①甲および乙が競願関係にある場合において、甲の免許申請が拒否され、乙に免許が付与されたときは、甲は、乙に対する免許処分の取消訴訟を提起することができるほか、自己に対する拒否処分のみの取消訴訟を提起することができる。
②甲が、乙に対する免許処分の取消を訴求する場合および自己に対する拒否処分の取消を訴求する場合において、当該免許期間が満了しても、乙が再免許を受けて免許事業を継続しているときは、甲の提起した訴訟の利益は失われない。
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行政法 競願関係にある者の1人に免許が付与され他にこれが拒否された場合 最三小判昭和43年12月24日
概要
判例
事案:科学技術教育を主とする教育専門局に該当する無線局開設の免許申請をした甲が、その申請を拒否されたため、これに対する異議の申立てをなしたところ、右異議の申立を棄却する旨の決定がなされたことから、甲が、その取消しを求めた事案において、①甲および乙が競願関係にある場合において、甲の免許申請が拒否され、乙に免許が付与されたときは、甲は、自己に対する拒否処分のみの取消訴訟を提起することができるか、②甲が、乙に対する免許処分の取消を訴求する場合および自己に対する拒否処分の取消を訴求する場合において、当該免許期間が満了しても、乙が再免許を受けて免許事業を継続しているときは、甲の提起した訴訟の利益は失われるかが問題となった。
判旨:①「訴外財団と被上告人とは、係争の同一周波をめぐって競願関係にあり、上告人は、被上告人よりも訴外財団を優位にあるものと認めて、これに予備免許を与え、被上告人にはこれを拒んだもので、被上告人に対する拒否処分と訴外財団に対する免許付与とは、表裏の関係にあるものである。そして、被上告人が右拒否処分に対して異議申立てをしたのに対し、上告人は、電波監理審議会の議決した決定案に基づいて、これを棄却する決定をしたものであるが、これが後述のごとき理由により違法たるを免れないとして取り消された場合には、上告人は、右決定前の白紙の状態に立ち返り、あらためて審議会に対し、被上告人の申請と訴外財団の申請とを比較して、はたしていずれを可とすべきか、その優劣についての判定(決定案についての議決)を求め、これに基づいて異議申立てに対する決定をなすべきである。すなわち、本件のごとき場合においては、被上告人は、自己に対する拒否処分の取消しを請求しうるほか、競願者(訴外財団)に対する免許処分の取消しをも訴求しうる(ただし、いずれも裁決主義がとられているので、取消しの対象は異議申立てに対する棄却決定となる。)が、いずれの訴えも、自己の申請が優れていることを理由とする場合には、申請の優劣に関し再審査を求める点においてその目的を同一にするものであるから、免許処分の取消しを訴求する場合はもとより、拒否処分のみの取消しを訴求する場合にも、上告人による再審査の結果によっては、訴外財団に対する免許を取り消し、被上告人に対し免許を付与するということもありうるのである。 したがって、論旨が、本件棄却決定の取消しが当然に訴外財団に対する免許の取消しを招来するものでないことを理由に、本件訴えの利益を否定するのは早計であって、採用できない。」 ②「また、…免許期間の満了に関する所論について考えるに、訴外財団に付与された予備免許は、昭和39年4月3日本免許となったのち、翌40年5月31日をもって免許期間を満了したが、同年6月1日および同43年6月1日の2回にわたり、これが更新されていることが明らかである。もとより、いずれも再免許であって、形式上たんなる期間の更新にすぎないものとは異なるが、右に『再免許』と称するものも、なお、本件の予備免許および本免許を前提とするものであって、当初の免許期間の満了とともに免許の効力が完全に喪失され、再免許において、従前とはまったく別個無関係に、新たな免許が発効し、まったく新たな免許期間が開始するものと解するのは相当でない。そして、前記の競願者に対する免許処分(異議申立て棄却決定)の取消訴訟において、所論免許期間の満了という点が問題となるのであるが、期間満了後再免許が付与されず、免許が完全に失効した場合は格別として、期間満了後ただちに再免許が与えられ、継続して事業が維持されている場合に、これを前記の免許失効の場合と同視して、訴えの利益を否定することは相当でない。けだし、訴えの利益の有無という観点からすれば、競願者に対する免許処分の取消しを訴求する場合はもちろん、自己に対する拒否処分の取消しを訴求する場合においても、当初の免許期間の満了と再免許は、たんなる形式にすぎず、免許期間の更新とその実質において異なるところはないと認められるからである。また、免許申請者たる原告(被上告人)自身に対する拒否処分(異議申立て棄却決定)の取消訴訟において、右棄却決定が取り消されて被上告人に予備免許が付与された場合には、以後法定の期間(昭和25年6月1日から起算して3年ごとの期間)内において免許人たる地位を保有し、免許期間満了にあたっては再免許を申請しうるのであって、本件において被上告人が申請し、訴外財団に付与された免許期間が、たまたま前記法定期間の定めにより昭和40年5月31日に満了するからといって、所論のように、本件免許申請を右同日までの免許人の地位の取得のみを目的とするものとして捉え、その申請の対象となるべき免許の有効期間が満了した以上、本件異議申立て棄却決定の取消しを求める訴えの利益が失われるとする見解は、原免許者に再免許の申請が許されることを無視した形式論にすぎない。」
