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処分性(法的効果)

関税定率法21条3項に基づく輸入禁制品該当通知 最三小判昭和54年12月25日

概要
関税定率法による通知は「観念の通知」であるとしつつ、「もともと法律の規定に準拠してされたもの」であること、輸入既製品については税関長による輸入の許可を得ることができず(関税法67条、70条、71条、73条、関税定率法21条等)、輸入の許可を受けていない貨物の輸入は法律上禁止されている(関税法111条参照)から、輸入申告者に対し当該貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものであるという理由から、処分性を肯定した。
判例
事案: 関税定率法21条3項の規定による税関長の通知又は同条5項の規定による税関長の決定及びその通知の取消訴訟において、それらの行為が抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分」に該当するかが問題となった。

判旨:「輸入禁制品について税関長がその輸入を許可するものでないことは、関税法67条、70条、71条、73条、関税定率法21条等の規定に徴し明らかである。そして、税関長において、輸入申告者に対し、関税定率法21条3項の規定による通知をし、又は、更に、輸入申告者からの異議の申出にかかわらず先の通知に示された判断を変更することなく維持し、同条5項の規定による決定及びその通知をした場合においては、当該貨物につき輸入の許可の得られるべくもないことが明らかとなったものということができると同時に、関税定率法21条の規定の趣旨からみて、税関長において同条1項3号に該当すると認めるのに相当の理由がある貨物について、税関長が同条3項及び5項に定める措置をとる以外に当該輸入申告に対し何らかの応答的行政処分をすることは、およそ期待され得ないところであり、他方、輸入申告者は輸入の許可を受けないで貨物を輸入することを法律上禁止されている(関税法11条参照)のであるから、輸入申告者は、当該貨物を適法に輸入する道を閉ざされるに至ったものといわなければならない。そして、輸入申告者の被るこのような制約は、輸入申告に対する税関長の応答的行政処分が未了である場合に輸入申告者がその間申告にかかる貨物を適法に輸入することができないという、行政事務処理手続に伴う一般的・経過的な状態下におけるものとは異なり、関税定率法21条3項の規定による通知又は同条5項の規定による決定及びその通知(以下『関税定率法による通知等』という。)によって生ずるに至った法律上の効果である、とみるのが相当である(なお、前記のとおり税関長の判断の結果の表明である関税定率法による通知等により、輸入申告者が、それまで関税法67条の規定により負っていた義務、すなわち、貨物の輸入については税関長の許可を受けなければならないという一般的な義務を免れ、許可なしで当該貨物を輸入することができることとなると解しうべき合理的根拠は、これを見出し難い。また、税関長において関税法138条ないし140条の規定によって通告及び告発の措置を採ったとしても、これにつき刑事手続が必ず開始されるとは断定し得ず、ひいて当該貨物が輸入禁制品に該当するかどうかが右刑事手続において確定されるという保障はないのであるから、このことをもって原審の判示するように関税定率法による通知等の処分性を否定する1根拠とすることもできない。)。
 そうすると、被上告人の関税定率法による通知等は、その法律上の性質において被上告人の判断の結果の表明、すなわち観念の通知であるとはいうものの、もともと法律の規定に準拠してされたものであり、かつ、これにより上告人に対し申告にかかる本件貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものというべきであるから、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に該当するもの、と解するのが相当である。」
過去問・解説
(H19 司法 第27問 ア)
税関長が輸入業者に対してした、輸入書籍が関税定率法(当時)所定の輸入禁制品に該当するとの通知は、その法律上の性質において税関長の判断の結果の表明、すなわち観念の通知であって、行政指導にすぎず、抗告訴訟の対象とはならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.12.25.)は、「関税定率法による通知等は、…観念の通知であるとはいうものの、もともと法律の規定に準拠してされたものであり、かつ、これにより上告人に対し申告にかかる本件貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものというべきであるから、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に該当する…。」として、行政指導にも処分性を認めている。
総合メモ

公共施設の管理者である行政機関等が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為 最一小判平成7年3月23日

概要
同意を拒否する行為それ自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえず、開発行為を行おうとする者が、その同意を得ることができず、開発行為を行うことができなくなったとしても、その権利ないし法的地位が侵害されたものとはいえない。したがって、公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分に当たらない。
判例
事案:公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為の取消訴訟において、その行為が抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分」に当たるかが問題となった。

判旨:「都市計画法(以下『法』という。)32条は、開発行為の許可(以下『開発許可』という)を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意を得なければならない旨を規定する。そして、法30条2項は、開発許可の申請書に、右の同意を得たことを証する書面を添付することを要することを法33条1項は申請に係る開発行為が同項各号の定める基準に適合しており、かつ、その申請の手続が法又は法に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならないことを規定している。
 右のような定めは、開発行為が、開発区域内に存する道路、下水道等の公共施設に影響を与えることはもとより、開発区域の周辺の公共施設についても、変更、廃止などが必要となるような影響を与えることが少なくないことにかんがみ事前に、開発行為による影響を受けるこれらの公共施設の管理者の同意を得ることを開発許可申請の要件とすることによって、開発行為の円滑な施行と公共施設の適正な管理の実現を図ったものと解されるそして国若しくは地方公共団体又はその機関(以下『行政機関等』という)が公共施設の管理権限を有する場合には、行政機関等が法32条の同意を求める相手方となり行政機関等が右の同意を拒否する行為は、公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為ということができる。この同意が得られなければ、公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことはできないが、これは、法が前記のような要件を満たす場合に限ってこのような開発行為を行うことを認めた結果にほかならないのであって、右の同意を拒否する行為それ自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえない。したがって、開発行為を行おうとする者が、右の同意を得ることができず、開発行為を行うことができなくなったとしても、その権利ないし法的地位が侵害されたものとはいえないから、右の同意を拒否する行為が、国民の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものであると解することはできない。もとより、このような公法上の判断について、立法政策上、一定の者に右判断を求める権利を付与し、これに係る行為を抗告訴訟の対象とすることも可能ではあるが、その場合には、それに相応する法令の定めが整備されるべきところ、法及びその関係法令には、法32条の同意に関し、手続、基準ないし要件、通知等に関する規定が置かれていないのみならず、法の定める各種処分に対する不服申立て及び争訟について規定する法50条、51条も、右の同意やこれを拒否する行為については何ら規定するところがないのである。
 そうしてみると、公共施設の管理者である行政機関等が法32条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分には当たらない。」
過去問・解説
(H21 司法 第31問 ア)
公共施設の管理権限を有する行政機関が都市計画法に基づく開発行為の許可を申請しようとする者に対して同法第32条第1項の同意を拒否する行為は、公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為といえるところ、この同意が得られなければ、公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことができないことからすると、上記の同意を拒否する行為は、それ自体が開発行為を禁止し、又は制限する効果を持つものといえるから、国民の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものとして、処分性が認められるものといえる。

