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法律行為(無効及び取消し)
第120条
条文
第120条(取消権者)
① 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
② 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
① 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
② 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
過去問・解説
(H18 司法 第32問 2)
所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証すれば、請求棄却判決を得ることができる。
所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証すれば、請求棄却判決を得ることができる。
(正答) ✕
(解説)
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、被告は、そのいずれにも当たらないから、取消権者ではない。
したがって、所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証することで、請求棄却判決を得ることができない。なお、訴訟外で既に原告が取消権を行使している場合に、その効果を被告が援用することは許される。
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、被告は、そのいずれにも当たらないから、取消権者ではない。
したがって、所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証することで、請求棄却判決を得ることができない。なお、訴訟外で既に原告が取消権を行使している場合に、その効果を被告が援用することは許される。
(H20 司法 第5問 3)
重過失ある表意者が自ら錯誤を理由とする取り消しを主張し得ない以上、相手方又は第三者は、その取り消しを主張することができない。
重過失ある表意者が自ら錯誤を理由とする取り消しを主張し得ない以上、相手方又は第三者は、その取り消しを主張することができない。
(正答) 〇
(解説)
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、錯誤による意思表示の相手方及び第三者は、そのいずれにも当たらない。
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、錯誤による意思表示の相手方及び第三者は、そのいずれにも当たらない。
(H21 司法 第1問 4)
被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を追認することはできるが、その行為を取り消すことはできない。
被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を追認することはできるが、その行為を取り消すことはできない。
(正答) ✕
(解説)
13条4項は、「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意…を得ないでしたものは、取り消すことができる。」と規定している。
そして、120条1項は、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者…は…取り消すことができる。」と規定している。
したがって、被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を取り消すことができる。
13条4項は、「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意…を得ないでしたものは、取り消すことができる。」と規定している。
そして、120条1項は、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者…は…取り消すことができる。」と規定している。
したがって、被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を取り消すことができる。
(H22 司法 第33問 イ)
未成年であるAの母はBであり、父はCであるが、BがAの親権者であり、BとCは婚姻をしていない。Aが単独で第三者と法律行為をしたがCがこれを追認したときは、Bは、当該法律行為を取り消すことができない。
未成年であるAの母はBであり、父はCであるが、BがAの親権者であり、BとCは婚姻をしていない。Aが単独で第三者と法律行為をしたがCがこれを追認したときは、Bは、当該法律行為を取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
122条は、「取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。」と規定している。
未成年であるAの「財産に関する法律行為」における法定代理人は、親権者であるBのみである(824条)から、親権を有しないCは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)としてAの制限行為能力を理由とする取消権(5条2項)を行使できる者ではない。
したがって、Aが単独で第三者とした法律行為について、Cが追認したとしても、「第120条に規定する者が追認したとき」には当たらない。
よって、Bは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、当該法律行為を取り消すことができる。
122条は、「取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。」と規定している。
未成年であるAの「財産に関する法律行為」における法定代理人は、親権者であるBのみである(824条)から、親権を有しないCは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)としてAの制限行為能力を理由とする取消権(5条2項)を行使できる者ではない。
したがって、Aが単独で第三者とした法律行為について、Cが追認したとしても、「第120条に規定する者が追認したとき」には当たらない。
よって、Bは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、当該法律行為を取り消すことができる。
(H23 共通 第19問 4)
未成年者が負っている貸金債務を連帯保証した保証人は、債権者との連帯保証契約の時に未成年者であることを知らなかった場合であっても、未成年者のした貸金契約を保証人としての資格で取り消すことはできない。
未成年者が負っている貸金債務を連帯保証した保証人は、債権者との連帯保証契約の時に未成年者であることを知らなかった場合であっても、未成年者のした貸金契約を保証人としての資格で取り消すことはできない。
(正答) 〇
(解説)
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。
(H24 司法 第2問 1)
制限行為能力者のした契約について、制限行為能力者及びその法定代理人が取消権を有するときは、契約の相手方も取消権を有する。
制限行為能力者のした契約について、制限行為能力者及びその法定代理人が取消権を有するときは、契約の相手方も取消権を有する。
(正答) ✕
(解説)
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、行為の相手方はいずれにも当たらない。
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、行為の相手方はいずれにも当たらない。
(H24 司法 第2問 3)
未成年者は、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、その契約を取り消すことができる。
未成年者は、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、その契約を取り消すことができる。
(正答) 〇
(解説)
未成年者は、その法定代理人の同意を得ないで契約を締結した場合には、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、「制限行為能力者」(120条1項)として、5条2項に基づき取消権を行使して、その契約を取り消すことができる。
なお、5条2項に基づく取消権の成否において、未成年者がその契約を取り消すことができることを知っていたか否かは問われない。
未成年者は、その法定代理人の同意を得ないで契約を締結した場合には、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、「制限行為能力者」(120条1項)として、5条2項に基づき取消権を行使して、その契約を取り消すことができる。
なお、5条2項に基づく取消権の成否において、未成年者がその契約を取り消すことができることを知っていたか否かは問われない。
(H25 司法 第5問 ウ)
Aの所有する土地をBが錯誤により購入し、Bが当該土地を占有するCに対して所有権に基づき明渡しを求めた場合、Bにおいて錯誤による意思表示の取消しを主張する意思がないときは、Cは、当該土地の売買契約の取消しを主張して、その明渡しを拒むことはできない。
Aの所有する土地をBが錯誤により購入し、Bが当該土地を占有するCに対して所有権に基づき明渡しを求めた場合、Bにおいて錯誤による意思表示の取消しを主張する意思がないときは、Cは、当該土地の売買契約の取消しを主張して、その明渡しを拒むことはできない。
(正答) 〇
(解説)
Cは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Bの錯誤を理由としてAB間の売買契約の取消しを主張することはできない。
Cは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Bの錯誤を理由としてAB間の売買契約の取消しを主張することはできない。
(H27 共通 第2問 4)
AのBに対する甲土地の売買契約の意思表示について錯誤に基づく取消しの要件を満たす場合でも、Aに自らの錯誤を理由としてその意思表示の取消しを主張する意思がないときには、Bは、Aの意思表示の取消しを主張することはできない。
AのBに対する甲土地の売買契約の意思表示について錯誤に基づく取消しの要件を満たす場合でも、Aに自らの錯誤を理由としてその意思表示の取消しを主張する意思がないときには、Bは、Aの意思表示の取消しを主張することはできない。
(正答) 〇
(解説)
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示の取消しを主張することはできない。
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示の取消しを主張することはできない。
(H28 司法 第1問 エ)
未成年者は、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
未成年者は、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
(正答) 〇
(解説)
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
(R2 共通 第3問 イ)
AのBに対する意思表示がAの錯誤を理由として取り消すことができるものである場合、Bも、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことができる。
AのBに対する意思表示がAの錯誤を理由として取り消すことができるものである場合、Bも、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことができる。
(正答) ✕
(解説)
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことはできない。
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことはできない。
(R2 司法 第36問 ア)
錯誤によって取り消すことができる行為は、錯誤による意思表示をした者の契約上の地位の承継人も、取り消すことができる。
錯誤によって取り消すことができる行為は、錯誤による意思表示をした者の契約上の地位の承継人も、取り消すことができる。
(正答) 〇
(解説)
錯誤を理由とする取消権者には、「瑕疵ある意思表示をした者…の…承継人」も含まれる(120条2項)。
錯誤を理由とする取消権者には、「瑕疵ある意思表示をした者…の…承継人」も含まれる(120条2項)。
(R4 共通 第1問 ウ)
親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約を取り消すことができない。
親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約を取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人である親権者の同意を得ずに締結した契約を単独で取り消すことができ、成人に達することは不要である。
これに対し、未成年者は、成人に達するまでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し」たとはいえないから、単独で追認をすることができない(124条1項)。
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人である親権者の同意を得ずに締結した契約を単独で取り消すことができ、成人に達することは不要である。
