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民法 婚姻成立の日から200日以後に出生した子を被告として父親の死亡後にその養子が提起した親子関係不存在確認の訴えが適法とされた事例 最二小判平成10年8月31日

概要
母が子を懐胎した当時、夫が当該母と性的関係を持つ機会がなく、当該母が当該夫の子を懐胎することが不可能であったことが明らかである場合には、出生した子は772条の推定を受けない嫡出子となる。
判例
事案:母が子を懐胎した当時、夫が出征していまだ帰還しておらず、当該母が当該夫の子を懐胎することが不可能であったことが明らかであるという事情がある場合において、出生した子が、722条の推定を受けるかが問題となった。

判旨:「A男は、応召した昭和18年10月13日から名古屋港に帰還した昭和21年5月28日の前日までの間、B女と性的関係を持つ機会がなかったことが明らかである。そして、…昭和21年当時における我が国の医療水準を考慮すると、当時、妊娠週数26週目に出生した子が生存する可能性は極めて低かったものと判断される。そうすると、B女がCを懐胎したのは昭和21年5月28日より前であると推認すべきところ、当時、A男は出征していまだ帰還していなかったのであるから、B女がA男の子を懐胎することが不可能であったことは、明らかというべきである。したがって、Cは実質的には民法722条の推定を受けない嫡出子であり、A男の養子であるDが亡A男とCとの間の父子関係の存否を争うことが権利の濫用に当たると認められるような特段の事情の存しない本件においては、Dは、親子関係不存在確認の訴えをもって、亡A男とCとの間の父子関係の存否を争うことができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 共通 第32問 ウ)
判例によれば、母の夫が服役していた間に母が懐胎したことが明らかな子は夫の子と推定されないから、母も嫡出否認の訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.8.31)は、母が子を懐胎した当時、夫が当該母と性的関係を持つ機会がなく、当該母が当該夫の子を懐胎することが不可能であったことが明らかである場合には、出生した子は772条の推定を受けない嫡出子となる旨判示している。したがって、母の夫が服役していた間に母が懐胎したことが明らかな子は夫の子と推定されないといえる。
そして、嫡出否認の訴え(775条)は、772条の規定による嫡出推定を覆すための訴えであるから(774条1項)、772条の推定を受けない嫡出子に対しては、嫡出否認の訴えを提起することはできない。したがって、母の夫が服役していた間に母が懐胎したことが明らかな子は夫の子と推定されず、母は嫡出否認の訴えを提起することができない。
総合メモ
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