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その他の訴訟要件
行政事件訴訟法13条第6号所定の関連請求への該当性 最三小判平成17年3月29日
概要
同一の敷地にあって1つのリゾートホテルを構成している複数の建物の固定資産課税台帳の登録価格についてされた審査申出の棄却決定の取消しを求める各請求は互いに行政事件訴訟法第13条第6号の関連請求に当たる。
判例
事案:同一の敷地にあって1つのリゾートホテルを構成している複数の建物の固定資産課税台帳の登録価格についてされた審査申出の棄却決定の取消しを求める各請求が、互いに行訴法13条第6号所定の関連請求に当たるかが問題となった。
判旨:「本件は、同一人の所有に係る、同一の敷地にあって1つのリゾートホテルを構成している本件各建物について、同一年度の登録価格につき、需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとして、本件決定のうち抗告人が本件各建物の適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求める訴訟である。これによれば、本件訴訟に係る各請求の基礎となる社会的事実は一体としてとらえられるべきものであって密接に関連しており、争点も同一であるから、上記各請求は、互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たるものと解するのが相当である。したがって、上記各請求に係る訴えは、同法16条1項により、これらを併合して提起することができるものというべきである。このように解することが、審理の重複や裁判の矛盾抵触を避け、当事者の訴訟提起・追行上の負担を軽減するとともに、訴訟の迅速な解決にも役立つものというべきである。」
判旨:「本件は、同一人の所有に係る、同一の敷地にあって1つのリゾートホテルを構成している本件各建物について、同一年度の登録価格につき、需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとして、本件決定のうち抗告人が本件各建物の適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求める訴訟である。これによれば、本件訴訟に係る各請求の基礎となる社会的事実は一体としてとらえられるべきものであって密接に関連しており、争点も同一であるから、上記各請求は、互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たるものと解するのが相当である。したがって、上記各請求に係る訴えは、同法16条1項により、これらを併合して提起することができるものというべきである。このように解することが、審理の重複や裁判の矛盾抵触を避け、当事者の訴訟提起・追行上の負担を軽減するとともに、訴訟の迅速な解決にも役立つものというべきである。」
過去問・解説
(R4 予備 第20問 イ)
固定資産評価審査委員会の審査決定は、個々の固定資産ごとにされるものであるから、同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している複数の建物の評価額に関する各審査決定の取消請求が、互いに行政事件訴訟法第13条第6号所定の関連請求に当たるということはできない。
固定資産評価審査委員会の審査決定は、個々の固定資産ごとにされるものであるから、同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している複数の建物の評価額に関する各審査決定の取消請求が、互いに行政事件訴訟法第13条第6号所定の関連請求に当たるということはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平17.3.29)は、「同一人の所有に係る、同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している本件各建物について、同一年度の登録価格につき、需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとして、本件決定のうち抗告人が本件各建物の適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求める訴訟…に係る各請求の基礎となる社会的事実は一体としてとらえられるべきものであって密接に関連しており、争点も同一であるから、上記各請求は、互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たるものと解するのが相当である。」としている。
したがって、同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している複数の建物の評価額に関する各審査決定の取消請求は、互いに行政事件訴訟法第13条第6号所定の関連請求に当たる。
