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不法行為(一般的不法行為 709条~711条) - 解答モード
損害賠償請求と主張立証責任 大判明治38年6月19日
概要
判例
判旨:「相手方ノ故意又ハ過失ヲ主張シテ其責任ヲ負ハシメント争フモノハ法律ニ特別ノ規定アルモノヽ外主張者ヨリ其証拠ヲ挙示スヘキハ法理上当然ノ事ナリトス。」
不法行為による死亡に基づく損害賠償額から生命保険金を控除することの適否 最二小判昭和39年9月25日
概要
判例
判旨:「生命保険契約に基づいて給付される保険金は、すでに払い込んだ保険料の対価の性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払わるべきものであるから、たまたま本件事故のように不法行為により被保険者が死亡したためにその相続人たるAに保険金の給付がされたとしても、これを不法行為による損害賠償額から控除すべきいわれはないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第17問 3)
生命保険契約を締結していた被保険者が、医師の過失による医療事故によって死亡し、被保険者の相続人が当該生命保険契約により死亡保険金の給付を受けた場合において、その相続人が医師に対して債務不履行を理由に損害賠償を請求したときは、賠償されるべき損害額から当該保険金額が控除される。
(R1 共通 第29問 オ)
不法行為により死亡した被害者の相続人が加害者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求した場合、裁判所は、生命保険契約に基づいて給付される死亡保険金の額を、損益相殺により損害賠償額から控除することができる。
土地の不法占拠と損害賠償請求 最二小判昭和41年6月24日
概要
判例
判旨:「…土地の不法占拠によって土地所有者の蒙る損害の額は、当該土地を他に賃貸することにより通常得べかりし賃料相当額にあたるものと解する…。」
過去問・解説
(H27 共通 第15問 イ)
家屋の賃借人が賃貸借契約の終了後もその家屋を賃貸人に返還しない場合、賃貸人は、その賃貸借契約で定められた賃料に相当する額の損害賠償を賃借人に請求することができるが、賃貸人がその賃貸借契約の終了後に別の者との間でその家屋の賃貸借契約を締結し、その賃貸借契約で定められた賃料が従前の賃料を上回るときであっても、その新たな賃料に基づく損害賠償を賃借人に請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭41.6.24)は、「…土地の不法占拠によって土地所有者の蒙る損害の額は、当該土地を他に賃貸することにより通常得べかりし賃料相当額にあたるものと解する…。」と判示している。したがって、家屋の賃借人が賃貸借契約の終了後もその家屋を賃貸人に返還しない場合において、その賃貸借契約で定められた賃料に相当する額が、当該家屋を他に賃貸することにより通常得べかりし賃料相当額を超えるときは、当該賃貸借契約で定められた賃料に相当する額の損害賠償を賃借人に請求することはできない。よって、本肢前段は誤っている。
そして、賃貸人が当該賃貸借契約の終了後に別の者との間でその家屋の賃貸借契約を締結し、その賃貸借契約で定められた賃料が従前の賃料を上回るときであっても、当該新たな賃貸借契約の賃料が、当該家屋を他に賃貸することにより通常得べかりし賃料相当額の範囲内にとどまる額であれば、賃貸人は、その新たな賃料に基づく損害賠償を賃借人に請求することができる。したがって、本肢後段も誤っている。
不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償 最三小判昭和58年9月6日
概要
判例
判旨:「不法行為の被害者が自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害であり、被害者が加害者に対しその賠償を求めることができると解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁昭和41年(オ)第280号同44年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号441頁)とするところである。しかして、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきところ(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)、弁護士費用に関する前記損害は、被害者が当該不法行為に基づくその余の費目の損害の賠償を求めるについて弁護士に訴訟の追行を委任し、かつ、相手方に対して勝訴した場合に限つて、弁護士費用の全部又は一部が損害と認められるという性質のものであるが、その余の費目の損害と同一の不法行為による身体傷害など同一利益の侵害に基づいて生じたものである場合には1個の損害賠償債務の一部を構成するものというべきであるから(最高裁昭和43年(オ)第943号同48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3号419頁参照)、右弁護士費用につき不法行為の加害者が負担すべき損害賠償債務も、当該不法行為の時に発生し、かつ、遅滞に陥るものと解するのが相当である。なお、右損害の額については、被害者が弁護士費用につき不法行為時からその支払時までの間に生ずることのありうべき中間利息を不当に利得することのないように算定すべきものであることは、いうまでもない。」
内縁不当破棄と不法行為の成否 最二小判昭和33年4月11日
概要
判例
判旨:「いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異るものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。そして民法709条にいう「権利」は、厳密な意味で権利と云えなくても、法律上保護せらるべき利益があれば足りるとされるのであり(大審院大正14年(オ)第625号、同年11月28日判決、民事判例集4巻670頁、昭和6年(オ)第2771号、同7年10月6日判決、民事判例集11巻2023頁参照)、内縁も保護せられるべき生活関係に外ならないのであるから、内縁が正当の理由なく破棄された場合には、故意又は過失により権利が侵害されたものとして、不法行為の責任を肯定することができるのである。されば、内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできるものといわなければならない。」
