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行政法 原子炉設置許可処分と無効確認訴訟の補充性 最三小判平成4年9月22日
概要
行訴法36条にいう「その効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、右の当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えの方がより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味する。
判例
事案:原子炉設置許可処分の無効等確認訴訟において、行政事件訴訟法36条にいう「その効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」という文言の意義が問題となった。
判旨:「行政事件訴訟法36条によれば、処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができると定められている。処分の無効確認訴訟を提起し得るための要件の1つである、右の当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味するものと解するのが相当である…。 本件についてこれをみるのに、被上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。また、他に本件無効確認訴訟が右要件を欠くものと解すべき事情もうかがわれない。」
判旨:「行政事件訴訟法36条によれば、処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができると定められている。処分の無効確認訴訟を提起し得るための要件の1つである、右の当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味するものと解するのが相当である…。 本件についてこれをみるのに、被上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。また、他に本件無効確認訴訟が右要件を欠くものと解すべき事情もうかがわれない。」
過去問・解説
(H20 司法 第37問 イ)
原子炉設置許可処分がされた原子力発電所の周辺住民は、人格権に基づいて原子炉設置等の差止めを求める民事訴訟を提起することができるから、当該原子炉設置許可処分の無効等確認訴訟の原告適格を有しない。
原子炉設置許可処分がされた原子力発電所の周辺住民は、人格権に基づいて原子炉設置等の差止めを求める民事訴訟を提起することができるから、当該原子炉設置許可処分の無効等確認訴訟の原告適格を有しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平4.9.22)は、本肢と同種の事案において、「被上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。」として、無効等確認訴訟における原告適格を認めている。
判例(最判平4.9.22)は、本肢と同種の事案において、「被上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。」として、無効等確認訴訟における原告適格を認めている。
(H26 共通 第22問 イ)
原子炉の周辺住民が、人格権に基づき原子炉設置の差止めを求める民事訴訟を提起するには、あらかじめ原子炉設置許可の取消し又は無効確認の判決を得ておく必要がある。
原子炉の周辺住民が、人格権に基づき原子炉設置の差止めを求める民事訴訟を提起するには、あらかじめ原子炉設置許可の取消し又は無効確認の判決を得ておく必要がある。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平4.9.22)は、「処分の無効確認訴訟を提起し得るための要件の1つである、右の当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味する…。」としている。これによると、人格権に基づき原子炉設置の差止めを求める民事訴訟と原子炉設置許可の取消し又は無効確認は、論理的にも法的にも先後関係にない。
したがって、あらかじめ原子炉設置許可の取消し又は無効確認の判決を得ていなくても、人格権に基づき原子炉設置の差止めを求める民事訴訟を提起することができる。
判例(最判平4.9.22)は、「処分の無効確認訴訟を提起し得るための要件の1つである、右の当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味する…。」としている。これによると、人格権に基づき原子炉設置の差止めを求める民事訴訟と原子炉設置許可の取消し又は無効確認は、論理的にも法的にも先後関係にない。
したがって、あらかじめ原子炉設置許可の取消し又は無効確認の判決を得ていなくても、人格権に基づき原子炉設置の差止めを求める民事訴訟を提起することができる。
(R6 予備 第21問 ア)
原子炉の周辺に居住する住民は、同原子炉の設置者に対しその建設又は運転の差止めを求める民事訴訟を提起していたとしても、同原子炉の設置許可処分の無効確認を求める訴えを適法に提起することができる。
原子炉の周辺に居住する住民は、同原子炉の設置者に対しその建設又は運転の差止めを求める民事訴訟を提起していたとしても、同原子炉の設置許可処分の無効確認を求める訴えを適法に提起することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平4.9.22)は、「被上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。」としている。
判例(最判平4.9.22)は、「被上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。」としている。