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行政法 強制執行法上の手続による救済を求めることを怠った場合における国の責任 最三小判昭和57年2月23日

概要
執行裁判所みずからその処分を是正すベき場合等特別の事情がある場合を除いて権利者が右の手続による救済を求めることを怠ったため損害が発生しても、国に対する損害賠償請求はできない。
判例
事案:Xが取得した土地につき、売主の債権者により不動産強制競売の申立てがなされ、執行裁判所が競落許可決定をしたため、Xが、右競落許可決定はいわゆる過剰競売として違法な競売手続であり、担当裁判官には過失があったとして、国に対して国家賠償を求めた事案において、不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分が、実体的権利関係に適合しないことにより自己の権利が害される者が、強制執行法上の手続による救済を求めることを怠った場合に、国に対する損害賠償請求ができるかが問題となった。

判旨:「不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分は、債権者の主張、登記簿の記載その他記録にあらわれた権利関係の外形に依拠して行われるものであり、その結果関係人間の実体的権利関係との不適合が生じることがありうるが、これについては執行手続の性質上、強制執行法に定める救済の手続により是正されることが予定されているものである。したがって、執行裁判所みずからその処分を是正すベき場合等特別の事情がある場合は格別、そうでない場合には権利者が右の手続による救済を求めることを怠ったため損害が発生しても、その賠償を国に対して請求することはできないものと解するのが相当である。しかるところ、原審の適法に確定した事実関係によれば、上告人が本件土地の所有権を取得したとしてこれにつき処分禁止の仮処分決定を得、その登記を経由したのは、本件土地につきされた競売開始決定に基づき競売手続が進行中であったというのであって、所論の如く上告人が所有権を取得した以上これに遅れて配当要求をした債権者のためには競売すベきではなく本件土地三筆の全部を競売することが超過競売となり上告人の所有権を害することがあると解せられるとしても、暫定的な処分にすぎない仮処分決定があるというだけでは、前記の特別の事情がある場合にあたるということはできず、上告人としては強制執行法上の異議の訴えを起し執行停止決定を得てその正本を執行裁判所に提出するなど強制執行法上の手続による救済を求めるベきものであったのである。しかるに、更に原審の適法に確定したところによれば、上告人は強制執行法上の手続による救済を求めなかったというのであるから、本件土地の全部が競売されたことにより、上告人がその一部の所有権を失い、また、その売得金が上告人の得た仮処分決定の後に配当要求をした債権者にも配当されて上告人が配当を受けることができなかったのは、上告人が右の手続による救済を求めることを怠った結果によるものというべきであって、上告人はその被った損害につき国家賠償法の規定による賠償を請求することはできないものといわなければならない。」
過去問・解説
(H24 司法 第37問 イ)
不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分については、民事執行法に定める救済の手続により是正することができる。こうした手続が予定されているから、執行裁判所自らその処分を是正すべき場合等特別の事情がある場合を除き、権利者がその手続による救済を求めることを怠ったため損害が生じたとしても、国家賠償法に基づき損害賠償請求をすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.2.23)は、本肢と同種の事案において、「執行裁判所みずからその処分を是正すベき場合等特別の事情がある場合は格別、そうでない場合には権利者が右の手続による救済を求めることを怠ったため損害が発生しても、その賠償を国に対して請求することはできないものと解するのが相当である。」としている。
したがって、不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分については、権利者が民事執行法上の手続による救済を求めることを怠ったため損害が生じたとしても、国家賠償法に基づき損害賠償請求をすることはできない。
総合メモ
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