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民法 譲渡担保権者の債権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において設定者が第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることの可否 最二小判平成18年10月20日
概要
不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができるが、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできない。
判例
事案:譲渡担保権者の債権者が、被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において、設定者が、差し押さえ登記後に債務の全額を弁済して、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができるか問題となった。
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。なぜなら、設定者が債務の履行を遅滞したときは、譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、被担保債権の弁済期後は、設定者としては、目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ、譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も、譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって、目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では、差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。上記と異なり、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら、弁済期前においては、譲渡担保権者は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず、目的不動産を処分する権能を有しないから、このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。」
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。なぜなら、設定者が債務の履行を遅滞したときは、譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、被担保債権の弁済期後は、設定者としては、目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ、譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も、譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって、目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では、差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。上記と異なり、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら、弁済期前においては、譲渡担保権者は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず、目的不動産を処分する権能を有しないから、このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。」
過去問・解説
(R1 司法 第16問 エ)
譲渡担保の被担保債権の弁済期後に目的不動産が譲渡担保権者の債権者によって差し押さえられ、その旨の登記がされた場合、債務者は、その後に被担保債権に係る債務の全額を弁済しても、差押債権者に対し、目的不動産の所有権を主張することができない。
譲渡担保の被担保債権の弁済期後に目的不動産が譲渡担保権者の債権者によって差し押さえられ、その旨の登記がされた場合、債務者は、その後に被担保債権に係る債務の全額を弁済しても、差押債権者に対し、目的不動産の所有権を主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。
(R5 共通 第16問 イ)
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者の債権者が目的物を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、その後に被担保債権を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができない。
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者の債権者が目的物を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、その後に被担保債権を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。