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債権者代位権

所有権移転登記手続請求権の代位行使 大判明治43年7月6日

概要
AからB、BからCと不動産が売買された場合において、AからBへの所有権移転登記手続が完了しておらず、BからCの所有権移転登記手続もまだ未了であるならば、Cは、BからCへの所有権移転登記手続請求権の保全のために、BのAに対する所有権移転登記手続請求権を代位行使することができる。
判例
事案:不動産がAからB、BからCへと順次売買された場合に、Cが自らの所有権移転登記手続請求権の保全のためBのAに対する所有権移転登記手続請求権を代位行使できるか問題となった。

判旨:「Aハ本件ノ土地ヲBニ売渡シBハ更ニ之ヲCニ売渡シタルモ其2箇ノ売買ニ因ル所有権移転ノ登記ハ何レモ未タ其手続ヲ為ササルモノナリ故ニBハAニ対シ又CハBニ対シ各売買ニ因ル所有権移転ノ登記手続ヲ請求スルノ権利ヲ有スルモ後ノ売買ニ因ル登記ハ登記法上前ノ売買ニ因ル登記ヲ経タル後ニ非サレハ之ヲ為スコト能ワサルヲ以テA及ヒBカ其両人間ノ売買ニ因ル登記ヲ為ササルトキハCハ民法第423条ノ規定ニ依リBニ対スル登記手続ノ請求権ヲ保全スル為メBノAニ対スル登記手続ノ請求権ヲ行使スルコトヲ得ルモノト謂ワサル可ラス。」
過去問・解説
(H28 司法 第19問 ア)
債務者に代位して登記の移転を求める場合には、債権者は、第三債務者から直接自己へ登記を移転すべき旨の請求をすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判明43.7.6)は、AからB、BからCと不動産が売買された場合において、AからBへの所有権移転登記手続が完了しておらず、BからCの所有権移転登記手続もまだ未了であるならば、Cは、BからCへの所有権移転登記手続請求権の保全のために、BのAに対する所有権移転登記手続請求権を代位行使することができる旨判示している。もっとも、所有権移転登記手続請求権を代位行使することができるにすぎず、その結果、AからBへの所有権移転登記手続がなされるにすぎない。したがって、債務者に代位して登記の移転を求める場合には、債権者は、第三債務者から債務者へ登記を移転すべき旨の請求をすることができるにとどまり、第三債務者から直接自己へ登記を移転すべき旨の請求をすることはできない。
総合メモ

債権者代位権の転用 大判昭和4年12月16日

概要
土地の賃借人は、第三者が土地を不法に占拠することにより使用収益が妨げられている場合には、賃貸人が無資力でなかったとしても、423条1項により、当該賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる。
判例
事案:賃貸人の土地を第三者が不法に占拠している場合において、土地の賃借人が、賃貸人の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できるか問題となった。

判旨:「債権者カ自己ノ債権ヲ保全スル為債務者ニ属スル権利ヲ行フコトヲ得ルハ民法第423条ノ規定スル所ナリ同条ハ債務者カ自己ノ有スル権利ヲ行使セサル為債権者ヲシテ其ノ債務者ニ対スル債権ノ十分ナル満足ヲ得サラシメタル場合ニ於ケル救済方法ヲ定メタルモノニシテ債権者ノ行フヘキ債務者ノ権利ニ付其ノ一身ニ専属スルモノノ外ハ何等ノ制限ヲ設ケス又債務者ノ無資力タルコトヲ必要トセサルヲ以テ同条ニ所謂債権ハ必スシモ金銭上ノ債権タルコトヲ要セス又所謂債務者ノ権利ハ一般債権者ノ共同担保トナルヘキモノタルニ限ラス或債権者ノ特定債権ヲ保全スル必要アル場合ニ於テモ同条ノ適用アルモノト解スルヲ相当トス(明治43年(オ)第百152号同年7月6日当院判決大正9年(ク)第110号同年10月13日当院決定参照)故ニ土地ノ賃借人カ賃貸人ニ対シ該土地ノ使用収益ヲ為サシムヘキ債権ヲ有スル場合ニ於テ第三者カ其ノ土地ヲ不法ニ占拠シ使用収益ヲ妨クルトキハ土地ノ賃借人ハ右ノ債権ヲ保全スル為第423条ニ依リ右賃貸人ノ有スル土地妨害排除ノ請求権ヲ行使スルコトヲ得ヘキモノトス。」
過去問・解説
(H21 司法 第18問 4)
AのBに対する債権がBの所有地の賃借権である場合、Aは、Bが無資力でなければ、その土地の不法占拠者Cに対する物権的請求権を代位行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭4.12.16)は、土地の賃借人は、第三者が土地を不法に占拠することにより使用収益が妨げられている場合には、賃貸人が無資力でなかったとしても、423条1項により、当該賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる旨判示している。したがって、AのBに対する債権がBの所有地の賃借権である場合、Aは、Bが無資力でなくても、その土地の不法占拠者Cに対する物権的請求権を代位行使することができる。

