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取消訴訟の審理
都道府県農地委員会のした農地売渡計画承認の取消し又は変更を求める訴えの当否 最二小判昭和27年1月25日
概要
行政処分の行われた後法律が改正されても、行政庁は改正法律によって行政処分をしたのではないから、裁判所が改正後の法律によって行政処分の当否を判断することはできず、処分時の法律を基準として判断される。
判例
事案:同人の所有する本件農地について上告人の定めた買収計画には違法があるとして提起した、当該処分の取消訴訟において、農地買収計画が自作農創設特別措置法附則第2項によって定められ、その後同項が削除され、同法第6条の2ないし5が加えられた場合に右買収計画の当否を判断するについて基準とすべき法律が改正前後のいずれとなるのかが問題となった。
判旨:「行政処分の取消又は変更を求める訴において裁判所の判断すべきことは係争の行政処分が違法に行われたかどうかの点である。行政処分の行われた後法律が改正されたからと言って、行政庁は改正法律によって行政処分をしたのではないから裁判所が改正後の法律によって行政処分の当否を判断することはできない。本件買収計画は昭和22年12月26日法律241号による改正前の自作農創設特別措置法附則2項によって定められたのであるから、原判決が本件買収計画が右附則2項による計画として適法であるかどうかを審理したのは当然である。前記法律241号附則2条は改正法施行前に前記附則2項による買収計画に関してされた手続は改正後の法律の6条の2、3、5の規定によりされた手続とみなす旨の規定であることは論旨のとおりであるが、右は改正前の法律による手続が改正法による手続としての効力を有する趣旨の規定に過ぎず、改正前の法律にてらして違法があった計画が法律の改正によって適法になる理由はないのであるから、所論のように本件買収計画が適法であるかどうかについて改正後の法律によって判断すべきものではない。」
判旨:「行政処分の取消又は変更を求める訴において裁判所の判断すべきことは係争の行政処分が違法に行われたかどうかの点である。行政処分の行われた後法律が改正されたからと言って、行政庁は改正法律によって行政処分をしたのではないから裁判所が改正後の法律によって行政処分の当否を判断することはできない。本件買収計画は昭和22年12月26日法律241号による改正前の自作農創設特別措置法附則2項によって定められたのであるから、原判決が本件買収計画が右附則2項による計画として適法であるかどうかを審理したのは当然である。前記法律241号附則2条は改正法施行前に前記附則2項による買収計画に関してされた手続は改正後の法律の6条の2、3、5の規定によりされた手続とみなす旨の規定であることは論旨のとおりであるが、右は改正前の法律による手続が改正法による手続としての効力を有する趣旨の規定に過ぎず、改正前の法律にてらして違法があった計画が法律の改正によって適法になる理由はないのであるから、所論のように本件買収計画が適法であるかどうかについて改正後の法律によって判断すべきものではない。」
過去問・解説
(H22 司法 第33問 ウ)
A県は、同県内にダムの建設を計画し、事業を開始したが、建設予定地内の土地の買収に応じない地権者Bらがいたため、土地収用法に基づく土地の収用を行うこととし、国土交通大臣に対して同法に基づく事業の認定申請をしたところ、同大臣は、事業認定の要件を満たすとして同事業の認定(以下「本件事業認定」という。)をした。
本件の事業に公益性があるか否か、Bらにどのような不利益があるのかなど本件事業認定の適法性を基礎付ける事実関係は、事実審の口頭弁論終結時の事情に基づいて判断されなければならない。
A県は、同県内にダムの建設を計画し、事業を開始したが、建設予定地内の土地の買収に応じない地権者Bらがいたため、土地収用法に基づく土地の収用を行うこととし、国土交通大臣に対して同法に基づく事業の認定申請をしたところ、同大臣は、事業認定の要件を満たすとして同事業の認定(以下「本件事業認定」という。)をした。
本件の事業に公益性があるか否か、Bらにどのような不利益があるのかなど本件事業認定の適法性を基礎付ける事実関係は、事実審の口頭弁論終結時の事情に基づいて判断されなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭27.1.25)は、「行政処分の取消又は変更を求める訴において裁判所の判断すべきことは係争の行政処分が違法に行われたかどうかの点である。行政処分の行われた後法律が改正されたからと言って、行政庁は改正法律によって行政処分をしたのではないから裁判所が改正後の法律によって行政処分の当否を判断することはできない。」としている。
したがって、処分の適法性判断の基準時は事実審の口頭弁論終結時ではなく、処分時である。
判例(最判昭27.1.25)は、「行政処分の取消又は変更を求める訴において裁判所の判断すべきことは係争の行政処分が違法に行われたかどうかの点である。行政処分の行われた後法律が改正されたからと言って、行政庁は改正法律によって行政処分をしたのではないから裁判所が改正後の法律によって行政処分の当否を判断することはできない。」としている。
したがって、処分の適法性判断の基準時は事実審の口頭弁論終結時ではなく、処分時である。
総合メモ
課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象 最三小判平成4年2月18日
過去問・解説
(H23 司法 第32問 ア)
最高裁判所の判例によれば、所得税の納税申告(通常のいわゆる白色申告)に対する更正処分の取消訴訟において、被告は、当該更正処分の正当性を維持する理由として、更正の段階において考慮されなかった事実を新たに主張することも許される。
最高裁判所の判例によれば、所得税の納税申告(通常のいわゆる白色申告)に対する更正処分の取消訴訟において、被告は、当該更正処分の正当性を維持する理由として、更正の段階において考慮されなかった事実を新たに主張することも許される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平4.2.18)は、「課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は、当該課税処分によって確定された税額の適否であり、課税処分における税務署長の所得の源泉の認定等に誤りがあっても、これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ、当該課税処分は適法というべきである。」として、更正の段階において考慮されなかった事実を新たに主張することも許されるとした原審の判断を是認している。
判例(最判平4.2.18)は、「課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は、当該課税処分によって確定された税額の適否であり、課税処分における税務署長の所得の源泉の認定等に誤りがあっても、これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ、当該課税処分は適法というべきである。」として、更正の段階において考慮されなかった事実を新たに主張することも許されるとした原審の判断を是認している。
総合メモ
本案要件についての認定、判断を留保した上、当該不支給決定を違法として取り消すことの可否 最三小判平成5年2月16日
概要
本案要件については調査、判断することなく、専ら本件被災者らが右業務に従事した期間が労働者災害補償保険法の施行前であることを理由に、本件不支給決定をしたことが明らかである場合、本案要件についての認定、判断を留保した上、当該不支給決定を違法として取り消すことができる。
判例
事案:本案要件については調査、判断することなく、専ら本件被災者らが右業務に従事した期間が労働者災害補償保険法の施行前であることを理由に本件不支給決定をしたことが明らかである事案において、行政庁は、同疾病が仮に同法の適用対象であるとしても当該疾病に業務起因性がない旨の追加主張ができるかが問題となった。
判旨:「上告人は、本件被災者らの疾病が第1審判決別表(1)記載のベンジジン製造業務就労事業場における業務に起因するものであるか否かの点については調査、判断することなく、専ら本件被災者らが右業務に従事した期間が労働者災害補償保険法の施行前であることを理由に、本件不支給決定をしたことが明らかである。被災労働者の疾病等の業務起因性の有無については、第1次的に労働基準監督署長にその判断の権限が与えられているのであるから、上告人が右の点について判断をしていないことが明らかな本件においては、原判決が、本件被災者らの疾病の業務起因性の有無についての認定、判断を留保した上、本件不支給決定を違法として取消したことに、所論の違法はない。」
判旨:「上告人は、本件被災者らの疾病が第1審判決別表(1)記載のベンジジン製造業務就労事業場における業務に起因するものであるか否かの点については調査、判断することなく、専ら本件被災者らが右業務に従事した期間が労働者災害補償保険法の施行前であることを理由に、本件不支給決定をしたことが明らかである。被災労働者の疾病等の業務起因性の有無については、第1次的に労働基準監督署長にその判断の権限が与えられているのであるから、上告人が右の点について判断をしていないことが明らかな本件においては、原判決が、本件被災者らの疾病の業務起因性の有無についての認定、判断を留保した上、本件不支給決定を違法として取消したことに、所論の違法はない。」
過去問・解説
(H28 予備 第20問 イ)
労災保険給付の申請に対し、申請に係る疾病が労働者災害補償保険法の適用対象である疾病に当たらないとの理由で不支給決定がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、同疾病が仮に同法の適用対象であるとしても当該疾病に業務起因性がないと主張して争うことは許されない。
