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行政法 旧薬事法施行規則による第一類医薬品・第二類医薬品の郵便等販売の一律禁止の法適合性 最二小判平成25年1月11日

概要
薬事法施行規則15条の4第1項1号(同規則142条において準用する場合)、159条の14第1項及び2項本文、159条の15第1項1号並びに159条の17第1号及び2号の各規定は、一般用医薬品のうち第1類医薬品及び第2類医薬品につき、店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売又は授与を一律に禁止することとなる限度において、薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である。
判例
事案:薬事法施行規則等の一部を改正する省令により、郵便等販売を行う場合は、第一類・第二類医薬品の販売又は授与は行わない旨の規定が設けられたことについて、インターネットを通じた医薬品販売を行う事業者であるXが、上記改正省令は、新薬事法の委任の範囲外の規制を定めるものであって違法である等として、Yに対し、第一類・第二類医薬品につき郵便等販売をすることができる権利の確認等を求めた事案において、上記改正省令が新薬事法の委任の範囲内であるかどうかが問題となった。

判旨:「新薬事法成立の前後を通じてインターネットを通じた郵便等販売に対する需要は現実に相当程度存在していた上、郵便等販売を広範に制限することに反対する意見は一般の消費者のみならず専門家・有識者等の間にも少なからず見られ、また、政府部内においてすら、一般用医薬品の販売又は授与の方法として安全面で郵便等販売が対面販売より劣るとの知見は確立されておらず、薬剤師が配置されていない事実に直接起因する一般用医薬品の副作用等による事故も報告されていないとの認識を前提に、消費者の利便性の見地からも、一般用医薬品の販売又は授与の方法を店舗における対面によるものに限定すべき理由には乏しいとの趣旨の見解が根強く存在していたものといえる。しかも、憲法22条1項による保障は、狭義における職業選択の自由のみならず職業活動の自由の保障をも包含しているものと解されるところ(最高裁昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁参照)、旧薬事法の下では違法とされていなかった郵便等販売に対する新たな規制は、郵便等販売をその事業の柱としてきた者の職業活動の自由を相当程度制約するものであることが明らかである。これらの事情の下で、厚生労働大臣が制定した郵便等販売を規制する新施行規則の規定が、これを定める根拠となる新薬事法の趣旨に適合するもの(行政手続法38条1項)であり、その委任の範囲を逸脱したものではないというためには、立法過程における議論をもしんしゃくした上で、新薬事法36条の5及び36条の6を始めとする新薬事法中の諸規定を見て、そこから、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が、上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要するものというべきである。
 しかるところ、新施行規則による規制は、前記…のとおり一般用医薬品の過半を占める第1類医薬品及び第2類医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止する内容のものである。これに対し、新薬事法36条の5及び36条の6は、いずれもその文理上は郵便等販売の規制並びに店舗における販売、授与及び情報提供を対面で行うことを義務付けていないことはもとより、その必要性等について明示的に触れているわけでもなく、医薬品に係る販売又は授与の方法等の制限について定める新薬事法37条1項も、郵便等販売が違法とされていなかったことの明らかな旧薬事法当時から実質的に改正されていない。また、新薬事法の他の規定中にも、店舗販売業者による一般用医薬品の販売又は授与やその際の情報提供の方法を原則として店舗における対面によるものに限るべきであるとか、郵便等販売を規制すべきであるとの趣旨を明確に示すものは存在しない。なお、検討部会における議論及びその成果である検討部会報告書並びにこれらを踏まえた新薬事法に係る法案の国会審議等において、郵便等販売の安全性に懐疑的な意見が多く出されたのは上記事実関係等のとおりであるが、それにもかかわらず郵便等販売に対する新薬事法の立場は上記のように不分明であり、その理由が立法過程での議論を含む上記事実関係等からも全くうかがわれないことからすれば、そもそも国会が新薬事法を可決するに際して第1類医薬品及び第2類医薬品に係る郵便等販売を禁止すべきであるとの意思を有していたとはいい難い。そうすると、新薬事法の授権の趣旨が、第1類医薬品及び第2類医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止する旨の省令の制定までをも委任するものとして、上記規制の範囲や程度等に応じて明確であると解するのは困難であるというべきである。
 したがって、新施行規則のうち、店舗販売業者に対し、一般用医薬品のうち第1類医薬品及び第2類医薬品について、① 当該店舗において対面で販売させ又は授与させなければならない(159条の14第1項、2項本文)ものとし、② 当該店舗内の情報提供を行う場所において情報の提供を対面により行わせなければならない(159条の15第1項1号、159条の17第1号、2号)ものとし、③郵便等販売をしてはならない(142条、15条の4第1項1号)ものとした各規定は、いずれも上記各医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止することとなる限度において、新薬事法の趣旨に適合するものではなく、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。」
過去問・解説
(H28 予備 第13問 ア)
最高裁判所平成25年1月11日第2小法廷判決(民集67巻1号1頁。以下「本判決」という。)は、一般用医薬品のうち第1類医薬品及び第2類医薬品について、インターネット販売を含む郵便等販売を規制する薬事法施行規則(平成26年厚生労働省令第8号による改正前のもの。以下「本件施行規則」という。)の薬事法(平成25年法律第103号による改正前のもの。以下同じ。)への適合性について判断した判決である。問題となった本件施行規則は、第1類医薬品及び第2類医薬品につき、店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便等販売を一律に禁止するものであった。
本判決は、当事者訴訟(行政事件訴訟法第4条後段)として、原告が第1類医薬品及び第2類医薬品につき郵便等販売をすることができる権利(地位)を有することの確認を求める訴えを適法に提起することができることを前提としたものである。