判例(最判平17.3.29)は、「同一人の所有に係る、同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している本件各建物について、同一年度の登録価格につき、需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとして、本件決定のうち抗告人が本件各建物の適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求める訴訟…に係る各請求の基礎となる社会的事実は一体としてとらえられるべきものであって密接に関連しており、争点も同一であるから、上記各請求は、互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たるものと解するのが相当である。」としている。
したがって、同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している複数の建物の評価額に関する各審査決定の取消請求は、互いに行政事件訴訟法第13条第6号所定の関連請求に当たる。
総合メモ
不服申立前置主義 最二小判昭和36年7月21日
概要
所得金額更正に関する審査請求の却下決定があった場合でも、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には、本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、更正処分の取消を求める訴えは審査の決定を経たものとして適法である。
判例
事案:個別法により審査請求前置が採用されている場合に、所得金額更正に関する審査請求の却下決定が違法な場合における右更正処分の取消を求める訴えの適否が問題となった。
判旨:「上告人が国税局長を名宛人とする審査請求書と題する書面を浅草税務署に提出したのであるが、原判決によれば税務署長はこれを再調査請求書として取扱い、所得税法49条4項2号によって審査請求があったものとみなされ、国税局長は審査請求として補正を命じ、応じなかったという理由で却下したというのである。本訴の上告人の請求は更正処分の取消であるから同法51条により原則として再調査決定、審査決定を経なければ提起できないのであるが、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であってもこれを前記規定にいう審査の決定にあたると解すべきことは原判示のとおりである。而して同法施行規則47条によれば、再調査請求をしようとする者は一定の再調査請求書に証拠書類を添付して提出しなければならないと規定しているのであるが、税務署長の更正には青色申告の場合を除いて、その理由を示されないから納税者としては何故に更正を受けたのか判らないから証拠書類の添付のしようのない場合もあり、更正の理由は判っていてもその所得が存しないときなどは、かかる消極的な立証は困難であって消極的な立証の証拠書類の存在しないこともあり得る。然らば同規則で証拠書類の添付を命じているのはかかる書類があれば添付せよという趣旨と解すべく、証拠書類の添付を所得税法48条4項の方式と解すべきではなく、従って証拠書類の添付のないとの理由で同項にいう当該請求の方式に欠陥があるものとして補正命令をなし、更に提出なき故をもって却下することはできないものと解すべきである、かくの如く不適法として却下すべきでない場合に国税局長が誤って却下した場合は前述説明の如く同法51条の審査の決定があったものとして適法に出訴ができるものと解すべきである。」
判旨:「上告人が国税局長を名宛人とする審査請求書と題する書面を浅草税務署に提出したのであるが、原判決によれば税務署長はこれを再調査請求書として取扱い、所得税法49条4項2号によって審査請求があったものとみなされ、国税局長は審査請求として補正を命じ、応じなかったという理由で却下したというのである。本訴の上告人の請求は更正処分の取消であるから同法51条により原則として再調査決定、審査決定を経なければ提起できないのであるが、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であってもこれを前記規定にいう審査の決定にあたると解すべきことは原判示のとおりである。而して同法施行規則47条によれば、再調査請求をしようとする者は一定の再調査請求書に証拠書類を添付して提出しなければならないと規定しているのであるが、税務署長の更正には青色申告の場合を除いて、その理由を示されないから納税者としては何故に更正を受けたのか判らないから証拠書類の添付のしようのない場合もあり、更正の理由は判っていてもその所得が存しないときなどは、かかる消極的な立証は困難であって消極的な立証の証拠書類の存在しないこともあり得る。然らば同規則で証拠書類の添付を命じているのはかかる書類があれば添付せよという趣旨と解すべく、証拠書類の添付を所得税法48条4項の方式と解すべきではなく、従って証拠書類の添付のないとの理由で同項にいう当該請求の方式に欠陥があるものとして補正命令をなし、更に提出なき故をもって却下することはできないものと解すべきである、かくの如く不適法として却下すべきでない場合に国税局長が誤って却下した場合は前述説明の如く同法51条の審査の決定があったものとして適法に出訴ができるものと解すべきである。」
過去問・解説
(H25 司法 第33問 ア)
審査請求前置主義が採用されている場合に、審査請求が不適法として却下されたときは、審査請求前置を満たしたことにはならないが、適法な審査請求がされたにもかかわらず、裁決庁が誤って審査請求を却下した場合には、裁決庁は実体審理の機会を与えられていたのであるから、審査請求人は、直ちに処分の取消しの訴えを提起することができる。
