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行政手続法
審査基準の策定義務がないとされた事例 東京高判平成17年12月26日
概要
免許証の有効期間についての更新手続は、法92条の2、法施行令33条の7によって、更新後の免許証の有効期間の区分等が具体的かつ一義的に明記されているから、行政庁が上記区分のほかに新たな基準を設置する義務があると解することはできない。
判例
事案:行手法は、審査基準を「申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準」と定義し(2条8号ロ)、「行政庁は、審査基準を定めるものとする」と規定している。法令自体において、許認可等の判断の基準が十分具体的かつ明確に規定されているため、審査基準を定める必要がない場合も考えられるため、同法5条1項は2項・3項よりも若干表現を弱めて「ものとする」という表現にしている(宇賀克也「行政法概説Ⅰ 行政法総論」第8版473頁)。そこで、免許証の有効期間についての更新手続は、法令により更新後の免許証の有効期間の区分等が具体的かつ一義的に明記されていることから、行政庁が上記区分のほかに新たな基準(審査基準)を設置する義務があるか否かが問題となった。
判旨:「免許証の有効期間についての更新手続は、法92条の2、法施行令33条の7によって、更新後の免許証の有効期間の区分等が具体的かつ一義的に明記されており、更新申請手続の過程において手続の公正・透明性が損なわれることはないといえるから、行政庁が上記区分のほかに新たな基準を設置する義務があると解することはできない。したがって、上記更新手続について、控訴人が、行政手続法5条にいう審査基準等を設けていないとしても、同条項違反の問題は生じないというべきである。
判旨:「免許証の有効期間についての更新手続は、法92条の2、法施行令33条の7によって、更新後の免許証の有効期間の区分等が具体的かつ一義的に明記されており、更新申請手続の過程において手続の公正・透明性が損なわれることはないといえるから、行政庁が上記区分のほかに新たな基準を設置する義務があると解することはできない。したがって、上記更新手続について、控訴人が、行政手続法5条にいう審査基準等を設けていないとしても、同条項違反の問題は生じないというべきである。
過去問・解説
(H26 予備 第14問 イ)
P県知事は、採石法(以下「法」という。)の運用に関して運営要領を定め、その中で採石業の登録が必要な場合について、【法第32条にいう「採石業を行おうとする者」とは、営利、非営利の目的のいかんを問わず、岩石の採取行為を反復継続的に行おうとする者をいう】という基準を設けている。
法の定める採石業の登録の要件について、法の定めが十分具体的でありそれ以上判断基準を必要としない場合には、P県知事が行政手続法にいう審査基準を定めないことも許される。
P県知事は、採石法(以下「法」という。)の運用に関して運営要領を定め、その中で採石業の登録が必要な場合について、【法第32条にいう「採石業を行おうとする者」とは、営利、非営利の目的のいかんを問わず、岩石の採取行為を反復継続的に行おうとする者をいう】という基準を設けている。
法の定める採石業の登録の要件について、法の定めが十分具体的でありそれ以上判断基準を必要としない場合には、P県知事が行政手続法にいう審査基準を定めないことも許される。
(正答)〇
(解説)
判例(東京高判平17.12.26)は、「免許証の有効期間についての更新手続は、法92条の2、法施行令33条の7によって、更新後の免許証の有効期間の区分等が具体的かつ一義的に明記されており、更新申請手続の過程において手続の公正・透明性が損なわれることはないといえるから、行政庁が上記区分のほかに新たな基準を設置する義務があると解することはできない。したがって、上記更新手続について、控訴人が、行政手続法5条にいう審査基準等を設けていないとしても、同条項違反の問題は生じないというべきである。」としている。
したがって、法の定める採石業の登録の要件について、法の定めが十分具体的でありそれ以上判断基準を必要としない場合には、P県知事が行政手続法にいう審査基準を定めないことも許される。
判例(東京高判平17.12.26)は、「免許証の有効期間についての更新手続は、法92条の2、法施行令33条の7によって、更新後の免許証の有効期間の区分等が具体的かつ一義的に明記されており、更新申請手続の過程において手続の公正・透明性が損なわれることはないといえるから、行政庁が上記区分のほかに新たな基準を設置する義務があると解することはできない。したがって、上記更新手続について、控訴人が、行政手続法5条にいう審査基準等を設けていないとしても、同条項違反の問題は生じないというべきである。」としている。
したがって、法の定める採石業の登録の要件について、法の定めが十分具体的でありそれ以上判断基準を必要としない場合には、P県知事が行政手続法にいう審査基準を定めないことも許される。
総合メモ
個人タクシー免許申請の審査手続 最一小判昭和46年10月28日
概要
道路運送法3条2項3号に定める一般乗用旅客自動車運送事業である1人1車制の個人タクシー事業の免許にあたり、多数の申請人のうちから少数特定の者を具体的個別的事実関係に基づき選択してその免許申請の許否を決しようとするときには、同法6条の規定の趣旨にそう具体的審査基準を設定してこれを公正かつ合理的に適用すべく、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するものである等の場合は、右基準の適用上必要とされる事項について聴聞その他適切な方法により申請人に対しその主張と証拠提出の機会を与えるべきであり、これに反する審査手続により免許申請を却下したときは、公正な手続によって免許申請の許否につき判定を受けるべき申請人の法的利益を侵害したものとして、右却下処分は違法となるものと解すべきである。
判例
事案:個人タクシー事業の免許申請を却下されたXが、東京陸運局長Yに対して、却下処分の取消しを請求した事案において、個人タクシー免許申請の審査手続の方法に違法があったかが問題となった。