(H29 司法 第17問 オ)
土地の所有者Aからその土地を賃借したBは、その土地を不法に占有するCがいる場合、賃借権について対抗要件を具備しているか否かにかかわらず、賃借権を保全するために、AのCに対する所有権に基づく返還請求権を代位行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭4.12.16)は、土地の賃借人は、第三者が土地を不法に占拠することにより使用収益が妨げられている場合には、賃貸人が無資力でなかったとしても、423条1項により、当該賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる旨判示している。そして、土地の不法占拠者は、単なる無権利者であるから、当該不法占拠者と土地の賃借人は対抗関係に立たず、当該賃借人が、土地賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使するためには、賃借権について対抗要件を具備する必要はない。したがって、土地の所有者Aからその土地を賃借したBは、その土地を不法に占有するCがいる場合、賃借権について対抗要件を具備しているか否かにかかわらず、賃借権を保全するために、AのCに対する所有権に基づく返還請求権を代位行使することができる。
総合メモ

債権譲渡と債務者に対する通知 大判昭和5年10月10日

概要
債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない。
判例
事案:債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をすることができるかが問題となった。

判旨:「民法第423条ニ依リ債権者カ代理行使シ得ヘキモノハ債務者ニ属スル権利ナルヲ以テ権利ナラサルモノハ債務者トシテ為シ得ルモノト雖債権者トシテ債務者ニ代位シテ為シ得ヘキモノニ非ストスヘキナリ本件ニ付之ヲ観ルニAハBヨリ同人カ被Cニ対スル債権ノ譲渡ヲ受ケ同人ニ代位シテCニ対シ譲渡通知ヲ為シタル旨ヲ主張スルモノナルトコロBカ債権者トシテ債務者タルCニ対スル関係ニ於テ其ノ債権ヲAニ譲渡シタル事実ヲCニ通知スルコトハ同人カCニ対シ債権者トシテ有スル権利ニ非サルヲ以テ該通知ハ代位行使ノ目的ト為ルヘキモノニ非ス従テAノ為シタル代位通知ハ譲渡人タルBノ為シタル譲渡通知ノ効力ヲ生スルニ由ナキモノト為ササルヘカラス。」
過去問・解説
(H21 司法 第18問 1)
AがBのCに対する債権の譲渡を受けた場合、AはBに代位して債権譲渡の通知をCに対してすることができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。したがって、AがBのCに対する債権の譲渡を受けた場合でも、AはBに代位して債権譲渡の通知をCに対してすることができない。

(H23 司法 第20問 4)
指名債権の譲受人が、債権者代位権により、譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をした場合、その通知は有効である。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。

(H24 司法 第21問 2)
指名債権の譲受人が、債権者代位権により、譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をしたとしても、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。したがって、指名債権の譲受人が、債権者代位権により、譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をしたとしても、当該通知は、467条1項の「通知」としての効力を生じないから、債務者対抗要件を具備したとはいえず、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。

(H29 共通 第19問 イ)
債権の譲受人は、譲渡人に代位して債務者に対して債権譲渡の通知をすることにより、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。したがって、債権の譲受人は、譲渡人に代位して債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、467条1項の「通知」としての効力を生じないから、債務者対抗要件を具備したとはいえず、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。
総合メモ

債権者代位権と善管注意義務 大判昭和15年3月15日

概要
債務者の権利を代位行使する債権者は、善管注意義務をもって当該権利を行使しなければならない。
判例
事案:債務者の権利を代位行使する債権者について、当該代位行使の際、善管注意義務が要求されるかが問題となった。

