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民法 対抗力を具備しない土地賃借権者に対し建物収去土地明渡しを求めることが権利の濫用となるとされた事例 最三小判昭和43年9月3日

概要
土地買受人が、賃借人が地上に建物を所有し営業しているのを知って著しく低廉な賃借権付評価で取得しながら、賃借権の対抗力の欠如を利用してする建物収去土地明渡しの訴えは、権利の濫用となる。
判例
事案:対抗力を具備しない土地賃借権が存することを知りながら、著しく低廉な賃借権付評価で土地を買い受けた者が、土地賃借人に対し建物収去土地明渡しを求めた場合において、同請求が権利の濫用に当たるかが問題となった。

判旨:「原審は、…「被控訴人(上告人)は、単に控訴人(被上告人)…が本件…土地を賃借し、同地上に建物を所有して営業している事実を知つて本件土地を買受けたものであるに止らず、時価よりも著しく低廉な、しかも賃借権付評価で取得した土地につき、たまたま控訴人(被上告人)…の賃借権が対抗力を欠如していることを発見し、これを奇貨として予想外の新たな利益を収めようとするものであり、その方法としては事前に何らの交渉もしないで抜打的に本訴を提起し、その反面に、相手方に予期しない不利益を与えるもの、即ち正当な賃借権に基き地上に建物を所有して平穏に営業し来つた控訴人(被上告人)…側の営業ならびに生活に多大の損失と脅威を与えることを意に介せず、敢えて彼我の利益の均衡を破壊して巨利を博する結果を招来せんとするものと認めなければならない」とし、上告人の被上告人…に対する本件建物収去・土地明渡の請求は権利の濫用として許されないと判断したのである。そして、原判決挙示の証拠によれば、原審の前記事実の認定は是認することができ、当該事実関係のもとにおいては、上告人の被上告人…に対する本件建物収去・土地明渡の請求を権利の濫用にあたるとした原審の判断は正当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第18問 3)
AがBに土地を賃貸し、Bが同土地上に建物を建築して所有している。AがCに同土地を譲渡した。Bが土地の賃貸借の登記と建物の所有権の登記のいずれもしていなかったが、Cは、Bの賃借人としての土地利用を知っており、借地権の存在を前提とする低廉な価格で土地を買い、所有権移転登記を経た。この場合、CのBに対する建物収去土地明渡請求は認められる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.9.3)は、本肢と同種の事案において、土地買受人が、同土地の賃借人が地上に建物を所有し営業しているのを知って著しく低廉な賃借権付評価で取得しながら、賃借権の対抗力の欠如を利用し建物収去土地明け渡しの訴えを提起することは、権利の濫用となり許されない旨判示している。したがって、本肢においても、CはBの賃借人としての土地利用を知りつつ、借地権の存在を前提とする低廉な価格で土地を購入しているため、この場合にCがBに対して建物収去土地明渡請求を行うことは、権利の濫用に当たり認められない。
総合メモ
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