判旨:「道路運送法においては、個人タクシー事業の免許申請の許否を決する手続について、同法122条の2の聴聞の規定のほか、とくに、審査、判定の手続、方法等に関する明文規定は存しない。しかし、同法による個人タクシー事業の免許の許否は個人の職業選択の自由にかかわりを有するものであり、このことと同法6条および前記122条の2の規定等とを併せ考えれば、本件におけるように、多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする行政庁としては、事実の認定につき行政庁の独断を疑うことが客観的にもっともと認められるような不公正な手続をとってはならないものと解せられる。すなわち、右6条は抽象的な免許基準を定めているにすぎないのであるから、内部的にせよ、さらは、その趣旨を具体化した審査基準を設定し、これを公正かつ合理的に適用すべく、とくに、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するようなものである等の場合には、右基準を適用するうえで必要とされる事項について、申請人に対し、その主張と証拠の提出の機会を与えなければならないというべきである。免許の申請人はこのような公正な手続によって免許の許否につき判定を受くべき法的利益を有するものと解すべく、これに反する審査手続によって免許の申請の却下処分がされたときは、右利益を侵害するものとして、右処分の違法事由となるものというべきである。」
判旨:「道路運送法においては、個人タクシー事業の免許申請の許否を決する手続について、同法122条の2の聴聞の規定のほか、とくに、審査、判定の手続、方法等に関する明文規定は存しない。しかし、同法による個人タクシー事業の免許の許否は個人の職業選択の自由にかかわりを有するものであり、このことと同法6条および前記122条の2の規定等とを併せ考えれば、本件におけるように、多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする行政庁としては、事実の認定につき行政庁の独断を疑うことが客観的にもっともと認められるような不公正な手続をとってはならないものと解せられる。すなわち、右6条は抽象的な免許基準を定めているにすぎないのであるから、内部的にせよ、さらは、その趣旨を具体化した審査基準を設定し、これを公正かつ合理的に適用すべく、とくに、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するようなものである等の場合には、右基準を適用するうえで必要とされる事項について、申請人に対し、その主張と証拠の提出の機会を与えなければならないというべきである。免許の申請人はこのような公正な手続によって免許の許否につき判定を受くべき法的利益を有するものと解すべく、これに反する審査手続によって免許の申請の却下処分がされたときは、右利益を侵害するものとして、右処分の違法事由となるものというべきである。」
過去問・解説
(R4 予備 第14問 ア)
行政手続法施行前の行政手続についての最高裁判所の判例である、いわゆる個人タクシー事件に係る最高裁判所平成46.10.28第1小法廷判決(民集25巻7号1037頁)は、多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して個人タクシー事業の免許の許否を決しようとする行政庁に対し、道路運送法の定める免許基準の趣旨を具体化した審査基準を設定することを要求したが、当該審査基準を公にしておくことまでは要求していない。
行政手続法施行前の行政手続についての最高裁判所の判例である、いわゆる個人タクシー事件に係る最高裁判所平成46.10.28第1小法廷判決(民集25巻7号1037頁)は、多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して個人タクシー事業の免許の許否を決しようとする行政庁に対し、道路運送法の定める免許基準の趣旨を具体化した審査基準を設定することを要求したが、当該審査基準を公にしておくことまでは要求していない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.10.28)は、「多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする行政庁としては、…内部的にせよ、さらは、その趣旨を具体化した審査基準を設定し、これを公正かつ合理的に適用すべく、とくに、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するようなものである等の場合には、右基準を適用するうえで必要とされる事項について、申請人に対し、その主張と証拠の提出の機会を与えなければならないというべきである。」として、行政庁に対し、道路運送法の定める免許基準の趣旨を具体化した審査基準を設定することは要求しているものの、当該審査基準を公にしておくことまでは要求していない。
判例(最判昭46.10.28)は、「多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする行政庁としては、…内部的にせよ、さらは、その趣旨を具体化した審査基準を設定し、これを公正かつ合理的に適用すべく、とくに、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するようなものである等の場合には、右基準を適用するうえで必要とされる事項について、申請人に対し、その主張と証拠の提出の機会を与えなければならないというべきである。」として、行政庁に対し、道路運送法の定める免許基準の趣旨を具体化した審査基準を設定することは要求しているものの、当該審査基準を公にしておくことまでは要求していない。
総合メモ
一般旅券発給拒否処分における理由の提示 最三小判昭和60年1月22日
概要
一般旅券発給拒否処分の通知書に、発給拒否の理由として、「旅券法13条1項5号に該当する。」と記載されているだけで、同号適用の基礎となった事実関係が具体的に示されていない場合には、理由付記として不備であって、かかる処分は違法である。
判例
事案:一般旅券発給拒否処分の通知書に、発給拒否の理由として、「旅券法13条1項5号に該当する。」と記載されているだけで、同号適用の基礎となった事実関係が具体的に示されていなかった事案において、不利益処分の場合の理由提示はどの程度具体的に示すべきかが問題となった。
