申込拒否の「正当の理由」の考慮要素として、正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得ることを考慮している。
(R6 予備 第18問 ウ)
給水契約の申込みが適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、水道事業者は、水道法第15条第1項にいう「正当の理由」があるものとして、これを拒むことが許される。
【参照条文】水道法
第15条 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。
2、3 (略)
給水契約の申込みが適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、水道事業者は、水道法第15条第1項にいう「正当の理由」があるものとして、これを拒むことが許される。
【参照条文】水道法
第15条 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。
2、3 (略)
(正答)〇
(解説)
判例(最判平11.1.21)は、「水が限られた資源であることを考慮すれば、市町村が正常な企業努力を尽くしてもなお水の供給に一定の限界があり得ることも否定することはできないのであって、給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法15条1項にいう『正当の理由』があるものとして、これを拒むことが許される…。」としている。
判例(最判平11.1.21)は、「水が限られた資源であることを考慮すれば、市町村が正常な企業努力を尽くしてもなお水の供給に一定の限界があり得ることも否定することはできないのであって、給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法15条1項にいう『正当の理由』があるものとして、これを拒むことが許される…。」としている。
総合メモ
違法建築物についての給水装置新設工事申込みの受理を事実上拒絶した市の不法行為責任 最一小判昭和56年7月16日
概要
市の水道局給水課長が給水装置新設工事申込に対し、当該建物が建築基準法に違反することを指摘して、その受理を事実上拒絶し申込書をその申込者に返戻した場合であっても、それは、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎない。他方、右申込者はその後1年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたのであるから、市は、右申込者に対し右工事申込の受理の拒否を理由とする不法行為法上の損害賠償の責任を負うものではない。
判例
事案:建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について、水道事業者である市(被上告人)に給水装置新設工事の申込みがなされた事案において、給水契約の拒否が適法であるかが問題となった。
判旨:「給水装置新設工事申込の受理を事実上拒絶し、申込書を返戻した措置は、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、…右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎないと認められる…その後1年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右工事申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたのであるから、右の事実関係の下においては、前記被上告人市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらないと解するのが相当である。」
判旨:「給水装置新設工事申込の受理を事実上拒絶し、申込書を返戻した措置は、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、…右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎないと認められる…その後1年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右工事申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたのであるから、右の事実関係の下においては、前記被上告人市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第27問 イ)
建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について、水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合、その趣旨が、建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであっても、それは申込みに対する違法な拒否に当たる。
建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について、水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合、その趣旨が、建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであっても、それは申込みに対する違法な拒否に当たる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭56.7.16)は、「給水装置新設工事申込の…申込書を返戻した措置は、…上告人に対し、右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎない…。」とした上で、「市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらない…。」としている。
したがって、違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであれば、申込みに対する違法な拒否に当たらない。
判例(最判昭56.7.16)は、「給水装置新設工事申込の…申込書を返戻した措置は、…上告人に対し、右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎない…。」とした上で、「市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらない…。」としている。
したがって、違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであれば、申込みに対する違法な拒否に当たらない。
総合メモ
普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結への民法108条の類推適用 最三小判平成16年7月13日
概要
普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には、民法108条が類推適用される。そして、普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理し又は代表して契約を締結した場合において、議会が長による上記行為を追認したときは、民法116条の類推適用により、当該普通地方公共団体に法律効果が帰属する。
判例
