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行政法 給水拒否に関する水道法15条1項にいう「正当の事由」 最二小決平成元年11月8日
概要
市の宅地開発指導要綱を遵守させるため給水契約の締結を留保した行為は、水道法15条1項にいう給水契約の締結を拒んだ行為にあたるとされ、給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長するような事情にもならないとして、このような場合に給水契約の締結を拒むことは水道法15条1項にいう給水契約を拒みうる「正当の理由」にはあたらない。
判例
事案:水道事業者であるXが、市の宅地開発指導要綱に従わなかったところ、水道法15条1項にいう給水契約の締結を拒んだ行為にあたるとして、市が、Xとの給水契約の締結を拒んだ事案において、宅地開発指導要綱に従わなかったことが水道法15条1項の「正当な理由」に当たるかが問題となった。
判旨:「原判決の認定によると、被告人らが本件マンションを建設中の山基建設及びその購入者から提出された給水契約の申込書を受領することを拒絶した時期には、既に、山基建設は、武蔵野市の宅地開発に関する指導要綱に基づく行政指導には従わない意思を明確に表明し、マンションの購入者も、入居に当たり給水を現実に必要としていたというのである。そうすると、原判決が、このような時期に至ったときは、水道法上給水契約の締結を義務づけられている水道事業者としては、たとえ右の指導要綱を事業主に順守させるため行政指導を継続する必要があったとしても、これを理由として事業主らとの給水契約の締結を留保することは許されないというべきであるから、これを留保した被告人らの行為は、給水契約の締約を拒んだ行為に当たると判断したのは、是認することができる。 また、原判決の認定によると、被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」
判旨:「原判決の認定によると、被告人らが本件マンションを建設中の山基建設及びその購入者から提出された給水契約の申込書を受領することを拒絶した時期には、既に、山基建設は、武蔵野市の宅地開発に関する指導要綱に基づく行政指導には従わない意思を明確に表明し、マンションの購入者も、入居に当たり給水を現実に必要としていたというのである。そうすると、原判決が、このような時期に至ったときは、水道法上給水契約の締結を義務づけられている水道事業者としては、たとえ右の指導要綱を事業主に順守させるため行政指導を継続する必要があったとしても、これを理由として事業主らとの給水契約の締結を留保することは許されないというべきであるから、これを留保した被告人らの行為は、給水契約の締約を拒んだ行為に当たると判断したのは、是認することができる。 また、原判決の認定によると、被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」
過去問・解説
(H18 司法 第27問 ア)
水道事業者である地方公共団体が、同地方公共団体が定めた建築指導要綱に基づく行政指導に従わないことを理由に、建築中のマンションにつき給水契約の締結を拒否した場合、それが、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」があり、違法な拒否には当たらない。
水道事業者である地方公共団体が、同地方公共団体が定めた建築指導要綱に基づく行政指導に従わないことを理由に、建築中のマンションにつき給水契約の締結を拒否した場合、それが、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」があり、違法な拒否には当たらない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平元.11.8)は、「被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」としている。
したがって、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」が認められず、違法な拒否に当たる。
判例(最決平元.11.8)は、「被告人らは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わない山基建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。そうすると、原判決が、このような場合には、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきであるから、被告人らには本件給水契約の締結を拒む正当の理由がなかったと判断した点も、是認することができる。」としている。
したがって、当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは、水道法第15条にいう「正当な理由」が認められず、違法な拒否に当たる。