判旨:「旅券法14条は、外務大臣が、同法13条の規定に基づき一般旅券の発給をしないと決定したときは、すみやかに、理由を付した書面をもって一般旅券の発給を申請した者にその旨を通知しなければならないことを規定している。一般に、法律が行政処分に理由を付記すべきものとしている場合に、どの程度の記載をなすべきかは、処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨・目的に照らしてこれを決定すべきである…。旅券法が右のように一般旅券発給拒否通知書に拒否の理由を付記すべきものとしているのは、一般旅券の発給を拒否すれば、憲法22条2項で国民に保障された基本的人権である外国旅行の自由を制限することになるため、拒否事由の有無についての外務大臣の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに、拒否の理由を申請者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものというべきであり、このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば、一般旅券発給拒否通知書に付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に発給拒否の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の適用の基礎となった事実関係をも当然知りうるような場合を別として、旅券法の要求する理由付記として十分でないといわなければならない。この見地に立って旅券法13条1項5号をみるに、同号は『前各号に掲げる者を除く外、外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者』という概括的、抽象的な規定であるため、一般旅券発給拒否通知書に同号に該当する旨付記されただけでは、申請者において発給拒否の基因となった事実関係をその記載自体から知ることはできないといわざるをえない。したがって、外務大臣において旅券法13条1項5号の規定を根拠に一般旅券の発給を拒否する場合には、申請者に対する通知書に同号に該当すると付記するのみでは足りず、いかなる事実関係を認定して申請者が同号に該当すると判断したかを具体的に記載することを要すると解するのが相当である。そうであるとすれば、単に『旅券法13条1項5号に該当する。』と付記されているにすぎない本件一般旅券発給拒否処分の通知書は、同法14条の定める理由付記の要件を欠くものというほかはなく、本件一般旅券発給拒否処分に右違法があることを理由としてその取消しを求める上告人の本訴請求は、正当として認容すべきである。」
判旨:「旅券法14条は、外務大臣が、同法13条の規定に基づき一般旅券の発給をしないと決定したときは、すみやかに、理由を付した書面をもって一般旅券の発給を申請した者にその旨を通知しなければならないことを規定している。一般に、法律が行政処分に理由を付記すべきものとしている場合に、どの程度の記載をなすべきかは、処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨・目的に照らしてこれを決定すべきである…。旅券法が右のように一般旅券発給拒否通知書に拒否の理由を付記すべきものとしているのは、一般旅券の発給を拒否すれば、憲法22条2項で国民に保障された基本的人権である外国旅行の自由を制限することになるため、拒否事由の有無についての外務大臣の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに、拒否の理由を申請者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものというべきであり、このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば、一般旅券発給拒否通知書に付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に発給拒否の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の適用の基礎となった事実関係をも当然知りうるような場合を別として、旅券法の要求する理由付記として十分でないといわなければならない。この見地に立って旅券法13条1項5号をみるに、同号は『前各号に掲げる者を除く外、外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者』という概括的、抽象的な規定であるため、一般旅券発給拒否通知書に同号に該当する旨付記されただけでは、申請者において発給拒否の基因となった事実関係をその記載自体から知ることはできないといわざるをえない。したがって、外務大臣において旅券法13条1項5号の規定を根拠に一般旅券の発給を拒否する場合には、申請者に対する通知書に同号に該当すると付記するのみでは足りず、いかなる事実関係を認定して申請者が同号に該当すると判断したかを具体的に記載することを要すると解するのが相当である。そうであるとすれば、単に『旅券法13条1項5号に該当する。』と付記されているにすぎない本件一般旅券発給拒否処分の通知書は、同法14条の定める理由付記の要件を欠くものというほかはなく、本件一般旅券発給拒否処分に右違法があることを理由としてその取消しを求める上告人の本訴請求は、正当として認容すべきである。」
過去問・解説
(H24 予備 第15問 ア)
行政裁量が認められた処分についても、処分の理由提示が不備であることが当該処分の取消事由となることがある。
行政裁量が認められた処分についても、処分の理由提示が不備であることが当該処分の取消事由となることがある。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭60.1.22)は、「単に『旅券法13条1項5号に該当する。』と付記されているにすぎない本件一般旅券発給拒否処分の通知書は、同法14条の定める理由付記の要件を欠くものというほかはなく、本件一般旅券発給拒否処分に右違法があることを理由としてその取消しを求める上告人の本訴請求は、正当として認容すべきである。」としている。
判例(最判昭60.1.22)は、「単に『旅券法13条1項5号に該当する。』と付記されているにすぎない本件一般旅券発給拒否処分の通知書は、同法14条の定める理由付記の要件を欠くものというほかはなく、本件一般旅券発給拒否処分に右違法があることを理由としてその取消しを求める上告人の本訴請求は、正当として認容すべきである。」としている。
(H27 予備 第15問 イ)
処分基準が定められていない場合、不利益処分の理由の提示は、抽象的な記載で足り、処分の名宛人において、いかなる事実関係に基づいて、いかなる法規を適用して当該処分が行われたかを知ることができるものである必要はない。