【参照条文】薬事法(平成25年法律第103号による改正前のもの)
(一般用医薬品の区分)
第36条の3 一般用医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)は、次のように区分する。
 一 第1類医薬品その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの及びその製造販売の承認の申請に際して第14条第8項第1号に該当するとされた医薬品(注:既に製造販売の承認を与えられている医薬品と、有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なるとされた医薬品)であつて当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
 二 第2類医薬品その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第1類医薬品を除く。)であつて厚生労働大臣が指定するもの
 三 第3類医薬品第1類医薬品及び第2類医薬品以外の一般用医薬品
2、3 (略)

(正答)

(解説)
判例(最判平25.1.11)は、「新施行規則の上記各規定にかかわらず第一類医薬品及び第二類医薬品に係る郵便等販売をすることができる権利ないし地位を有することの確認を求める被上告人らの請求を認容した原審の判断は、結論において是認することができる。」としている。
認容判決をすることが是認されているということは、訴訟要件も満たしているということである。
したがって、本判決は、当事者訴訟として、原告が第1類医薬品及び第2類医薬品につき郵便等販売をすることができる権利(地位)を有することの確認を求める訴えを適法に提起することができることを前提としたものであるといえる。

(H28 予備 第13問 イ)
最高裁判所平成25年1月11日第2小法廷判決(民集67巻1号1頁。以下「本判決」という。)は、一般用医薬品のうち第1類医薬品及び第2類医薬品について、インターネット販売を含む郵便等販売を規制する薬事法施行規則(平成26年厚生労働省令第8号による改正前のもの。以下「本件施行規則」という。)の薬事法(平成25年法律第103号による改正前のもの。以下同じ。)への適合性について判断した判決である。問題となった本件施行規則は、第1類医薬品及び第2類医薬品につき、店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便等販売を一律に禁止するものであった。
本判決は、一般用医薬品の郵便等販売の規制を本件施行規則に委任することについて、授権する薬事法の規定がある程度不明確であったとしても、行政庁には専門技術的な観点からの一定の裁量権が認められているから、一般用医薬品の郵便等販売を規制する本件施行規則を制定することが許されるとしたものである。

(正答)

(解説)
判例(最判平25.1.11)は、「厚生労働大臣が制定した郵便等販売を規制する新施行規則の規定が、これを定める根拠となる新薬事法の趣旨に適合するもの(行政手続法38条1項)であり、その委任の範囲を逸脱したものではないというためには、立法過程における議論をもしんしゃくした上で、新薬事法36条の5及び36条の6を始めとする新薬事法中の諸規定を見て、そこから、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が、上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要するものというべきである。」としている。
したがって、授権する薬事法の規定がある程度不明確であった場合、一般用医薬品の郵便等販売を規制する本件施行規則を制定することは許されない。

(H28 予備 第13問 ウ)
最高裁判所平成25年1月11日第2小法廷判決(民集67巻1号1頁。以下「本判決」という。)は、一般用医薬品のうち第1類医薬品及び第2類医薬品について、インターネット販売を含む郵便等販売を規制する薬事法施行規則(平成26年厚生労働省令第8号による改正前のもの。以下「本件施行規則」という。)の薬事法(平成25年法律第103号による改正前のもの。以下同じ。)への適合性について判断した判決である。問題となった本件施行規則は、第1類医薬品及び第2類医薬品につき、店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便等販売を一律に禁止するものであった。
本判決は、薬事法の規定の趣旨を考慮する際には、薬事法の立法過程で一般用医薬品を店舗において対面で販売する必要性が強調されていたなどの立法過程における議論を考慮してはならないとしたものである。

(正答)

(解説)
判例(最判平25.1.11)は、「厚生労働大臣が制定した郵便等販売を規制する新施行規則の規定が、これを定める根拠となる新薬事法の趣旨に適合するもの(行政手続法38条1項)であり、その委任の範囲を逸脱したものではないというためには、立法過程における議論をもしんしゃくした上で、新薬事法36条の5及び36条の6を始めとする新薬事法中の諸規定を見て、そこから、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が、上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要するものというべきである。」として、立法過程における議論も考慮している。
したがって、薬事法の規定の趣旨を考慮する際には、立法過程における議論を考慮することができる。

(H28 予備 第13問 エ)
最高裁判所平成25年1月11日第2小法廷判決(民集67巻1号1頁。以下「本判決」という。)は、一般用医薬品のうち第1類医薬品及び第2類医薬品について、インターネット販売を含む郵便等販売を規制する薬事法施行規則(平成26年厚生労働省令第8号による改正前のもの。以下「本件施行規則」という。)の薬事法(平成25年法律第103号による改正前のもの。以下同じ。)への適合性について判断した判決である。問題となった本件施行規則は、第1類医薬品及び第2類医薬品につき、店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便等販売を一律に禁止するものであった。
本判決は、従前違法とされていなかった第1類医薬品及び第2類医薬品の郵便等販売を一律に禁止する本件施行規則は、職業活動の自由を相当程度制約するものであるから、憲法第22条第1項に違反すると判示したものである。

(正答)

(解説)
判例(最判平25.1.11)は、「新施行規則のうち、店舗販売業者に対し、一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品について、…郵便等販売をしてはならない(142条、15条の4第1項1号)ものとした各規定は、…上記各医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止することとなる限度において、新薬事法の趣旨に適合するものではなく、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。」としている。
したがって、本件施行規則は、憲法第22条第1項に違反するとまではいえない。
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