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行政法 農地買収計画を取り消した訴願裁決を裁決庁が自ら取り消すこと(職権取消し)の適否 最一小判昭和29年1月21日
概要
行政庁のした裁決が当初から違法であった場合であっても、裁決は実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものであるから、かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異なり、特別の規定がない限り、裁決庁みずからにおいて取り消すことはできない。
判例
事案:村の農地委員会が農地を不耕作地であるとして樹立した買収計画について、Xの訴願に基づき耕作地であると認め買収計画から除外しなければならない旨の本件裁決をした上で、その後認定は誤りであったとして本件農地を不耕作地であるとして本件裁決を取り消したことから、XがYに対し、処分の取消しを求めて提訴した事案において、農地買収計画を取り消した訴願裁決を裁決庁が自ら取り消すことができるかが問題となった。
判旨:「本件裁決は、…農地委員会が立てた農地の買収計画に対し被上告人が申立てた異議の却下決定に対し、一旦なされた被上告人の主張を認める裁決を取消したものである。この裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。憲法76条2項後段によれば、『行政機関は、終審として裁判を行うことができない』のであって、終審としては、裁判所が裁判を行うが、行政機関をして前審として裁判を行わしめることは、何等差支えないのである。本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行っているのであるが、行政機関がするのであるから行政処分に属するわけである。かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする。」
判旨:「本件裁決は、…農地委員会が立てた農地の買収計画に対し被上告人が申立てた異議の却下決定に対し、一旦なされた被上告人の主張を認める裁決を取消したものである。この裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。憲法76条2項後段によれば、『行政機関は、終審として裁判を行うことができない』のであって、終審としては、裁判所が裁判を行うが、行政機関をして前審として裁判を行わしめることは、何等差支えないのである。本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行っているのであるが、行政機関がするのであるから行政処分に属するわけである。かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H26 共通 第22問 ウ)
行政庁は、自らのした行政処分が当初から違法であったことを後日認識したときは、取消しを認める旨の明文規定の有無を問わず、また、争訟を裁断する行政処分であっても、当該行政処分を自ら取り消すことができる。
行政庁は、自らのした行政処分が当初から違法であったことを後日認識したときは、取消しを認める旨の明文規定の有無を問わず、また、争訟を裁断する行政処分であっても、当該行政処分を自ら取り消すことができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、本肢と同種の事案において、「本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行っているのであるが、行政機関がするのであるから行政処分に属するわけである。かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできない…。」としている。
判例(最判昭29.1.21)は、本肢と同種の事案において、「本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行っているのであるが、行政機関がするのであるから行政処分に属するわけである。かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできない…。」としている。
(H30 予備 第14問 ウ)
行政庁がある農地について農地買収計画を定めたが、裁決庁が当該農地の所有者からの不服申立てにより当該農地買収計画から当該農地を除外する旨の裁決を行い確定したという事例において、当該裁決は、実質的には法律上の争訟を裁判するものであることから、特別の規定がない限り、裁決庁が自ら取り消すことはできない。なお、当該裁決では、一定の争訟手続に従い、当事者を手続に関与させて、紛争の終局的解決を図ることを目的として、実質的には法律上の争訟を裁判していたものと認められることを前提とする。
行政庁がある農地について農地買収計画を定めたが、裁決庁が当該農地の所有者からの不服申立てにより当該農地買収計画から当該農地を除外する旨の裁決を行い確定したという事例において、当該裁決は、実質的には法律上の争訟を裁判するものであることから、特別の規定がない限り、裁決庁が自ら取り消すことはできない。なお、当該裁決では、一定の争訟手続に従い、当事者を手続に関与させて、紛争の終局的解決を図ることを目的として、実質的には法律上の争訟を裁判していたものと認められることを前提とする。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、本肢と同種の事案において、「本件裁決は、…実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。」とした上で、「裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、…裁決庁自らにおいて取消すことはできない…。」としている。
判例(最判昭29.1.21)は、本肢と同種の事案において、「本件裁決は、…実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。」とした上で、「裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、…裁決庁自らにおいて取消すことはできない…。」としている。
(R3 予備 第14問 ウ)
裁決庁が、一定の争訟手続に従って、当事者を手続に関与させて、紛争の終局的解決を図ることを目的とする裁決をした後に当該裁決の誤りに気が付いた場合、特別の規定がなくとも当該裁決を取り消すことは可能であるが、取消しによって生ずる不利益と、取消しをしないことによる不利益とを比較考量し、当該裁決を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当と認められることが必要となる。
裁決庁が、一定の争訟手続に従って、当事者を手続に関与させて、紛争の終局的解決を図ることを目的とする裁決をした後に当該裁決の誤りに気が付いた場合、特別の規定がなくとも当該裁決を取り消すことは可能であるが、取消しによって生ずる不利益と、取消しをしないことによる不利益とを比較考量し、当該裁決を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当と認められることが必要となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、…裁決庁自らにおいて取消すことはできない…。」としている。
したがって、特別の規定がなくとも当該裁決を取り消すことが可能であるとはいえない。
判例(最判昭29.1.21)は、「裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、…裁決庁自らにおいて取消すことはできない…。」としている。
したがって、特別の規定がなくとも当該裁決を取り消すことが可能であるとはいえない。