審査請求前置主義が採用されている場合に、審査請求が不適法として却下されたときは、審査請求前置を満たしたことにはならないが、適法な審査請求がされたにもかかわらず、裁決庁が誤って審査請求を却下した場合には、裁決庁は実体審理の機会を与えられていたのであるから、審査請求人は、直ちに処分の取消しの訴えを提起することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.7.21)は、「本訴の上告人の請求は更正処分の取消であるから同法51条により原則として再調査決定、審査決定を経なければ提起できないのであるが、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であってもこれを前記規定にいう審査の決定にあたると解すべき…である。」とした上で、「かくの如く不適法として却下すべきでない場合に国税局長が誤って却下した場合は前述説明の如く同法51条の審査の決定があったものとして適法に出訴ができる…。」としている。
判例(最判昭36.7.21)は、「本訴の上告人の請求は更正処分の取消であるから同法51条により原則として再調査決定、審査決定を経なければ提起できないのであるが、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であってもこれを前記規定にいう審査の決定にあたると解すべき…である。」とした上で、「かくの如く不適法として却下すべきでない場合に国税局長が誤って却下した場合は前述説明の如く同法51条の審査の決定があったものとして適法に出訴ができる…。」としている。
総合メモ
自作農創設特別措置法第47条の2の「当事者がその処分のあつたことを知った日」の意義 最一小判昭和27年11月20日
概要
自作農創設特別措置法第47条の2にいう「当事者がその処分のあったことを知った日」とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分を現実に知った日を指すのであって、抽象的な知り得べかりし日を意味するものではない。
判例
事案:自作農創設特別措置法第47条の2の「当事者がその処分のあったことを知った日」の意義が問題となった。
判旨:「自作農特別措置法47条の2…の1項は、『この法律による行政庁の処分で違法なものの取消又は変更を求める訴は……当事者がその処分のあったことを知った日から1箇月以内にこれを提起しなければならない。但し、処分の日から2箇月を経過したときは……訴を提起することはできない。』と規定し、その但書において同条項所定の訴は、処分の日から2箇月を経過したときは、当事者が処分のあったことを知らなくともこれを提起することができないものとして、処分の不確定な状態を処分の日から2箇月に限定したところからこれを見ると、同条にいう『処分のあったことを知った日』とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分の存在を現実に知った日を指すものであって、抽象的な知り得べかりし日を意味するものでないと解するを相当とする。尤も処分を記載した書類が当事者の住所に送達される等のことがあって、社会通念上処分のあったことを当事者の知り得べき状態に置かれたときは、反証のない限り、その処分のあったことを知ったものと推定することはできる…。」
判旨:「自作農特別措置法47条の2…の1項は、『この法律による行政庁の処分で違法なものの取消又は変更を求める訴は……当事者がその処分のあったことを知った日から1箇月以内にこれを提起しなければならない。但し、処分の日から2箇月を経過したときは……訴を提起することはできない。』と規定し、その但書において同条項所定の訴は、処分の日から2箇月を経過したときは、当事者が処分のあったことを知らなくともこれを提起することができないものとして、処分の不確定な状態を処分の日から2箇月に限定したところからこれを見ると、同条にいう『処分のあったことを知った日』とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分の存在を現実に知った日を指すものであって、抽象的な知り得べかりし日を意味するものでないと解するを相当とする。尤も処分を記載した書類が当事者の住所に送達される等のことがあって、社会通念上処分のあったことを当事者の知り得べき状態に置かれたときは、反証のない限り、その処分のあったことを知ったものと推定することはできる…。」
総合メモ
一時利用地指定処分の取消しの訴えが換地処分の取消しの訴えに変更された場合と出訴期間の遵守 最二小判昭和61年2月24日
概要
一時利用地が従前の土地に照応していないことを理由とする換地予定地的な一時利用地の指定処分の取消しの訴えが出訴期間内に提起され、その係属中に右の一時利用地をそのまま換地として指定する旨の換地処分があり、訴えが換地処分の取消しの訴えに交換的に変更された場合には、換地処分の取消しの訴えは、訴えの変更が右訴えの出訴期間経過後にされたときであっても、出訴期間の遵守に欠けるところがないものと解すべきである。
判例
事案: 一時利用地指定処分の取消しの訴えが換地処分の取消しの訴えに変更された事案において、訴え変更時には換地処分の取消しの訴えについて出訴期間を経過していた場合における訴えの適法性が問題となった。