過去問・解説
(H23 共通 第31問 エ)
判例によれば、内縁の夫婦関係がその一方により正当の理由なく破棄されたため他の一方が精神的損害を被った場合には、当該他の一方は、不法行為を理由として慰謝料の支払を請求することができる。
(H25 司法 第31問 イ)
A男とB女は内縁関係にある。Aが内縁関係を正当な理由なく一方的に破棄した場合、Bは、Aに対し、債務不履行を理由として損害賠償を請求することができるが、不法行為を理由として損害賠償を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.4.11)は、本肢と同種の事案において、「内縁が正当の理由なく破棄された場合には、故意又は過失により権利が侵害されたものとして、不法行為の責任を肯定することができるのである。されば、内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできるものといわなければならない。」と判示している。したがって、本肢においても、Bは、Aに対し、債務不履行を理由として損害賠償を請求することができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を請求することもできる。
謝罪広告と強制執行 最大判昭和31年7月4日
概要
判例
判旨:「民法723条にいわゆる「他人の名誉を毀損した者に対して被害者の名誉を回復するに適当な処分」として謝罪広告を新聞紙等に掲載すべきことを加害者に命ずることは、従来学説判例の肯認するところであり、また謝罪広告を新聞紙等に掲載することは我国民生活の実際においても行われているのである。尤も謝罪広告を命ずる判決にもその内容上、これを新聞紙に掲載することが謝罪者の意思決定に委ねるを相当とし、これを命ずる場合の執行も債務者の意思のみに係る不代替作為として 民訴734条に基き間接強制によるを相当とするものもあるべく、時にはこれを強制することが債務者の人格を無視し著しくその名誉を毀損し意思決定の自由乃至良心の自由を不当に制限することとなり、いわゆる強制執行に適さない場合に該当することもありうるであろうけれど、単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに止まる程度のものにあっては、これが強制執行も代替作為として民訴733条の手続によることを得るものといわなければならない。」
過去問・解説
(H28 司法 第18問 イ)
判例によれば、事態の真相を告白して陳謝の意を表明する内容の謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを命ずる判決の執行は、間接強制によらなければならず、代替執行をすることはできない。
(R6 司法 第31問 エ)
プライバシーを侵害した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、謝罪広告を命ずることができる。
近親者の慰謝料請求 最三小判昭和33年8月5日
概要
判例
判旨:「原審の認定するところによれば、A1は、Bの本件不法行為により顔面に傷害を受けた結果、判示のような外傷後遺症の症状となり果ては医療によつて除去しえない著明な瘢痕を遺すにいたり、ために同女の容貌は著しい影響を受け、他面その母親であるA2は、夫を戦争で失い、爾来自らの内職のみによつてA1外1児を養育しているのであり、右不法行為により精神上多大の苦痛を受けたというのである。ところで、民法709条、710条の各規定と対比してみると、所論民法711条が生命を害された者の近親者の慰籍料請求につき明文をもつて規定しているとの一事をもつて、直ちに生命侵害以外の場合はいかなる事情があつてもその近親者の慰籍料請求権がすべて否定されていると解しなければならないものではなく、むしろ、前記のような原審認定の事実関係によれば、A2はその子の死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛を受けたと認められるのであつて、かゝる民法711条所定の場合に類する本件においては、A2は、同法709条、710条に基いて、自己の権利として慰籍料を請求しうるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 共通 第30問 ウ)
不法行為により身体に被害を受けた者の近親者がその固有の慰謝料を請求することができるのは、被害者がその不法行為によって死亡した場合に限られる。
(H27 司法 第28問 イ)
被害者が死亡していない場合には、被害者の近親者は、慰謝料を請求することができない。
法人の不法行為に基づく損害賠償請求の可否 最一小判昭和39年1月28日
概要
判例
判旨:「民法710条は、財産以外の損害に対しても、其賠償を為すことを要すと規定するだけで、その損害の内容を限定してはいない。すなわち、その文面は判示のようにいわゆる慰藉料を支払うことによつて、和らげられる精神上の苦痛だけを意味するものとは受けとり得ず、むしろすべての無形の損害を意味するものと読みとるべきである。従つて右法条を根拠として判示のように無形の損害即精神上の苦痛と解し、延いて法人には精神がないから、無形の損害はあり得ず、有形の損害すなわち財産上の損害に対する賠償以外に法人の名誉侵害の場合において民法723条による特別な方法が認められている外、何等の救済手段も認められていないものと論詰するのは全くの謬見だと云わなければならない。思うに、民法上のいわゆる損害とは、一口に云えば、侵害行為がなかつたならば惹起しなかつたであろう状態(原状)を(a)とし、侵害行為によつて惹起されているところの現実の状態(現状)を(b)としa-b=xそのxを金銭で評価したものが損害である。そのうち、数理的に算定できるものが、有形の損害すなわち財産上の損害であり、その然らざるものが無形の損害である。しかしその無形の損害と雖も法律の上では金銭評価の途が全くとざされているわけのものではない。侵害行為の程度、加害者、被害者の年令資産その社会的環境等各般の情況を斟酌して右金銭の評価は可能である。