判旨:「素ヨリ債権者ハ代位権行使ニ付テハ訴訟ニ依ル場合ト雖善良ナル管理者ノ注意ヲ払フヲ当然トスルヲ以テ若シ訴訟追行上過失ノ存スル場合(例ヘハ債務者ニ訴訟告知ヲ為ササリシ為債務者ノ手ニ存スル訴訟資料ヲ利用シ得サリシ場合ノ如キ)ニハ債務者ニ対シ損害賠償ノ責ニ任スヘク前示判決ノ効力ヲ債務者ニ及ホスモノナリトノ解釈ハ敢テ債務者ニ酷ナリト云フヲ得サルモノトス。」
過去問・解説
(H24 共通 第19問 3)
債務者の権利を代位行使する債権者は、債務者の代理人としてではなく、自己の名で当該権利を行使するものであり、自己の財産におけるのと同一の注意をもって権利を行使すれば足りる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭15.3.15)は、債務者の権利を代位行使する債権者は、善管注意義務をもって当該権利を行使しなければならない旨判示している。したがって、債務者の権利を代位行使する債権者は、自己の財産におけるのと同一の注意をもって権利を行使するのみでは足りず、善管注意義務をもって権利を行使しなければならない。
総合メモ

債務者が自ら権利を行使する場合における債権者代位権行使の許否 最一小判昭和28年12月14日

概要
債権者代位権の行使は、債務者が自ら権利を行使しない場合に限り許され、債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。
判例
事案:債務者がすでに自ら権利を行使している場合においても、債権者が債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「債権者代位権の行使は、債務者がみずから権利を行使しない場合に限り許されるものと解すべきである。債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。債権者代位権という制度の本質から見て、かく解するのが相当である。若し、所論のごとく債務者自らがその権利を行使するに当り不十分、不誠実、不適当な場合には、債権者は補助参加により、さらに場合によっては当事者参加によって、自己の権利保全をすることもできるし、事情によっては詐害行為として取消を請求することもできるのである。」
過去問・解説
(H19 司法 第18問 エ)
債権者代位権の行使は、債務者が自ら権利を行使しない場合に限り許されるから、債務者自らがその権利を行使するに当たり、不十分、不適当であっても、債権者が重ねて債権者代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.12.14)は、「債権者代位権の行使は、債務者がみずから権利を行使しない場合に限り許されるものと解すべきである。債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。」と判示している。

(H28 司法 第19問 イ)
債務者が既に自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良否にかかわらず、債権者は、その権利について債権者代位権を行使できない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.12.14)は、「債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。」と判示している。

(R4 司法 第18問 イ)
AのBに対する債権を保全するための債権者代位権について、BがCに対する金銭債権の支払を求めて訴えを提起しているときは、Aは、BのCに対する金銭債権を代位行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.12.14)は、「債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。」と判示している。したがって、AのBに対する債権を保全するための債権者代位権について、BがCに対する金銭債権の支払を求めて訴えを提起しているときは、Aは、BのCに対する金銭債権を代位行使することができない。
総合メモ

債権者代位権による建物明渡請求権の行使方法 最二小判昭和29年9月24日

概要
建物の賃借人が、その賃借権を保全するため、賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡しを請求する場合においては、直接自己に対してその明渡しをなすべきことを請求することができる。
判例
事案:建物の賃借人が、その賃借権を保全するため、賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合において、当該賃借人が、当該不法占拠者に対し、直接自己に対してその明渡しをなすべきことを請求することができるかが問題となった。

判旨:「建物の賃借人が、その賃借権を保全するため賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合においては、直接自己に対してその明渡をなすべきことを請求することができるものと解するのを相当とする。」
過去問・解説
(H19 司法 第18問 ア)
建物賃借人は、賃貸人に代位して、建物の不法占拠者に対し、直接自己に対してその明渡しをなすべきことを請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.9.24)は、「建物の賃借人が、その賃借権を保全するため賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合においては、直接自己に対してその明渡をなすべきことを請求することができるものと解するのを相当とする。」と判示している。
総合メモ

被相続人のなした仮装売買について移転登記抹消請求の代位行使 最三小判昭和30年12月26日

概要
推定相続人であるというだけでは、単に推定相続人たる期待権を有するだけであって、なんら被相続人に対し債権を有するものではないから、推定相続人は、当然には被相続人の権利を代位行使することができない。
判例
事案:被相続人が通謀虚偽表示によりその所有する不動産について他人に所有権移転登記をした場合において、推定相続人が被相続人の有する所有権移転登記抹消登記請求権を代位行使することができるかが問題となった。

