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民法 相続開始後に生じた賃料債務 大判昭和9年1月30日 - 解答モード
概要
賃貸借契約における保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務についても当然に保証債務を負担する。
判例
事案:賃貸借契約における保証人の相続人が、相続開始後に生じた賃料債務について保証債務を負担することになるかが問題となった。
判旨:「賃貸借契約ニ因リ之ト同時ニ賃貸人カ賃借人ニ目的物ノ使用収益ヲ為サシムル対価トシテ賃借人ハ借賃ヲ支払フヘキ基本ノ法律関係ヲ生スヘク此賃借人ノ基本債務ハ将来ノ使用収益義務履行ヲ俟チテ発生スヘキ個々ノ借賃債務トハ異レリト雖右基本債務ニ付保証ヲ約シタル者ハ将来使用収益義務履行ノ場合之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキコト勿論ニシテ従テ右基本債務ノ保証人ヲ相続シ因テ其ノ地位ヲ承継シタル者カ相続後ノ使用収益義務履行ノ場合ニ之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキヤ当然ナリトス此ノ趣旨ヲ判示シタル原判決ハ違法ニ非ス。」
判旨:「賃貸借契約ニ因リ之ト同時ニ賃貸人カ賃借人ニ目的物ノ使用収益ヲ為サシムル対価トシテ賃借人ハ借賃ヲ支払フヘキ基本ノ法律関係ヲ生スヘク此賃借人ノ基本債務ハ将来ノ使用収益義務履行ヲ俟チテ発生スヘキ個々ノ借賃債務トハ異レリト雖右基本債務ニ付保証ヲ約シタル者ハ将来使用収益義務履行ノ場合之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキコト勿論ニシテ従テ右基本債務ノ保証人ヲ相続シ因テ其ノ地位ヲ承継シタル者カ相続後ノ使用収益義務履行ノ場合ニ之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキヤ当然ナリトス此ノ趣旨ヲ判示シタル原判決ハ違法ニ非ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 53.8%
(H28 共通 第21問 イ)
建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合において、その相続人は、相続開始後に生じた賃借人の債務についても保証債務を負う。
(正答)✕
(解説)
確かに、判例(大判昭9.1.30)は、賃貸借契約における保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務についても当然に保証債務を負担する旨判示している。
しかし、平成29年改正民法下では、個人根保証に関する規律が新設されており、賃借人の債務の保証は通常は根保証に当たる(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂672頁)から、建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合については、個人根保証に関する民法465条の4以下の規定が適用される。そして、建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合、「保証人が死亡したとき」は、その時点で債務の元本が確定し、それ以降に生じた債務に保証債務は及ばないから、死亡した保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃借人の債務については保証債務を負わない(内田貴「民法Ⅲ 債権総論・担保物権」第4版453頁)。