その顕著な事例は判示にいうところの精神上の苦痛を和らげるであろうところの慰藉料支払の場合である。しかし、無形の損害に対する賠償はその場合以外にないものと考うべきではない。そもそも、民事責任の眼目とするところは損害の填補である。すなわち前段で示したa-b=xの方式におけるxを金銭でカヴアーするのが、損害賠償のねらいなのである。かく観ずるならば、被害者が自然人であろうと、いわゆる無形の損害が精神上の苦痛であろうと、何んであろうとかかわりないわけであり、判示のような法人の名誉権に対する侵害の場合たると否とを問うところではないのである。尤も法人の名誉侵害の場合には民法723条により特別の手段が講じられている。しかし、それは被害者救済の一応の手段であり、それが、損害填補のすべてではないのである。このことは民法723条の文理解釈からも容易に推論し得るところである。そこで、判示にいわゆる慰藉料の支払をもつて、和らげられるという無形の損害以外に、いつたい、どのような無形の損害があるかという難問に逢着するのであるが、それはあくまで純法律的観念であつて、前示のように金銭評価が可能であり、しかもその評価だけの金銭を支払うことが社会観念上至当と認められるところの損害の意味に帰するのである。それは恰も民法709条の解釈に当つて侵害の対象となるものは有名権利でなくとも、侵害されることが社会通念上違法と認められる利益であれば足るという考え方と志向を同じうするものである。以上を要約すれば、法人の名誉権侵害の場合は金銭評価の可能な無形の損害の発生すること必ずしも絶無ではなく、そのような損害は加害者をして金銭でもつて賠償させるのを社会観念上至当とすべきであり、この場合は民法723条に被害者救済の格段な方法が規定されているとの故をもつて、金銭賠償を否定することはできないということに帰結する。」
過去問・解説
(H30 共通 第2問 ウ)
法人は財産以外の損害について不法行為に基づき損害賠償を請求することができない。
名誉毀損の場合の不法行為 最一小判昭和41年6月23日
概要
判例
判旨:「民事上の不法行為たる名誉棄損については、その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、右行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、もし、右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、右行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である(このことは、刑法230条の2の規定の趣旨からも十分窺うことができる。)。」
過去問・解説
(R2 司法 第29問 イ)
報道により他人の名誉を毀損した報道機関は、その報道が公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図ることに出たものであって、摘示した事実が真実であると信ずるにつき相当な理由があったとしても、その事実が真実であると証明できなかったときは、不法行為責任を負う。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭41.6.23)は、「民事上の不法行為たる名誉棄損については、その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、右行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、もし、右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、右行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である…。」と判示している。したがって、報道により他人の名誉を毀損した報道機関は、その報道が公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図ることに出たものであって、摘示した事実が真実であると信ずるにつき相当な理由があった場合には、「故意又は過失」(709条)が欠けるため、その事実が真実であると証明できなかったとしても、不法行為責任を負わない。
和解後の後遺症 最二小判昭和43年3月15日
概要
判例
判旨:「全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。」
過去問・解説
(H30 司法 第27問 エ)
Aは、Bの運転する自動車と接触し負傷したため、Bに対し損害賠償を請求したところ、AB間で、全損害を把握し難い状況の下において、BがAに対して早急に少額の賠償金を支払い、Aはそれ以外請求しない旨の和解契約が成立した。その後、Aに和解契約の当時は予期し得なかった後遺症が生じた。この場合、Aは、Bに対し、新たに生じた後遺症につき損害賠償を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、本肢と同種の事案において、「全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。」と判示している。したがって、AB間で、全損害を把握し難い状況の下において、BがAに対して早急に少額の賠償金を支払い、Aはそれ以外請求しない旨の和解契約が成立した後、Aに和解契約の当時は予期し得なかった後遺症が生じた場合においては、Aは、Bに対し、新たに生じた後遺症につき損害賠償を請求することができる。
責任能力のある未成年者の不法行為と監督義務者の責任 最二小判昭和49年3月22日
概要
判例
判旨:「未成年者が責任能力を有する場合であつても監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によつて生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立するものと解するのが相当であつて、民法714条の規定が右解釈の妨げとなるものではない。」
過去問・解説
(H22 司法 第29問 イ)
Aは自転車を運転して歩道上を走行中、前方不注視により、歩行者Bに衝突し、Bが負傷した。判例によれば、Aが14歳の中学生である場合、AはBに対して損害賠償義務を負い、Aの親権者であるCはBに対して損害賠償義務を負うことはない。
(H24 司法 第29問 2)