判旨:「原審は、AがBに代位してBの有する本件登記抹消請求権を行使し得ると判断したのである。しかし、民法423条による債権者代位権は、債権者がその債権を保全するため債務者の権利を行使し得る権利であり、それは 、ひっきょう債権の一種の効力に外ならないのである。しかるにAは、単にBの推定相続人たる期待権を有するだけであって、なんらBに対し債権を有するものでないから、Aは当然にはなんら代位権を行使し得べきいわれはない。」
過去問・解説
(H21 司法 第18問 5)
BがCを認知した場合、Bの推定相続人であるAは、Bに代位してその認知を取り消すことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、推定相続人であるというだけでは、単に推定相続人たる期待権を有するだけであって、なんら被相続人に対し債権を有するものではないから、推定相続人は、当然には被相続人の権利を代位行使することができない旨判示している。したがって、BがCを認知した場合、Bの推定相続人であるAは、単にAの推定相続人であるにすぎず、なんらAに対し債権を有するものではない以上、Bに代位して、その有する権利を代位行使することはできない。
また、AがBに代位して、その有する権利を代位行使することができたとしても、423条1項は、「債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。」と規定している。認知の取消権は、親族法上の一身専属権に当たるため、同項ただし書により、Bの推定相続人であるAは、Bに代位してその認知を取り消すことができない。
総合メモ

債権者代位権と被保全債権の成立時期 最三小判昭和33年7月15日

概要
債権者代位権を行使するための被保全債権は、代位行使される債務者の権利より前に成立している必要はない。
判例
事案:債権者代位権を行使するための被保全債権は、代位行使される債務者の権利より前に成立している必要があるかが問題となった。

判旨:「代位権者の債権が債務者の権利より前に成立することは必要でな…い。」
過去問・解説
(H28 司法 第19問 オ)
債権者代位権を行使するためには、被保全債権が代位行使される債権よりも先に成立している必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.7.15)は、債権者代位権を行使するための被保全債権は、代位行使される債務者の権利より前に成立している必要はない旨判示している。
総合メモ

建物賃貸人の建物買取請求権の、建物賃借人による代位行使の許否 最三小判昭和38年4月23日

概要
建物買取請求権の代位行使により建物賃貸人が受けるべき利益は建物の代金債権に過ぎず、建物代金債権により借地上の建物の賃借人の建物賃借権は保全されないため、建物賃借人は、その賃借権の保全ために、建物賃貸人に代位して、建物買取請求権を行使することはできない。
判例
事案:建物賃貸人の有する建物買取請求権を、建物賃借人が代位行使できるか問題となった。

判旨:「債権者が民法423条により債務者の権利を代位行使するには、その権利の行使により債務者が利益を享受し、その利益によって債権者の権利が保全されるという関係が存在することを要するものと解される。しかるに、本件において、Aらが債務者であるBの有する本件建物の買取請求権を代位行使することにより保全しようとする債権は、右建物に関する賃借権であるところ、右代位行使によりBが受けるべき利益は建物の代金債権、すなわち金銭債権に過ぎないのであり(買取請求権行使の結果、建物の所有権を失うことは、Bにとり不利益であって、利益ではない)、右金銭債権によりAらの賃借権が保全されるものでないことは明らかである。されば、Aらは本件建物の買取請求権を代位行使することをえない…。」
過去問・解説
(H19 司法 第18問 オ)
建物賃借人は、その賃借権を保全するために、建物の賃貸人である借地権者が土地賃貸人に対して有する建物買取請求権を代位行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭38.4.23)は、建物買取請求権の代位行使により建物賃貸人が受けるべき利益は建物の代金債権に過ぎず、建物代金債権により借地上の建物の賃借人の建物賃借権は保全されないため、建物賃借人は、その賃借権の保全ために、建物賃貸人に代位して、建物買取請求権を行使することはできない旨判示している。

(R4 司法 第18問 エ)
借地上の建物の賃借人Aは、Bに対する債権を保全するために、建物賃貸人である借地権者Bが土地賃貸人Cに対して有する建物買取請求権を代位行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭38.4.23)は、本肢と同種の事案において、建物買取請求権の代位行使により建物賃貸人が受けるべき利益は建物の代金債権に過ぎず、建物代金債権により借地上の建物の賃借人の建物賃借権は保全されないため、建物賃借人は、その賃借権の保全ために、建物賃貸人に代位して、建物買取請求権を行使することはできない旨判示している。したがって、借地上の建物の賃借人Aは、Bに対する債権を保全するために、建物賃貸人である借地権者Bが土地賃貸人Cに対して有する建物買取請求権を代位行使することはできない。
総合メモ