【参照条文】都市計画法
第30条 前条第1項又は第2項の許可(以下「開発許可」という。)を受けようとする者は、(中略)次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
 一~五 (略)
2 前項の申請書には、第32条第1項に規定する同意を得たことを証する書面(中略)を添付しなければならない。
第32条 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。
2、3 (略)
第33条 都道府県知事は、開発許可の申請があった場合において、当該申請に係る開発行為が、次に掲げる基準(中略)に適合しており、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない。
 一~十四 (略)
2~8 (略)

(正答)

(解説)
判例(最判平7.3.23)は、「行政機関等が右の同意を拒否する行為は、公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為ということができる。この同意が得られなければ、公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことはできないが、これは、法が前記のような要件を満たす場合に限ってこのような開発行為を行うことを認めた結果にほかならないのであって、右の同意を拒否する行為それ自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえない。」とした上で、「同意を拒否する行為が、国民の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものであると解することはできない。」として、処分性を否定している。

(H27 予備 第19問 イ)
都市計画法は開発行為による影響を受ける公共施設の管理者の同意を得ることを開発許可申請の要件としているが、公共施設の管理者が同意を拒否する行為自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえず、当該同意を拒否する行為には処分性は認められない。

(正答)

(解説)
判例(最判平7.3.23)、「行政機関等が右の同意を拒否する行為は、公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為ということができる。この同意が得られなければ、公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことはできないが、これは、法が前記のような要件を満たす場合に限ってこのような開発行為を行うことを認めた結果にほかならないのであって、右の同意を拒否する行為それ自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえない。」とした上で、「公共施設の管理者である行政機関等が法32条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分には当たらない。」としている。
総合メモ

登記等を受けた者が登録免許税法31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知 最一小判平成17年4月14日

概要
登記等を受けた者が登録免許税法31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができるという手続上の地位を否定する法的効果を有するから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
判例
事案:登記等を受けた者が登録免許税法31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか。

判旨:「登録免許税については、納税義務は登記の時に成立し、納付すべき税額は納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定する(国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)15条2項14号、3項6号)。そこで、登録免許税の納税義務者は、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた場合には、そのことによって当然に還付請求権を取得し、同法56条、74条により5年間は過誤納金の還付を受けることができるのであり(登録免許税法31条6項4号参照)、その還付がされないときは、還付金請求訴訟を提起することができる。 この点につき登録免許税法31条1項は、同項各号のいずれかに該当する事実があるときは、登記機関が職権で遅滞なく所轄税務署長に過誤納金の還付に関する通知をしなければならないことを規定している。これは、登録免許税については、登記等をするときに登記機関がその課税標準及び税額の認定をして登録免許税の額の納付の事実の確認を行うこととしていることに対応する規定であり、登記機関が職権で所轄税務署長に対して過誤納金の存在及びその額を通知することとし、これにより登録免許税の過誤納金の還付が円滑かつ簡便に行われるようにすることを目的とする。そして、同条2項は、登記等を受けた者が登記機関に申し出て上記の通知をすべき旨の請求をすることができることとし、登記等を受けた者が職権で行われる上記の通知の手続を利用して簡易迅速に過誤納金の還付を受けることができるようにしている。 同条1項及び2項の趣旨は、上記のとおり、過誤納金の還付が円滑に行われるようにするために簡便な手続を設けることにある。同項が上記の請求につき1年の期間制限を定めているのも、登記等を受けた者が上記の簡便な手続を利用するについてその期間を画する趣旨であるにすぎないのであって、当該期間経過後は還付請求権が存在していても一切その行使をすることができず、登録免許税の還付を請求するには専ら同項所定の手続によらなければならないこととする手続の排他性を定めるものであるということはできない。  このように解さないと、税務署長が登記等を受けた者から納付していない登録免許税の納付不足額を徴収する場合には、国税通則法72条所定の国税の徴収権の消滅時効期間である5年間はこれを行うことが可能であるにもかかわらず、登録免許税の還付については、同法74条所定の還付金の消滅時効期間である5年間が経過する前に、1年の期間の経過によりその還付を受けることができなくなることとなり、納付不足額の徴収と権衡を失するものといわざるを得ない。 なお、申告納税方式の国税については、納税義務者が、自己の管理、支配下において生じた課税の根拠等となる事実に基づき、自己の責任で行う確定申告により納付すべき税額が確定するという原則が採られているため、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときなどには、当該申告書に係る国税の法定申告期限から1年以内に限り、税務署長に対し、更正をすべき旨の請求をすることができるのであって、上記期間を超えて上記の請求をすることができるのはやむを得ない理由がある場合に限られることとされている(国税通則法23条1項及び2項)。これは、申告納税方式の下では、自己の責任において確定申告をするために、その誤りを是正するについて法的安定の要請に基づき短期の期間制限を設けられても、納税義務者としてはやむを得ないことであるということができるからである。これに対し、登録免許税は、納税義務は登記の時に成立し、納付すべき税額は納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定するのであるから、登録免許税法31条2項所定の請求は、申告納税方式の国税について定める国税通則法23条所定の更正の請求とはその前提が異なるといわざるを得ず、これらを同列に論ずることはできない。 ちなみに、同法70条は、申告納税方式の国税について行うことがある更正、決定等について所定の場合に応じた期間制限を定めているのであり、更正については、偽りその他不正の行為により税額を免れたような場合を除くと、その更正に係る国税の法定申告期限から3年を経過した日以後においては、更正をすることができないこととしている(同条1項)。 以上のとおり、登録免許税法31条2項は、登録免許税の還付を請求するには専ら上記の請求の手続によるべきであるとする手続の排他性を規定するものということはできない。したがって、登記等を受けた者は、過大に登録免許税を納付した場合には、同項所定の請求に対する拒否通知の取消しを受けなくても、国税通則法56条に基づき、登録免許税の過誤納金の還付を請求することができるものというべきである。 そうすると、同項が登録免許税の過誤納金の還付につき排他的な手続を定めていることを理由に、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解することはできないといわざるを得ない。 しかしながら、上述したところにかんがみると、登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H24 司法 第31問 ウ)
過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者が、登録免許税法に基づいて、登記機関に対し税務署長への還付通知を行うよう請求した事例において、登記機関が当該請求を拒否する旨の通知を行った場合、当該拒否通知は、登記等を受けた者に対して簡易迅速に還付を受ける手続を利用することができる地位を否定する法的効果を有するから、処分性が認められるものといえる。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.4.14)は、「登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる…。」としている。

(H29 予備 第19問 エ)
国に対して過誤納金の還付に係る請求権の存在を主張して給付の訴えを提起することができる場合であっても、当該請求権に係る手続上の地位を否定する内容の行政庁の拒否通知を対象とする取消訴訟を提起して、当該請求権の存否を争えることがある。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.4.14)は、「登録免許税の納税義務者は、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた場合には、そのことによって当然に還付請求権を取得し、同法56条、74条により5年間は過誤納金の還付を受けることができるのであり(登録免許税法31条6項4号参照)、その還付がされないときは、還付金請求訴訟を提起することができる。」として、給付の訴えを提起することができる場合であることを示した上で、「登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる…。」として、行政庁の拒否通知の処分性を肯定している。
総合メモ

薬事法の承認 最二小判平成11年10月22日

概要
薬事法の承認は、医薬品の有効性、安全性を公認する行政庁の行為であるが、これによって、その承認の申請者に製造業等の許可を受け得る地位を与えるものであるから、申請者に対する行政処分としての性質を有するものということができる。また、承認の効力は、特別の定めがない限り、当該承認が申請者に到達した時、すなわち申請者が現実にこれを了知し又は了知し得べき状態におかれた時に発生すると解するのが相当である。
判例
事案:特許権を有するXが、その特許の承認事項一部変更の申請をしてから承認されるまでの約2年について、発明の実施をすることができなかったことを理由に、その期間分、上記特許権の期間の延長登録出願をしたが、拒絶査定を受けた。この拒絶査定の取消訴訟において、行政行為としての薬事法の承認の効力が生じる時期が問題となった。

判旨:「特許制度は、特許権者に業として特許発明を実施する権利を専有することを認めるとともに、特許権の存続期間を法定しているところ、旧法67条3項は、特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による処分を受けることが必要であるためにその特許発明の実施をすることが2年以上できなかったときは、5年を限度として特許権の存続期間を延長することを認めている。 同項の延長登録の理由となる処分は政令で定めるものに限られるところ、薬事法所定の医薬品の製造承認及び輸入承認並びにこれらの承認事項一部変更承認(以下、これらを『承認』という。)はこれに当たる(特許法施行令1条の3)。
 医薬品の製造又は輸入を業として行うためには、薬事法に基づく許可を受けなければならないが(薬事法12条、22条)、その許可の申請者が、製造又は輸入しようとする医薬品につき、承認を受けていないときは、その品目について右許可を受けることができない(同法13条1項、23条)。承認は、医薬品の有効性、安全性を公認する行政庁の行為であるが、これによって、その承認の申請者に製造業等の許可を受け得る地位を与えるものであるから、申請者に対する行政処分としての性質を有するものということができる。そうすると、承認の効力は、特別の定めがない限り、当該承認が申請者に到達した時、すなわち申請者が現実にこれを了知し又は了知し得べき状態におかれた時に発生すると解するのが相当である。 そして、関係法令を検討しても承認の告知方法を定めた規定は存在しないが、薬事法14条1項、13条1項等の文理からすれば、告知に関する規定がないことをもって、同法が、承認について申請者への告知を不要としているものとは解されず、他に申請者への到達なしに承認の効力が生ずることをうかがわせる定めはない。 また、特許権の存続期間の延長に関する特許法の諸規定(旧法67条3項、67条の2第3項等)も、延長登録の理由となる処分はその処分が相手方に到達した時に効力を生ずることを前提としているものと解される。 したがって、延長登録の理由となる処分としての承認は、申請者に到達した時にその効力が発生するものというべきである。 右のように、延長登録の理由となる処分である薬事法所定の承認が申請者に到達した時に、承認の効力が生じ、承認を受けることが必要であるために特許発明の実施をすることができない状態が解除されることになるから、その効力が生じた日は、旧法67条3項、67条の3第1項4号所定の処分を受けることが必要であるために特許発明の実施をすることができなかった期間には含まれず、右期間の終期は、承認が申請者に到達した日の前日となる。 以上のとおりであるから、旧法67条の3第1項4号にいう『特許発明の実施をすることができなかった期間』は、医薬品に関しては、承認を受けるのに必要な試験を開始した日又は特許権の設定登録の日のうちのいずれか遅い方の日から、承認が申請者に到達することにより処分の効力が発生した日の前日までの期間であると解すべきものである。  したがって、本件承認がサンド薬品株式会社に到達した日を確定することなく、本件承認書に記載された日付である平成3年6月28日の前日をもって本件特許発明の実施をすることができなかった期間の終期と解し、本件出願が旧法67条の3第1項4号に該当することを理由に本件出願を拒絶した本件審決は、違法であって、取り消されるべきものである。」
過去問・解説
(R1 予備 第14問 ア)
行政行為の効力が生ずるのは、特段の定めのない限り、相手方が現実に当該行政行為を了知したか、当該行政行為が相手方の了知し得べき状態に置かれたときである。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.10.22)は、「承認は、医薬品の有効性、安全性を公認する行政庁の行為であるが、これによって、その承認の申請者に製造業等の許可を受け得る地位を与えるものであるから、申請者に対する行政処分としての性質を有する…。」とした上で、「承認の効力は、特別の定めがない限り、当該承認が申請者に到達した時、すなわち申請者が現実にこれを了知し又は了知し得べき状態におかれた時に発生する…。」としている。
総合メモ

源泉徴収による所得税についての納税の告知 最一小判昭和45年12月24日

概要
源泉徴収による所得税についての納税の告知は、確定した税額がいくばくであるかについての税務署長の意見が初めて公にされるものであるから、支払者がこれと意見を異にするときは、当該税額による所得税の徴収を防止するため、異議申立てまたは審査請求(国政通則法(以下「法」という。)76条、79条)のほか、抗告訴訟をもなしうる。
判例
事案:納税告知処分により納付した源泉徴収所得税について、源泉徴収義務者(支払者)の納税義務者(受給者)に対する支払の請求が認容された。