労災保険給付の申請に対し、申請に係る疾病が労働者災害補償保険法の適用対象である疾病に当たらないとの理由で不支給決定がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、同疾病が仮に同法の適用対象であるとしても当該疾病に業務起因性がないと主張して争うことは許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平5.2.16) は、「被災労働者の疾病等の業務起因性の有無については、第1次的に労働基準監督署長にその判断の権限が与えられているのであるから、上告人が右の点について判断をしていないことが明らかな本件においては、原判決が、本件被災者らの疾病の業務起因性の有無についての認定、判断を留保した上、本件不支給決定を違法として取消したことに、所論の違法はない。」としている。
したがって、本肢のような場合、その取消訴訟において、被告が、同疾病が仮に同法の適用対象であるとしても当該疾病に業務起因性がないと主張して争うことは許されない。
判例(最判平5.2.16) は、「被災労働者の疾病等の業務起因性の有無については、第1次的に労働基準監督署長にその判断の権限が与えられているのであるから、上告人が右の点について判断をしていないことが明らかな本件においては、原判決が、本件被災者らの疾病の業務起因性の有無についての認定、判断を留保した上、本件不支給決定を違法として取消したことに、所論の違法はない。」としている。
したがって、本肢のような場合、その取消訴訟において、被告が、同疾病が仮に同法の適用対象であるとしても当該疾病に業務起因性がないと主張して争うことは許されない。
総合メモ
青色更正の理由附記不備の瑕疵の治癒 最三小判昭和47年12月5日
概要
青色申告についてした更正処分における理由附記の不備の缺疵は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合であっても、治癒されないと解すべきである。
判例
事案:青色申告について、税務署長によりされた更正処分に、理由附記の不備という瑕疵があった事案において、その後に国税局長によりなされた審査裁決により理由が明らかにされた場合に当該瑕疵が治癒されたといえるかが問題となった。
判旨:「処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに処分の理由を相手方に知らせて不服申立の便宜を与えることを目的として更正に附記理由の記載を命じた前記法人税法の規定の趣旨にかんがみ、本件更正の附記理由には不備の違法があるものというべきである。
…更正に理由附記を命じた規定の趣旨が前示のとおりであることに徴して考えるならば、処分庁と異なる機関の行為により附記理由不備の瑕疵が治癒されるとすることは、処分そのものの慎重、合理性を確保する目的にそわないばかりでなく、処分の相手方としても、審査裁決によってはじめて具体的な処分根拠を知らされたのでは、それ以前の審査手続において十分な不服理由を主張することができないという不利益を免れない。そして、更正が附記理由不備のゆえに訴訟で取り消されるときは、更正期間の制限によりあらたな更正をする余地のないことがあるなど処分の相手方の利害に影響を及ぼすのであるから、審査裁決に理由が附記されたからといって、更正を取り消すことが所論のように無意味かつ不必要なこととなるものではない。それゆえ、更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」
判旨:「処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに処分の理由を相手方に知らせて不服申立の便宜を与えることを目的として更正に附記理由の記載を命じた前記法人税法の規定の趣旨にかんがみ、本件更正の附記理由には不備の違法があるものというべきである。
…更正に理由附記を命じた規定の趣旨が前示のとおりであることに徴して考えるならば、処分庁と異なる機関の行為により附記理由不備の瑕疵が治癒されるとすることは、処分そのものの慎重、合理性を確保する目的にそわないばかりでなく、処分の相手方としても、審査裁決によってはじめて具体的な処分根拠を知らされたのでは、それ以前の審査手続において十分な不服理由を主張することができないという不利益を免れない。そして、更正が附記理由不備のゆえに訴訟で取り消されるときは、更正期間の制限によりあらたな更正をする余地のないことがあるなど処分の相手方の利害に影響を及ぼすのであるから、審査裁決に理由が附記されたからといって、更正を取り消すことが所論のように無意味かつ不必要なこととなるものではない。それゆえ、更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」
過去問・解説
(H26 共通 第22問 ア)
青色申告に係る法人税の更正処分における附記理由不備の瑕疵は、後日これについての審査請求に対する裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではない。
青色申告に係る法人税の更正処分における附記理由不備の瑕疵は、後日これについての審査請求に対する裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭47.12.5)は、青色申告に係る法人税の更生処分において理由の附記に不備があった事案において、「更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」としている。
判例(最判昭47.12.5)は、青色申告に係る法人税の更生処分において理由の附記に不備があった事案において、「更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」としている。
(H27 予備 第15問 エ)
不利益処分の理由の提示の不備による瑕疵は、後日の不服申立てに対する裁決又は決定において当該処分の具体的根拠が明らかにされれば、そのことにより治癒される。
不利益処分の理由の提示の不備による瑕疵は、後日の不服申立てに対する裁決又は決定において当該処分の具体的根拠が明らかにされれば、そのことにより治癒される。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭47.12.5)は、「更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」としている。
したがって、不利益処分の理由の提示の不備による瑕疵は、後日の不服申立てに対する裁決又は決定において当該処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、治癒されない。
判例(最判昭47.12.5)は、「更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」としている。
したがって、不利益処分の理由の提示の不備による瑕疵は、後日の不服申立てに対する裁決又は決定において当該処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、治癒されない。
総合メモ
青色申告書による法人税の申告についてした更正処分の取消訴訟において課税庁が更正の理由と異なる事実を主張することの可否 最三小判昭和56年7月14日
概要
青色申告書による法人税の申告について不動産の取得価額が申告額より低額であることを更正の理由としてした更正処分の取消訴訟において、課税庁は、当該処分の適否に関する攻撃防御方法として、当該不動産の販売価額が申告額より多額であることを主張することができる。
判例
事案:青色申告書による法人税の申告についてした更正処分の取消訴訟において、課税庁が更正の理由と異なる事実を追加主張することができるかが問題となった。
判旨:「原審が適法に確定したところによれば、(1)宅地の分譲販売等を業とする上告人は、本件係争事業年度において本件不動産を7600万9600円で取得しこれを7000万円で販売したものとして、右事業年度の法人税につき青色申告書による確定申告をした、(2)これに対して、被上告人は、本件不動産の取得価額は6000万円であるとして、他の理由とともにこれを更正の理由として更正通知書に附記し、本件更正処分をした、(3)ところが、被上告人は、本訴における本件更正処分の適否に関する新たな攻撃防禦方法として、仮に本件不動産の取得価額が7600万9600円であるとしても、その販売価額は9450万円であるから、いずれにしても本件更正処分は適法であるとの趣旨の本件追加主張をした、というのであって、このような場合に被上告人に本件追加主張の提出を許しても、右更正処分を争うにつき被処分者たる上告人に格別の不利益を与えるものではないから、一般的に青色申告書による申告についてした更正処分の取消訴訟において更正の理由とは異なるいかなる事実をも主張することができると解すべきかどうかはともかく、被上告人が本件追加主張を提出することは妨げないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。」
判旨:「原審が適法に確定したところによれば、(1)宅地の分譲販売等を業とする上告人は、本件係争事業年度において本件不動産を7600万9600円で取得しこれを7000万円で販売したものとして、右事業年度の法人税につき青色申告書による確定申告をした、(2)これに対して、被上告人は、本件不動産の取得価額は6000万円であるとして、他の理由とともにこれを更正の理由として更正通知書に附記し、本件更正処分をした、(3)ところが、被上告人は、本訴における本件更正処分の適否に関する新たな攻撃防禦方法として、仮に本件不動産の取得価額が7600万9600円であるとしても、その販売価額は9450万円であるから、いずれにしても本件更正処分は適法であるとの趣旨の本件追加主張をした、というのであって、このような場合に被上告人に本件追加主張の提出を許しても、右更正処分を争うにつき被処分者たる上告人に格別の不利益を与えるものではないから、一般的に青色申告書による申告についてした更正処分の取消訴訟において更正の理由とは異なるいかなる事実をも主張することができると解すべきかどうかはともかく、被上告人が本件追加主張を提出することは妨げないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。」
過去問・解説
(H28 予備 第20問 ア)
