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民法 抵当権設定登記の流用 大判昭和11年1月14日

概要
弁済等によって消滅した抵当権の登記を、当事者が合意により新たに設定した抵当権の登記として流用した場合、流用後に流用登記が有効であることを前提に出現した第三者との関係だけが問題となるときは、その利益を害するわけではないから、対抗力を認めてよい。
判例
事案:弁済等によって消滅した抵当権の登記を、当事者が合意により新たに設定した抵当権の登記として流用した場合において、その登記は有効であるか、仮に有効であるとして第三者との関係で対抗力を有するかが問題となった。

判旨:「上告理由ハ原判決ハ「成立ニ争ナキ乙第一号証ノ二ニ原審ニ於ケル証人住田清人及被控訴本人各訊問ノ結果ヲ綜合スレハ訴外住田清人ハ右五百五十円ノ債務ニ充当セムカ為昭和六年八月三日新ニ本件不動産ニ抵当権ヲ設定シ被控訴人ヨリ金五百五十円ヲ借受ケ其ノ中金百十円ヲ木谷春一ニ交付シ以テ同人ニ対スル昭和四年十一月二十八日成立ニ係ル前記金五百五十円ノ債務及抵当権全部ヲ消滅セシメタルカ被控訴人及木谷春一、住田清人ハ該抵当権設定登記ヲ抹消シ新ニ被控訴人ノ為抵当権設定登記ヲ為スノ手数ト登記料ヲ節約スルノ目的ヲ以テ木谷春一、住田清人間ノ既存ノ抵当権設定登記ヲ新ニ為スヘキ被控訴人住田清人間ノ抵当権設定登記ニ流用スヘキ旨特約シ同日被控訴人ハ木谷春一ヨリ既ニ弁済ニ因リ消滅シタル同人住田清人間ノ前記債権及抵当権ヲ譲受ケタルカ如ク形式ヲ整ヘ以テ同月六日前段認定ニ係ル広島区裁判所可部出張所受附第二五四八号ヲ以テ其ノ旨ノ登記ヲ為シタル事実ヲ認メ得ヘク被控訴人ノ立証ニ依リテハ未タ右認定ヲ覆スニ足ラス」ト判示シ被上告人ノ主張事実ノミニ付判断ヲ為シ被上告人主張事実ヲ肯認セラレタリ然レトモ上告人ハ原判決事実摘示ニ記載アルカ如ク上告人ハ昭和六年八月三日住田清人ヨリ金五百五十円借用方ノ申込ヲ受ケタルヲ以テ右金員ヲ同人ニ貸与シタルカ其ノ際上告人及木谷春一ハ昭和四年十一月二十八日住田清人、木谷春一間ノ設定ニ係ル抵当権ノミヲ上告人ノ右五百五十円ノ債権ノ為譲渡シ住田清人ハ該抵当権ヲ以テ上告人対同人間ノ債権全部ヲ担保スルコトトナシタルヲ以テ本来ナラハ上告人ノ右債権ノ為該抵当権ノ譲渡アリタル旨ノ登記ヲ為スヘキトコロ木谷、住田間ノ債権額ト上告人住田間ノ債権額トカ彼此同一ナリシヲ以テ形式上木谷春一ヨリ同人カ住田清人ニ対シテ有スル昭和四年十一月二十八日成立ニ係ル金五百五十円ノ債権ト共ニ右抵当権ノ譲渡ヲ受ケタルモノトシ昭和六年八月六日其ノ旨ノ登記ヲ為シタルニ過キス而シテ其ノ後住田清人ハ上告人ヨリ借受ケタル金員中ヨリ木谷春一ニ対シ残債務百十円ヲ弁済シタルヲ以テ木谷春一ニ対スル債務ハ消滅シタルモ上告人ハ住田清人ニ対シ金五百五十円ノ債権並抵当権ヲ有スルモノナルヲ以テ結局本件登記ハ事実ニ吻合スルモノト謂フヘク被上告人ヨリ之カ抹消ヲ請求セラルヘキ筋合ニ非スト抗弁シタルニ対シテハ原判決ハ何等ノ判断ヲ加ヘラレス然レトモ上告人ノ右抗弁事実ノ如シトスレハ本件抵当権ハ有効ニ存在スルモノニシテ被上告人ノ請求ハ当然排斥セラルヘキ筋合ナリ而シテ第一審証人住田清人ノ証言ニ拠レハ右抵当権譲渡ノ事実ヲ認ムルニ充分ナリ然ラハ右抗弁事実ニ対スル判断ハ判決ノ結果ニ重大ナル影響アルヤ勿論ナレハ右抗弁事実ニ対スル判断遺脱ハ理由不備ノ違法アルニ帰シ破毀ヲ免レサルモノナリト信スト云フニアリ」
過去問・解説
(H19 司法 第15問 エ)
債務者A所有の不動産上にYが第1順位、Xが第2順位の根抵当権でない抵当権の設定を受け、それぞれ設定登記を行った後、AがYに対する被担保債権をいったん弁済し、その後YがAに同額の新たな貸付を行い、抹消されていなかった第1順位の登記を合意の上新たな貸付債権の担保として流用することにした場合、Xは、Yの抵当権設定登記の抹消を求めることができない。

(正答)

(解説)
弁済等によって消滅した抵当権の登記を、当事者が合意により新たに設定した抵当権の登記として流用した場合、本来は無効な登記であるから、当事者間ではともかく、第三者との関係では原則として無効というべきである。もっとも、流用後に流用登記が有効であることを前提に出現した第三者との関係だけが問題となるときは、その利益を害するわけではないから、対抗力を認めてよい。古い判例(大判昭11.1.14)にもその旨判示したものがある(内田貴「民法Ⅲ 債権総論・担保物権」第4版404頁、道垣内弘人「担保物権法」第4版106頁)。したがって、AがYに対する被担保債権をいったん弁済し、その後YがAに同額の新たな貸付を行い、抹消されていなかった第1順位の登記を合意の上新たな貸付債権の担保として流用することにした場合、当該流用以前にすでに第2順位の抵当権の設定を受けていたXとの関係では、当該流用登記は無効であるから、Xは、Yの抵当権設定登記の抹消を求めることができる。
総合メモ
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