事案:名古屋市の住民であるXが、市は世界デザイン博覧会で使用された施設及び物品を違法に買い受けたなどと主張して、市長等の役職についているYらに対して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、市に代位して損害賠償を請求した住民訴訟において、普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結に民法108条の類推適用が適用されるか問題となった。
判旨:「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約締結行為であっても、長が相手方を代表又は代理することにより、私人間における双方代理行為等による契約と同様に、当該普通地方公共団体の利益が害されるおそれがある場合がある。そうすると、普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には、民法108条が類推適用されると解するのが相当である。そして、普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理ないし代表して契約を締結した場合であっても同法116条が類推適用され、議会が長による上記双方代理行為を追認したときには、同条の類推適用により、議会の意思に沿って本人である普通地方公共団体に法律効果が帰属するものと解するのが相当である。 これを本件についてみると、前記…の事実関係等によれば、本件各契約(本件契約49を除く。)中には、市において代決によって締結された契約や第1審被告協会において会長に代わって決裁することとされている者により締結された契約があるが、対外的にはいずれも第1審被告Y1の名をもって行われたということができるから、本件各契約(本件契約49を除く。)は、第1審被告Y1の双方代理行為により締結されたものであるというべきである。 しかしながら、前記…の事実関係等によれば、市議会は、第1審被告Y1を会長とする第1審被告協会との間で本件各契約(本件契約49を除く。)が締結されたことを十分認識して、前記…のとおり審査や議決をしたものということができるから、本件各契約(本件契約49を除く。)を追認したというべきである。また、前記…の事実によれば、第1審被告協会においても同様に追認があったというべきである。」
判旨:「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約締結行為であっても、長が相手方を代表又は代理することにより、私人間における双方代理行為等による契約と同様に、当該普通地方公共団体の利益が害されるおそれがある場合がある。そうすると、普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には、民法108条が類推適用されると解するのが相当である。そして、普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理ないし代表して契約を締結した場合であっても同法116条が類推適用され、議会が長による上記双方代理行為を追認したときには、同条の類推適用により、議会の意思に沿って本人である普通地方公共団体に法律効果が帰属するものと解するのが相当である。 これを本件についてみると、前記…の事実関係等によれば、本件各契約(本件契約49を除く。)中には、市において代決によって締結された契約や第1審被告協会において会長に代わって決裁することとされている者により締結された契約があるが、対外的にはいずれも第1審被告Y1の名をもって行われたということができるから、本件各契約(本件契約49を除く。)は、第1審被告Y1の双方代理行為により締結されたものであるというべきである。 しかしながら、前記…の事実関係等によれば、市議会は、第1審被告Y1を会長とする第1審被告協会との間で本件各契約(本件契約49を除く。)が締結されたことを十分認識して、前記…のとおり審査や議決をしたものということができるから、本件各契約(本件契約49を除く。)を追認したというべきである。また、前記…の事実によれば、第1審被告協会においても同様に追認があったというべきである。」
過去問・解説
(H25 司法 第21問 ア)
市長Aが、B市を代表するとともに相手方Cを代理して契約を締結した事例において、最高裁判所の判例によれば、当該契約の締結には双方代理に関する民法第108条が類推適用されるが、B市の議会が双方代理の事情を認識した上でAによる双方代理行為について追認した場合には、議会の意思に沿ってB市にその法律効果は帰属する。
市長Aが、B市を代表するとともに相手方Cを代理して契約を締結した事例において、最高裁判所の判例によれば、当該契約の締結には双方代理に関する民法第108条が類推適用されるが、B市の議会が双方代理の事情を認識した上でAによる双方代理行為について追認した場合には、議会の意思に沿ってB市にその法律効果は帰属する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平16.7.13)は、本肢と同種の事案において、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には、民法108条が類推適用される…。」とした上で、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理ないし代表して契約を締結した場合であっても同法116条が類推適用され、議会が長による上記双方代理行為を追認したときには、同条の類推適用により、議会の意思に沿って本人である普通地方公共団体に法律効果が帰属する…。」としている。
判例(最判平16.7.13)は、本肢と同種の事案において、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には、民法108条が類推適用される…。」とした上で、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理ないし代表して契約を締結した場合であっても同法116条が類推適用され、議会が長による上記双方代理行為を追認したときには、同条の類推適用により、議会の意思に沿って本人である普通地方公共団体に法律効果が帰属する…。」としている。
(H29 予備 第14問 ア)
普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結行為であっても、私人間における双方代理と同様の利害状況となることがあり得るから、双方代理を禁じた民法 第108条の規定が類推適用されるが、その代表権は執行機関に専属する権限であるから、双方代理行為がされた後に議会の追認の議決があっても、民法第116条の規定を類推適用して本人による追認の効果が生ずるものではない。
普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結行為であっても、私人間における双方代理と同様の利害状況となることがあり得るから、双方代理を禁じた民法 第108条の規定が類推適用されるが、その代表権は執行機関に専属する権限であるから、双方代理行為がされた後に議会の追認の議決があっても、民法第116条の規定を類推適用して本人による追認の効果が生ずるものではない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平16.7.13)は、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約締結行為であっても、長が相手方を代表又は代理することにより、私人間における双方代理行為等による契約と同様に、当該普通地方公共団体の利益が害されるおそれがある場合がある。そうすると、…民法108条が類推適用される…。」としている。
他方、本判例は、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理ないし代表して契約を締結した場合であっても同法116条が類推適用され、議会が長による上記双方代理行為を追認したときには、同条の類推適用により、議会の意思に沿って本人である普通地方公共団体に法律効果が帰属する…。」としている。