これに対し、未成年者は、成人に達するまでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し」たとはいえないから、単独で追認をすることができない(124条1項)。
(R4 司法 第2問 ア)
成年被後見人が土地の贈与を受けた場合、その後見人は、その贈与を取り消すことができない。
成年被後見人が土地の贈与を受けた場合、その後見人は、その贈与を取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
9条は、本文において「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」と規定している。そして、土地の贈与は、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」には当たらないから、9条但書の適用はない。
また、成年被後見人の法律行為の取消しついて規定している9条には、未成年者の法律行為の取消しについて規定している5条と異なり、「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」(5条1項但書)という例外は設けられていない。そのため、成年被後見人を受贈者とする贈与について、「単に権利を得…る法律行為」であることを理由として取消権を否定することもできない。
したがって、成年後見人は、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、土地の贈与を取り消すことができる。
9条は、本文において「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」と規定している。そして、土地の贈与は、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」には当たらないから、9条但書の適用はない。
また、成年被後見人の法律行為の取消しついて規定している9条には、未成年者の法律行為の取消しについて規定している5条と異なり、「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」(5条1項但書)という例外は設けられていない。そのため、成年被後見人を受贈者とする贈与について、「単に権利を得…る法律行為」であることを理由として取消権を否定することもできない。
したがって、成年後見人は、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、土地の贈与を取り消すことができる。
(R4 共通 第4問 ア)
取り消すことができる法律行為に基づく債務を保証した者は、その法律行為を取り消すことができない。
取り消すことができる法律行為に基づく債務を保証した者は、その法律行為を取り消すことができない。
(正答) 〇
(解説)
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。
総合メモ
第121条
条文
第121条(取消しの効果)
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
総合メモ
第121条の2
条文
第121条の2(原状回復の義務)
① 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
② 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
③ 第1項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
① 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
② 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
③ 第1項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
過去問・解説
(R2 共通 第3問 ウ)
負担のない贈与について贈与者であるAの錯誤を理由とする取消しがされたが、受贈者であるBが既に当該贈与契約に基づいて給付を受けていた場合、Bは、給付を受けた時に当該贈与契約が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。
負担のない贈与について贈与者であるAの錯誤を理由とする取消しがされたが、受贈者であるBが既に当該贈与契約に基づいて給付を受けていた場合、Bは、給付を受けた時に当該贈与契約が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。
(正答) 〇
(解説)
121条の2第1項は、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。」と規定しており、ここでいう「無効な行為」には取消しにより遡及的に無効になった行為(121条)も含まれる。
他方で、121条の2第2項は、「前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」として、無償行為の善意の給付受益者の返還義務の範囲を現存利益に限定している。
したがって、Bは、給付を受けた時に当該贈与契約が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。
121条の2第1項は、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。」と規定しており、ここでいう「無効な行為」には取消しにより遡及的に無効になった行為(121条)も含まれる。
他方で、121条の2第2項は、「前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」として、無償行為の善意の給付受益者の返還義務の範囲を現存利益に限定している。
したがって、Bは、給付を受けた時に当該贈与契約が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。
(R5 共通 第2問 ウ)
契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合において、その契約に基づく債務の履行として給付を受けたときは、現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合において、その契約に基づく債務の履行として給付を受けたときは、現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
(正答) 〇
(解説)
契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合、その契約は無効である(3条の2)から、その契約に基づく債務の履行として給付を受けたときは、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者」として返還義務を負う(121条の2第1項)。