青色申告による法人税の申告に対し、不動産の取得価額が申告額より低額であることを更正の理由として更正処分がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、仮に当該不動産の取得価額が上記のとおりでないとしてもその販売価額が申告額より多額であると主張して争うことは許されない。
青色申告による法人税の申告に対し、不動産の取得価額が申告額より低額であることを更正の理由として更正処分がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、仮に当該不動産の取得価額が上記のとおりでないとしてもその販売価額が申告額より多額であると主張して争うことは許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭56.7.14)は、本肢と同種の事案において、「(1)宅地の分譲販売等を業とする上告人は、本件係争事業年度において本件不動産を7600万9600円で取得しこれを7000万円で販売したものとして、右事業年度の法人税につき青色申告書による確定申告をした、(2)これに対して、被上告人は、本件不動産の取得価額は6000万円であるとして、他の理由とともにこれを更正の理由として更正通知書に附記し、本件更正処分をした、(3)ところが、被上告人は、本訴における本件更正処分の適否に関する新たな攻撃防禦方法として、仮に本件不動産の取得価額が7600万9600円であるとしても、その販売価額は9450万円であるから、いずれにしても本件更正処分は適法であるとの趣旨の本件追加主張をした、というのであって、…被上告人が本件追加主張を提出することは妨げないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。」としている。
したがって、被告が、仮に当該不動産の取得価額が上記のとおりでないとしてもその販売価額が申告額より多額であると主張して争うことは許される。
判例(最判昭56.7.14)は、本肢と同種の事案において、「(1)宅地の分譲販売等を業とする上告人は、本件係争事業年度において本件不動産を7600万9600円で取得しこれを7000万円で販売したものとして、右事業年度の法人税につき青色申告書による確定申告をした、(2)これに対して、被上告人は、本件不動産の取得価額は6000万円であるとして、他の理由とともにこれを更正の理由として更正通知書に附記し、本件更正処分をした、(3)ところが、被上告人は、本訴における本件更正処分の適否に関する新たな攻撃防禦方法として、仮に本件不動産の取得価額が7600万9600円であるとしても、その販売価額は9450万円であるから、いずれにしても本件更正処分は適法であるとの趣旨の本件追加主張をした、というのであって、…被上告人が本件追加主張を提出することは妨げないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。」としている。
したがって、被告が、仮に当該不動産の取得価額が上記のとおりでないとしてもその販売価額が申告額より多額であると主張して争うことは許される。
総合メモ
東京都公文書の開示等に関する条例7条に基づいてされた公文書の非開示決定が理由付記の要件を欠き違法であるか 最一小判平成4年12月10日
概要
東京都公文書の開示等に関する条例5条に基づき「個人情報実態調査に関して警視庁から入手、取得した一切の文書」の開示の請求をした者に対する非開示決定の通知書に、非開示の理由として、「東京都公文書の開示等に関する条例第9条第8号に該当」と記載されているにすぎないときは、右決定は、同条例7条4項の定める理由付記の要件を欠き、違法である。
判例
事案:東京都公文書の開示等に関する条例7条に基づいてされた公文書の非開示決定が理由付記の要件を欠き違法であるかが問題となった。
判旨:「本条例が右のように公文書の非開示決定通知書にその理由を付記すべきものとしているのは、同条例に基づく公文書の開示請求制度が、都民と都政との信頼関係を強化し、地方自治の本旨に即した都政を推進することを目的とするものであって、実施機関においては、公文書の開示を請求する都民の権利を十分に尊重すべきものとされていること(本条例1条、3条参照)にかんがみ、非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものというべきである。このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば、公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、本条例9条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例7条4項の要求する理由付記としては十分でないといわなければならない。 この見地に立って本条例9条8号をみるに、同号は、開示の請求に係る公文書に、『監査、検査、取締り、徴税等の計画及び実施要領、渉外、争訟、交渉の方針、契約の予定価格、試験の問題及び採点基準、職員の身分取扱い、学術研究計画及び未発表の学術研究成果、用地買収計画その他実施機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの、特定のものに不当な利益若しくは不利益が生ずるおそれがあるもの、大学の教育若しくは研究の自由が損なわれるおそれがあるもの、関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの、当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの又は都の行政の公正若しくは円滑な運営に著しい支障が生ずることが明らかなもの』に該当する情報が記録されているときは、当該請求に係る公文書の開示をしないことができるとするものである。公文書の開示の請求は、開示を請求しようとする公文書を特定するために必要な事項を記載した請求書を提出してしなければならないとされている(本条例6条3号)ので、当該公文書の非開示理由として本条例9条8号に該当する旨の記載のみによって、開示請求者において、当該公文書の種類、性質あるいは開示請求書の記載に照らし、非開示理由が同号所定のどの事由に該当するのかをその根拠とともに了知し得る場合があり得るとしても、同号に該当する旨の記載だけでは、開示請求者において、非開示理由がいかなる根拠により同号所定のどの事由に該当するのかを知り得ないのが通例であると考えられる。これを本件についてみるに、被上告人によって前示のとおり特定された本件文書の種類、性質等を考慮しても、本件付記理由によっては、いかなる根拠により同号所定の非開示事由のどれに該当するとして本件非開示決定がされたのかを、被上告人において知ることができないものといわざるを得ない。そうであるとすれば、単に『東京都公文書の開示等に関する条例第9条第8号に該当』と付記されたにすぎない本件非開示決定の通知書は、本条例7条4項の定める理由付記の要件を欠くものというほかはない。」
判旨:「本条例が右のように公文書の非開示決定通知書にその理由を付記すべきものとしているのは、同条例に基づく公文書の開示請求制度が、都民と都政との信頼関係を強化し、地方自治の本旨に即した都政を推進することを目的とするものであって、実施機関においては、公文書の開示を請求する都民の権利を十分に尊重すべきものとされていること(本条例1条、3条参照)にかんがみ、非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものというべきである。このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば、公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、本条例9条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例7条4項の要求する理由付記としては十分でないといわなければならない。 この見地に立って本条例9条8号をみるに、同号は、開示の請求に係る公文書に、『監査、検査、取締り、徴税等の計画及び実施要領、渉外、争訟、交渉の方針、契約の予定価格、試験の問題及び採点基準、職員の身分取扱い、学術研究計画及び未発表の学術研究成果、用地買収計画その他実施機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの、特定のものに不当な利益若しくは不利益が生ずるおそれがあるもの、大学の教育若しくは研究の自由が損なわれるおそれがあるもの、関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの、当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの又は都の行政の公正若しくは円滑な運営に著しい支障が生ずることが明らかなもの』に該当する情報が記録されているときは、当該請求に係る公文書の開示をしないことができるとするものである。公文書の開示の請求は、開示を請求しようとする公文書を特定するために必要な事項を記載した請求書を提出してしなければならないとされている(本条例6条3号)ので、当該公文書の非開示理由として本条例9条8号に該当する旨の記載のみによって、開示請求者において、当該公文書の種類、性質あるいは開示請求書の記載に照らし、非開示理由が同号所定のどの事由に該当するのかをその根拠とともに了知し得る場合があり得るとしても、同号に該当する旨の記載だけでは、開示請求者において、非開示理由がいかなる根拠により同号所定のどの事由に該当するのかを知り得ないのが通例であると考えられる。これを本件についてみるに、被上告人によって前示のとおり特定された本件文書の種類、性質等を考慮しても、本件付記理由によっては、いかなる根拠により同号所定の非開示事由のどれに該当するとして本件非開示決定がされたのかを、被上告人において知ることができないものといわざるを得ない。そうであるとすれば、単に『東京都公文書の開示等に関する条例第9条第8号に該当』と付記されたにすぎない本件非開示決定の通知書は、本条例7条4項の定める理由付記の要件を欠くものというほかはない。」
過去問・解説
(H23 司法 第32問 ウ)