債権者代位権と無資力の主張・立証責任 最三小判昭和40年10月12日

概要
債権者が債務者の有する権利を代位行使する場合には、債務者の無資力の事実については、債権者代位権を行使する債権者が立証する責任を負う。
判例
事案:債権者が債務者の有する権利を代位行使する場合、債務者の無資力の事実についての立証責任を債権者が負うかが問題となった。

判旨:「債権者は、債務者の資力が当該債権を弁済するについて十分でない場合にかぎり、自己の金銭債権を保全するため、民法423条1項本文の規定により当該債務者に属する権利を行使しうると解すべきことは、同条の法意に照らし、明らかであり、右の場合に債務者の資力が十分でないことについては、債権者がこれを立証する責任を負うものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H28 司法 第19問 エ)
AのBに対する100万円の債権を被保全債権として、BのCに対する50万円の債権につきAがCに対して債権者代位訴訟を提起したときには、Aは、請求原因において、Bの無資力を主張・立証する必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.10.12)は、債権者が債務者の有する権利を代位行使する場合には、債務者の無資力の事実については、債権者代位権を行使する債権者が立証する責任を負う旨判示している。したがって、AのBに対する100万円の債権を被保全債権として、BのCに対する50万円の債権につきAがCに対して債権者代位訴訟を提起したときには、Aは、請求原因において、Bの無資力を主張・立証しなければならない。
総合メモ

所有権移転登記手続請求の代位行使 最一小判昭和50年3月6日

概要
買主に対する土地所有権移転登記手続義務を相続した共同相続人の一部の者が当該義務の履行を拒絶しているため、買主が相続人全員による登記手続義務の履行の提供があるまで代金全額について弁済を拒絶する旨の同時履行の抗弁権を行使している場合には、他の相続人は、自己の相続した代金債権を保全するため、当該買主が無資力でなくても、423条1項本文により、買主に代位して、登記手続義務の履行を拒絶している相続人に対し買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができる。
判例
事案:土地の売主の共同相続人が、相続した代金債権を保全するため、買主に代位して他の共同相続人に対し所有権移転登記手続を請求できるかが問題となった。

判旨:「被相続人が生前に土地を売却し、買主に対する所有権移転登記義務を負担していた場合に、数人の共同相続人がその義務を相続したときは、買主は、共同相続人の全員が登記義務の履行を提供しないかぎり、代金全額の支払を拒絶することができるものと解すべく、したがって、共同相続人の1人が右登記義務の履行を拒絶しているときは、買主は、登記義務の履行を提供して自己の相続した代金債権の弁済を求める他の相続人に対しても代金支払を拒絶することができるものと解すべきである。そして、この場合、相続人は、右同時履行の抗弁権を失わせて買主に対する自己の代金債権を保全するため、債務者たる買主の資力の有無を問わず、民法423条1項本文により、買主に代位して、登記に応じない相続人に対する買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H27 司法 第8問 オ)
Aが、Bに売却した甲土地について所有権移転登記手続をしない間に死亡し、Aの共同相続人であるCとDがAの代金債権と所有権移転登記義務を相続した場合、Dがその所有権移転登記義務の履行を拒絶しているため、Bが同時履行の抗弁権を理由として代金を支払わないときは、Cは、Bに対する自己の代金債権を保全するため、Bに代位して、BのDに対する所有権移転登記手続請求権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.3.6)は、本肢と同種の事案において、買主に対する土地所有権移転登記手続義務を相続した共同相続人の一部の者が当該義務の履行を拒絶しているため、買主が相続人全員による登記手続義務の履行の提供があるまで代金全額について弁済を拒絶する旨の同時履行の抗弁権を行使している場合には、他の相続人は、自己の相続した代金債権を保全するため、当該買主が無資力でなくても、423条1項本文により、買主に代位して、登記手続義務の履行を拒絶している相続人に対し買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができる旨判示している。したがって、本肢においても、Cは、Bに対する自己の代金債権を保全するため、Bに代位して、BのDに対する所有権移転登記手続請求権を行使することができる。
総合メモ