判旨:「一般に、納税の告知は、法36条所定の場合に(なお、資産再評価法71条4項参照)、国税徴収手続の第1段階をなすものとして要求され、滞納処分の不可欠の前提となるものであり、また、その性質は、税額の確定した国税債権につき、納期限を指定して納税義務者等に履行を請求する行為、すなわち徴収処分であって(ただし、賦課課税方式による場合において法32条1項1号に該当するときは、納税の告知が、同時に賦課決定の通知として、税額確定の効果をあわせもつ例外の場合にあたる)、それ自体独立して国税徴収権の消滅時効の中断事由となるもの(法73条1項)であるが、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、前記により確定した税額がいくばくであるかについての税務署長の意見が初めて公にされるものであるから、支払者がこれと意見を異にするときは、当該税額による所得税の徴収を防止するため、異議申立てまたは審査請求(法76条、79条)のほか、抗告訴訟をもなしうるものと解すべきであり、この場合、支払者は、納税の告知の前提となる納税義務の存否または範囲を争って、納税の告知の違法を主張することができるものと解される。けだし、右の納税の告知に先だって、税額の確定(およびその前提となる納税義務の成立の確認)が、納税者の申告または税務署長の処分によってなされるわけではなく、支払者が納税義務の存否または範囲を争ううえで、障害となるべきものは存しないからである。 以上のとおり、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、課税処分ではなく徴収処分であって、支払者の納税義務の存否・範囲は右処分の前提問題たるにすぎないから、支払者においてこれに対する不服申立てをせず、または不服申立てをしてそれが排斥されたとしても、受給者の源泉納税義務の存否・範囲にはいかなる影響も及ぼしうるものではない。したがって、受給者は、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者から、その税額に相当する金額の支払を請求されたときは、自己において源泉納税義務を負わないことまたはその義務の範囲を争って、支払者の請求の全部または一部を拒むことができるものと解される(支払者が右の徴収または納付の時以後において受給者に支払うべき金額から右税額相当額を控除したときは、その全部または一部につき源泉納税義務のないことを主張する受給者は、支払者において法律上許容されえない控除をなし、その残額のみを支払ったのは債務の一部不履行であるとして、当該控除額に相当する債務の履行を請求することができる)。 支払者は、一方、納税の告知に対する抗告訴訟において、その前提問題たる納税義務の存否または範囲を争って敗訴し、他方、受給者に対する税額相当額の支払請求訴訟(または受給者より支払者に対する控除額の支払請求訴訟)において敗訴することがありうるが、それは、納税の告知が課税処分ではなく、これに対する抗告訴訟が支払者の納税義務また従って受給者の源泉納税義務の存否・範囲を訴訟上確定させうるものでない故であって、支払者は、かかる不利益を避けるため、右の抗告訴訟にあわせて、またはこれと別個に、納税の告知を受けた納税義務の全部または一部の不存在の確認の訴えを提起し、受給者に訴訟告知をして、自己の納税義務(受給者の源泉納税義務)の存否・範囲の確認について、受給者とその責任を分かつことができる。 本件において原判決の確定した事実関係中、中川税務署長が被上告会社に対し、昭和39年3月10日、本件簿外定期預金の払出しおよび売却損を上告人らに対する役員賞与と認定して、源泉徴収による所得税の本税ならびに不納付加算税(旧源泉徴収加算税)および旧利子税の支払方を請求し、また、同年8月14日新利子税の支払方を請求したというのは、以下、本税の関係のみについていえば(その余の関係については後述)、所轄税務署長が被上告会社に対し、本件簿外定期預金の払出しおよび売却損につき上告人らより徴収して納付すべき所得税の納付がないとして、これを被上告会社より徴収するため、納税の告知(法36条)をしたことをいうのであり、原判決がこれを指して(課税決定)といい、また(所得税の決定)というのは、納税の告知の法律的性質を誤解したものといわなければならない。 しかしながら、支払者たる被上告会社が納税の告知(徴収処分)に対して、行政上の不服申立てを適切に行なわず、また、抗告訴訟を提起しなかったとしても、それが受給者たる上告人らの源泉納税義務の存否および範囲いかんにつき、なんら影響を及ぼすものでないことは、前記に説示するところによって明らかであって、上告人らは、被上告会社に対する納税の告知の行政処分としての確定と無関係に、上告人らの源泉納税義務(また従って被上告会社の納税義務)の不存在を主張して、被上告会社の本訴請求を争うことができるのである。現に、上告人らは原審において、源泉納税義務の不存在を主張して排斥されたものであり、被上告会社が納税の告知を受けながら、これを上告人らに知らせることのないまま行政処分として確定させたとしても、なんら上告人らの権利・利益を侵害したものということはできないのである。」
過去問・解説
(R4 予備 第19問 ア)
税務署長が源泉徴収による所得税について国税通則法第36条第1項の規定に基づいてする納税の告知は、法令の規定に従い自動的に税額が確定した国税債権につき納期限を指定して履行を請求する行為であり、税額を確定する効力を有するものではないが、法令の規定によって確定した税額がいくらであるかについての税務署長の意見が初めて公にされるものであって、処分性が認められる。

【参照条文】国税通則法
(納税の告知)
第36条 税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。
 一 (略)
 二 源泉徴収等による国税でその法定納期限までに納付されなかったもの
 三、四 (略)
2 前項の規定による納税の告知は、税務署長が、政令で定めるところにより、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行う。ただし、担保として提供された金銭をもって消費税等を納付させる場合その他政令で定める場合には、納税告知書の送達に代え、当該職員に口頭で当該告知をさせることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.12.24)は、「一般に、納税の告知は、…税額の確定した国税債権につき、納期限を指定して納税義務者等に履行を請求する行為、すなわち徴収処分であって…、それ自体独立して国税徴収権の消滅時効の中断事由となるもの(法73条1項)であるが、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、前記により確定した税額がいくばくであるかについての税務署長の意見が初めて公にされるものであるから、支払者がこれと意見を異にするときは、当該税額による所得税の徴収を防止するため、異議申立てまたは審査請求(法76条、79条)のほか、抗告訴訟をもなしうるものと解すべきであり、この場合、支払者は、納税の告知の前提となる納税義務の存否または範囲を争って、納税の告知の違法を主張することができる…。」としている。
総合メモ