処分基準が定められていない場合、不利益処分の理由の提示は、抽象的な記載で足り、処分の名宛人において、いかなる事実関係に基づいて、いかなる法規を適用して当該処分が行われたかを知ることができるものである必要はない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭60.1.22)は、「一般旅券発給拒否通知書に付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に発給拒否の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の適用の基礎となった事実関係をも当然知りうるような場合を別として、旅券法の要求する理由付記として十分でないといわなければならない。」としている。
判例(最判昭60.1.22)は、「一般旅券発給拒否通知書に付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に発給拒否の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の適用の基礎となった事実関係をも当然知りうるような場合を別として、旅券法の要求する理由付記として十分でないといわなければならない。」としている。
総合メモ
一級建築士免許取消訴訟において公にされている処分基準の適用関係を示さなかった場合 最三小判平成23年6月7日
概要
公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分は、行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き、違法である。
判例
事案:公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分の取消を求めた事案において、不利益処分の理由として処分基準の適用関係まで示すべきかが問題となった。
判旨:「行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。この見地に立って建築士法10条1項2号又は3号による建築士に対する懲戒処分について見ると、同項2号及び3号の定める処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に同項所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件処分基準が定められているところ、本件処分基準は、意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は、前記…のとおりであって、多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件処分基準の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。これを本件について見ると、本件の事実関係等は前記…のとおりであり、本件免許取消処分は上告人X1の一級建築士としての資格を直接にはく奪する重大な不利益処分であるところ、その処分の理由として、上告人X1が、札幌市内の複数の土地を敷地とする建築物の設計者として、建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い、それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ、又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と、建築士法10条1項2号及び3号という処分の根拠法条とが示されているのみで、本件処分基準の適用関係が全く示されておらず、その複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」
判旨:「行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。この見地に立って建築士法10条1項2号又は3号による建築士に対する懲戒処分について見ると、同項2号及び3号の定める処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に同項所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件処分基準が定められているところ、本件処分基準は、意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は、前記…のとおりであって、多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件処分基準の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。これを本件について見ると、本件の事実関係等は前記…のとおりであり、本件免許取消処分は上告人X1の一級建築士としての資格を直接にはく奪する重大な不利益処分であるところ、その処分の理由として、上告人X1が、札幌市内の複数の土地を敷地とする建築物の設計者として、建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い、それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ、又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と、建築士法10条1項2号及び3号という処分の根拠法条とが示されているのみで、本件処分基準の適用関係が全く示されておらず、その複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」
過去問・解説
(H25 共通 第24問 ア)
行政手続法第14条第1項本文は、不利益処分をする場合には同時にその理由を名宛人に示さなければならない旨を定めているが、同項の理由の提示に関する最判H23.6.7第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)の多数意見の判示内容に照らすと、行政手続法第14条第1項本文が理由の提示を要求しているのは、不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものである。