債権者代位訴訟の原告である債権者が、被告である第三債務者の提出した抗弁に対し自己独自の事情に基づく再抗弁を提出することの可否 最二小判昭和54年3月16日

概要
債権者が債権者代位権に基づきその債務者に属する債権を行使する訴訟において、被告である第三債務者が提出した抗弁に対し、原告の提出することのできる再抗弁事由は債務者自身が主張することのできるものに限られ、原告独自の事情に基づく再抗弁を提出することはできない。
判例
事案:債権者が債権者代位権に基づきその債務者に属する債権を行使する訴訟において、債権者自身の事情に基づく再抗弁が主張できるかが問題となった。

判旨:「債権者代位訴訟における原告は、その債務者に対する自己の債権を保全するため債務者の第三債務者に対する権利について管理権を取得し、その管理権の行使として債務者に代り自己の名において債務者に属する権利を行使するものであるから、その地位はあたかも債務者になり代るものであつて、債務者自身が原告になった場合と同様の地位を有するに至るものというべく、したがって、被告となった第三債務者は、債務者がみずから原告になった場合に比べて、より不利益な地位に立たされることがないとともに、原告となった債権者もまた、その債務者が現に有する法律上の地位に比べて、より有利な地位を享受しうるものではないといわなければならない。そうであるとするならば、第三債務者である被告の提出した債務者に対する債権を自働債権とする相殺の抗弁に対し、代位債権者たる原告の提出することのできる再抗弁は、債務者自身が主張することのできる再抗弁事由に限定されるべきであって、債務者と関係のない、原告の独自の事情に基づく抗弁を提出することはできないものと解さざるをえない。」
過去問・解説
(H29 司法 第17問 エ)
債権者Aが債務者Bの第三債務者Cに対する債権を代位行使する場合において、CがBに対する債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出したときは、Aは、BがCに対して主張することができる再抗弁事由のほか、Aの独自の事情に基づく再抗弁も提出することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.3.16)は、本肢と同種の事案において、「第三債務者である被告の提出した債務者に対する債権を自働債権とする相殺の抗弁に対し、代位債権者たる原告の提出することのできる再抗弁は、債務者自身が主張することのできる再抗弁事由に限定されるべきであって、債務者と関係のない、原告の独自の事情に基づく抗弁を提出することはできないものと解さざるをえない。」と判示している。したがって、本肢においても、Aは、BがCに対して主張することができる再抗弁事由のみ提出することができ、Aの独自の事情に基づく再抗弁は提出することができない。
総合メモ

財産分与請求権に基づく債権者代位権行使の許否 最二小判昭和55年7月11日

概要
離婚に伴う財産分与請求権は、具体的内容が形成される前には、内容及び範囲が不確定かつ不明確であるから、その保全のために債権者代位権を行使することは許されない。
判例
事案:離婚に伴う財産分与請求権を保全するために、債権者代位権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H24 共通 第19問 4)
判例によれば、離婚に伴う財産分与請求権は、審判によりその具体的内容が確定したときは、財産分与を受ける者の債権者が債権者代位の目的とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。この判例の理解に基づけば、離婚に伴う財産分与請求権は、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成され、その範囲及び内容が確定し、明確となった場合には、当該請求権を保全するために債権者代位権を行使することができるといえる。したがって、離婚に伴う財産分与請求権は、審判によりその具体的内容が確定したときは、財産分与を受ける者の債権者が債権者代位の目的とすることができる。

(H27 司法 第16問 1)
離婚に伴う財産分与請求権は、協議又は審判によって具体化されるまではその範囲及び内容が不確定・不明確であるため、これを被保全債権として債権者代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。

(R1 予備 第13問 イ)
離婚に伴う財産分与請求権については、協議又は審判その他の手続によって具体的内容が形成されるまでは、これを保全するために債権者代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。

(R5 予備 第14問 イ)
離婚に伴う財産分与請求権の具体的内容が協議によって形成された後は、これを被保全債権とする債権者代位権の行使が認められる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。この判例の理解に基づけば、離婚に伴う財産分与請求権は、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成され、その範囲及び内容が確定し、明確となった場合には、当該請求権を保全するために債権者代位権を行使することができるといえる。したがって、離婚に伴う財産分与請求権の具体的内容が協議によって形成された後は、これを被保全債権とする債権者代位権の行使が認められる。
総合メモ

名誉権侵害における慰謝料請求の代位行使の可否 最一小判昭和58年10月6日

概要
名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰藉料請求権は、被害者が当該請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、なお一身専属性を有するものであるが、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、その具体的な金額が当事者間において客観的に確定したときは、行使上の一身専属性を失い、債権者代位の目的とすることができる。
判例
事案:名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰謝料請求権を、債権者代位の目的とすることができるかが問題となった。

