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行政法 法令に基づく許可の申請を却下した処分の取消しを求める訴えとその許可の義務付けを求める訴えが併合提起されている場合において、前者の処分の取消しの訴えにつき請求が棄却されるときの後者の義務付けの訴えの帰趨 最一小判平成21年12月17日

概要
法令に基づく許可の申請を却下した処分の取消しを求める訴えとその許可の義務付けを求める訴えが併合提起されている場合において、前者の処分の取消しの訴えにつき請求が棄却されるとき、後者の義務付けの訴えは却下される。
判例
事案:政務調査費の使途についての住民監査請求に係る監査に際して、監査委員が区議会における会派から任意に提出を受けた、政務調査費の支出内容・目的等が記載された本件文書について、その公開を請求したところ、非公開決定を受けたため、その取消と本件文書の公開決定の義務付けを求めた事案において、①政務調査活動の目的や内容等に係る情報が、情報公開・個人情報保護条例所定の非公開情報に当たるか、②法令に基づく許可の申請を却下した処分の取消しを求める訴えとその許可の義務付けを求める訴えが併合提起されている場合において、処分の取消しの訴えにつき請求が棄却される場合に、義務付けの訴えがどのように扱われるのかが問題となった。

判旨:①「政務調査費条例及びこれを受けて定められた政務調査費規程は、会派の代表者は毎四半期が終了する都度、議長に対し明細書を添付して収支報告書を提出しなければならない旨定めているものの、これらの書類の様式は、概括的な記載がされることを予定しており、個々の支出に係る政務調査活動の目的や内容等が具体的に記載されるべきものとはしていない。また、上記条例等に、会派が上記の目的や内容等を監査委員を含め執行機関に具体的に報告しなければならないことを定めた条項は見当たらない。この趣旨は、政務調査費は議会の執行機関に対する監視の機能を果たすための政務調査活動に充てられることも多いと考えられるところ、執行機関と議会ないしこれを構成する議員又は会派(以下、併せて『議員等』という。)との抑制と均衡の理念にかんがみ、議会において独立性を有する団体として自主的に活動すべき会派の性質及び役割を前提として、政務調査費の適正な使用についての各会派の自律を促すとともに、政務調査活動に対する執行機関や他の会派からの干渉を防止しようとするところにあるものと解される。 このような政務調査費条例及び政務調査費規程の定め並びにそれらの趣旨に照らすと、政務調査費条例は、政務調査費の支出に使途制限違反があることが収支報告書等の記載から明らかにうかがわれるような場合を除き、監査委員を含め区の執行機関が、実際に行われた政務調査活動の具体的な目的や内容等に立ち入ってその使途制限適合性を審査することを予定していないと解される。もっとも、監査委員は、中立的な監査機関であって、職務上知り得た秘密につき守秘義務を負っており、また適正な監査の実施のためには議員等がこれに協力することが期待されることはいうまでもないが、上記の点からすると、区議会の議員等が監査委員から説明等を求められた場合、上記の具体的な目的や内容等について逐一回答すべき義務を負っているとまでは解し難く、また、区議会の議員等がその回答をしない場合、その一事をもって、当該政務調査活動が適正に行われたものではないとの推定を及ぼすこともできないというべきである。 そして、政務調査活動が本来前記のように執行機関に対する監視機能を果たすための活動としての性格を帯びていることに照らすと、区議会の議員等がその具体的な目的や内容等を監査委員に任意に回答する場合、監査委員限りで当該情報が活用されるものと信頼し、監査委員においてもそのような保障の下にこれを入手するものと考えられる。仮に、そのような保障がなく、政務調査活動に関し具体的に回答したところが情報公開の対象となり得るとすれば、区議会の議員等において、監査委員にその回答をすることに慎重になり、あるいは協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定されるところである。そのような事態になれば、同種の住民監査請求がされた場合、正確な事実の把握が困難になるとともに、違法又は不当な行為の発見も困難になり、議員等の任意の協力の下に上記情報を入手して監査を実施した場合と比較して、監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることは明らかである。 したがって、本件文書に記録された情報は、本件条例8条6号ア所定の非公開情報に当たると解するのが相当である。
 ②「以上と異なる見解の下に、本件文書に記録された情報が上記の非公開情報に当たるとはいえないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上説示したところによれば、本件決定の取消請求には理由がなく、本件文書の公開決定の義務付けを求める訴えは不適法であるから、上記取消請求を棄却し、上記義務付けの訴えを却下した第1審判決は正当であり、被上告人の控訴を棄却すべきである。」
過去問・解説
(H29 予備 第21問 ア)
法令に基づく許可の申請を却下した処分の取消しを求める訴えとその許可の義務付けを求める訴えが併合提起されている場合において、前者の処分の取消しの訴えにつき請求が棄却される場合には、後者の義務付けの訴えも請求が棄却される。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.12.17)は、法令に基づく許可の申請を却下した処分の取消しを求める訴えとその許可の義務付けを求める訴えが併合提起されている事案において、「論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上説示したところによれば、本件決定の取消請求には理由がなく、本件文書の公開決定の義務付けを求める訴えは不適法であるから、上記取消請求を棄却し、上記義務付けの訴えを却下した第1審判決は正当であり、被上告人の控訴を棄却すべきである。」として、義務付けの訴えを却下した原審の判断を是認している。
したがって、本肢のような場合、義務付けの訴えにかかる請求は、棄却ではなく、却下される。
総合メモ
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