そして、121条の2第3項前段は、「第1項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」として、意思無能力者の返還義務の範囲を現存利益に限定している。したがって、契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合において、その契約に基づく債務の履行として給付を受けたときは、現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合、その契約は無効である(3条の2)から、その契約に基づく債務の履行として給付を受けたときは、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者」として返還義務を負う(121条の2第1項)。
そして、121条の2第3項前段は、「第1項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」として、意思無能力者の返還義務の範囲を現存利益に限定している。したがって、契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合において、その契約に基づく債務の履行として給付を受けたときは、現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
(R5 司法 第5問 ア)
Aに強迫されたBが50万円をCに贈与する旨の意思表示をCに対してした場合において、強迫につき善意のCがBから受領した50万円を遊興のために費消したときは、その後、Bが贈与の意思表示を取り消したとしても、Cは、Bに対し、何らの返還義務も負わない。
Aに強迫されたBが50万円をCに贈与する旨の意思表示をCに対してした場合において、強迫につき善意のCがBから受領した50万円を遊興のために費消したときは、その後、Bが贈与の意思表示を取り消したとしても、Cは、Bに対し、何らの返還義務も負わない。
(正答) 〇
(解説)
121条の2第1項は、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。」と規定しており、ここでいう「無効な行為」には取消しにより遡及的に無効になった行為(121条)も含まれる。
他方で、121条の2第2項は、「前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」として、無償行為の善意の給付受益者の返還義務の範囲を現存利益に限定している。
本肢の事例では、強迫につき善意のCがBから受領した50万円を遊興のために費消しており、無償行為の善意の給付受益者の現存利益はない。したがって、Cは、Bに対し、何らの返還義務も負わない。
121条の2第1項は、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。」と規定しており、ここでいう「無効な行為」には取消しにより遡及的に無効になった行為(121条)も含まれる。
他方で、121条の2第2項は、「前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」として、無償行為の善意の給付受益者の返還義務の範囲を現存利益に限定している。
本肢の事例では、強迫につき善意のCがBから受領した50万円を遊興のために費消しており、無償行為の善意の給付受益者の現存利益はない。したがって、Cは、Bに対し、何らの返還義務も負わない。
総合メモ
第122条
条文
第122条(取り消すことができる行為の追認)
取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。
取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。
過去問・解説
(H25 司法 第3問 4)
表意者の法定代理人が、詐欺を理由に取り消すことができる法律行為を追認した場合であっても、その追認があったことを表意者本人が知らなかったときは、表意者本人は、その法律行為を取り消すことができる。
表意者の法定代理人が、詐欺を理由に取り消すことができる法律行為を追認した場合であっても、その追認があったことを表意者本人が知らなかったときは、表意者本人は、その法律行為を取り消すことができる。
(正答) ✕
(解説)
122条は、「取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない」としており、その追認があったことを表意者本人が知らなかったときに例外を認めるような規定はしていない。
122条は、「取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない」としており、その追認があったことを表意者本人が知らなかったときに例外を認めるような規定はしていない。
(R4 共通 第4問 イ)
被保佐人Aがした法律行為を法定代理人が追認したときは、Aは、以後、その法律行為を取り消すことができない。
被保佐人Aがした法律行為を法定代理人が追認したときは、Aは、以後、その法律行為を取り消すことができない。
(正答) 〇
(解説)
122条は、「取り消すことができる行為は、120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。」と規定している。そして、被保佐人Aの法定代理人は、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として「120条に規定する者」に当たるから、被保佐人Aがした法律行為を追認することができる。したがって、Aは、以後、その法律行為を取り消すことができない。
122条は、「取り消すことができる行為は、120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。」と規定している。そして、被保佐人Aの法定代理人は、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として「120条に規定する者」に当たるから、被保佐人Aがした法律行為を追認することができる。したがって、Aは、以後、その法律行為を取り消すことができない。
総合メモ
第123条
条文
第123条(取消し及び追認の方法)
取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。
取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。
過去問・解説
(H23 司法 第5問 1)
未成年者がその法定代理人の同意を得ないで行った法律行為を取り消す場合において、行為の相手方が確定しているときは、その取消しは、相手方に対する意思表示によって行う。
未成年者がその法定代理人の同意を得ないで行った法律行為を取り消す場合において、行為の相手方が確定しているときは、その取消しは、相手方に対する意思表示によって行う。
(正答) 〇
(解説)
