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民法 履行の提供と信義誠実の原則 大判大正14年12月3日
概要
履行の提供場所が不明確な場合においても、売主が目的物の引渡しの準備をし、その旨を買主に通知した上で代金支払いの催告をすれば、信義則上、買主は、売主に履行の提供場所を問い合わせるべきであるから、この問い合わせを怠り、代金の支払いに応じない場合には履行遅滞の責任を負う。
判例
事案:履行の提供場所が不明確な場合において、信義則上、買主が、売主に履行場所の問い合わせをする必要があるかが問題となった。
判旨:「上告人カ引渡ノ準備ヲ完了シ之ヲ被上告人ニ通知シ代金支払ヲ催告シタル際被上告人カ引渡場所ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシニ拘ラス之ニ応セサリシモノトスレハ固ヨリ遅滞ノ責ニ任セサルヘカラス而シテ本件ニ於テ上告人ハ引渡場所カ丸三倉庫ナルコトハ被上告人ノ了知スル所ナル旨主張スルモノナルコト原審ニ於ケル上告人弁論ノ全趣旨ニ徴シ之ヲ看取スルニ難カラサルノミナラス仮ニ被上告人カ之ヲ知ラサリシトスルモ被上告人ニ於テ誠実ニ取引スルノ意思アラハ相手方ニ対スル一片ノ問合セニ依リ直ニ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシモノニシテ斯カル場合ニハ信義ノ原則ニ依リ被上告人ハ右問合セヲ為スコトヲ要シ之ヲ怠リタルニ於テハ遅滞ノ責ヲ免ルルヲ得サルモノトス。」
判旨:「上告人カ引渡ノ準備ヲ完了シ之ヲ被上告人ニ通知シ代金支払ヲ催告シタル際被上告人カ引渡場所ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシニ拘ラス之ニ応セサリシモノトスレハ固ヨリ遅滞ノ責ニ任セサルヘカラス而シテ本件ニ於テ上告人ハ引渡場所カ丸三倉庫ナルコトハ被上告人ノ了知スル所ナル旨主張スルモノナルコト原審ニ於ケル上告人弁論ノ全趣旨ニ徴シ之ヲ看取スルニ難カラサルノミナラス仮ニ被上告人カ之ヲ知ラサリシトスルモ被上告人ニ於テ誠実ニ取引スルノ意思アラハ相手方ニ対スル一片ノ問合セニ依リ直ニ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシモノニシテ斯カル場合ニハ信義ノ原則ニ依リ被上告人ハ右問合セヲ為スコトヲ要シ之ヲ怠リタルニ於テハ遅滞ノ責ヲ免ルルヲ得サルモノトス。」
過去問・解説
(H19 司法 第23問 ウ)
催告に当たり債権者が指定した履行の場所が不明確であったときは、この催告の効力が認められることはない。
催告に当たり債権者が指定した履行の場所が不明確であったときは、この催告の効力が認められることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大14.12.3)は、履行の提供場所が不明確な場合においても、売主が目的物の引渡しの準備をし、その旨を買主に通知した上で代金支払いの催告をすれば、信義則上、買主は、売主に履行の提供場所を問い合わせるべきであるから、この問い合わせを怠り、代金の支払いに応じない場合には履行遅滞の責任を負う旨判示している。したがって、催告に当たり債権者が指定した履行の場所が不明確であったときにおいても、この催告の効力が認められる場合はある。
判例(大判大14.12.3)は、履行の提供場所が不明確な場合においても、売主が目的物の引渡しの準備をし、その旨を買主に通知した上で代金支払いの催告をすれば、信義則上、買主は、売主に履行の提供場所を問い合わせるべきであるから、この問い合わせを怠り、代金の支払いに応じない場合には履行遅滞の責任を負う旨判示している。したがって、催告に当たり債権者が指定した履行の場所が不明確であったときにおいても、この催告の効力が認められる場合はある。
(H20 司法 第1問 ウ)
動産売買における引渡場所について、買主が売主に問い合わせをすれば知ることが容易であった場合には、問い合わせを怠った買主は、権利濫用禁止の原則を根拠に遅滞の責任を免れない。
動産売買における引渡場所について、買主が売主に問い合わせをすれば知ることが容易であった場合には、問い合わせを怠った買主は、権利濫用禁止の原則を根拠に遅滞の責任を免れない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大14.12.3)は、履行の提供場所が不明確な場合においても、売主が目的物の引渡しの準備をし、その旨を買主に通知した上で代金支払いの催告をすれば、信義則上、買主は、売主に履行の提供場所を問い合わせるべきであるから、この問い合わせを怠り、代金の支払いに応じない場合には履行遅滞の責任を負う旨判示している。このように、同判例は、遅滞の責任を免れないとする根拠を、権利濫用禁止の原則ではなく、信義則に求めている。
判例(大判大14.12.3)は、履行の提供場所が不明確な場合においても、売主が目的物の引渡しの準備をし、その旨を買主に通知した上で代金支払いの催告をすれば、信義則上、買主は、売主に履行の提供場所を問い合わせるべきであるから、この問い合わせを怠り、代金の支払いに応じない場合には履行遅滞の責任を負う旨判示している。このように、同判例は、遅滞の責任を免れないとする根拠を、権利濫用禁止の原則ではなく、信義則に求めている。