最高裁判所の判例によれば、情報公開条例において非開示決定を行うときには、非開示の理由を付記しなければならないと定められている場合に、理由の付記が不十分でありその要件を欠くと判断される以上、後に実施機関により理由の説明がされたとしても、その瑕疵が治癒されたものということはできない。
最高裁判所の判例によれば、情報公開条例において非開示決定を行うときには、非開示の理由を付記しなければならないと定められている場合に、理由の付記が不十分でありその要件を欠くと判断される以上、後に実施機関により理由の説明がされたとしても、その瑕疵が治癒されたものということはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平4.12.10)は、「公文書の非開示決定通知書…に記載することを要する非開示理由の程度は、相手方の知、不知にかかわりがないものというべきである…し、また、本件において、後日、実施機関の補助職員によって、被上告人に対し口頭で非開示理由の説明がされたとしても、それによって、付記理由不備の瑕疵が治癒されたものということはできない。」としている。
判例(最判平4.12.10)は、「公文書の非開示決定通知書…に記載することを要する非開示理由の程度は、相手方の知、不知にかかわりがないものというべきである…し、また、本件において、後日、実施機関の補助職員によって、被上告人に対し口頭で非開示理由の説明がされたとしても、それによって、付記理由不備の瑕疵が治癒されたものということはできない。」としている。
総合メモ
逗子市情報公開条例5条⑵ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において実施機関が当該公文書に他の非公開事由があると主張することの可否 最二小判平成11年11月19日
概要
公文書の非公開事由を定めた条例の文言に該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において、実施機関が、右決定が適法であることの根拠として、当該公文書が別の条文の文言に該当すると主張することは、許される。
判例
事案:逗子市情報公開条例(平成2年逗子市条例第6号)5条(2)ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において、実施機関が当該公文書に他の非公開事由があると主張することが許されるかが問題となった。
判旨:「本件条例5条(2)ウが『争訟の方針に関する情報』を非公開とすることができるものとしている趣旨は、逗子市、国若しくは他の地方公共団体又はその機関が一方当事者として争訟に対処するための内部的な方針に関する情報が公開されると、それが正規の交渉等の場を経ないで相手方当事者に伝わるなどして、紛争の公正、円滑な解決を妨げるおそれがあるからであると解される。そうすると、右規定にいう『争訟の方針に関する情報』は、所論のように争訟の帰すうに影響を与える情報のすべてを指すものと解するのは相当でないが、現に係属し又は係属が具体的に予想される事案に即した具体的方針に限定されると解すべきではなく、右の団体又はその機関が行うことのあるべき争訟に対処するための一般的方針をも含むものと解するのが相当である。したがって、右の一般的方針が含まれている場合には、本件各文書は争訟の方針に関する情報に当たるというべきである。 上告人の主張によれば、横浜防衛施設局施設管理課職員からの事情聴取書には、全国の未登記土地に関する国と所有名義人との間における民事上の紛争の処理の仕方、手法についての供述や、国の民事訴訟解決の手の内も示されているというのである。そうであるなら、これらの情報は国の争訟の方針に関する情報に当たり、これが公開されることになれば、現在及び将来の国のかかわる未登記土地等に関する争訟の遂行に著しい支障を生ずることになる可能性があるものというべきである。したがって、前記…の解釈に基づいて右主張に係る情報が『争訟の方針に関する情報』に当たらないとした原審の判断には、本件条例5条(2)ウの解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、右違法が原判決に影響を及ぼすことは明らかである。 …本件条例9条4項前段が、前記のように非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、本件条例2条が、逗子市の保有する情報は公開することを原則とし、非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめられること、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度となるよう努めること、情報の公開が拒否されたときは公正かつ迅速な救済が保障されることなどを解釈、運用の基本原則とする旨規定していること等にかんがみ、非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としていると解すべきである。そして、そのような目的は非公開の理由を具体的に記載して通知させること(実際には、非公開決定の通知書にその理由を付記する形で行われる。)自体をもってひとまず実現されるところ、本件条例の規定をみても、右の理由通知の定めが、右の趣旨を超えて、一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」
判旨:「本件条例5条(2)ウが『争訟の方針に関する情報』を非公開とすることができるものとしている趣旨は、逗子市、国若しくは他の地方公共団体又はその機関が一方当事者として争訟に対処するための内部的な方針に関する情報が公開されると、それが正規の交渉等の場を経ないで相手方当事者に伝わるなどして、紛争の公正、円滑な解決を妨げるおそれがあるからであると解される。そうすると、右規定にいう『争訟の方針に関する情報』は、所論のように争訟の帰すうに影響を与える情報のすべてを指すものと解するのは相当でないが、現に係属し又は係属が具体的に予想される事案に即した具体的方針に限定されると解すべきではなく、右の団体又はその機関が行うことのあるべき争訟に対処するための一般的方針をも含むものと解するのが相当である。したがって、右の一般的方針が含まれている場合には、本件各文書は争訟の方針に関する情報に当たるというべきである。 上告人の主張によれば、横浜防衛施設局施設管理課職員からの事情聴取書には、全国の未登記土地に関する国と所有名義人との間における民事上の紛争の処理の仕方、手法についての供述や、国の民事訴訟解決の手の内も示されているというのである。そうであるなら、これらの情報は国の争訟の方針に関する情報に当たり、これが公開されることになれば、現在及び将来の国のかかわる未登記土地等に関する争訟の遂行に著しい支障を生ずることになる可能性があるものというべきである。したがって、前記…の解釈に基づいて右主張に係る情報が『争訟の方針に関する情報』に当たらないとした原審の判断には、本件条例5条(2)ウの解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、右違法が原判決に影響を及ぼすことは明らかである。 …本件条例9条4項前段が、前記のように非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、本件条例2条が、逗子市の保有する情報は公開することを原則とし、非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめられること、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度となるよう努めること、情報の公開が拒否されたときは公正かつ迅速な救済が保障されることなどを解釈、運用の基本原則とする旨規定していること等にかんがみ、非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としていると解すべきである。そして、そのような目的は非公開の理由を具体的に記載して通知させること(実際には、非公開決定の通知書にその理由を付記する形で行われる。)自体をもってひとまず実現されるところ、本件条例の規定をみても、右の理由通知の定めが、右の趣旨を超えて、一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第32問 エ)
最高裁判所の判例によれば、情報公開条例において非開示決定を行うときには、非開示の理由を付記しなければならないと定められている場合には、非開示決定取消訴訟において、被告が非開示決定の通知書に付記された理由以外の理由を主張することは許されない。
最高裁判所の判例によれば、情報公開条例において非開示決定を行うときには、非開示の理由を付記しなければならないと定められている場合には、非開示決定取消訴訟において、被告が非開示決定の通知書に付記された理由以外の理由を主張することは許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平11.11.19)は、「本件条例9条4項前段が、…非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、本件条例2条が、逗子市の保有する情報は公開することを原則とし、非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめられること、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度となるよう努めること、情報の公開が拒否されたときは公正かつ迅速な救済が保障されることなどを解釈、運用の基本原則とする旨規定していること等にかんがみ、非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としている…。」とした上で、「実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
