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民法 同時履行の抗弁権が付着する場合の相殺の成否 大判昭和13年3月1日

概要
自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺をすることができない。
判例
事案:自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺をすることができるかどうかが問題となった。

判旨:「買取請求権行使ノ結果成立スル造作代金支払債務ハ固ヨリ双務契約ニ基クモノニ非スト雖目的タル造作ノ移転義務ト対価的関係ニ立ツモノナル点ニ付テハ恰モ売買契約ニ因ル代金支払債務カ財産権移転ノ債務ト対価的関係ニ立ツト同様ナルヲ以テ造作買取義務者タル賃貸人ハ買取請求権者タル賃借人ヨリ造作ノ引渡シアル迄其ノ代金ノ支払ヲ拒ミ得ル同時履行ノ抗弁権ヲ有スルモノト解スルヲ正当トスヘク斯ル賃貸人ノ抗弁権ハ相手方タル賃借人ノ一方的ナル相殺ノ意思表示ニ因リ消滅セシメラルヘキ理ナキニ依リ賃借人カ…造作買取請求権ヲ行使シ得ル場合ニ於テ其ノ行使ニ因リテ生シタル代金債権ヲ以テ賃貸人ノ自己ニ対シテ有スル賃料其ノ他ノ債権ト相殺セムカ為ニハ造作ノ引渡義務ニ付履行ノ提供ヲ為ササルヘカラス。」
過去問・解説
(H20 司法 第20問 イ)
建物賃借人Aは、賃貸人Bに対する賃料債務を消滅させるため、Aを売主、Bを買主とする動産の売買における引渡債務の履行を提供しなくても、履行期にあるその売買代金債権を自働債権として相殺をすることができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.3.1)は、自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺することができない旨判示している。売買契約は双務契約であり、動産の買主は、目的物の引き渡しを受けるまでは代金の支払いを拒むことができる同時履行の抗弁権を有する(533条)。したがって、Aを売主、Bを買主とする動産の売買における引渡債務の履行を提供しなければ、自働債権である売買代金債権に付着した同時履行の抗弁権を消滅させることができないため、当該売買代金債権が履行期にあるとしても、その売買代金債権を自働債権として相殺をすることができない。

(H24 司法 第30問 4)
判例によれば、AがBに対し貸金の返還を請求する訴訟において、Aとの動産の売買に基づく代金債権をもってする相殺を主張するBは、目的動産の引渡しを提供したことを主張立証しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.3.1)は、自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺することができない旨判示している。売買契約は双務契約であり、動産の買主は、目的物の引き渡しを受けるまでは代金の支払いを拒むことができる同時履行の抗弁権を有する(533条)。したがって、AがBに対し貸金の返還を請求する訴訟において、Aとの動産の売買に基づく代金債権をもってする相殺を主張するBは、自働債権である当該代金債権に付着した同時履行の抗弁権を消滅させなければならず、目的動産の引渡しを提供したことを主張立証しなければならない。

(H27 予備 第11問 ウ)
AがA所有の宝石を代金100万円でBに売却した際、その宝石の代金債務と宝石の引渡債務の履行期を同一とすることがAB間で合意された。AがBに対して別の貸金債務を負っている場合、BのAに対する宝石の代金債務についてその履行期が到来しても、Aは、AのBに対する宝石の引渡債務について弁済又はその提供をしていないときは、AのBに対する宝石の代金債権とBのAに対する別の貸金債権とを対当額で相殺することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.3.1)は、自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺することができない旨判示している。売買契約は双務契約であり、動産の買主は、目的物の引き渡しを受けるまでは代金の支払いを拒むことができる同時履行の抗弁権を有する(533条)。したがって、Aが、AのBに対する宝石の引渡債務について弁済又はその提供をしていないときは、自働債権であるAのBに対する宝石の代金債権に同時履行の抗弁権が付着しているといえるから、Aは、当該代金債権とBのAに対する別の貸金債権とを対当額で相殺することができない。

(H27 司法 第21問 オ)
AがBに対し美術品を売却した際、BのAに対する美術品の代金債務とAのBに対する美術品の引渡債務の履行期を同一とすることが合意された場合、Aは、BのAに対する美術品の代金債務についてその履行期が到来しても、AのBに対する美術品の引渡債務について弁済又はその提供をしていないときは、AのBに対する美術品の代金債権とそれとは別にBがAに対して有する貸金債権とを対当額で相殺することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.3.1)は、自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺することができない旨判示している。売買契約は双務契約であり、動産の買主は、目的物の引き渡しを受けるまでは代金の支払いを拒むことができる同時履行の抗弁権を有する(533条)。したがって、Aが、BのAに対する美術品の代金債務についてその履行期が到来しても、AのBに対する美術品の引渡債務について弁済又はその提供をしていないときは、自働債権であるAのBに対する美術品の代金債権に同時履行の抗弁権が付着しているといえるから、Aは、当該債権とそれとは別にBがAに対して有する貸金債権とを対当額で相殺することができない。

(R5 共通 第21問 ウ)
AのBに対する金銭債権(以下「甲債権」という。)とBのAに対する金銭債権(以下「乙債権」という。)との相殺に関して、甲債権がAB間のパソコンの売買に基づく売買代金債権であったときは、Aは、Bに対してパソコンの引渡しの提供をしていなくても、乙債権との相殺をもってBに対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.3.1)は、自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺することができない旨判示している。売買契約は双務契約であり、動産の買主は、目的物の引き渡しを受けるまでは代金の支払いを拒むことができる同時履行の抗弁権を有する(533条)。したがって、甲債権がAB間のパソコンの売買に基づく売買代金債権であったときは、自働債権である甲債権に同時履行の抗弁権が付着しているといえるから、Aは、Bに対してパソコンの引渡しの提供をしていなければ、乙債権との相殺をもってBに対抗することができない。
総合メモ
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