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民法 残っている賃料債務と敷金の充当 最一小判平成14年3月28日 - 解答モード
概要
判例
判旨:「賃貸借契約における敷金契約は、授受された敷金をもって、賃料債権、賃貸借終了後の目的物の明渡しまでに生ずる賃料相当の損害金債権、その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することとなるべき一切の債権を担保することを目的とする賃貸借契約に付随する契約であり、敷金を交付した者の有する敷金返還請求権は、目的物の返還時において、上記の被担保債権を控除し、なお残額があることを条件として、残額につき発生することになる(最高裁昭和46年(オ)第357号同48年2月2日第二小法廷判決・民集27巻1号80頁参照)。これを賃料債権等の面からみれば、目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。このような敷金の充当による未払賃料等の消滅は、敷金契約から発生する効果であって、相殺のように当事者の意思表示を必要とするものではないから、民法511条によって上記当然消滅の効果が妨げられないことは明らかである。
また、抵当権者は、物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前は、原則として抵当不動産の用益関係に介入できないのであるから、抵当不動産の所有者等は、賃貸借契約に付随する契約として敷金契約を締結するか否かを自由に決定することができる。したがって、敷金契約が締結された場合は、賃料債権は敷金の充当を予定した債権になり、このことを抵当権者に主張することができるというべきである。
以上によれば、敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する…。」
過去問・解説
(H19 司法 第14問 5)
抵当権者が、物上代位権を行使して、抵当不動産の賃貸借契約に基づく未払の賃料債権の全額を差し押えた場合、当該不動産の賃借人と賃貸人の間で敷金が授受されていて、かつ、賃貸借契約が終了し、賃借人が不動産を明け渡したとしても、敷金は未払の賃料に充当されない。
(H26 司法 第26問 3)
建物の賃貸借契約において、契約が終了し目的建物が明け渡された後に敷金の返還請求がされた場合、賃料の未払があるときは、敷金が当然に充当されるため、賃貸人が賃借人に相殺の意思表示をする必要はない。
(H20 司法 第25問 4)
敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたとしても、それまでに生じた賃料債権が、敷金の充当によって消滅することはない。
(H29 司法 第12問 オ)
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした場合には、その後に賃貸借契約が終了し、抵当不動産が明け渡されたとしても、抵当不動産の賃借人は、抵当権者に対し、敷金の充当によって当該賃料債権が消滅したことを主張することはできない。
(R3 共通 第11問 イ)
AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され、その登記がされている。AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした場合において、BがCに賃料を支払わないままAB間の賃貸借契約が終了し、Bが甲建物をAに明け渡した。この場合において、BがAにあらかじめ敷金を預託していたときは、Cが差し押さえた賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する。