未成年者が責任能力を有する場合であっても、監督義務者の義務違反と未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められるときは、監督義務者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。
(R2 司法 第29問 エ)
未成年者が責任能力を有し被害者に対する不法行為責任を負う場合であっても、その監督義務者に未成年者に対する監督義務違反があり、その義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められるときには、監督義務者は被害者に対する不法行為責任を負う。
後遺障害による逸失利益の定期金賠償 最一小判令和2年7月9日
概要
判例
判旨:「同一の事故により生じた同一の身体傷害を理由とする不法行為に基づく損害賠償債務は1個であり、その損害は不法行為の時に発生するものと解される(最高裁昭和43年(オ)第943号同48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3号419頁、最高裁昭和55年(オ)第1113号同58年9月6日第三小法廷判決・民集37巻7号901頁等参照)。したがって、被害者が事故によって身体傷害を受け、その後に後遺障害が残った場合において、労働能力の全部又は一部の喪失により将来において取得すべき利益を喪失したという損害についても、不法行為の時に発生したものとして、その額を算定した上、一時金による賠償を命ずることができる。しかし、上記損害は、不法行為の時から相当な時間が経過した後に逐次現実化する性質のものであり、その額の算定は、不確実、不確定な要素に関する蓋然性に基づく将来予測や擬制の下に行わざるを得ないものであるから、将来、その算定の基礎となった後遺障害の程度、賃金水準その他の事情に著しい変更が生じ、算定した損害の額と現実化した損害の額との間に大きなかい離が生ずることもあり得る。民法は、不法行為に基づく損害賠償の方法につき、一時金による賠償によらなければならないものとは規定しておらず(722条1項、417条参照)、他方で、民訴法117条は、定期金による賠償を命じた確定判決の変更を求める訴えを提起することができる旨を規定している。同条の趣旨は、口頭弁論終結前に生じているがその具体化が将来の時間的経過に依存している関係にあるような性質の損害については、実態に即した賠償を実現するために定期金による賠償が認められる場合があることを前提として、そのような賠償を命じた確定判決の基礎となった事情について、口頭弁論終結後に著しい変更が生じた場合には、事後的に上記かい離を是正し、現実化した損害の額に対応した損害賠償額とすることが公平に適うということにあると解される。そして、不法行為に基づく損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補塡して、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり、また、損害の公平な分担を図ることをその理念とするところである。このような目的及び理念に照らすと、交通事故に起因する後遺障害による逸失利益という損害につき、将来において取得すべき利益の喪失が現実化する都度これに対応する時期にその利益に対応する定期金の支払をさせるとともに、上記かい離が生ずる場合には民訴法117条によりその是正を図ることができるようにすることが相当と認められる場合があるというべきである。以上によれば、交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において、上記目的及び理念に照らして相当と認められるときは、同逸失利益は、定期金による賠償の対象となるものと解される。」
過去問・解説
(R5 共通 第30問 ア)
不法行為の被害者は、不法行為に起因する後遺障害による逸失利益について、定期金による賠償を求めることができない。
生命侵害を受けた者の内縁の妻からの損害賠償請求権 最三小判昭和49年12月17日
概要
判例
判旨:「不法行為による生命侵害があつた場合、被害者の父母、配偶者及び子が加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうることは、民法711条が明文をもつて認めるところであるが、右規定はこれを限定的に解すべきものでなく、文言上同条に該当しない者であつても、被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、同条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうるものと解するのが、相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第31問 2)
不法行為による生命侵害の場合、被害者Aの配偶者Bは、Bに対する加害者の故意過失を証明することなく、固有の慰謝料を請求することができるが、被害者Cの内縁配偶者Dは、Dに対する加害者の故意過失を証明した場合に限り、慰謝料を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.12.17)は、「不法行為による生命侵害があつた場合、被害者の父母、配偶者及び子が加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうることは、民法711条が明文をもつて認めるところであるが、右規定はこれを限定的に解すべきものでなく、文言上同条に該当しない者であつても、被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、同条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうるものと解するのが、相当である。」と判示している。そして、711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」と判示している。
したがって、不法行為による生命侵害の場合、被害者Aの配偶者Bは、Bに対する加害者の故意過失を証明することなく、固有の慰謝料を請求することができ、さらに、被害者Cの内縁配偶者Dについても、711条が類推適用されるから、Dに対する加害者の故意過失を証明することなく、慰謝料を請求することができる。