判旨:「訴えの変更は、変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから、右訴えにつき出訴期間の制限がある場合には、先に述べた行政事件訴訟法20条のような特別の規定のない限り、右出訴期間の遵守の有無は、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、右訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならないところ、上告人が本件換地処分の取消請求に訴えを変更したのは、本件換地処分の日から1年以上を経過した後であり、また、本件一時利用地指定処分の取消請求と本件換地処分の取消請求との間に訴訟物の同一性を認めることもできないから、本件換地処分の取消しの訴えにつき出訴期間の遵守があったというためには、右の特段の事情の存在が肯定されなければならない。
…土地改良事業における一時利用地指定処分は、純粋に工事のための必要に基づくもので当該一時利用地を将来換地とすることを予定しないで指定するものと、当該一時利用地を換地の予定地として指定するものとに大別することができる。土地改良事業は、工事着手から換地処分に至るまでに長時間を要するのが通例であるから、関係権利者の地位を安定させるため、換地処分前であっても、換地処分によって確定されるべき権利関係をあらかじめ想定し得るに至った段階において、実質上換地処分がなされたと同様の使用収益関係を設定するという必要性が存する。また、換地処分は、従前の土地に存する権利関係を換地に移転させる処分であって、その性質上、当該換地計画に係る土地の全部につき一挙に行うことが必要であるところ、従前の土地について存する現実の使用収益の状態を換地処分と同時に一斉に換地に移転させることは困難であるから、換地処分前において従前の土地についての使用収益権限を順次将来換地となるべき土地に移転しておくという必要性が存する。一時利用地指定処分は右に述べたような必要性に基づいても行われるのであり、その場合の一時利用地指定処分は、当該一時利用地を換地予定地として指定し、換地処分前において実質それに相当する使用収益関係を当該一時利用地の上に設定する処分であるということができる。それは、土地改良事業の円滑な遂行のために必要な措置として土地改良法が当然に予定しているものなのである。そして、右の一時利用地指定処分は、右に指摘したように、換地処分で予定された法的効果を仮に実現するという性格を有するから、右の一時利用地指定処分に対する関係権利者の不服が一時利用地として指定された土地の照応の原則違反を理由に取消訴訟という形で表明された場合には、その土地を換地として将来行われるべき換地処分に対する不服が訴えの形で既に表明されたものともみることができるのである。もとより、右の一時利用地指定処分も換地処分の公告の日までに限り法的効果を有する処分であることに変わりはなく、また、換地処分を行うための法律上の前提要件として右の一時利用地指定処分が必要であるとか、当該一時利用地を必ず換地として指定しなければならないというものではないが、そのことと、いったんなされた右の一時利用地指定処分が換地処分で予定された法的効果を仮に実現するという性格を有していることとは何ら矛盾するものではない。右の一時利用地指定処分に引き続き行われた換地処分において、当該一時利用地が換地として指定された場合、それを一時利用地指定処分とは無縁のものと称することはできず、一時利用地指定処分において表明された土地改良事業施行者の意図の確定的な実現の結果というべきである。 本件一時利用地指定処分も、正規の換地計画決定前のものではあるが、前記のとおり、純然たる工事のための処分ではなく、右に述べた換地予定地的な一時利用地の指定処分であって、本件土地を将来本件従前地の換地とすることを予定し、実質上本件換地処分がなされたと同様の使用収益関係を本件土地上に設定した処分である。そうすると、土地改良事業の施行者である被上告人を相手方として本件土地が照応の原則に違反することを理由に提起された本件一時利用地指定処分の取消しの訴えは、単に本件一時利用地指定処分自体に対する不服の表明にとどまるものではなく、本件土地を換地として将来行われるべき本件換地処分に対する不服の表明としての性格をも有するものといわざるを得ないから、本件換地処分取消しの訴えは、出訴期間の関係においては、本件一時利用地指定処分の取消しの訴えの提起の時から既に提起されていたものと同様に取り扱うのが相当であり、出訴期間の遵守に欠けるところがないものと解すべきである。」
判旨:「訴えの変更は、変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから、右訴えにつき出訴期間の制限がある場合には、先に述べた行政事件訴訟法20条のような特別の規定のない限り、右出訴期間の遵守の有無は、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、右訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならないところ、上告人が本件換地処分の取消請求に訴えを変更したのは、本件換地処分の日から1年以上を経過した後であり、また、本件一時利用地指定処分の取消請求と本件換地処分の取消請求との間に訴訟物の同一性を認めることもできないから、本件換地処分の取消しの訴えにつき出訴期間の遵守があったというためには、右の特段の事情の存在が肯定されなければならない。
