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行政法 固定資産評価審査委員会に対する審査申出等に関する地方税法の規定は当該価格決定を行った公務員の国家賠償責任を否定する根拠となるか 最一小判平成22年6月3日

概要
公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して固定資産の価格を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得る。
判例
事案: 固定資産の価格を過大に決定されたことによって損害を被った納税者が提起した国家賠償請求訴訟において、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経ていなくても国家賠償請求を行うことができるかが問題となった。

判旨:「国家賠償法1条1項は、『国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。』と定めており、地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときは、当該地方公共団体がこれを賠償する責任を負う。前記のとおり、地方税法は、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項について不服がある固定資産税等の納税者は、同委員会に対する審査の申出及びその決定に対する取消しの訴えによってのみ争うことができる旨を規定するが、同規定は、固定資産課税台帳に登録された価格自体の修正を求める手続に関するものであって(435条1項参照)、当該価格の決定が公務員の職務上の法的義務に違背してされた場合における国家賠償責任を否定する根拠となるものではない。
 原審は、国家賠償法に基づいて固定資産税等の過納金相当額に係る損害賠償請求を許容することは課税処分の公定力を実質的に否定することになり妥当ではないともいうが、行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない…。このことは、当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならないというべきである。
 そして、他に、違法な固定資産の価格の決定等によって損害を受けた納税者が国家賠償請求を行うことを否定する根拠となる規定等は見いだし難い。
 したがって、たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても、公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。」
過去問・解説
(H24 司法 第37問 ア)
固定資産税の納税者は、固定資産税の登録価格について不服がある場合、地方税法に基づく審査の申出及びその決定に対する取消しの訴えによってのみ争うことができるとされている。したがって、当該納税者がこれら手続を経ることなく、登録価格が過大であったとして、国家賠償法に基づき固定資産税の過納金相当額の損害賠償請求をすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平22.6.3)は、本肢と同種の事案において、「行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない…。このことは、当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならないというべきである。」としている。
したがって、地方税法に基づく審査の申出及びその決定に対する取消しの訴えを経なくても、登録価格が過大であったとして、国家賠償法に基づき固定資産税の過納金相当額の損害賠償請求を行い得る。

(H30 予備 第23問 ア)
行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではなく、このことは、当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならない。

(正答)

(解説)
判例(最判平22.6.3)は、「行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない…。このことは、当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならないというべきである。」としている。
総合メモ
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