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短答判例

債権譲渡通知と債権差押通知の到達の先後が不明な場合 最判平成5年3月30日

概要
債権譲渡通知と債権差押通知が第三債務者に到達したものの、その到達の先後が不明である場合には、両通知は同時に到達したものと扱われ、債権譲受人と差押債権者は、互いに自己が優先的地位にあると主張することができない。
また、この場合において、第三債務者が債権額を供託し、被差押債権額と譲受債権額との合計額が供託金額を超えるときは、差押債権者と債権譲受人は、それぞれの債権額に応じて供託金還付請求権を分割取得する。
判例
事案:債権譲渡の通知と債権差押えの通知が第三債務者に到達したものの、その到達の先後関係が不明である場合において、①債権譲受人と差押債権者の優劣と②第三債務者が供託した場合の供託金還付請求権の帰属が問題となった。

判旨:①「国税徴収法に基づく滞納処分としての債権の差押えをした者と同一債権の譲受人との間の優劣は、債権差押えの通知が第三債務者に送達された日時と確定日付のある債権譲渡の通知が当該第三債務者に到達した日時又は確定日付のある第三債務者の承諾の日時との先後によって決すべきである…。したがって、右各通知が第三債務者に到達したが、その到達の先後関係が不明であるために、その相互間の優劣関係を決することができない場合には、右各通知が同時に第三債務者に到達した場合と同様に、差押債権者と債権譲受人との間では、互いに相手方に対して自己が優先的地位にある債権者であると主張することが許されない関係に立つものというべきである…。」
②「そして、滞納処分としての債権差押えの通知と確定日付のある右債権譲渡の通知の第三債務者への到達の先後関係が不明であるために、第三債務者が債権者を確知することができないことを原因として右債権額に相当する金員を供託した場合において、被差押債権額と譲受債権額との合計額が右供託金額を超過するときは、差押債権者と債権譲受人は、公平の原則に照らし、被差押債権額と譲受債権額に応じて供託金額を案分した額の供託金還付請求権をそれぞれ分割取得するものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R8 司法 第22問 イ)
債権が二重に譲渡され、いずれの債権譲渡についても債権の譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をしたが、通知の到達の先後が不明であるときは、債権の譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は、通知の到達の先後が不明であることを理由として弁済を拒絶することができない。

(正答)〇

(解説)
判例(最判平5.3.30)は、債権差押通知と確定日付のある債権譲渡通知の到達の先後関係が不明である場合について、「右各通知は同時に第三債務者に到達したものとして取り扱うのが相当である。」と判示している。この趣旨から、債権が二重に譲渡され、確定日付のある各債権譲渡通知の到達の先後関係が不明である場合も、各通知が同時に到達した場合と同様に扱われる。
そして、判例(最判昭55.1.11)は、「指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に第三債務者に到達したときは、各譲受人は、第三債務者に対しそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができ、譲受人の1人から弁済の請求を受けた第三債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由がない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責めを免れることはできないもの、と解するのが相当である。」と判示している。
したがって、債務者は、通知の到達の先後が不明であることを理由として弁済を拒絶することができない。
総合メモ