…土地改良事業における一時利用地指定処分は、純粋に工事のための必要に基づくもので当該一時利用地を将来換地とすることを予定しないで指定するものと、当該一時利用地を換地の予定地として指定するものとに大別することができる。土地改良事業は、工事着手から換地処分に至るまでに長時間を要するのが通例であるから、関係権利者の地位を安定させるため、換地処分前であっても、換地処分によって確定されるべき権利関係をあらかじめ想定し得るに至った段階において、実質上換地処分がなされたと同様の使用収益関係を設定するという必要性が存する。また、換地処分は、従前の土地に存する権利関係を換地に移転させる処分であって、その性質上、当該換地計画に係る土地の全部につき一挙に行うことが必要であるところ、従前の土地について存する現実の使用収益の状態を換地処分と同時に一斉に換地に移転させることは困難であるから、換地処分前において従前の土地についての使用収益権限を順次将来換地となるべき土地に移転しておくという必要性が存する。一時利用地指定処分は右に述べたような必要性に基づいても行われるのであり、その場合の一時利用地指定処分は、当該一時利用地を換地予定地として指定し、換地処分前において実質それに相当する使用収益関係を当該一時利用地の上に設定する処分であるということができる。それは、土地改良事業の円滑な遂行のために必要な措置として土地改良法が当然に予定しているものなのである。そして、右の一時利用地指定処分は、右に指摘したように、換地処分で予定された法的効果を仮に実現するという性格を有するから、右の一時利用地指定処分に対する関係権利者の不服が一時利用地として指定された土地の照応の原則違反を理由に取消訴訟という形で表明された場合には、その土地を換地として将来行われるべき換地処分に対する不服が訴えの形で既に表明されたものともみることができるのである。もとより、右の一時利用地指定処分も換地処分の公告の日までに限り法的効果を有する処分であることに変わりはなく、また、換地処分を行うための法律上の前提要件として右の一時利用地指定処分が必要であるとか、当該一時利用地を必ず換地として指定しなければならないというものではないが、そのことと、いったんなされた右の一時利用地指定処分が換地処分で予定された法的効果を仮に実現するという性格を有していることとは何ら矛盾するものではない。右の一時利用地指定処分に引き続き行われた換地処分において、当該一時利用地が換地として指定された場合、それを一時利用地指定処分とは無縁のものと称することはできず、一時利用地指定処分において表明された土地改良事業施行者の意図の確定的な実現の結果というべきである。 本件一時利用地指定処分も、正規の換地計画決定前のものではあるが、前記のとおり、純然たる工事のための処分ではなく、右に述べた換地予定地的な一時利用地の指定処分であって、本件土地を将来本件従前地の換地とすることを予定し、実質上本件換地処分がなされたと同様の使用収益関係を本件土地上に設定した処分である。そうすると、土地改良事業の施行者である被上告人を相手方として本件土地が照応の原則に違反することを理由に提起された本件一時利用地指定処分の取消しの訴えは、単に本件一時利用地指定処分自体に対する不服の表明にとどまるものではなく、本件土地を換地として将来行われるべき本件換地処分に対する不服の表明としての性格をも有するものといわざるを得ないから、本件換地処分取消しの訴えは、出訴期間の関係においては、本件一時利用地指定処分の取消しの訴えの提起の時から既に提起されていたものと同様に取り扱うのが相当であり、出訴期間の遵守に欠けるところがないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H29 予備 第20問 エ)
訴えの変更がされた場合における出訴期間の遵守の有無は、特別の規定のない限り、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、訴えの変更の時を基準として判断される。
訴えの変更がされた場合における出訴期間の遵守の有無は、特別の規定のない限り、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、訴えの変更の時を基準として判断される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭61.2.24)は、「出訴期間の遵守の有無は、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、右訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならない…。」としている。
判例(最判昭61.2.24)は、「出訴期間の遵守の有無は、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、右訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならない…。」としている。
総合メモ
被保護者が死亡した場合におけるその相続人が生活保護処分に関する裁決取消訴訟を承継することの可否 最大判昭和42年5月24日
概要
