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国家賠償制度(国家賠償法1条1項 | 「その職務を行うについて」)
「公務員がその職務を行うについて」の判断基準(外形標準説) 最二小判昭和31年11月30日
概要
公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず、自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって他人に損害を加えたときは、国家賠償法1条にいう公務員が職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたる。
判例
事案:公務員が自己の利をはかる意図をもって違法に他人に損害を加えた場合、国家賠償法1条1項にいう「その職務を行うについて」といえるかが問題となった。
判旨:「原判決は、その理由において、国家賠償法第1条の職務執行とは、その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもって、この場合の職務執行なりとするのほかないのであるとし、即ち、同条の適用を見るがためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行につき、違法に他人に損害を加えた場合に限るとの解釈を排斥し、本件において、梅津巡査がもっぱら自己の利をはかる目的で警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で、同人を射殺して、その目的をとげた、判示のごとき職権濫用の所為をもって、同条にいわゆる職務執行について違法に他人に損害を加えたときに該当するものと解したのであるが、同条に関する右の解釈は正当であるといわなければならない。けだし、同条は公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきであるからである。」
判旨:「原判決は、その理由において、国家賠償法第1条の職務執行とは、その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもって、この場合の職務執行なりとするのほかないのであるとし、即ち、同条の適用を見るがためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行につき、違法に他人に損害を加えた場合に限るとの解釈を排斥し、本件において、梅津巡査がもっぱら自己の利をはかる目的で警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で、同人を射殺して、その目的をとげた、判示のごとき職権濫用の所為をもって、同条にいわゆる職務執行について違法に他人に損害を加えたときに該当するものと解したのであるが、同条に関する右の解釈は正当であるといわなければならない。けだし、同条は公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきであるからである。」
過去問・解説
(H18 司法 第21問 ウ)
国家賠償法第1条の「その職務を行うについて」に該当するためには、少なくとも公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合であることを要するから、公務員が私利私欲を図る意図をもって職権を濫用し、その結果他人に損害を与えたとしても、当該公務員個人の損害賠償責任が生ずるにとどまり、国又は公共団体が賠償責任を負うことはない。
国家賠償法第1条の「その職務を行うについて」に該当するためには、少なくとも公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合であることを要するから、公務員が私利私欲を図る意図をもって職権を濫用し、その結果他人に損害を与えたとしても、当該公務員個人の損害賠償責任が生ずるにとどまり、国又は公共団体が賠償責任を負うことはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭31.11.30)は、「国家賠償法第1条の職務執行とは、その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもって、この場合の職務執行なりとするのほかないのであるとし、即ち、同条の適用を見るがためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行につき、違法に他人に損害を加えた場合に限るとの解釈を排斥し…巡査がもっぱら自己の利をはかる目的で警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で、同人を射殺して、その目的をとげた、判示のごとき職権濫用の所為をもって、同条にいわゆる職務執行について違法に他人に損害を加えたときに該当するもの…。」とした原審の判断を正当であるとした上で、「公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべき…である。」と理由づけている。
したがって、国又は公共団体も責任を負い得る。
判例(最判昭31.11.30)は、「国家賠償法第1条の職務執行とは、その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもって、この場合の職務執行なりとするのほかないのであるとし、即ち、同条の適用を見るがためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行につき、違法に他人に損害を加えた場合に限るとの解釈を排斥し…巡査がもっぱら自己の利をはかる目的で警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で、同人を射殺して、その目的をとげた、判示のごとき職権濫用の所為をもって、同条にいわゆる職務執行について違法に他人に損害を加えたときに該当するもの…。」とした原審の判断を正当であるとした上で、「公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべき…である。」と理由づけている。
したがって、国又は公共団体も責任を負い得る。
(H25 予備 第22問 イ)