道路交通法127条1項の規定に基づく反則金の納付の通告 最一小判昭和57年7月15日

概要
道路交通法127条1項の規定に基づく反則金の納付の通告があっても、これにより通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、その者が任意に反則金を納付したときは公訴が提起されないというにとどまり、納付しないときは、検察官の公訴の提起によって刑事手続が開始され、その手続において通告の理由となった反則行為となるべき事実の有無等が審判されることとなるものとされているが、これは上記の趣旨を示すものにほかならない。したがって、当該通告は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
判例
事案:車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であって、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを内容とする、道路交通法127条1項の規定に基づく反則金納付の通告の取消訴訟において、当該通告が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるかが問題となった。

判旨:「交通反則通告制度は、車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であって、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものであり、これによって、大量に発生する車両等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化を図ろうとしたものである。 このような見地から、道路交通法は、反則行為に関する処理手続の特例として、警察官において、反則者があると認めるときは、その者に対し、すみやかに反則行為となるべき事実の要旨及び当該反則行為が属する反則行為の種別等を告知し(126条1項)、警察官から報告を受けた警察本部長は、告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告し(127条1項)、通告を受けた者は、反則行為に関する処理手続の特例の適用を受けようとする場合には、当該通告を受けた日の翌日から起算して10日以内に通告に係る反則金を国に対して納付しなければならず(128条1項、125条3項)、右反則金を納付した者は、当該通告の理由となった行為に係る事件について、公訴を提起されないことになり(128条2項)、反則者は、当該反則行為についてその者が当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付の通告を受け、かつ、前記10日の期間が経過した後でなければ、当該反則行為に係る事件について、公訴を提起されないこと(130条)等を定めている。 右のような交通反則通告制度の趣旨とこれを具体化した道路交通法の諸規定に徴すると、反則行為は本来犯罪を構成する行為であり、したがってその成否も刑事手続において審判されるべきものであるが、前記のような大量の違反事件処理の迅速化の目的から行政手続としての交通反則通告制度を設け、反則者がこれによる処理に服する途を選んだときは、刑事手続によらないで事案の終結を図ることとしたものと考えられる。道路交通法127条1項の規定による警察本部長の反則金の納付の通告(以下『通告』という。)があっても、これにより通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、ただその者が任意に右反則金を納付したときは公訴が提起されないというにとどまり、納付しないときは、検察官の公訴の提起によって刑事手続が開始され、その手続において通告の理由となった反則行為となるべき事実の有無等が審判されることとなるものとされているが、これは上記の趣旨を示すものにほかならない。してみると、道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となった反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によってその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによって開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしているものと解するのが相当である。もしそうでなく、右のような抗告訴訟が許されるものとすると、本来刑事手続における審判対象として予定されている事項を行政訴訟手続で審判することとなり、また、刑事手続と行政訴訟手続との関係について複雑困難な問題を生ずるのであって、同法がこのような結果を予想し、これを容認しているものとは到底考えられない。」
過去問・解説
(H21 司法 第26問 ア)
道路交通法第125条第1項に定める反則行為は、本来犯罪を構成する行為であり、その成否は刑事手続において審判されるべきものであるが、法は、大量の違反事件を迅速に処理する目的から、交通反則通告制度を設けている。

【参照条文】道路交通法
第125条 この章(注1)において「反則行為」とは、前章(注2)の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであつて、車両等(中略)の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。
 (注1)第9章「販促行為に関する処理手続きの特例」を指す。
 (注2)第8章「罰則」を指す。
2 この章において「反則者」とは、反則行為をした者であって、次の各号のいずれかに該当する者以外のものをいう。
 一~三 (略)
3 この章において「反則金」とは、反則者がこの章の規定の適用を受けようとする場合に国に納付すべき金銭をいい、その額は、別表第2に定める金額の範囲内において、反則行為の種別に応じ政令で定める。
第126条 警察官は、反則者があると認めるときは、次に掲げる場合を除き、その者に対し、速やかに、反則行為となるべき事実の要旨及び当該反則行為が属する反則行為の種別並びにその者が次条第1項前段の規定による通告を受けるための出頭の期日及び場所を書面で告知するものとする。(以下略)
 一、二 (略)
2 (略)
3 警察官は、第1項の規定による告知をしたときは、当該告知に係る反則行為が行われた地を管轄する都道府県警察の警察本部長に速やかにその旨を報告しなければならない。(以下略)
4 (略)
第127条 警察本部長は、前条第3項又は第4項の報告を受けた場合において、当該報告に係る告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、理由を明示して当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告するものとする。(以下略)
2、3 (略)
第128条 前条第1項又は第2項後段の規定による通告に係る反則金(中略)の納付は、当該通告を受けた日の翌日から起算して10日以内(中略)に、政令で定めるところにより、国に対してしなければならない。
2 前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となった行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.7.17)は、「交通反則通告制度は、車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であって、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものであり、これによって、大量に発生する車両等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化を図ろうとしたものである。」としている。

(H21 司法 第26問 イ)
道路交通法第127条第1項に定める反則金の納付を通告する手続は、行政手続である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.7.17)は、「交通反則通告制度は、車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であって、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものであり、これによって、大量に発生する車両等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化を図ろうとしたものである。」として、道路交通法第127条第1項に定める反則金の納付を通告する手続が刑事手続ではないことを示している。

(H21 司法 第26問 ウ)
道路交通法第127条第1項の規定による通告があった場合、これを受けた者は反則金を支払う法的義務を負うことになる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.7.17)は、「道路交通法127条1項の規定による警察本部長の反則金の納付の通告(以下『通告』という。)があっても、これにより通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、ただその者が任意に右反則金を納付したときは公訴が提起されないというにとどまり、納付しないときは、検察官の公訴の提起によって刑事手続が開始され、その手続において通告の理由となった反則行為となるべき事実の有無等が審判されることとなるものとされているが、これは上記の趣旨を示すものにほかならない。」としている。
したがって、道路交通法第127条第1項の規定による通告があったとしても、反則金を支払う法的義務を負うことにはならない。

(H21 司法 第26問 エ)
道路交通法第127条第1項の規定による通告を受けた者は、当該通告の理由となった反則行為の不成立を主張しようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときに、これによって開始された刑事手続において裁判所の審判を求めるべきである。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.7.17)は、「道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となった反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によってその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによって開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしている…。」としている。