生活保護処分に関する裁決の取消訴訟は、被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあるものの給付を求める権利に関するものについても、被保護者の死亡により、当然終了する。
判例
事案:生活保護を受けながら、生活保護処分に関する裁決取消訴訟を提起していた事案において、被保護者が死亡した場合、その相続人が当該訴訟を承継することができるかが問題となった。
判旨:「生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であって、保護受給権とも称すべきものと解すべきである。しかし、この権利は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡し得ないし(59条参照)、相続の対象ともなり得ないというべきである。また、被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあるものの給付を求める権利についても、医療扶助の場合はもちろんのこと、金銭給付を内容とする生活扶助の場合でも、それは当該被保護者の最低限度の生活の需要を満たすことを目的とするものであって、法の予定する目的以外に流用することを許さないものであるから、当該被保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象となり得ない、と解するのが相当である。また、所論不当利得返還請求権は、保護受給権を前提としてはじめて成立するものであり、その保護受給権が右に述べたように一身専属の権利である以上、相続の対象となり得ないと解するのが相当である。 されば、本件訴訟は、上告人の死亡と同時に終了し、同人の相続人…においてこれを承継し得る余地はないもの、といわなければならない。」
判旨:「生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であって、保護受給権とも称すべきものと解すべきである。しかし、この権利は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡し得ないし(59条参照)、相続の対象ともなり得ないというべきである。また、被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあるものの給付を求める権利についても、医療扶助の場合はもちろんのこと、金銭給付を内容とする生活扶助の場合でも、それは当該被保護者の最低限度の生活の需要を満たすことを目的とするものであって、法の予定する目的以外に流用することを許さないものであるから、当該被保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象となり得ない、と解するのが相当である。また、所論不当利得返還請求権は、保護受給権を前提としてはじめて成立するものであり、その保護受給権が右に述べたように一身専属の権利である以上、相続の対象となり得ないと解するのが相当である。 されば、本件訴訟は、上告人の死亡と同時に終了し、同人の相続人…においてこれを承継し得る余地はないもの、といわなければならない。」
過去問・解説
(H29 予備 第14問 ウ)
生活保護法に基づき被保護者が受ける保護受給権は、当該個人に与えられた一身専属の権利であって、原則として相続の対象となるものではないが、被保護者の生存中の金銭給付を内容とする扶助で既に遅滞にあるものについては、相続の対象となる。
生活保護法に基づき被保護者が受ける保護受給権は、当該個人に与えられた一身専属の権利であって、原則として相続の対象となるものではないが、被保護者の生存中の金銭給付を内容とする扶助で既に遅滞にあるものについては、相続の対象となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.5.24)は、「生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受ける…保護受給権…は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡し得ないし(59条参照)、相続の対象ともなり得ないというべきである。」とした上で、「また、被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあるものの給付を求める権利についても、…当該被保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象となり得ない、と解するのが相当である。」としている。
判例(最判昭42.5.24)は、「生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受ける…保護受給権…は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡し得ないし(59条参照)、相続の対象ともなり得ないというべきである。」とした上で、「また、被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあるものの給付を求める権利についても、…当該被保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象となり得ない、と解するのが相当である。」としている。