行政手続法第14条第1項本文は、不利益処分をする場合には同時にその理由を名宛人に示さなければならない旨を定めているが、同項の理由の提示に関する最判H23.6.7第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)の多数意見の判示内容に照らすと、行政手続法第14条第1項本文が理由の提示を要求しているのは、不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、「行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たもの…。」としている。
判例(最判平23.6.7)は、「行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たもの…。」としている。
(H25 共通 第24問 イ)
行政手続法第14条第1項本文は、不利益処分をする場合には同時にその理由を名宛人に示さなければならない旨を定めているが、同項の理由の提示に関する最判平23.6.7第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)の多数意見の判示内容に照らすと、建築士法による一級建築士に対する懲戒処分の場合、処分基準が定められているとしても、行政手続法第14条第1項本文が理由の提示を要求している趣旨は、当該処分の根拠である建築士法の法条及びその法条の要件に該当する具体的な事実関係が明らかにされることで十分に達成できるというべきであり、更に進んで、処分基準の内容及び適用関係についてまで明らかにすることを要するものではない。
行政手続法第14条第1項本文は、不利益処分をする場合には同時にその理由を名宛人に示さなければならない旨を定めているが、同項の理由の提示に関する最判平23.6.7第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)の多数意見の判示内容に照らすと、建築士法による一級建築士に対する懲戒処分の場合、処分基準が定められているとしても、行政手続法第14条第1項本文が理由の提示を要求している趣旨は、当該処分の根拠である建築士法の法条及びその法条の要件に該当する具体的な事実関係が明らかにされることで十分に達成できるというべきであり、更に進んで、処分基準の内容及び適用関係についてまで明らかにすることを要するものではない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべき…。」としている。
したがって、判例は、処分基準の内容及び適用関係についてまで明らかにすることまで要求している。
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべき…。」としている。
したがって、判例は、処分基準の内容及び適用関係についてまで明らかにすることまで要求している。
(H25 共通 第24問 ウ)
行政手続法第14条第1項本文は、不利益処分をする場合には同時にその理由を名宛人に示さなければならない旨を定めているが、同項の理由の提示に関する最判H23.6.7第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)の多数意見の判示内容に照らすと、建築士法による一級建築士に対する懲戒処分について、公にされている処分基準は、複数の懲戒処分の中から処分内容を選択するための基準として、多様な事例に対応すべくかなり複雑な内容を定めていたのであり、処分の原因となる事実と処分の根拠法条とが示されているだけでは、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることはできないから、処分基準の適用関係が全く示されていない理由提示は、行政手続法第14条第1項本文の要求する理由提示としては十分でない。
行政手続法第14条第1項本文は、不利益処分をする場合には同時にその理由を名宛人に示さなければならない旨を定めているが、同項の理由の提示に関する最判H23.6.7第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)の多数意見の判示内容に照らすと、建築士法による一級建築士に対する懲戒処分について、公にされている処分基準は、複数の懲戒処分の中から処分内容を選択するための基準として、多様な事例に対応すべくかなり複雑な内容を定めていたのであり、処分の原因となる事実と処分の根拠法条とが示されているだけでは、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることはできないから、処分基準の適用関係が全く示されていない理由提示は、行政手続法第14条第1項本文の要求する理由提示としては十分でない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、「処分の理由として、上告人X1が、札幌市内の複数の土地を敷地とする建築物の設計者として、建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い、それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ、又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と、建築士法10条1項2号及び3号という処分の根拠法条とが示されているのみで、本件処分基準の適用関係が全く示されておらず、その複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れない…。」としている。
判例(最判平23.6.7)は、「処分の理由として、上告人X1が、札幌市内の複数の土地を敷地とする建築物の設計者として、建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い、それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ、又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と、建築士法10条1項2号及び3号という処分の根拠法条とが示されているのみで、本件処分基準の適用関係が全く示されておらず、その複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れない…。」としている。
(H26 共通 第24問 イ)