(R2 予備 第18問 イ)
行政庁が相手方に対して一定の事項を通知する行為につき、処分性が認められることがある。例えば、道路交通法に基づく反則金の納付の通告は、これに従わない場合には刑事手続が開始され、実際上反則金の納付を余儀なくされることから、処分性が認められる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.7.15)は、「道路交通法127条1項の規定による警察本部長の反則金の納付の通告(以下『通告』という。)があっても、これにより通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、ただその者が任意に右反則金を納付したときは公訴が提起されないというにとどまり、納付しないときは、検察官の公訴の提起によって刑事手続が開始され、その手続において通告の理由となった反則行為となるべき事実の有無等が審判されることとなるものとされているが、これは上記の趣旨を示すものにほかならない。してみると、道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となった反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によってその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによって開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしている…。」として、通告の処分性を否定している。
したがって、実際上反則金の納付を余儀なくされることはないから、処分性は認められない。
総合メモ

市町村長が住民票に世帯主との続柄を記載する行為 最一小判平成11年1月21日

概要
市町村長が住民票に世帯主との続柄を記載する行為について、住民票に特定の住民と世帯主との続柄がどのように記載されるかは、その者が選挙人名簿に登録されるか否かには何らの影響も及ぼすものではなく、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
判例
事案:市町村長が住民票に世帯主との続柄を記載する行為の取消訴訟、及びそれを原因とする損害賠償請求訴訟において、市町村長の上記行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるかが問題となった。

判旨:「市町村長が住民基本台帳法7条に基づき住民票に同条各号に掲げる事項を記載する行為は、元来、公の権威をもって住民の居住関係に関するこれらの事項を証明し、それに公の証拠力を与えるいわゆる公証行為であり、それ自体によって新たに国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する法的効果を有するものではない。もっとも、同法15条1項は、選挙人名簿の登録は住民基本台帳に記載されている者で選挙権を有するものについて行うと規定し、公職選挙法21条1項も、右登録は住民票が作成された日から引き続き3箇月以上当該市町村の住民基本台帳に記録されている者について行うと規定しており、これらの規定によれば、住民票に特定の住民の氏名等を記載する行為は、その者が当該市町村の選挙人名簿に登録されるか否かを決定付けるものであって、その者は選挙人名簿に登録されない限り原則として投票をすることができない(同法42条1項)のであるから、これに法的効果が与えられているということができる。しかし、住民票に特定の住民と世帯主との続柄がどのように記載されるかは、その者が選挙人名簿に登録されるか否かには何らの影響も及ぼさないことが明らかであり、住民票に右続柄を記載する行為が何らかの法的効果を有すると解すべき根拠はない。したがって、住民票に世帯主との続柄を記載する行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないものというべきである。」
過去問・解説
(H21 司法 第31問 イ)
市町村長が住民票に住民基本台帳法所定の事項を記載する行為は、元来、いわゆる公証行為であり、それ自体によって新たに国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する法的効果を有するものではないが、同法及び公職選挙法の規定によれば、住民票に特定の住民の氏名等を記載する行為は、その者が当該市町村の選挙人名簿に登録されるか否かを決定付けるものであって、その者は選挙人名簿に登録されない限り原則として投票することができないのであるから、同行為には法的効果が与えられているといえる。そして、住民票上、住民の氏名等の記載と世帯主との続柄の記載とが一体となっていることからすると、住民票に世帯主との続柄を記載する行為についても、処分性が認められるものといえる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.1.21)は、「市町村長が住民基本台帳法7条に基づき住民票に同条各号に掲げる事項を記載する行為は、元来、公の権威をもって住民の居住関係に関するこれらの事項を証明し、それに公の証拠力を与えるいわゆる公証行為であり、それ自体によって新たに国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する法的効果を有するものではない。もっとも、同法15条1項は、選挙人名簿の登録は住民基本台帳に記載されている者で選挙権を有するものについて行うと規定し、公職選挙法21条1項も、右登録は住民票が作成された日から引き続き3箇月以上当該市町村の住民基本台帳に記録されている者について行うと規定しており、これらの規定によれば、住民票に特定の住民の氏名等を記載する行為は、その者が当該市町村の選挙人名簿に登録されるか否かを決定付けるものであって、その者は選挙人名簿に登録されない限り原則として投票をすることができない(同法42条1項)のであるから、これに法的効果が与えられているということができる。」としている。
しかし、本判例は続けて、「住民票に特定の住民と世帯主との続柄がどのように記載されるかは、その者が選挙人名簿に登録されるか否かには何らの影響も及ぼさないことが明らかであり、住民票に右続柄を記載する行為が何らかの法的効果を有すると解すべき根拠はない。」として、記載行為の処分性を否定している。
したがって、住民票に世帯主との続柄を記載する行為については、処分性が認められない。
総合メモ

子の住民票の記載を求める申出に対する記載しない旨の応答 最二小判平成21年4月17日

概要
出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
判例
事案:出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか。

判旨:「上告人子につき住民票の記載をすることを求める上告人父の申出は、住民基本台帳法(以下『法』という。)の規定による届出があった場合に市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長にこれに対する応答義務が課されている(住民基本台帳法施行令(以下『令』という。)11条参照)のとは異なり、申出に対する応答義務が課されておらず、住民票の記載に係る職権の発動を促す法14条2項所定の申出とみるほかないものである。したがって、本件応答は、法令に根拠のない事実上の応答にすぎず、これにより上告人子又は上告人父の権利義務ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しないと解される…。そうすると、本件応答の取消しを求める上告人子の訴えは不適法として却下すべきである。」
過去問・解説
(H24 司法 第31問 ア)
市町村の長が住民基本台帳法に基づき同法所定の氏名等の事項を住民票に記載する行為には、処分性が認められるから、出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し市町村の長がした当該記載をしない旨の応答には、処分性が認められるものといえる。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.4.17)は、「上告人子につき住民票の記載をすることを求める上告人父の申出は、住民基本台帳法(以下『法』という。)の規定による届出があった場合に市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長にこれに対する応答義務が課されている(住民基本台帳法施行令(以下『令』という。)11条参照)のとは異なり、申出に対する応答義務が課されておらず、住民票の記載に係る職権の発動を促す法14条2項所定の申出とみるほかないものである。したがって、本件応答は、法令に根拠のない事実上の応答にすぎず、これにより上告人子又は上告人父の権利義務ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しないと解される…。そうすると、本件応答の取消しを求める上告人子の訴えは不適法として却下すべき…。」としており、市町村の長がした当該記載をしない旨の応答に処分性が認められないことを示しているものの、氏名等の事項を住民票に記載する行為の処分性には言及していない。
総合メモ

