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民法 失踪宣告後その取消前の契約の効力 大判昭和13年2月7日

概要
失踪宣告後、その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさないと定めた32条1項後段の適用が認められるためには、当該行為が契約である場合には、当該契約当事者全員が善意である必要がある。
判例
事案:失踪宣告後、当該宣告が取り消される前になされた、失踪者の財産の処分に関する契約について、契約当事者が失踪者の生存につき悪意であった場合に、32条1項後段が適用されるかが問題となった。

判旨:「失踪宣告後其ノ取消前ニ失踪者ノ生存スルコトヲ知ラス即チ善意ヲ以テ為シタル行為ニ限リ其ノ効力ヲ変セサルモノナリト雖右行為カ契約其ノ他多数当事者間ニ於テ為サレタルモノナル場合ニ於テハ行為当事者全員ノ善意ヲ要スルモノト解ス…。」
過去問・解説
(H29 共通 第3問 エ)
Aの生死が7年間明らかでなかったことから、Aについて失踪宣告がされ、Aが死亡したものとみなされた後に、Aの子であるBがA所有の甲土地を遺産分割により取得した。その後、Bは、Cに甲土地を売却したが、その売却後にAの生存が判明し、Aの失踪宣告は取り消された。その売買契約の時点で、Aの生存についてBが善意であっても、Cが悪意であるときは、Cは、甲土地の所有権を取得することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.2.7)は、失踪宣告後、その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさないと定めた32条1項後段の適用が認められるためには、当該行為が契約である場合には、契約当事者全員が善意である必要がある旨判示している。したがって、本肢においては、Aの失踪宣告後その取消し前にした甲土地の売買契約の当事者であるB及びCが、共にAの生存について善意である場合に限り、32条1項後段が適用される。しかし、CがAの生存について悪意であることから、同項後段が適用されず、Cは甲土地の所有権を取得することができない。

(R3 共通 第1問 ウ)
失踪宣告を受けて死亡したものとみなされたAから甲土地を相続したBが、Cに甲土地を売却した後に、Aの失踪宣告が取り消された。この場合において、CがAの生存につき善意であったときは、Bがこれにつき悪意であったとしても、その取消しは、BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼさない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.2.7)は、失踪宣告後、その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさないと定めた32条1項後段の適用が認められるためには、当該行為が契約である場合には、契約当事者全員が善意である必要がある旨判示している。したがって、本肢においては、Aの失踪宣告後その取消し前にした甲土地の売買契約の当事者であるB及びCの双方が、Aの生存について善意である場合に限り、32条1項後段が適用される。しかし、BがAの生存について悪意であることから、同項後段が適用されない。
失踪宣告によって甲土地を相続したBは、失踪宣告の取消によって甲土地の所有権を失う(32条2項本文)ため、BC間の売買契約は他人物売買(561条)となり、BがAから甲土地の所有権を取得しない限り、Cが甲土地の所有権を取得することはできない。よって、Aの失踪宣告の取消は、BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼす。
総合メモ
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