国家賠償法第1条第1項にいう「その職務を行うについて」に当たるのは、公務員が権限行使の意思をもって行為をした場合に限られ、公務員が自己の利を図る意図をもって行為をした場合は、これに当たらない。
国家賠償法第1条第1項にいう「その職務を行うについて」に当たるのは、公務員が権限行使の意思をもって行為をした場合に限られ、公務員が自己の利を図る意図をもって行為をした場合は、これに当たらない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭31.11.30)は、国家賠償法1条1項について、「公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべき…である。」としている。
したがって、公務員が自己の利を図る意図をもってした行為についても、「その職務を行うについて」に当たる場合がある。
判例(最判昭31.11.30)は、国家賠償法1条1項について、「公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべき…である。」としている。
したがって、公務員が自己の利を図る意図をもってした行為についても、「その職務を行うについて」に当たる場合がある。
(H30 予備 第23問 ウ)
国家賠償法第1条第1項の「その職務を行うについて」とは、少なくとも公務員が主観的に権限行使の意思を有して、当該権限行使を行う場合に限られるから、客観的に職務執行の外形を備える行為によって、他人に損害を加えた場合であっても、当該公務員に権限行使の意思が認められない場合には、当該公務員個人の損害賠償責任は別として、国家賠償責任は認められない。
国家賠償法第1条第1項の「その職務を行うについて」とは、少なくとも公務員が主観的に権限行使の意思を有して、当該権限行使を行う場合に限られるから、客観的に職務執行の外形を備える行為によって、他人に損害を加えた場合であっても、当該公務員に権限行使の意思が認められない場合には、当該公務員個人の損害賠償責任は別として、国家賠償責任は認められない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭31.11.30)は、「公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべき…である。」としている。
したがって、当該公務員に権限行使の意思が認められない場合にも、国家賠償請求が認められ得る。
判例(最判昭31.11.30)は、「公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべき…である。」としている。
したがって、当該公務員に権限行使の意思が認められない場合にも、国家賠償請求が認められ得る。
(R4 予備 第23問 イ)
警察官が専ら自己の利を図る目的で職務執行を装って私人Aに職務質問をし、犯罪の証拠物名義で預かった所持品を不法に領得するため拳銃でAを射殺した事案につき、警察官の上記行為は客観的に職務執行の外形を備えているから、国家賠償法第1条第1項にいう公務員が「その職務を行うについて」違法に他人に損害を加えたときに該当する。
警察官が専ら自己の利を図る目的で職務執行を装って私人Aに職務質問をし、犯罪の証拠物名義で預かった所持品を不法に領得するため拳銃でAを射殺した事案につき、警察官の上記行為は客観的に職務執行の外形を備えているから、国家賠償法第1条第1項にいう公務員が「その職務を行うについて」違法に他人に損害を加えたときに該当する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭31.11.30)は、本肢と同種の事案において、「原判決は、その理由において、国家賠償法第1条の職務執行とは、その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもって、この場合の職務執行なりとするのほかないのであるとし、即ち、同条の適用を見るがためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行につき、違法に他人に損害を加えた場合に限るとの解釈を排斥し、本件において、梅津巡査がもっぱら自己の利をはかる目的で警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で、同人を射殺して、その目的をとげた、判示のごとき職権濫用の所為をもって、同条にいわゆる職務執行について違法に他人に損害を加えたときに該当するものと解したのであるが、同条に関する右の解釈は正当であるといわなければならない。けだし、同条は公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきであるからである。」としている。
したがって、本肢における警察官の行為は客観的に職務執行の外形を備えているから、国家賠償法第1条第1項にいう公務員が「その職務を行うについて」違法に他人に損害を加えたときに該当することになる。
判例(最判昭31.11.30)は、本肢と同種の事案において、「原判決は、その理由において、国家賠償法第1条の職務執行とは、その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもって、この場合の職務執行なりとするのほかないのであるとし、即ち、同条の適用を見るがためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行につき、違法に他人に損害を加えた場合に限るとの解釈を排斥し、本件において、梅津巡査がもっぱら自己の利をはかる目的で警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で、同人を射殺して、その目的をとげた、判示のごとき職権濫用の所為をもって、同条にいわゆる職務執行について違法に他人に損害を加えたときに該当するものと解したのであるが、同条に関する右の解釈は正当であるといわなければならない。けだし、同条は公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきであるからである。」としている。
したがって、本肢における警察官の行為は客観的に職務執行の外形を備えているから、国家賠償法第1条第1項にいう公務員が「その職務を行うについて」違法に他人に損害を加えたときに該当することになる。