医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告 最二小判平成17年7月15日

概要
行政指導であっても、これに従わない場合に、相当程度の確実さをもって不利益な後続処分が予定されている場合には、抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たる場合がある。そして、医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病院開設中止の勧告は、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たる。
判例
事案:医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病院開設中止の勧告の取消訴訟において、当該勧告が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるかが問題となった。
 なお、事件当時は、医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止勧告について、通達により、勧告不服従が健康保険法43条の3第2項の規定する保険医療機関の指定の拒否事由に該当すると定められていたが、平成10年の健康保険法改正により、勧告に従わずに開設された病院について保健医療機関の指定を拒否できる旨が明文化された。
判旨:「医療法は、病院を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない旨を定めているところ(7条1項)、都道府県知事は、一定の要件に適合する限り、病院開設の許可を与えなければならないが(同条3項)、医療計画の達成の推進のために特に必要がある場合には、都道府県医療審議会の意見を聴いて、病院開設申請者等に対し、病院の開設、病床数の増加等に関し勧告することができる(30条の7)。そして、医療法上は、上記の勧告に従わない場合にも、そのことを理由に病院開設の不許可等の不利益処分がされることはない。 他方、健康保険法(平成10年法律第109号による改正前のもの)43条の3第2項は、都道府県知事は、保険医療機関等の指定の申請があった場合に、一定の事由があるときは、その指定を拒むことができると規定しているが、この拒否事由の定めの中には、『保険医療機関等トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ』との定めがあり、昭和62年保険局長通知において、『医療法第30条の7の規定に基づき、都道府県知事が医療計画達成の推進のため特に必要があるものとして勧告を行ったにもかかわらず、病院開設が行われ、当該病院から保険医療機関の指定申請があった場合にあっては、健康保険法43条の3第23項に規定する "著シク不適当ト認ムルモノナルトキ" に該当するものとして、地方社会保険医療協議会に対し、指定拒否の諮問を行うこと』とされていた(なお、平成10年法律第109号による改正後の健康保険法(平成11年法律第87号による改正前のもの)43条の3第4項2号は、医療法30条の7の規定による都道府県知事の勧告を受けてこれに従わない場合には、その申請に係る病床の全部又は一部を除いて保険医療機関の指定を行うことができる旨を規定するに至った。)。 上記の医療法及び健康保険法の規定の内容やその運用の実情に照らすと、医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。そして、いわゆる国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは公知の事実であるから、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。このような医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たると解するのが相当である。後に保険医療機関の指定拒否処分の効力を抗告訴訟によって争うことができるとしても、そのことは上記の結論を左右するものではない。 したがって、本件勧告は、行政事件訴訟法3条2項の『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たるというべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第25問 イ)
判例(最判平17.7.15)によれば、ある行政機関の行為が、これを規定する法律において相手方が任意に従うことを期待してされる行政指導として定められている場合には、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.15)は、「医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。」とした上で、「本件勧告は、行政事件訴訟法3条2項の『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たる…。」として、行政指導であっても処分性が認められうることを示している。

(H25 共通 第31問 ア)
医療法に基づく病院開設中止の勧告(以下「中止勧告」という。)が抗告訴訟の対象としての行政処分に当たるかどうかについて判示した最高裁判所平成17年7月15日第二小法廷判決(民集59巻6号1661頁)は、中止勧告は行政指導に当たるが、これに従わない場合には事実上病院開設の許可が受けられなくなることを、その処分性を認める根拠の一つとしている。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.15)は、「医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。」とした上で、「いわゆる国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは公知の事実であるから、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。」としている。
そうすると、中止勧告に従わない場合、保険医療機関の指定を受けることができないため、開設しようとする者は、自主的にその開設を断念せざるを得なくなるが、病院開設の許可を得ることは妨げられない。

(H25 共通 第31問 イ)
医療法に基づく病院開設中止の勧告(以下「中止勧告」という。)が抗告訴訟の対象としての行政処分に当たるかどうかについて判示した最高裁判所平成17年7月15日第二小法廷判決(民集59巻6号1661頁)は、中止勧告に従わないことなどを保険医療機関の指定の拒否事由とする通達があり、中止勧告に従わない場合には相当程度の確実さをもって保険医療機関の指定を受けることができなくなること、その結果、国民皆保険制度の下では、病院の開設自体を断念せざるを得なくなることを考慮して、中止勧告の処分性を認めたものである。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.15)は、「病院開設中止の勧告…に従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。そして、いわゆる国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは公知の事実であるから、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。」とした上で、「この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たる…。」としている。

(H25 共通 第31問 ウ)
医療法に基づく病院開設中止の勧告(以下「中止勧告」という。)が抗告訴訟の対象としての行政処分に当たるかどうかについて判示した最高裁判所平成17年7月15日第二小法廷判決(民集59巻6号1661頁)によれば、中止勧告に処分性が認められ、抗告訴訟の対象とすることができる以上、中止勧告後にされた保険医療機関の指定拒否処分を抗告訴訟の対象とすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.15)は、「勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たる…。」とした上で、「後に保険医療機関の指定拒否処分の効力を抗告訴訟によって争うことができるとしても、そのことは上記の結論を左右するものではない。」としている。
したがって、保険医療機関の指定拒否処分も抗告訴訟の対象とすることができうる。

(H30 予備 第20問 ウ)
病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているものの、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものであり、その結果、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになるから、上記勧告は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.15)は、「医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。そして、いわゆる国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは公知の事実であるから、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。」とした上で、「本件勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たる…。」としている。
総合メモ

