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民法 代物弁済と債務消滅に関する特約 最三小判昭和43年11月19日

概要
債務者が不動産所有権の譲渡をもって代物弁済をする場合でも、債権者が当該不動産の所有権移転登記手続に必要な一切の書類を債務者から受領しただけでただちに代物弁済による債務消滅の効力を生ぜしめる旨の特約が存するときには、債権者が債務者から当該書類を受領した時に、代物弁済による債務消滅の効力が生ずる。
判例
事案:不動産所有権の譲渡をもって代物弁済をする場合において、債権者が当該不動産の所有権移転登記手続に必要な一切の書類を債務者から受領しただけでただちに代物弁済による債務消滅の効力を生ぜしめる旨の特約の効力が問題となった。

判旨:「債務者がその負担した給付に代えて不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済する場合の債務消滅の効力は、原則として、単に所有権移転の意思表示をなすのみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によって生ずるものと解すべきであることは当裁判所の判例とするところである(昭和39年(オ)第665号同40年4月30日第二小法廷判決、集19巻3号768頁参照)。
 しかし、このことは、当事者間において、債権者が右不動産の所有権移転登記手続に必要な一切の書類を債務者から受領したときは右移転登記手続の実行をまたないでただちに代物弁済による債務消滅の効力を生ぜしめる旨の特約をすることを妨げるものではなく、かかる特約が存する場合には、債権者が債務者から右書類を受領したときに、ただちに代物弁済による債務消滅の効力が生ずるものと解すべきである。」
過去問・解説
(H29 司法 第22問 オ)
AのBに対する1000万円の債務(以下「本件債務」という。)について、AB間でA所有の甲土地で代物弁済をする合意をした。甲土地の所有権移転登記手続に必要な書類をBがAから受領した時点で本件債務の消滅の効果が生じるという特約がある場合、BがAからその書類を受領した時に、本件債務の消滅の効果が生じる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.11.19)は、「債務者がその負担した給付に代えて不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済する場合の債務消滅の効力は、原則として、単に所有権移転の意思表示をなすのみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によって生ずるものと解すべきであることは当裁判所の判例とするところである…。」と判示した上で、「しかし、このことは、当事者間において、債権者が右不動産の所有権移転登記手続に必要な一切の書類を債務者から受領したときは右移転登記手続の実行をまたないでただちに代物弁済による債務消滅の効力を生ぜしめる旨の特約をすることを妨げるものではなく、かかる特約が存する場合には、債権者が債務者から右書類を受領したときに、ただちに代物弁済による債務消滅の効力が生ずるものと解すべきである。」と判示している。
したがって、AB間の代物弁済の合意において、甲土地の所有権移転登記手続に必要な書類をBがAから受領した時点で本件債務の消滅の効果が生じるという特約がある場合、BがAからその書類を受領したときに、本件債務の消滅の効果が生じる。
総合メモ
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