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民法 不動産の所有権と代物弁済の成立要件 最一小判昭和39年11月26日
概要
482条にいう「他の給付」が不動産の所有権を移転することにある場合には、当事者がその意思表示をするだけでは足りず、登記その他引渡行為を終了し、第三者に対する対抗要件を具備したときでなければ、代物弁済は成立しないと解すべきである。
判例
事案:代物弁済において不動産の所有権を移転することが弁済の内容となっている場合に、482条にいう「他の給付」が認められるためには、対抗要件の具備まで必要かが問題となった。
判旨:「代物弁済が債務消滅の効力を生ずるには、債務者が本来の給付に代えてなす他の給付を現実に実行することを要し、単に代りの給付をなすことを債権者に約すのみでは足りず、従って他の給付が不動産の所有権を移転することに存する場合においては、当事者がその意思表示をなすのみでは足りず、登記その他引渡行為を終了し、法律行為が当事者間のみならず、第三者に対する関係においても全く完了したときでなければ代物弁済は成立しないと解すべきである(大正6年8月22日大審院判決、民録23輯下1293頁参照)。」
判旨:「代物弁済が債務消滅の効力を生ずるには、債務者が本来の給付に代えてなす他の給付を現実に実行することを要し、単に代りの給付をなすことを債権者に約すのみでは足りず、従って他の給付が不動産の所有権を移転することに存する場合においては、当事者がその意思表示をなすのみでは足りず、登記その他引渡行為を終了し、法律行為が当事者間のみならず、第三者に対する関係においても全く完了したときでなければ代物弁済は成立しないと解すべきである(大正6年8月22日大審院判決、民録23輯下1293頁参照)。」
過去問・解説
(H24 司法 第22問 2)
判例によれば、金銭消費貸借契約を締結して1000万円を借り受けた債務者が、貸主との間で、金銭を支払う代わりに債務者所有の1000万円相当の土地を譲り渡す合意をしたときは、この合意の性質を代物弁済又は更改のいずれと解しても、合意成立の時点で旧債務は消滅する。
判例によれば、金銭消費貸借契約を締結して1000万円を借り受けた債務者が、貸主との間で、金銭を支払う代わりに債務者所有の1000万円相当の土地を譲り渡す合意をしたときは、この合意の性質を代物弁済又は更改のいずれと解しても、合意成立の時点で旧債務は消滅する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭39.11.26)は、「代物弁済が債務消滅の効力を生ずるには、債務者が本来の給付に代えてなす他の給付を現実に実行することを要し、単に代りの給付をなすことを債権者に約すのみでは足りず、従って他の給付が不動産の所有権を移転することに存する場合においては、当事者がその意思表示をなすのみでは足りず、登記その他引渡行為を終了し、法律行為が当事者間のみならず、第三者に対する関係においても全く完了したときでなければ代物弁済は成立しないと解すべきである…。」と判示している。したがって、合意の性質を代物弁済と解したのであれば、合意成立の時点では旧債務は消滅せず、登記その他引渡行為を終了し、対抗要件を具備させて初めて旧債務が消滅する。
一方、513条は、「当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。」と規定している。したがって、合意の性質を更改と解したのであれば、合意成立の時点で旧債務は消滅する。
判例(最判昭39.11.26)は、「代物弁済が債務消滅の効力を生ずるには、債務者が本来の給付に代えてなす他の給付を現実に実行することを要し、単に代りの給付をなすことを債権者に約すのみでは足りず、従って他の給付が不動産の所有権を移転することに存する場合においては、当事者がその意思表示をなすのみでは足りず、登記その他引渡行為を終了し、法律行為が当事者間のみならず、第三者に対する関係においても全く完了したときでなければ代物弁済は成立しないと解すべきである…。」と判示している。したがって、合意の性質を代物弁済と解したのであれば、合意成立の時点では旧債務は消滅せず、登記その他引渡行為を終了し、対抗要件を具備させて初めて旧債務が消滅する。
一方、513条は、「当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。」と規定している。したがって、合意の性質を更改と解したのであれば、合意成立の時点で旧債務は消滅する。
(H29 司法 第22問 ウ)
AのBに対する1000万円の債務(以下「本件債務」という。)について、AB間でA所有の甲土地で代物弁済をする合意をした。AがCから売買契約により甲土地の所有権を取得した後に代物弁済の合意がされ、その合意に基づいてAからBへの所有権移転登記がされた後、CがAの強迫を理由としてその売買契約を取り消したときは、Aは、Bに対し、本件債務の消滅を主張することができない。
AのBに対する1000万円の債務(以下「本件債務」という。)について、AB間でA所有の甲土地で代物弁済をする合意をした。AがCから売買契約により甲土地の所有権を取得した後に代物弁済の合意がされ、その合意に基づいてAからBへの所有権移転登記がされた後、CがAの強迫を理由としてその売買契約を取り消したときは、Aは、Bに対し、本件債務の消滅を主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭39.11.26)は、「代物弁済が債務消滅の効力を生ずるには、債務者が本来の給付に代えてなす他の給付を現実に実行することを要し、単に代りの給付をなすことを債権者に約すのみでは足りず、従って他の給付が不動産の所有権を移転することに存する場合においては、当事者がその意思表示をなすのみでは足りず、登記その他引渡行為を終了し、法律行為が当事者間のみならず、第三者に対する関係においても全く完了したときでなければ代物弁済は成立しないと解すべきである…。」と判示している。したがって、代物弁済の合意に基づいてAからBへの所有権移転登記がなされたことで、代物弁済の効力が生じ本件債務が消滅したとも思える。
しかし、CがAの強迫を理由として売買契約を取り消したときは(96条1項)、同売買契約は遡及的に無効となり(121条)、Aは甲土地の所有権を取得することができない。そして、強迫による取消には第三者保護規定がないため、Bへの所有権移転は生じず、代物弁済の効力は生じないことになるから、Aは、Bに対し、本件債務の消滅を主張することができない。
判例(最判昭39.11.26)は、「代物弁済が債務消滅の効力を生ずるには、債務者が本来の給付に代えてなす他の給付を現実に実行することを要し、単に代りの給付をなすことを債権者に約すのみでは足りず、従って他の給付が不動産の所有権を移転することに存する場合においては、当事者がその意思表示をなすのみでは足りず、登記その他引渡行為を終了し、法律行為が当事者間のみならず、第三者に対する関係においても全く完了したときでなければ代物弁済は成立しないと解すべきである…。」と判示している。したがって、代物弁済の合意に基づいてAからBへの所有権移転登記がなされたことで、代物弁済の効力が生じ本件債務が消滅したとも思える。
しかし、CがAの強迫を理由として売買契約を取り消したときは(96条1項)、同売買契約は遡及的に無効となり(121条)、Aは甲土地の所有権を取得することができない。そして、強迫による取消には第三者保護規定がないため、Bへの所有権移転は生じず、代物弁済の効力は生じないことになるから、Aは、Bに対し、本件債務の消滅を主張することができない。