町営水道事業の水道料金を改定する条例の制定行為 最二小判平成18年7月14日

概要
①普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
②普通地方公共団体の住民ではないが、その区域内に事務所、事業所、家屋敷等を有し、当該普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用について、当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは、地方自治法244条3項に違反する。
③普通地方公共団体が営む水道事業の水道料金を定めた条例の改正により、当該普通地方公共団体の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金の3.57倍を超える金額とすることなどを内容とする水道料金の増額改定が行われた場合において、上記の別荘に係る給水契約者の基本料金が、当該給水に要する個別原価に基づいて定められたものではなく、給水契約者の水道使用量に大きな格差があるにもかかわらず、別荘以外の給水契約者(ホテル等の大規模施設に係る給水契約者を含む。)の1件当たりの年間水道料金の平均額と別荘に係る給水契約者の1件当たりの年間水道料金の負担額がほぼ同一水準になるようにするとの考え方に基づいて定められたものであることなど判示の事情の下では、上記の水道料金の改定をした条例のうち別荘に係る給水契約者の基本料金を改定した部分は、地方自治法244条3項に違反するものとして無効である。
判例
事案:水道料金を改定する条例に対して、別荘給水契約者を差別するものであるとしてその行為の無効確認の訴え、差額分の不当利得または不法行為に基づく請求、未払の者に対する給水停止の禁止を求めた事案において、①普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか、②普通地方公共団体の住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用についての不当な差別的取扱いは地方自治法244条3項に違反するか、③普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例のうち当該普通地方公共団体の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金の3.57倍を超える金額に改定した部分が地方自治法244条3項に違反するかなどが問題となった。

判旨:①「抗告訴訟の対象となる行政処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうものである。本件改正条例は、旧高根町が営む簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって、そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである。」
 ②「普通地方公共団体が経営する簡易水道事業の施設は地方自治法244条1項所定の公の施設に該当するところ、同条3項は、普通地方公共団体は住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならない旨規定している。ところで、普通地方公共団体が設置する公の施設を利用する者の中には、当該普通地方公共団体の住民ではないが、その区域内に事務所、事業所、家屋敷、寮等を有し、その普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる 地位にある者が存在することは当然に想定されるところである。そして、同項が憲法14条1項が保障する法の下の平等の原則を公の施設の利用関係につき具体的に規定したものであることを考えれば、上記のような住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用関係に地方自治法244条3項の規律が及ばないと解するのは相当でなく、これらの者が公の施設を利用することについて、当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは、同項に違反するものというべきである。」
 ③「一般的に、水道事業においては、様々な要因により水道使用量が変動し得る中で最大使用量に耐え得る水源と施設を確保する必要があるのであるから、夏季等の一時期に水道使用が集中する別荘給水契約者に対し年間を通じて平均して相応な水道料金を負担させるために、別荘給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金よりも高額に設定すること自体は、水道事業者の裁量として許されないものではない。しかしながら、前記事実関係等によれば、旧高根町の簡易水道事業においては、平成8年度において、水道料金を年間50万円以上支払っている大口需用者が29件あり(記録によれば、これらの大口需用者はいずれも別荘以外の給水契 約者であることがうかがわれる。)、その年間水道使用量は同町の簡易水道事業における総水道使用量の約20.3%に当たり、一方、別荘給水契約者の件数は1324件であり、その年間水道使用量は同町の簡易水道事業における総水道使用量の約4.7%を占めるにすぎないというのである。このように給水契約者の水道使用量に大きな格差があるにもかかわらず、上告人の主張によれば、本件改正条例による水道料金の改定においては、ホテル等の大規模施設に係る給水契約者を含む別荘 以外の給水契約者の1件当たりの年間水道料金の平均額と別荘給水契約者の1件当たりの年間水道料金の負担額がほぼ同一水準になるようにするとの考え方に基づいて別荘給水契約者の基本料金が定められたというのである。公営企業として営まれる水道事業において水道使用の対価である水道料金は原則として当該給水に要する個別原価に基づいて設定されるべきものであり、このような原則に照らせば、上告人の主張に係る本件改正条例における水道料金の設定方法は、本件別表における別荘給水契約者と別荘以外の給水契約者との間の基本料金の大きな格差を正当化するに足りる合理性を有するものではない。また、同町において簡易水道事業のため一 般会計から毎年多額の繰入れをしていたことなど論旨が指摘する諸事情は、上記の 基本料金の大きな格差を正当化するに足りるものではない。 そうすると、本件改正条例による別荘給水契約者の基本料金の改定は、地方自治法244条3項にいう不当な差別的取扱いに当たるというほかはない。以上によれば、本件改正条例のうち別荘給水契約者の基本料金を改定した部分は、地方自治法244条3項に違反するものとして無効というべきである。」
過去問・解説
(H21 司法 第31問 ウ)
地方公共団体の水道事業に関して、水道料金の値上げを内容とする「水道事業給水条例」が制定された場合、水道需要者は、同条例の施行によって、その後にされる個別的行政処分を経ることなく、同条例に従って値上げされた水道料金の支払義務を負わされることになるから、同条例の制定行為には、処分性が認められるものといえる。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.7.14)は、本肢と同種の事案において、「本件改正条例は、旧高根町が営む簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって、そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない…。」としている。
したがって、本条例の施行によっても、その後にされる個別的行政処分を経て、値上げされた水道料金の支払義務を負わされるのであるから、同条例の制定行為には、処分性が認められない。

(H26 司法 第26問 ウ)
水道事業を経営する地方公共団体が水道料金を定めるに当たり、当該地方公共団体の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者とそれ以外の給水契約者との間で基本料金に差異を設けることは、平等原則に反し、許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.7.14)は、「水道事業においては、様々な要因により水道使用量が変動し得る中で最大使用量に耐え得る水源と施設を確保する必要があるのであるから、夏季等の一時期に水道使用が集中する別荘給水契約者に対し年間を通じて平均して相応な水道料金を負担させるために、別荘給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金よりも高額に設定すること自体は、水道事業者の裁量として許されないものではない。」とした上で、「公営企業として営まれる水道事業において水道使用の対価である水道料金は原則として当該給水に要する個別原価に基づいて設定されるべきものであり、このような原則に照らせば、上告人の主張に係る本件改正条例における水道料金の設定方法は、本件別表における別荘給水契約者と別荘以外の給水契約者との間の基本料金の大きな格差を正当化するに足りる合理性を有するものではない。」とした上で、「本件改正条例による別荘給水契約者の基本料金の改定は、地方自治法244条3項にいう不当な差別的取扱いに当たるというほかはない。」としている。
したがって、別荘に係る給水契約者とそれ以外の給水契約者との間で基本料金に差異を設けること自体は平等原則に反しない。
総合メモ