判旨:①「訴外財団と被上告人とは、係争の同一周波をめぐって競願関係にあり、上告人は、被上告人よりも訴外財団を優位にあるものと認めて、これに予備免許を与え、被上告人にはこれを拒んだもので、被上告人に対する拒否処分と訴外財団に対する免許付与とは、表裏の関係にあるものである。そして、被上告人が右拒否処分に対して異議申立てをしたのに対し、上告人は、電波監理審議会の議決した決定案に基づいて、これを棄却する決定をしたものであるが、これが後述のごとき理由により違法たるを免れないとして取り消された場合には、上告人は、右決定前の白紙の状態に立ち返り、あらためて審議会に対し、被上告人の申請と訴外財団の申請とを比較して、はたしていずれを可とすべきか、その優劣についての判定(決定案についての議決)を求め、これに基づいて異議申立てに対する決定をなすべきである。すなわち、本件のごとき場合においては、被上告人は、自己に対する拒否処分の取消しを請求しうるほか、競願者(訴外財団)に対する免許処分の取消しをも訴求しうる(ただし、いずれも裁決主義がとられているので、取消しの対象は異議申立てに対する棄却決定となる。)が、いずれの訴えも、自己の申請が優れていることを理由とする場合には、申請の優劣に関し再審査を求める点においてその目的を同一にするものであるから、免許処分の取消しを訴求する場合はもとより、拒否処分のみの取消しを訴求する場合にも、上告人による再審査の結果によっては、訴外財団に対する免許を取り消し、被上告人に対し免許を付与するということもありうるのである。 したがって、論旨が、本件棄却決定の取消しが当然に訴外財団に対する免許の取消しを招来するものでないことを理由に、本件訴えの利益を否定するのは早計であって、採用できない。」 ②「また、…免許期間の満了に関する所論について考えるに、訴外財団に付与された予備免許は、昭和39年4月3日本免許となったのち、翌40年5月31日をもって免許期間を満了したが、同年6月1日および同43年6月1日の2回にわたり、これが更新されていることが明らかである。もとより、いずれも再免許であって、形式上たんなる期間の更新にすぎないものとは異なるが、右に『再免許』と称するものも、なお、本件の予備免許および本免許を前提とするものであって、当初の免許期間の満了とともに免許の効力が完全に喪失され、再免許において、従前とはまったく別個無関係に、新たな免許が発効し、まったく新たな免許期間が開始するものと解するのは相当でない。そして、前記の競願者に対する免許処分(異議申立て棄却決定)の取消訴訟において、所論免許期間の満了という点が問題となるのであるが、期間満了後再免許が付与されず、免許が完全に失効した場合は格別として、期間満了後ただちに再免許が与えられ、継続して事業が維持されている場合に、これを前記の免許失効の場合と同視して、訴えの利益を否定することは相当でない。けだし、訴えの利益の有無という観点からすれば、競願者に対する免許処分の取消しを訴求する場合はもちろん、自己に対する拒否処分の取消しを訴求する場合においても、当初の免許期間の満了と再免許は、たんなる形式にすぎず、免許期間の更新とその実質において異なるところはないと認められるからである。また、免許申請者たる原告(被上告人)自身に対する拒否処分(異議申立て棄却決定)の取消訴訟において、右棄却決定が取り消されて被上告人に予備免許が付与された場合には、以後法定の期間(昭和25年6月1日から起算して3年ごとの期間)内において免許人たる地位を保有し、免許期間満了にあたっては再免許を申請しうるのであって、本件において被上告人が申請し、訴外財団に付与された免許期間が、たまたま前記法定期間の定めにより昭和40年5月31日に満了するからといって、所論のように、本件免許申請を右同日までの免許人の地位の取得のみを目的とするものとして捉え、その申請の対象となるべき免許の有効期間が満了した以上、本件異議申立て棄却決定の取消しを求める訴えの利益が失われるとする見解は、原免許者に再免許の申請が許されることを無視した形式論にすぎない。」
過去問・解説
(H28 予備 第21問 イ)
AとBが同一周波の無線局の開設に係る免許をめぐって競願関係にある場合は、免許付与と免許申請拒否処分は表裏の関係にあるので、Bに与えられた免許が、Aの提起した免許取消訴訟に係る判決で取り消されると、免許申請拒否処分を受けたAには、取消判決の拘束力による再審査の結果、免許を与えられる可能性がある。
AとBが同一周波の無線局の開設に係る免許をめぐって競願関係にある場合は、免許付与と免許申請拒否処分は表裏の関係にあるので、Bに与えられた免許が、Aの提起した免許取消訴訟に係る判決で取り消されると、免許申請拒否処分を受けたAには、取消判決の拘束力による再審査の結果、免許を与えられる可能性がある。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.12.24)は、本肢と同種の事案において、「訴外財団と被上告人とは、係争の同一周波をめぐって競願関係にあり、上告人は、被上告人よりも訴外財団を優位にあるものと認めて、これに予備免許を与え、被上告人にはこれを拒んだもので、被上告人に対する拒否処分と訴外財団に対する免許付与とは、表裏の関係にあるものである。」とした上で、「違法たるを免れないとして取り消された場合には、上告人は、右決定前の白紙の状態に立ち返り、…上告人による再審査の結果によっては、訴外財団に対する免許を取り消し、被上告人に対し免許を付与するということもありうるのである。」としている。
したがって、Bに与えられた免許が、Aの提起した免許取消訴訟に係る判決で取り消されると、免許申請拒否処分を受けたAには、取消判決の拘束力による再審査の結果、免許を与えられる可能性があるといえる。
判例(最判昭43.12.24)は、本肢と同種の事案において、「訴外財団と被上告人とは、係争の同一周波をめぐって競願関係にあり、上告人は、被上告人よりも訴外財団を優位にあるものと認めて、これに予備免許を与え、被上告人にはこれを拒んだもので、被上告人に対する拒否処分と訴外財団に対する免許付与とは、表裏の関係にあるものである。」とした上で、「違法たるを免れないとして取り消された場合には、上告人は、右決定前の白紙の状態に立ち返り、…上告人による再審査の結果によっては、訴外財団に対する免許を取り消し、被上告人に対し免許を付与するということもありうるのである。」としている。
したがって、Bに与えられた免許が、Aの提起した免許取消訴訟に係る判決で取り消されると、免許申請拒否処分を受けたAには、取消判決の拘束力による再審査の結果、免許を与えられる可能性があるといえる。
(R3 予備 第18問 ア)
免許の申請が競願関係にある場合において、申請拒否処分を受けた申請者は、自己に対する拒否処分の取消訴訟を提起することができるほか、競願者に対する免許処分の取消訴訟を提起することもできる。
免許の申請が競願関係にある場合において、申請拒否処分を受けた申請者は、自己に対する拒否処分の取消訴訟を提起することができるほか、競願者に対する免許処分の取消訴訟を提起することもできる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.12.24)は、本肢と同種の事案において、「被上告人は、自己に対する拒否処分の取消しを請求しうるほか、競願者(訴外財団)に対する免許処分の取消しをも訴求しうる…。」としている。
判例(最判昭43.12.24)は、本肢と同種の事案において、「被上告人は、自己に対する拒否処分の取消しを請求しうるほか、競願者(訴外財団)に対する免許処分の取消しをも訴求しうる…。」としている。
(R4 予備 第18問 ウ)
テレビジョン放送局の開設の免許申請をしたEが、旧郵政大臣から免許拒否処分を受けるとともに競願者であるFに対して免許処分がされたことに対し、Fに対する免許処分の取消訴訟及びE自身に対する免許拒否処分の取消訴訟を提起したところ、その係属中に、Fに対する当初の免許期間が満了したとしても、その後直ちにFに対して再免許が与えられ事業が継続して維持されている場合には、Eが提起したFに対する免許処分の取消訴訟のみならず、E自身に対する免許拒否処分の取消訴訟についても、訴えの利益は失われない。
テレビジョン放送局の開設の免許申請をしたEが、旧郵政大臣から免許拒否処分を受けるとともに競願者であるFに対して免許処分がされたことに対し、Fに対する免許処分の取消訴訟及びE自身に対する免許拒否処分の取消訴訟を提起したところ、その係属中に、Fに対する当初の免許期間が満了したとしても、その後直ちにFに対して再免許が与えられ事業が継続して維持されている場合には、Eが提起したFに対する免許処分の取消訴訟のみならず、E自身に対する免許拒否処分の取消訴訟についても、訴えの利益は失われない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.12.24)は、本肢と同種の事案において、「期間満了後再免許が付与されず、免許が完全に失効した場合は格別として、期間満了後ただちに再免許が与えられ、継続して事業が維持されている場合に、これを前記の免許失効の場合と同視して、訴えの利益を否定することは相当でない。」としている。
したがって、Fに対する当初の免許期間が満了したとしても、その後直ちにFに対して再免許が与えられ事業が継続して維持されている場合には、Eが提起したFに対する免許処分の取消訴訟のみならず、E自身に対する免許拒否処分の取消訴訟についても、訴えの利益は失われないといえる。
判例(最判昭43.12.24)は、本肢と同種の事案において、「期間満了後再免許が付与されず、免許が完全に失効した場合は格別として、期間満了後ただちに再免許が与えられ、継続して事業が維持されている場合に、これを前記の免許失効の場合と同視して、訴えの利益を否定することは相当でない。」としている。
したがって、Fに対する当初の免許期間が満了したとしても、その後直ちにFに対して再免許が与えられ事業が継続して維持されている場合には、Eが提起したFに対する免許処分の取消訴訟のみならず、E自身に対する免許拒否処分の取消訴訟についても、訴えの利益は失われないといえる。