したがって、議会の追認の議決があれば、民法第116条の規定を類推適用して本人による追認の効果が生ずる。
判例(最判平16.7.13)は、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約締結行為であっても、長が相手方を代表又は代理することにより、私人間における双方代理行為等による契約と同様に、当該普通地方公共団体の利益が害されるおそれがある場合がある。そうすると、…民法108条が類推適用される…。」としている。
他方、本判例は、「普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理ないし代表して契約を締結した場合であっても同法116条が類推適用され、議会が長による上記双方代理行為を追認したときには、同条の類推適用により、議会の意思に沿って本人である普通地方公共団体に法律効果が帰属する…。」としている。
したがって、議会の追認の議決があれば、民法第116条の規定を類推適用して本人による追認の効果が生ずる。
総合メモ
道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定をある一定期間留保したこと 最二小判昭和57年4月23日
概要
道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定が約5か月間留保されても、判示の事実関係のもとにおいては、道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまり、国家賠償法1条1項にいう違法性を欠くものと解すべきである。
判例
事案: 建築主Xが、建築資材を建築現場へ搬入するために、車両制限令12条により道路管理者であるY区長に対し特殊車両の本件区道の通行について通行認定申請をしたが、正当な理由なく長期間にわたり認定手続をしないまま漫然と放置したとして、Yに対し、工事遅延による損害の国家賠償を請求した事案において、認定を留保したことに国家賠償法上の違法が認められるか問題となった。
判旨:「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、車両の通行の禁止又は制限を解除する性格を有する許可(同法47条1項から3項まで、47条の2第1項)とは法的性格を異にし、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかであるが、他方右認定については条件を附することができること(同令12条但し書)、右認定の制度の具体的効用が許可の制度のそれと比較してほとんど変るところがないことなどを勘案すると、右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。
これを本件についてみるのに、原審の適法に確定したところによれば、被上告人の道路管理者としての権限を行う中野区長が本件認定申請に対して約5か月間認定を留保した理由は、右認定をすることによって本件建物の建築に反対する附近住民と上告人側との間で実力による衝突が起こる危険を招来するとの判断のもとにこの危険を回避するためということであり、右留保期間は約5か月間に及んではいるが、結局、中野区長は当初予想された実力による衝突の危険は回避されたと判断して本件認定に及んだというのである。右事実関係によれば、中野区長の本件認定留保は、その理由及び留保期間から見て前記行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまるものというべく、国家賠償法1条1項の定める違法性はないものといわなければならない。」
判旨:「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、車両の通行の禁止又は制限を解除する性格を有する許可(同法47条1項から3項まで、47条の2第1項)とは法的性格を異にし、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかであるが、他方右認定については条件を附することができること(同令12条但し書)、右認定の制度の具体的効用が許可の制度のそれと比較してほとんど変るところがないことなどを勘案すると、右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。
これを本件についてみるのに、原審の適法に確定したところによれば、被上告人の道路管理者としての権限を行う中野区長が本件認定申請に対して約5か月間認定を留保した理由は、右認定をすることによって本件建物の建築に反対する附近住民と上告人側との間で実力による衝突が起こる危険を招来するとの判断のもとにこの危険を回避するためということであり、右留保期間は約5か月間に及んではいるが、結局、中野区長は当初予想された実力による衝突の危険は回避されたと判断して本件認定に及んだというのである。右事実関係によれば、中野区長の本件認定留保は、その理由及び留保期間から見て前記行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまるものというべく、国家賠償法1条1項の定める違法性はないものといわなければならない。」
過去問・解説
(R2 予備 第14問 ア)
車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定は、同令所定の車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであるから、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することは、許されない。
車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定は、同令所定の車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであるから、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することは、許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭57.4.23)は、「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、…基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかである…。」とした上で、「右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。」としている。
したがって、車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定において、具体的事案に応じて道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することも許されうる。
判例(最判昭57.4.23)は、「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、…基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかである…。」とした上で、「右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。」としている。
したがって、車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定において、具体的事案に応じて道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することも許されうる。