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民法 売買代金の支払いと譲渡担保権の設定 最二小判平成30年12月7日
概要
所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。
判例
事案:継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合において、買主が保管する目的物を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が、売買代金が完済されていない目的物について、上記売主に対して上記譲渡担保権を主張できるかが問題となった。
判旨:「本件売買契約は、金属スクラップ等を反復継続して売却するものであり、本件条項は、その売買代金の支払を確保するために、目的物の所有権がその完済をもってAからBに移転し、その完済まではAに留保される旨を定めたものである。
本件売買契約では、毎月21日から翌月20日までを1つの期間として、期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され、1つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は、上記の方法で額が算定された当該期間の売買代金の完済までAに留保されることが定められ、これと異なる期間の売買代金の支払を確保するためにAに留保されるものではない。上記のような定めは、売買代金の額が期間ごとに算定される継続的な動産の売買契約において、目的物の引渡しからその完済までの間、その支払を確保する手段を売主に与えるものであって、その限度で目的物の所有権を留保するものである。
また、Aは、Bに対して金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが、これは、AがBに本件売買契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解され、このことをもって上記金属スクラップ等の所有権がBに移転したとみることはできない。
以上によれば、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまでAからBに移転しないものと解するのが相当である。したがって、本件動産につき、Cは、Aに対して本件譲渡担保権を主張することができない。」
判旨:「本件売買契約は、金属スクラップ等を反復継続して売却するものであり、本件条項は、その売買代金の支払を確保するために、目的物の所有権がその完済をもってAからBに移転し、その完済まではAに留保される旨を定めたものである。
本件売買契約では、毎月21日から翌月20日までを1つの期間として、期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され、1つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は、上記の方法で額が算定された当該期間の売買代金の完済までAに留保されることが定められ、これと異なる期間の売買代金の支払を確保するためにAに留保されるものではない。上記のような定めは、売買代金の額が期間ごとに算定される継続的な動産の売買契約において、目的物の引渡しからその完済までの間、その支払を確保する手段を売主に与えるものであって、その限度で目的物の所有権を留保するものである。
また、Aは、Bに対して金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが、これは、AがBに本件売買契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解され、このことをもって上記金属スクラップ等の所有権がBに移転したとみることはできない。
以上によれば、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまでAからBに移転しないものと解するのが相当である。したがって、本件動産につき、Cは、Aに対して本件譲渡担保権を主張することができない。」
過去問・解説
(R4 司法 第12問 エ)
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときは、その後Bが代金の支払を怠ったとしても、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることはできない。
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときは、その後Bが代金の支払を怠ったとしても、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平30.12.7)は、所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときであっても、その後Bが甲の代金の支払いを怠ったのであれば、甲の所有権は未だ所有権留保権者たるAのもとにあるから、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることができる。
判例(最判平30.12.7)は、所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときであっても、その後Bが甲の代金の支払いを怠ったのであれば、甲の所有権は未だ所有権留保権者たるAのもとにあるから、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることができる。