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民法 通行地役権に基づく土地の明渡請求権 最三小判平成17年3月29日
概要
通行地役権者は、承役地の一部に車両を恒常的に駐車させている者に対し駐車の禁止を求めることができるが、これを超えて、承役地の目的外使用一般の禁止を求めることはできない。
判例
事案:通行地役権者が、承役地の一部に車両を恒常的に駐車させている者に対し駐車の禁止を求めることができるかどうかが問題となった。
判旨:「本件通路土地が、宅地の分譲が行われた際に分譲業者が公道から各分譲地に至る通路として開設したものであること、本件地役権が、本件通路土地の幅員全部につき、上記分譲業者と宅地の分譲を受けた者との間の合意に基づいて設定された通行地役権であることに加え、分譲完了後、本件通路土地の所有権が、同土地を利用する地域住民の自治会に移転されたという経緯や、同土地の現況が舗装された位置指定道路であり、通路以外の利用が考えられないこと等にもかんがみると、本件地役権の内容は、通行の目的の限度において、本件通路土地全体を自由に使用できるというものであると解するのが相当である。そうすると、本件車両を本件通路土地に恒常的に駐車させることによって同土地の一部を独占的に使用することは、この部分を上告人が通行することを妨げ、本件地役権を侵害するものというべきであって、上告人は、地役権に基づく妨害排除ないし妨害予防請求権に基づき、被上告人に対し、このような行為の禁止を求めることができると解すべきである。本件車両を駐車させた状態での残余の幅員が3m余りあり、本件通路土地には幅員がこれより狭い部分があるとしても、そのことにより本件係争地付近における本件通路土地の通行が制約される理由はないから、この結論は左右されない。
そして、通行地役権は、承役地を通行の目的の範囲内において使用することのできる権利にすぎないから、通行地役権に基づき、通行妨害行為の禁止を超えて、承役地の目的外使用一般の禁止を求めることはできない。」
判旨:「本件通路土地が、宅地の分譲が行われた際に分譲業者が公道から各分譲地に至る通路として開設したものであること、本件地役権が、本件通路土地の幅員全部につき、上記分譲業者と宅地の分譲を受けた者との間の合意に基づいて設定された通行地役権であることに加え、分譲完了後、本件通路土地の所有権が、同土地を利用する地域住民の自治会に移転されたという経緯や、同土地の現況が舗装された位置指定道路であり、通路以外の利用が考えられないこと等にもかんがみると、本件地役権の内容は、通行の目的の限度において、本件通路土地全体を自由に使用できるというものであると解するのが相当である。そうすると、本件車両を本件通路土地に恒常的に駐車させることによって同土地の一部を独占的に使用することは、この部分を上告人が通行することを妨げ、本件地役権を侵害するものというべきであって、上告人は、地役権に基づく妨害排除ないし妨害予防請求権に基づき、被上告人に対し、このような行為の禁止を求めることができると解すべきである。本件車両を駐車させた状態での残余の幅員が3m余りあり、本件通路土地には幅員がこれより狭い部分があるとしても、そのことにより本件係争地付近における本件通路土地の通行が制約される理由はないから、この結論は左右されない。
そして、通行地役権は、承役地を通行の目的の範囲内において使用することのできる権利にすぎないから、通行地役権に基づき、通行妨害行為の禁止を超えて、承役地の目的外使用一般の禁止を求めることはできない。」
過去問・解説
(H22 司法 第8問 オ)
通行のために設定された地役権を有する者は、承役地のうち通路として開設された部分に物件を置いて通行を困難にする者に対し、通路である土地の部分の明渡しを請求することができる。
通行のために設定された地役権を有する者は、承役地のうち通路として開設された部分に物件を置いて通行を困難にする者に対し、通路である土地の部分の明渡しを請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平17.3.29)は、本肢と同種の事案において、「上告人は、地役権に基づく妨害排除ないし妨害予防請求権に基づき、被上告人に対し、このような行為の禁止を求めることができると解すべきである。」と判示した上で、「通行地役権は、承役地を通行の目的の範囲内において使用することのできる権利にすぎないから、通行地役権に基づき、通行妨害行為の禁止を超えて、承役地の目的外使用一般の禁止を求めることはできない。」と判示している。この判例の理解に基づけば、通行地役権は、承役地を占有することができる権利を含むものではなく、通行地役権に基づいて承役地の返還請求権は認められず、したがって、承役地の明渡請求をすることはできないと解される。よって、通行のために設定された地役権を有する者は、承役地のうち通路として開設された部分に物件を置いて通行を困難にする者に対し、通路である土地の部分の明渡しを請求することができない。
判例(最判平17.3.29)は、本肢と同種の事案において、「上告人は、地役権に基づく妨害排除ないし妨害予防請求権に基づき、被上告人に対し、このような行為の禁止を求めることができると解すべきである。」と判示した上で、「通行地役権は、承役地を通行の目的の範囲内において使用することのできる権利にすぎないから、通行地役権に基づき、通行妨害行為の禁止を超えて、承役地の目的外使用一般の禁止を求めることはできない。」と判示している。この判例の理解に基づけば、通行地役権は、承役地を占有することができる権利を含むものではなく、通行地役権に基づいて承役地の返還請求権は認められず、したがって、承役地の明渡請求をすることはできないと解される。よって、通行のために設定された地役権を有する者は、承役地のうち通路として開設された部分に物件を置いて通行を困難にする者に対し、通路である土地の部分の明渡しを請求することができない。