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行政法 不服申立前置主義 最二小判昭和36年7月21日

概要
所得金額更正に関する審査請求の却下決定があった場合でも、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には、本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、更正処分の取消を求める訴えは審査の決定を経たものとして適法である。
判例
事案:個別法により審査請求前置が採用されている場合に、所得金額更正に関する審査請求の却下決定が違法な場合における右更正処分の取消を求める訴えの適否が問題となった。

判旨:「上告人が国税局長を名宛人とする審査請求書と題する書面を浅草税務署に提出したのであるが、原判決によれば税務署長はこれを再調査請求書として取扱い、所得税法49条4項2号によって審査請求があったものとみなされ、国税局長は審査請求として補正を命じ、応じなかったという理由で却下したというのである。本訴の上告人の請求は更正処分の取消であるから同法51条により原則として再調査決定、審査決定を経なければ提起できないのであるが、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であってもこれを前記規定にいう審査の決定にあたると解すべきことは原判示のとおりである。而して同法施行規則47条によれば、再調査請求をしようとする者は一定の再調査請求書に証拠書類を添付して提出しなければならないと規定しているのであるが、税務署長の更正には青色申告の場合を除いて、その理由を示されないから納税者としては何故に更正を受けたのか判らないから証拠書類の添付のしようのない場合もあり、更正の理由は判っていてもその所得が存しないときなどは、かかる消極的な立証は困難であって消極的な立証の証拠書類の存在しないこともあり得る。然らば同規則で証拠書類の添付を命じているのはかかる書類があれば添付せよという趣旨と解すべく、証拠書類の添付を所得税法48条4項の方式と解すべきではなく、従って証拠書類の添付のないとの理由で同項にいう当該請求の方式に欠陥があるものとして補正命令をなし、更に提出なき故をもって却下することはできないものと解すべきである、かくの如く不適法として却下すべきでない場合に国税局長が誤って却下した場合は前述説明の如く同法51条の審査の決定があったものとして適法に出訴ができるものと解すべきである。」
過去問・解説
(H25 司法 第33問 ア)
審査請求前置主義が採用されている場合に、審査請求が不適法として却下されたときは、審査請求前置を満たしたことにはならないが、適法な審査請求がされたにもかかわらず、裁決庁が誤って審査請求を却下した場合には、裁決庁は実体審理の機会を与えられていたのであるから、審査請求人は、直ちに処分の取消しの訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.7.21)は、「本訴の上告人の請求は更正処分の取消であるから同法51条により原則として再調査決定、審査決定を経なければ提起できないのであるが、国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であってもこれを前記規定にいう審査の決定にあたると解すべき…である。」とした上で、「かくの如く不適法として却下すべきでない場合に国税局長が誤って却下した場合は前述説明の如く同法51条の審査の決定があったものとして適法に出訴ができる…。」としている。
総合メモ
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