判旨:「名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰藉料請求権は、金銭の支払を目的とする債権である点においては一般の金銭債権と異なるところはないが、本来、右の財産的価値それ自体の取得を目的とするものではなく、名誉という被害者の人格的価値を毀損せられたことによる損害の回復の方法として、被害者が受けた精神的苦痛を金銭に見積ってこれを加害者に支払わせることを目的とするものであるから、これを行使するかどうかは専ら被害者自身の意思によって決せられるべきものと解すべきである。そして、右慰藉料請求権のこのような性質に加えて、その具体的金額自体も成立と同時に客観的に明らかとなるわけではなく、被害者の精神的苦痛の程度、主観的意識ないし感情、加害者の態度その他の不確定的要素をもつ諸般の状況を総合して決せられるべき性質のものであることに鑑みると、被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであって、被害者の債権者は、これを…債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。しかし、他方、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであって、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はない…から、このような場合、右慰藉料請求権は、…被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、…債権者代位の目的とすることができるものというべきである。」
過去問・解説
(H21 司法 第18問 2)
Cに名誉を侵害されたBがCに対して慰謝料の支払を求めて交渉した後、Cが一定額の慰謝料の支払を約する合意が成立したときは、Bの債権者AがBに代位してCに対して慰謝料の支払を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.6)は、「加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであって、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はない…から、このような場合、右慰藉料請求権は、…被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、…債権者代位の目的とすることができるものというべきである。」と判示している。本肢においても、Cに名誉を侵害されたBがCに対して慰謝料の支払を求めて交渉した後、Cが一定額の慰謝料の支払を約する合意が成立したという事情があるため、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したといえる。したがって、BがCに対して有する慰謝料請求権は、その一身専属性を失い、債権者代位の目的とすることができるといえるから、Bの債権者Aは、Bに代位してCに対して慰謝料の支払を求めることができる。

(H23 共通 第30問 オ)
名誉毀損による慰謝料請求権は、被害者がその請求権を行使する意思を表示した後であっても、具体的な金額が当事者間において客観的に確定する前は、被害者の債権者による代位行使の対象とはならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.6)は、名誉棄損による慰謝料請求権について、「被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであって、被害者の債権者は、これを…債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。」と判示している。

(H28 予備 第9問 ア)
名誉侵害を理由とする慰謝料請求権は、具体的な金額が当事者間において客観的に確定したときは、債権者代位権の目的となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.6)は、名誉侵害を理由とする慰謝料請求権について、「加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであって、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はない…から、このような場合、右慰藉料請求権は、…被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、…債権者代位の目的とすることができるものというべきである。」と判示している。
総合メモ

抵当権者の423条の転用 最大判平成11年11月24日

概要
第三者が抵当不動産を不法占有することにより、売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して不動産の状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができ、この場合においては、抵当権者は、抵当不動産の管理を目的として、直接不法占拠者に建物を明け渡すようを求めることができる。
判例
事案:抵当権者が、抵当不動産の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができるか、仮に代位行使することができるとして、抵当権者が、当該不法占有者に対して、抵当不動産を直接自己に明け渡すことを請求することができるかが問題となった。

判旨:「抵当権は、競売手続において実現される抵当不動産の交換価値から他の債権者に優先して被担保債権の弁済を受けることを内容とする物権であり、不動産の占有を抵当権者に移すことなく設定され、抵当権者は、原則として、抵当不動産の所有者が行う抵当不動産の使用又は収益について干渉することはできない。
 しかしながら、第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、これを抵当権に対する侵害と評価することを妨げるものではない。そして、抵当不動産の所有者は、抵当権に対する侵害が生じないよう抵当不動産を適切に維持管理することが予定されているものということができる。したがって、右状態があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し、その有する権利を適切に行使するなどして右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を有するというべきである。そうすると、抵当権者は、右請求権を保全する必要があるときは、民法423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができると解するのが相当である。
 …本件においては、本件根抵当権の被担保債権である本件貸金債権の弁済期が到来し、Aが本件不動産につき抵当権の実行を申し立てているところ、Bらが占有すべき権原を有することなく本件建物を占有していることにより、本件不動産の競売手続の進行が害され、その交換価値の実現が妨げられているというのであるから、Aの優先弁済請求権の行使が困難となっていることも容易に推認することができる。
 右事実関係の下においては、Aは、所有者であるCに対して本件不動産の交換価値の実現を妨げAの優先弁済請求権の行使を困難とさせている状態を是正するよう求める請求権を有するから、右請求権を保全するため、CのBらに対する妨害排除請求権を代位行使し、Cのために本件建物を管理することを目的として、Bらに対し、直接Aに本件建物を明け渡すよう求めることができるものというべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第18問 イ)
抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するためであっても、所有者の不法占拠者に対する妨害排除請求権を代位行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.24)は、「第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような…状態があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し、その有する権利を適切に行使するなどして右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を有するというべきである。そうすると、抵当権者は、右請求権を保全する必要があるときは、民法423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができると解するのが相当である。」と判示している。