処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合には、処分が社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の濫用に当たるものでない限り、処分の理由の提示に不備があったとしても、そのことを理由として処分が違法とされることはない。
処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合には、処分が社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の濫用に当たるものでない限り、処分の理由の提示に不備があったとしても、そのことを理由として処分が違法とされることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、効果裁量が認められる一級建築士免許取消処分に関する理由の提示の不備が問題となった事案において、「このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」と判示しており、この判例については、理由の提示の不備はそれだけで処分の取消事由に当たることを前提としたものであると理解されている。
したがって、処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合には、処分が社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の濫用に当たるものでなくても、処分の理由の提示に不備があれば、そのことを理由として処分が違法とされる。
判例(最判平23.6.7)は、効果裁量が認められる一級建築士免許取消処分に関する理由の提示の不備が問題となった事案において、「このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」と判示しており、この判例については、理由の提示の不備はそれだけで処分の取消事由に当たることを前提としたものであると理解されている。
したがって、処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合には、処分が社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の濫用に当たるものでなくても、処分の理由の提示に不備があれば、そのことを理由として処分が違法とされる。
(H27 予備 第15問 ア)
処分基準(法第12条)が定められ、公にされていても、不利益処分の理由の提示として、処分基準の適用関係まで摘示する必要がない場合がある。
処分基準(法第12条)が定められ、公にされていても、不利益処分の理由の提示として、処分基準の適用関係まで摘示する必要がない場合がある。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、…当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」とした上で、「建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件処分基準が定められているところ、本件処分基準は、意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は、前記…のとおりであって、多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件処分基準の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。」としている。
その上で、「本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」と認定している。
したがって、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることができるのであれば、処分基準の適用関係まで摘示する必要がない場合があるといえる。
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、…当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」とした上で、「建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件処分基準が定められているところ、本件処分基準は、意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は、前記…のとおりであって、多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件処分基準の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。」としている。
その上で、「本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」と認定している。
したがって、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることができるのであれば、処分基準の適用関係まで摘示する必要がない場合があるといえる。
(H27 予備 第15問 ウ)
法第13条第1項第1号に基づく聴聞手続が行われ、不利益処分の名宛人が、聴聞の期日におけるやり取りの状況から処分理由を事前に予測し得る場合であっても、不利益処分の理由の提示における記載自体から、いかなる事実関係に基づいて、いかなる法規を適用して当該処分が行われたかを知ることができないときは、当該処分理由の提示に瑕疵があることになる。
法第13条第1項第1号に基づく聴聞手続が行われ、不利益処分の名宛人が、聴聞の期日におけるやり取りの状況から処分理由を事前に予測し得る場合であっても、不利益処分の理由の提示における記載自体から、いかなる事実関係に基づいて、いかなる法規を適用して当該処分が行われたかを知ることができないときは、当該処分理由の提示に瑕疵があることになる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平23.6.7)の田原補足意見は、「理由付記は、相手方に処分の理由を示すことにとどまらず、処分の公正さを担保するものであるから、相手方がその理由を推知できるか否かにかかわらず、第三者においてもその記載自体からその処分理由が明らかとなるものでなければならない。」としている。