判例(最判平11.11.19)は、「本件条例9条4項前段が、…非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、本件条例2条が、逗子市の保有する情報は公開することを原則とし、非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめられること、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度となるよう努めること、情報の公開が拒否されたときは公正かつ迅速な救済が保障されることなどを解釈、運用の基本原則とする旨規定していること等にかんがみ、非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としている…。」とした上で、「実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
(H28 予備 第20問 ウ)
情報公開条例に基づく公開請求に対し、同請求に係る情報が特定の非公開事由に該当することを理由に非公開決定がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、仮に同情報が上記事由に該当しないとしても別の非公開事由にも該当すると主張して争うことは許されない。
情報公開条例に基づく公開請求に対し、同請求に係る情報が特定の非公開事由に該当することを理由に非公開決定がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、仮に同情報が上記事由に該当しないとしても別の非公開事由にも該当すると主張して争うことは許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平11.11.19)は、本肢と同種の事案において、「実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
したがって、情報公開条例に基づく公開請求に対する非公開決定処分の取消訴訟において、被告は、仮に同情報が上記事由に該当しないとしても別の非公開事由にも該当すると主張して争うことができる。
判例(最判平11.11.19)は、本肢と同種の事案において、「実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
したがって、情報公開条例に基づく公開請求に対する非公開決定処分の取消訴訟において、被告は、仮に同情報が上記事由に該当しないとしても別の非公開事由にも該当すると主張して争うことができる。
(R5 予備 第14問 ア)
申請拒否処分については、理由の提示が義務付けられているが、これは行政庁の判断の恣意を抑制するとともに不服申立てに便宜を与えることを目的としているので、行政文書を開示しない決定の取消訴訟において、被告が当該決定の際に提示されていた処分理由とは異なる処分理由を追加して主張することが許されることはない。
申請拒否処分については、理由の提示が義務付けられているが、これは行政庁の判断の恣意を抑制するとともに不服申立てに便宜を与えることを目的としているので、行政文書を開示しない決定の取消訴訟において、被告が当該決定の際に提示されていた処分理由とは異なる処分理由を追加して主張することが許されることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平11.11.19)は、「本件条例9条4項前段が、前記のように非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、…非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としていると解すべきである。」とした上で、「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
判例(最判平11.11.19)は、「本件条例9条4項前段が、前記のように非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、…非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としていると解すべきである。」とした上で、「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
総合メモ
安全認定と建築確認の間における違法性の承継 最一小判平成21年12月17日
概要
安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために東京都建築安全条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許される。
判例
事案:東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるかが問題となった。
判旨:「本件条例4条1項は、大規模な建築物の敷地が道路に接する部分の長さを一定以上確保することにより、避難又は通行の安全を確保することを目的とするものであり、これに適合しない建築物の計画について建築主は建築確認を受けることができない。同条3項に基づく安全認定は、同条1項所定の接道要件を満たしていない建築物の計画について、同項を適用しないこととし、建築主に対し、建築確認申請手続において同項所定の接道義務の違反がないものとして扱われるという地位を与えるものである。 平成11年東京都条例第41号による改正前の本件条例4条3項の下では、同条1項所定の接道要件を満たしていなくても安全上支障がないかどうかの判断は、建築確認をする際に建築主事が行うものとされていたが、この改正により、建築確認とは別に知事が安全認定を行うこととされた。これは、平成10年法律第100号により建築基準法が改正され、建築確認及び検査の業務を民間機関である指定確認検査機関も行うことができるようになったこと(法6条の2、7条の2、7条の4、77条の18以下参照)に伴う措置であり、上記のとおり判断機関が分離されたのは、接道要件充足の有無は客観的に判断することが可能な事柄であり、建築主事又は指定確認検査機関が判断するのに適しているが、安全上の支障の有無は、専門的な知見に基づく裁量により判断すべき事柄であり、知事が一元的に判断するのが適切であるとの見地によるものと解される。 以上のとおり、建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして、前記のとおり、安全認定は、建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり、建築確認と結合して初めてその効果を発揮するのである。 他方、安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し、建築確認については、工事の施工者は、法89条1項に従い建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない。)。そうすると、安全認定について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても、その者において、安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく、建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて、その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。 以上の事情を考慮すると、安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」
判旨:「本件条例4条1項は、大規模な建築物の敷地が道路に接する部分の長さを一定以上確保することにより、避難又は通行の安全を確保することを目的とするものであり、これに適合しない建築物の計画について建築主は建築確認を受けることができない。同条3項に基づく安全認定は、同条1項所定の接道要件を満たしていない建築物の計画について、同項を適用しないこととし、建築主に対し、建築確認申請手続において同項所定の接道義務の違反がないものとして扱われるという地位を与えるものである。 平成11年東京都条例第41号による改正前の本件条例4条3項の下では、同条1項所定の接道要件を満たしていなくても安全上支障がないかどうかの判断は、建築確認をする際に建築主事が行うものとされていたが、この改正により、建築確認とは別に知事が安全認定を行うこととされた。これは、平成10年法律第100号により建築基準法が改正され、建築確認及び検査の業務を民間機関である指定確認検査機関も行うことができるようになったこと(法6条の2、7条の2、7条の4、77条の18以下参照)に伴う措置であり、上記のとおり判断機関が分離されたのは、接道要件充足の有無は客観的に判断することが可能な事柄であり、建築主事又は指定確認検査機関が判断するのに適しているが、安全上の支障の有無は、専門的な知見に基づく裁量により判断すべき事柄であり、知事が一元的に判断するのが適切であるとの見地によるものと解される。 以上のとおり、建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして、前記のとおり、安全認定は、建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり、建築確認と結合して初めてその効果を発揮するのである。 他方、安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し、建築確認については、工事の施工者は、法89条1項に従い建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない。)。そうすると、安全認定について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても、その者において、安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく、建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて、その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。 以上の事情を考慮すると、安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H24 共通 第22問 ア)
この判決は、安全認定に処分性が認められないことを前提として、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
この判決は、安全認定に処分性が認められないことを前提として、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.12.17)は、「本件条例4条…3項に基づく安全認定は、同条1項所定の接道要件を満たしていない建築物の計画について、同項を適用しないこととし、建築主に対し、建築確認申請手続において同項所定の接道義務の違反がないものとして扱われるという地位を与えるものである。」としており、これは、安全認定の処分性を肯定していると解されている。その上で、「安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許される…。」としている。
したがって、この判決は、安全認定に処分性が認められることを前提として、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものであるといえる。
判例(最判平21.12.17)は、「本件条例4条…3項に基づく安全認定は、同条1項所定の接道要件を満たしていない建築物の計画について、同項を適用しないこととし、建築主に対し、建築確認申請手続において同項所定の接道義務の違反がないものとして扱われるという地位を与えるものである。」としており、これは、安全認定の処分性を肯定していると解されている。その上で、「安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許される…。」としている。
したがって、この判決は、安全認定に処分性が認められることを前提として、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものであるといえる。
(H24 共通 第22問 イ)
この判決は、周辺住民には安全認定の取消訴訟の原告適格が認められないことを考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
この判決は、周辺住民には安全認定の取消訴訟の原告適格が認められないことを考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.12.17)は、「安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない…。そうすると、安全認定について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。」とした上で、「建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としている。
したがって、この判決は、周辺住民等に安全認定の取消訴訟の原告適格が認められないことを考慮したのではなく、安全認定の適否を争うための手続的保障が周辺住民等これを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難であること等を考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
判例(最判平21.12.17)は、「安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない…。そうすると、安全認定について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。」とした上で、「建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としている。
したがって、この判決は、周辺住民等に安全認定の取消訴訟の原告適格が認められないことを考慮したのではなく、安全認定の適否を争うための手続的保障が周辺住民等これを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難であること等を考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
(H24 共通 第22問 ウ)
この判決は、建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものであることを考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
この判決は、建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものであることを考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平21.12.17)は、「建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、…避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。」とした上で、「建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としている。
判例(最判平21.12.17)は、「建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、…避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。」とした上で、「建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としている。
(H24 共通 第22問 エ)
この判決は、安全認定の適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難であることを考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
この判決は、安全認定の適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難であることを考慮して、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平21.12.17)は、「安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない…。」とした上で、「建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としている。
判例(最判平21.12.17)は、「安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない…。」とした上で、「建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としている。
(H25 共通 第32問 ア)
マンションの新築の計画に関し建築基準法上の指定確認検査機関Aがした建築確認(以下「本件確認」という。)につき、同マンションの敷地の周辺に居住する者がAを被告としてその取消しを求めて訴訟(以下「本件訴訟」という。)を提起した。本件訴訟において、いわゆる違法性の承継を肯定した最高裁判所平成21年12月17日第一小法廷判決(民集63巻10号2631頁)の判示したところに従うと、本件確認に先立って東京都の特別区の区長Bが条例の規定に基づいてした接道義務についての安全認定(以下「先行処分」という。)の違法を主張することができるとされる場合の本件訴訟の審理等に関して記述として、次の記述は正しいか。
【記述】
本件訴訟において、Aが本件確認をするに当たり先行処分の適法性につき審査を尽くしたことが認められる場合は、先行処分が違法であることは、本件確認の取消事由とならない。
マンションの新築の計画に関し建築基準法上の指定確認検査機関Aがした建築確認(以下「本件確認」という。)につき、同マンションの敷地の周辺に居住する者がAを被告としてその取消しを求めて訴訟(以下「本件訴訟」という。)を提起した。本件訴訟において、いわゆる違法性の承継を肯定した最高裁判所平成21年12月17日第一小法廷判決(民集63巻10号2631頁)の判示したところに従うと、本件確認に先立って東京都の特別区の区長Bが条例の規定に基づいてした接道義務についての安全認定(以下「先行処分」という。)の違法を主張することができるとされる場合の本件訴訟の審理等に関して記述として、次の記述は正しいか。
【記述】
本件訴訟において、Aが本件確認をするに当たり先行処分の適法性につき審査を尽くしたことが認められる場合は、先行処分が違法であることは、本件確認の取消事由とならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.12.17)は、「建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして、前記のとおり、安全認定は、建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり、建築確認と結合して初めてその効果を発揮する…。」という点や、「安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない…。そうすると、安全認定について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても、その者において、安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく、建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて、その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。」という点を指摘した上で、「安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としており、行政庁が後行処分をするに当たり先行処分の適法性につき審査を尽くしたかどうかについては、違法性の承継の肯否の判断資料としていない。
