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民法 良好な景観の恵沢を享受する利益は法律上保護されるか 最一小判平成18年3月30日
概要
良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、この者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益が違法に侵害されたことをもって、不法行為による損害賠償を請求することができる。
判例
事案:Y1の土地上にY2が建築した本件建物について、その近隣に居住するXが、本件建物が違法建築物であり、日照・景観について被害を受けるなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償等を請求した事案において、景観利益が709条等にいう「法律上保護される利益」に当たるかが問題となった。
判旨:「都市の景観は、良好な風景として、人々の歴史的又は文化的環境を形作り、豊かな生活環境を構成する場合には、客観的価値を有するものというべきである。
被上告人Y1が本件建物の建築に着手した平成12年1月5日の時点において、国立市の景観条例と同様に、都市の良好な景観を形成し、保全することを目的とする条例を制定していた地方公共団体は少なくない状況にあり、東京都も、東京都景観条例(平成9年東京都条例第89号。同年12月24日施行)を既に制定し、景観作り(良好な景観を保全し、修復し又は創造すること。2条1号)に関する必要な事項として、都の責務、都民の責務、事業者の責務、知事が行うべき行為などを定めていた。また、平成16年6月18日に公布された景観法(平成16年法律第110号。同年12月17日施行)は、『良好な景観は、美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠なものであることにかんがみ、国民共通の資産として、現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう、その整備及び保全が図られなければならない。』と規定(2条1項)した上、国、地方公共団体、事業者及び住民の有する責務(3条から6条まで)、景観行政団体がとり得る行政上の施策(8条以下)並びに市町村が定めることができる景観地区に関する都市計画(61条)、その内容としての建築物の形態意匠の制限(62条)、市町村長の違反建築物に対する措置(64条)、地区計画等の区域内における建築物等の形態意匠の条例による制限(76条)等を規定しているが、これも、良好な景観が有する価値を保護することを目的とするものである。そうすると、良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益(以下『景観利益』という。)は、法律上保護に値するものと解するのが相当である。
もっとも、この景観利益の内容は、景観の性質、態様等によって異なり得るものであるし、社会の変化に伴って変化する可能性のあるものでもあるところ、現時点においては、私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず、景観利益を超えて『景観権』という権利性を有するものを認めることはできない。」
判旨:「都市の景観は、良好な風景として、人々の歴史的又は文化的環境を形作り、豊かな生活環境を構成する場合には、客観的価値を有するものというべきである。
被上告人Y1が本件建物の建築に着手した平成12年1月5日の時点において、国立市の景観条例と同様に、都市の良好な景観を形成し、保全することを目的とする条例を制定していた地方公共団体は少なくない状況にあり、東京都も、東京都景観条例(平成9年東京都条例第89号。同年12月24日施行)を既に制定し、景観作り(良好な景観を保全し、修復し又は創造すること。2条1号)に関する必要な事項として、都の責務、都民の責務、事業者の責務、知事が行うべき行為などを定めていた。また、平成16年6月18日に公布された景観法(平成16年法律第110号。同年12月17日施行)は、『良好な景観は、美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠なものであることにかんがみ、国民共通の資産として、現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう、その整備及び保全が図られなければならない。』と規定(2条1項)した上、国、地方公共団体、事業者及び住民の有する責務(3条から6条まで)、景観行政団体がとり得る行政上の施策(8条以下)並びに市町村が定めることができる景観地区に関する都市計画(61条)、その内容としての建築物の形態意匠の制限(62条)、市町村長の違反建築物に対する措置(64条)、地区計画等の区域内における建築物等の形態意匠の条例による制限(76条)等を規定しているが、これも、良好な景観が有する価値を保護することを目的とするものである。そうすると、良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益(以下『景観利益』という。)は、法律上保護に値するものと解するのが相当である。
もっとも、この景観利益の内容は、景観の性質、態様等によって異なり得るものであるし、社会の変化に伴って変化する可能性のあるものでもあるところ、現時点においては、私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず、景観利益を超えて『景観権』という権利性を有するものを認めることはできない。」
過去問・解説
(R7 司法 第30問 ア)
良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、この者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益が違法に侵害されたことをもって、不法行為による損害賠償を請求することができる。
良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、この者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益が違法に侵害されたことをもって、不法行為による損害賠償を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平18.3.30)は、「良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益…は、法律上保護に値するものと解するのが相当である。」と判示している。
したがって、良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、この者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益が違法に侵害されたことをもって、不法行為による損害賠償を請求することができる。
判例(最判平18.3.30)は、「良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益…は、法律上保護に値するものと解するのが相当である。」と判示している。
したがって、良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、この者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益が違法に侵害されたことをもって、不法行為による損害賠償を請求することができる。