判例(最判平23.6.7)の田原補足意見は、「理由付記は、相手方に処分の理由を示すことにとどまらず、処分の公正さを担保するものであるから、相手方がその理由を推知できるか否かにかかわらず、第三者においてもその記載自体からその処分理由が明らかとなるものでなければならない。」としている。
(H28 司法 第15問 イ)
処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合でも、処分の理由の提示に不備があったときは、当該処分の取消事由となることがある。
処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合でも、処分の理由の提示に不備があったときは、当該処分の取消事由となることがある。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、「建築士法10条1項2号又は3号による建築士に対する懲戒処分について見ると、同項2号及び3号の定める処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に同項所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。」とした上で、「本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」としている。
したがって、処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合でも、処分の理由の提示に不備があったときは、当該処分の取消事由となることがあるといえる。
判例(最判平23.6.7)は、「建築士法10条1項2号又は3号による建築士に対する懲戒処分について見ると、同項2号及び3号の定める処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に同項所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。」とした上で、「本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」としている。
したがって、処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合でも、処分の理由の提示に不備があったときは、当該処分の取消事由となることがあるといえる。
(H29 予備 第15問 ア)
行政手続法の規定により処分基準が定められ公にされている場合において、同法に基づく不利益処分の理由の提示は、処分基準の内容にかかわらず、処分の原因となる事実と処分の根拠法条が示されるのみでは足りず、処分基準の適用関係が示されていない限り、同法の要求する理由の提示として十分ではなく、当該不利益処分は違法となる。
行政手続法の規定により処分基準が定められ公にされている場合において、同法に基づく不利益処分の理由の提示は、処分基準の内容にかかわらず、処分の原因となる事実と処分の根拠法条が示されるのみでは足りず、処分基準の適用関係が示されていない限り、同法の要求する理由の提示として十分ではなく、当該不利益処分は違法となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」とした上で、「複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」として、具体的な事情を加味して、処分基準の適用関係が示すことまで要求している。
したがって、不利益処分の理由の提示も、処分基準の内容によっては、処分の原因となる事実と処分の根拠法条が示されるのみで足りる場合がある。
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」とした上で、「複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」として、具体的な事情を加味して、処分基準の適用関係が示すことまで要求している。
したがって、不利益処分の理由の提示も、処分基準の内容によっては、処分の原因となる事実と処分の根拠法条が示されるのみで足りる場合がある。
(R6 予備 第14問 イ)
国土交通大臣が一級建築士免許取消処分をする場合、建築士に対する懲戒に係る処分基準が公表されているのであれば、当該処分の通知書において、同処分基準の適用関係を全く示さなかったとしても、行政手続法上の理由の提示として不足することはない。
国土交通大臣が一級建築士免許取消処分をする場合、建築士に対する懲戒に係る処分基準が公表されているのであれば、当該処分の通知書において、同処分基準の適用関係を全く示さなかったとしても、行政手続法上の理由の提示として不足することはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」として、処分基準の公表は理由提示が十分であるかどうかを判断する要素にすぎないことを示している。
また、本判例は続けて、「複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」としている。
したがって、処分基準が公表されていても、当該処分の通知書において、同処分基準の適用関係を全く示さなかった場合には、行政手続法上の理由の提示として不足することがある。
判例(最判平23.6.7)は、「どの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」として、処分基準の公表は理由提示が十分であるかどうかを判断する要素にすぎないことを示している。
また、本判例は続けて、「複雑な基準の下では、上告人X1において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては、行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず、本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れないものというべきである。」としている。
したがって、処分基準が公表されていても、当該処分の通知書において、同処分基準の適用関係を全く示さなかった場合には、行政手続法上の理由の提示として不足することがある。