(H20 司法 第14問 イ)
Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。Aの不在期間中に、Dが甲建物を不法に占有した場合、Dが不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態にあるときは、CはAのDに対する妨害排除請求権を代位行使して、Dに対して直接自己に甲建物を明け渡すよう求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.24)は、第三者が抵当不動産を不法占有することにより、売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して不動産の状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができ、この場合においては、抵当権者は、抵当不動産の管理を目的として、直接不法占拠者に建物を明け渡すようを求めることができる旨判示している。したがって、Aの不在期間中に、Dが甲建物を不法に占有した場合、Dが不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態にあるときは、CはAのDに対する妨害排除請求権を代位行使して、Dに対して直接自己に甲建物を明け渡すよう求めることができる。
総合メモ

遺留分減殺請求の代位行使の可否 最一小判平成13年11月22日

概要
遺留分減殺請求権は遺留分権利者の自律的決定に行使が委ねられており、行使上の一身専属性が認められるため、遺留分権利者が、権利を第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない。
判例
事案:遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることの可否が問題となった。

判旨:「遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないと解するのが相当である。その理由は次のとおりである。
 遺留分制度は、被相続人の財産処分の自由と身分関係を背景とした相続人の諸利益との調整を図るものである。民法は、被相続人の財産処分の自由を尊重して、遺留分を侵害する遺言について、いったんその意思どおりの効果を生じさせるものとした上、これを覆して侵害された遺留分を回復するかどうかを、専ら遺留分権利者の自律的決定にゆだねたものということができる(1031条、1043条参照)。そうすると、遺留分減殺請求権は、前記特段の事情がある場合を除き、行使上の一身専属性を有すると解するのが相当であり、民法423条1項ただし書にいう「債務者ノ一身ニ専属スル権利」に当たるというべきであって、遺留分権利者以外の者が、遺留分権利者の減殺請求権行使の意思決定に介入することは許されないと解するのが相当である。民法1031条が、遺留分権利者の承継人にも遺留分減殺請求権を認めていることは、この権利がいわゆる帰属上の一身専属性を有しないことを示すものにすぎず、上記のように解する妨げとはならない。なお、債務者たる相続人が将来遺産を相続するか否かは、相続開始時の遺産の有無や相続の放棄によって左右される極めて不確実な事柄であり、相続人の債権者は、これを共同担保として期待すべきではないから、このように解しても債権者を不当に害するものとはいえない。」
過去問・解説
(H21 司法 第18問 3)
被相続人の遺言ですべての遺産を相続した法定相続人Cに対して、他の法定相続人Bが遺留分減殺請求権を行使しないためこれが時効消滅する危険があるときは、Bの債権者Aは遺留分減殺請求権を代位して行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.22)は、遺留分減殺請求権は遺留分権利者の自律的決定に行使が委ねられており、行使上の一身専属性が認められるため、遺留分権利者が、権利を第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない旨判示している。この判例の理解は、改正民法下の遺留分侵害額請求についても同様に解されている。したがって、被相続人の遺言ですべての遺産を相続した法定相続人Cに対して、他の法定相続人Bが遺留分減殺請求権を行使しないためこれが時効消滅する危険があるときであっても、Bの債権者Aは遺留分減殺請求権を代位して行使することができる。

(H27 司法 第34問 ア)
遺留分権利者の債権者は、遺留分権利者がその遺留分を放棄しない限り、遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.22)は、遺留分減殺請求権は遺留分権利者の自律的決定に行使が委ねられており、行使上の一身専属性が認められるため、遺留分権利者が、権利を第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない旨判示している。この判例の理解は、改正民法下の遺留分侵害額請求についても同様に解されている。
総合メモ