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民法 宿泊客がフロントに預けなかった物品の滅失毀損等につきホテル側に故意又は重大な過失がある場合とホテルの損害賠償義務の範囲を制限する宿泊約款の定めの適用 最二小判平成15年2月28日
概要
宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなかったものが滅失、毀損するなどしたときに、ホテルの損害賠償義務の範囲を一定の金額の限度に制限する宿泊約款の定めは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない。
判例
事案:ホテルに持ち込んだものの、フロントに預けなかった物品、金銭及び貴重品について、ホテル側にその種類及び価額の明告をしなかった場合において、当該物品、金銭及び貴重品にホテルの故意または重大な過失によって滅失、棄損等の損害が発生したとき、賠償金額を一定程度に限定する特則が有効に適用されるかが問題となった。
判旨:「…本件ホテルの宿泊約款には、「宿泊客が当ホテル内にお持込みになった物品又は現金並びに貴重品であってフロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルは、その損害を賠償します。ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。」という規定があった(以下、この但書のことを「本件特則」という。)。」
「本件特則は、宿泊客が、本件ホテルに持ち込みフロントに預けなかった物品、現金及び貴重品について、ホテル側にその種類及び価額の明告をしなかった場合には、ホテル側が物品等の種類及び価額に応じた注意を払うことを期待するのが酷であり、かつ、時として損害賠償額が巨額に上ることがあり得ることなどを考慮して設けられたものと解される。このような本件特則の趣旨にかんがみても、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合に、本件特則により、被上告人の損害賠償義務の範囲が制限されるとすることは、著しく衡平を害するものであって、当事者の通常の意思に合致しないというべきである。したがって、本件特則は、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されないと解するのが相当である。」
判旨:「…本件ホテルの宿泊約款には、「宿泊客が当ホテル内にお持込みになった物品又は現金並びに貴重品であってフロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルは、その損害を賠償します。ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。」という規定があった(以下、この但書のことを「本件特則」という。)。」
「本件特則は、宿泊客が、本件ホテルに持ち込みフロントに預けなかった物品、現金及び貴重品について、ホテル側にその種類及び価額の明告をしなかった場合には、ホテル側が物品等の種類及び価額に応じた注意を払うことを期待するのが酷であり、かつ、時として損害賠償額が巨額に上ることがあり得ることなどを考慮して設けられたものと解される。このような本件特則の趣旨にかんがみても、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合に、本件特則により、被上告人の損害賠償義務の範囲が制限されるとすることは、著しく衡平を害するものであって、当事者の通常の意思に合致しないというべきである。したがって、本件特則は、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R3 司法 第16問 ア)
債務者は、一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも、債務者が故意に債務を履行しなかったときには、当該免責条項による免責が認められない。
債務者は、一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも、債務者が故意に債務を履行しなかったときには、当該免責条項による免責が認められない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平15.2.28)は、宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなかったものが滅失、毀損するなどしたときに、ホテルの損害賠償義務の範囲を一定の金額の限度に制限する宿泊約款の定めは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない旨判示している。したがって、債務者は、一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも、債務者が故意に債務を履行しなかったときには、当該免責条項による免責が認められないといえる。
判例(最判平15.2.28)は、宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなかったものが滅失、毀損するなどしたときに、ホテルの損害賠償義務の範囲を一定の金額の限度に制限する宿泊約款の定めは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない旨判示している。したがって、債務者は、一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも、債務者が故意に債務を履行しなかったときには、当該免責条項による免責が認められないといえる。