したがって、同判例に従えば、本件訴訟において、Aが本件確認をするに当たり先行処分の適法性につき審査を尽くしたことが認められる場合であっても、先行処分が違法であることは、本件確認の取消事由となりうる。
判例(最判平21.12.17)は、「建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして、前記のとおり、安全認定は、建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり、建築確認と結合して初めてその効果を発揮する…。」という点や、「安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない…。そうすると、安全認定について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても、その者において、安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく、建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて、その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。」という点を指摘した上で、「安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としており、行政庁が後行処分をするに当たり先行処分の適法性につき審査を尽くしたかどうかについては、違法性の承継の肯否の判断資料としていない。
したがって、同判例に従えば、本件訴訟において、Aが本件確認をするに当たり先行処分の適法性につき審査を尽くしたことが認められる場合であっても、先行処分が違法であることは、本件確認の取消事由となりうる。
総合メモ
事業認定と収用裁決の間における違法性の承継 札幌地判平成9年3月27日
概要
収用裁決の取消訴訟において、事業認定の違法性を主張することができる。
判例
事案:土地収用法に基づく事業認定(先行行為)と収用裁決(後行行為)との間で、違法性の承継が認められるかが問題となった。
判旨:「1 前記のとおり、本件事業認定については出訴期間内に取消しの訴えが提起されることなく、現在に至っているところ、原告らは、本件事業認定が土地収用法20条3号、4号の要件を欠き、その違法が本件収用裁決に承継される旨主張し、これに対し、被告は、違法の承継そのものを争うので、本件収用裁決の適法性を検討するに当たり、出訴期間を経過し、いわば形式的に確定した本件事業認定に関する違法性を本件収用裁決の取消訴訟である本件において争い得るのかどうかについて判断する。また、争い得るとした場合、先行処分の違法性をどの時点を基準に判断すべきであるのかが問題となるので、この点についても検討することとする。
2 土地収用法に基づく事業認定と収用裁決は、両処分の主体、法律要件及び法律効果は異なるものの、両処分が相結合して、当該事業において必要とされる土地を取得するという法的効果を完成させる一連の行政行為となっているものであり、このような場合には、先行処分たる事業認定が適法になされることが、後行処分たる収用裁決の要件となり、先行処分に違法があった場合には、その違法は当然に後行処分に承継されると解するのが相当である。なぜなら、土地収用手続における法的効果の完成は、最終処分である収用裁決に留保されており、事業認定が独立の争訟の対象となっているとしても、それは、行政上の法律関係の早期確定を意図して事業認定段階で争わなければ後の収用裁決段階で争うことを排除するという趣旨によるものではなく、国民の権利利益に大きな影響を与える行政行為について、各段階に争訟の機会を設けることにより、その手続を慎重ならしめ、もって、その手続及び内容の適正を確保しようとした趣旨であると解されるからである。また、事業認定をするのが建設大臣又は都道府県知事であるのに対し、収用又は使用の裁決をするのは収用委員会であって、この収用委員会に事業認定の適否を審査する権限がないが、これは被収用者からすれば行政庁相互間の権限分配の問題にすぎないし、仮に、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有するのであれば、事業認定が違法であるにもかかわらず収用委員会がこれを適法であるとして裁決した場合、その収用裁決自体にも固有の瑕疵があるということになるので違法性の承継を認める必要がないのであって、むしろ、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有していないからこそ、違法性の承継が認められなければならないのである。このように違法性の承継が認められることによって、前記のような法の趣旨が全うされるものである。
被告は、事業認定がなされると、土地所有者等が自己の権利に係る土地が起業地の範囲に含まれることが容易に判断できる起業地表示図が長期間縦覧されること、補償に関する事項について周知措置がとられていること、起業者が用地の大半を取得してから事業認定の申請をする実情等から、事業認定に際して権利者が不服申立ての機会を失することはほとんど考えられないことを理由に、服用裁決取消訴訟において事業認定の瑕疵を主張させる必要はない旨主張する。しかしながら、法の趣旨が事業認定段階で争わなければ後の収用裁決段階で争うことを排除するというものでないことは前記のとおりであるし、事業認定は土地所有者等に個別の通知がなされることなく、単に官報に告示されるだけであり、しかもその告示内容も、起業地として字名が表示される程度であって地番等の表示はなく、また起業地表示図が縦覧に供されるとしてもその場所は市町村役場にすぎず、土地所有者等が実際に縦覧する可能性は乏しいと考えられるのである。加えて一般的に土地所有者等は自己の所有する土地等について個別に収用又は使用裁決を受けて初めてその事態の深刻さを認識するのが通常であると考えられる。これらの諸点に照らすと、実際的にも収用裁決取消訴訟において出訴期間を経過した事業認定の取消事由を主張することができるとする必要があるというべきである。被告の主張は理由がない。
3 右2のように、後行処分が先行処分の違法性を承継すると解した場合、先行処分についていつの時点を基準にして違法性を判断すべきか、すなわち先行処分時か、それとも承継した後行処分時かが検討されなければならない。なぜなら、本件の場合は、事業認定が昭和61年12月16日になされているのに対し、収用裁決は平成元年2月3日になされ、その間に約2年3か月の期間の経過があり、事実関係等が変化していることも考えられるからである。
抗告訴訟が行政庁の処分の事後審査を本質とするものであり、本件のように事業認定と収用裁決の場合、後行の収用裁決を行う収用委員会には先行する事業認定の適否について審査する権限がないのであるから、先行処分の適否は、その処分当時の、いわば塩漬けされた状態で後行処分の適否の要素となっていると考えることができる。したがって、先行処分の適否は先行処分がなされた当時を基準として判断すべきものである。このように考えないと、先行処分時に存在せず、行政庁において考慮し得なかった事実関係に基づいて裁判所が先行処分の適法性を判断することとなり、行政庁の第一次判断権を奪うことになり、相当でない。右説示のとおりであるから、本件において先行する本件事業認定の違法判断の基準時は、本件事業認定時と解するのが相当である。
したがって、本件事業認定の適否を判断するに際しては、右認定処分時に存在していた事実等を基礎とし、右処分後の事実は、その処分当時の事情を推認する間接事実等として役立つ限りにおいて斟酌することとなる。
4 右のとおり、収用裁決に事業認定段階における違法性が承継されるから収用裁決取消訴訟である本件において、本件事業認定段階における違法性を争い得るし、その違法性は本件事業認定時を基準として判断されることになる。」
判旨:「1 前記のとおり、本件事業認定については出訴期間内に取消しの訴えが提起されることなく、現在に至っているところ、原告らは、本件事業認定が土地収用法20条3号、4号の要件を欠き、その違法が本件収用裁決に承継される旨主張し、これに対し、被告は、違法の承継そのものを争うので、本件収用裁決の適法性を検討するに当たり、出訴期間を経過し、いわば形式的に確定した本件事業認定に関する違法性を本件収用裁決の取消訴訟である本件において争い得るのかどうかについて判断する。また、争い得るとした場合、先行処分の違法性をどの時点を基準に判断すべきであるのかが問題となるので、この点についても検討することとする。
2 土地収用法に基づく事業認定と収用裁決は、両処分の主体、法律要件及び法律効果は異なるものの、両処分が相結合して、当該事業において必要とされる土地を取得するという法的効果を完成させる一連の行政行為となっているものであり、このような場合には、先行処分たる事業認定が適法になされることが、後行処分たる収用裁決の要件となり、先行処分に違法があった場合には、その違法は当然に後行処分に承継されると解するのが相当である。なぜなら、土地収用手続における法的効果の完成は、最終処分である収用裁決に留保されており、事業認定が独立の争訟の対象となっているとしても、それは、行政上の法律関係の早期確定を意図して事業認定段階で争わなければ後の収用裁決段階で争うことを排除するという趣旨によるものではなく、国民の権利利益に大きな影響を与える行政行為について、各段階に争訟の機会を設けることにより、その手続を慎重ならしめ、もって、その手続及び内容の適正を確保しようとした趣旨であると解されるからである。また、事業認定をするのが建設大臣又は都道府県知事であるのに対し、収用又は使用の裁決をするのは収用委員会であって、この収用委員会に事業認定の適否を審査する権限がないが、これは被収用者からすれば行政庁相互間の権限分配の問題にすぎないし、仮に、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有するのであれば、事業認定が違法であるにもかかわらず収用委員会がこれを適法であるとして裁決した場合、その収用裁決自体にも固有の瑕疵があるということになるので違法性の承継を認める必要がないのであって、むしろ、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有していないからこそ、違法性の承継が認められなければならないのである。このように違法性の承継が認められることによって、前記のような法の趣旨が全うされるものである。
被告は、事業認定がなされると、土地所有者等が自己の権利に係る土地が起業地の範囲に含まれることが容易に判断できる起業地表示図が長期間縦覧されること、補償に関する事項について周知措置がとられていること、起業者が用地の大半を取得してから事業認定の申請をする実情等から、事業認定に際して権利者が不服申立ての機会を失することはほとんど考えられないことを理由に、服用裁決取消訴訟において事業認定の瑕疵を主張させる必要はない旨主張する。しかしながら、法の趣旨が事業認定段階で争わなければ後の収用裁決段階で争うことを排除するというものでないことは前記のとおりであるし、事業認定は土地所有者等に個別の通知がなされることなく、単に官報に告示されるだけであり、しかもその告示内容も、起業地として字名が表示される程度であって地番等の表示はなく、また起業地表示図が縦覧に供されるとしてもその場所は市町村役場にすぎず、土地所有者等が実際に縦覧する可能性は乏しいと考えられるのである。加えて一般的に土地所有者等は自己の所有する土地等について個別に収用又は使用裁決を受けて初めてその事態の深刻さを認識するのが通常であると考えられる。これらの諸点に照らすと、実際的にも収用裁決取消訴訟において出訴期間を経過した事業認定の取消事由を主張することができるとする必要があるというべきである。被告の主張は理由がない。
3 右2のように、後行処分が先行処分の違法性を承継すると解した場合、先行処分についていつの時点を基準にして違法性を判断すべきか、すなわち先行処分時か、それとも承継した後行処分時かが検討されなければならない。なぜなら、本件の場合は、事業認定が昭和61年12月16日になされているのに対し、収用裁決は平成元年2月3日になされ、その間に約2年3か月の期間の経過があり、事実関係等が変化していることも考えられるからである。
抗告訴訟が行政庁の処分の事後審査を本質とするものであり、本件のように事業認定と収用裁決の場合、後行の収用裁決を行う収用委員会には先行する事業認定の適否について審査する権限がないのであるから、先行処分の適否は、その処分当時の、いわば塩漬けされた状態で後行処分の適否の要素となっていると考えることができる。したがって、先行処分の適否は先行処分がなされた当時を基準として判断すべきものである。このように考えないと、先行処分時に存在せず、行政庁において考慮し得なかった事実関係に基づいて裁判所が先行処分の適法性を判断することとなり、行政庁の第一次判断権を奪うことになり、相当でない。右説示のとおりであるから、本件において先行する本件事業認定の違法判断の基準時は、本件事業認定時と解するのが相当である。
したがって、本件事業認定の適否を判断するに際しては、右認定処分時に存在していた事実等を基礎とし、右処分後の事実は、その処分当時の事情を推認する間接事実等として役立つ限りにおいて斟酌することとなる。
4 右のとおり、収用裁決に事業認定段階における違法性が承継されるから収用裁決取消訴訟である本件において、本件事業認定段階における違法性を争い得るし、その違法性は本件事業認定時を基準として判断されることになる。」
過去問・解説
(H27 予備 第14問 イ)
土地収用法による土地収用は、国土交通大臣又は都道府県知事が起業者(土地収用を必要とする事業を行う者)からの申請に対して行う事業認定と、それに続く都道府県の収用委員会による収用裁決とを経て行われるところ、事業認定が都道府県知事により行われた場合に、収用裁決の取消訴訟において原告は事業認定の違法性を主張できるという考え方を採るとしても、事業認定が国土交通大臣により行われた場合には、そのような違法性の主張を認めることはできない。
なお、ここでいう「事業認定の違法性」は、事業認定の無効事由には当たらない違法事由を指すものとする。
土地収用法による土地収用は、国土交通大臣又は都道府県知事が起業者(土地収用を必要とする事業を行う者)からの申請に対して行う事業認定と、それに続く都道府県の収用委員会による収用裁決とを経て行われるところ、事業認定が都道府県知事により行われた場合に、収用裁決の取消訴訟において原告は事業認定の違法性を主張できるという考え方を採るとしても、事業認定が国土交通大臣により行われた場合には、そのような違法性の主張を認めることはできない。
なお、ここでいう「事業認定の違法性」は、事業認定の無効事由には当たらない違法事由を指すものとする。
(正答)✕
(解説)
確かに、平成21年判決(最判平21.12.17)は、安全認定と建築確認の間における違法性の承継を認める際に、「建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。」として、判断機関の同一性ないし一体性を考慮している。
しかし他方で、平成9年判決(札幌地判平9.3.27)は、事業認定と収用裁決の間における違法性の承継を認める際に、「事業認定をするのが建設大臣又は都道府県知事であるのに対し、収用又は使用の裁決をするのは収用委員会であって、この収用委員会に事業認定の適否を審査する権限がないが、これは被収用者からすれば行政庁相互間の権限分配の問題にすぎないし、仮に、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有するのであれば、事業認定が違法であるにもかかわらず収用委員会がこれを適法であるとして裁決した場合、その収用裁決自体にも固有の瑕疵があるということになるので違法性の承継を認める必要がないのであって、むしろ、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有していないからこそ、違法性の承継が認められなければならないのである。このように違法性の承継が認められることによって、前記のような法の趣旨が全うされるものである。」と述べている。
したがって、事業認定が国土交通大臣により行われた場合には、収用裁決の取消訴訟において原告は事業認定の違法性を主張できるという考え方を採ることができる。
確かに、平成21年判決(最判平21.12.17)は、安全認定と建築確認の間における違法性の承継を認める際に、「建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。」として、判断機関の同一性ないし一体性を考慮している。
しかし他方で、平成9年判決(札幌地判平9.3.27)は、事業認定と収用裁決の間における違法性の承継を認める際に、「事業認定をするのが建設大臣又は都道府県知事であるのに対し、収用又は使用の裁決をするのは収用委員会であって、この収用委員会に事業認定の適否を審査する権限がないが、これは被収用者からすれば行政庁相互間の権限分配の問題にすぎないし、仮に、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有するのであれば、事業認定が違法であるにもかかわらず収用委員会がこれを適法であるとして裁決した場合、その収用裁決自体にも固有の瑕疵があるということになるので違法性の承継を認める必要がないのであって、むしろ、収用委員会が事業認定の適否を審査する権限を有していないからこそ、違法性の承継が認められなければならないのである。このように違法性の承継が認められることによって、前記のような法の趣旨が全うされるものである。」と述べている。
したがって、事業認定が国土交通大臣により行われた場合には、収用裁決の取消訴訟において原告は事業認定の違法性を主張できるという考え方を採ることができる。
(H27 予備 第14問 ウ)
土地収用法による土地収用は、国土交通大臣又は都道府県知事が起業者(土地収用を必要とする事業を行う者)からの申請に対して行う事業認定と、それに続く都道府県の収用委員会による収用裁決とを経て行われるところ、収用裁決の取消訴訟において原告は都道府県知事による事業認定の違法性を主張できるという考え方を採る場合には、都道府県知事による事業認定の処分性を認めることはできない。なお、ここでいう「事業認定の違法性」は、事業認定の無効事由には当たらない違法事由を指すものとする。
土地収用法による土地収用は、国土交通大臣又は都道府県知事が起業者(土地収用を必要とする事業を行う者)からの申請に対して行う事業認定と、それに続く都道府県の収用委員会による収用裁決とを経て行われるところ、収用裁決の取消訴訟において原告は都道府県知事による事業認定の違法性を主張できるという考え方を採る場合には、都道府県知事による事業認定の処分性を認めることはできない。なお、ここでいう「事業認定の違法性」は、事業認定の無効事由には当たらない違法事由を指すものとする。
(正答)✕
(解説)
収用裁決の取消訴訟において原告は都道府県知事による事業認定の違法性を主張できる場合には、①事業認定と収用裁決の双方に処分性が認められるとした上で、違法性の承継を認める場合と、②事業認定の処分性が認められないとして、違法性の承継を問題とするまでもなく、収用裁決の取消訴訟において事業認定の違法性を主張できるとなる場合の2つがある。このように、事業認定に処分性が認められる場合であっても、違法性の承継を認めることにより、収用裁決の取消訴訟において原告は都道府県知事による事業認定の違法性を主張できるという考え方を採ることが可能である。
なお、裁判例(札幌地判平9.3.27)では、事業認定に処分性が認められることを前提として、事業認定と収用裁決の間における違法性の承継を認めている。
収用裁決の取消訴訟において原告は都道府県知事による事業認定の違法性を主張できる場合には、①事業認定と収用裁決の双方に処分性が認められるとした上で、違法性の承継を認める場合と、②事業認定の処分性が認められないとして、違法性の承継を問題とするまでもなく、収用裁決の取消訴訟において事業認定の違法性を主張できるとなる場合の2つがある。このように、事業認定に処分性が認められる場合であっても、違法性の承継を認めることにより、収用裁決の取消訴訟において原告は都道府県知事による事業認定の違法性を主張できるという考え方を採ることが可能である。
なお、裁判例(札幌地判平9.3.27)では、事業認定に処分性が認められることを前提として、事業認定と収用裁決の間における違法性の承継を認めている。