123条は、「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し…は、相手方に対する意思表示によってする。」と規定している。
123条は、「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し…は、相手方に対する意思表示によってする。」と規定している。
(H23 司法 第5問 2)
契約により相手方以外の第三者に対してある給付をすることを約した者が、相手方の詐欺を理由にこれを取り消す場合において、既に第三者が受益の意思表示をしていたときは、その取消しは、その第三者に対する意思表示によって行う。
契約により相手方以外の第三者に対してある給付をすることを約した者が、相手方の詐欺を理由にこれを取り消す場合において、既に第三者が受益の意思表示をしていたときは、その取消しは、その第三者に対する意思表示によって行う。
(正答) ✕
(解説)
123条は、「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする」と規定している。そして、第三者のためにする契約(537条)における「相手方」とは、契約の相手方である要約者を意味する。したがって、契約により相手方以外の第三者に対してある給付をすることを約した者が、相手方の詐欺を理由にこれを取り消す場合において、既に第三者が受益の意思表示をしていたときであっても、その取消しは、第三者ではなく、契約の相手方である要約者に対する意思表示によって行う。
123条は、「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする」と規定している。そして、第三者のためにする契約(537条)における「相手方」とは、契約の相手方である要約者を意味する。したがって、契約により相手方以外の第三者に対してある給付をすることを約した者が、相手方の詐欺を理由にこれを取り消す場合において、既に第三者が受益の意思表示をしていたときであっても、その取消しは、第三者ではなく、契約の相手方である要約者に対する意思表示によって行う。
(R4 共通 第4問 ウ)
Aが第三者Bの詐欺によってCに不動産を売る旨の意思表示をしたときは、その取消しは、B及びCの双方に対する意思表示によってする。
Aが第三者Bの詐欺によってCに不動産を売る旨の意思表示をしたときは、その取消しは、B及びCの双方に対する意思表示によってする。
(正答) ✕
(解説)
123条は、「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し…相手方に対する意思表示によってする。」と規定している。
したがって、詐欺取消しの意思表示の相手方はCのみである。
123条は、「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し…相手方に対する意思表示によってする。」と規定している。
したがって、詐欺取消しの意思表示の相手方はCのみである。
総合メモ
第124条
条文
第124条(追認の要件)
① 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。
② 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。
一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき。
二 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。
① 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。
② 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。
一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき。
二 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。
過去問・解説
(R1 共通 第1問 オ)
成年被後見人の行為であることを理由とする取消権の消滅時効の起算点は、成年被後見人が行為能力者となった時である。
成年被後見人の行為であることを理由とする取消権の消滅時効の起算点は、成年被後見人が行為能力者となった時である。
(正答) ✕
(解説)
126条前段は、「取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と規定しており、124条1項は、追認の前提要件として、「取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後」であることと規定している。
したがって、成年被後見人が行為能力者となっただけでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し…」との要件を満たすにとどまり、「取消権を有することを知った後…」という要件は満たしていないから、「追認をすることができる時」に当たらない。
よって、成年被後見人の行為であることを理由とする取消権の消滅時効の起算点は、成年被後見人が行為能力者となった時ではなく、成年被後見人が行為能力者となり、かつ、取消権を有することを知った時である。
126条前段は、「取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と規定しており、124条1項は、追認の前提要件として、「取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後」であることと規定している。
したがって、成年被後見人が行為能力者となっただけでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し…」との要件を満たすにとどまり、「取消権を有することを知った後…」という要件は満たしていないから、「追認をすることができる時」に当たらない。
よって、成年被後見人の行為であることを理由とする取消権の消滅時効の起算点は、成年被後見人が行為能力者となった時ではなく、成年被後見人が行為能力者となり、かつ、取消権を有することを知った時である。
(R4 共通 第1問 エ)
親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約の追認をすることができない。
親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約の追認をすることができない。
(正答) 〇
(解説)
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人である親権者の同意を得ずに締結した契約を単独で取り消すことができ、成人に達することは不要である。
これに対し、未成年者は、成人に達するまでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し」たとはいえないから、単独で追認をすることができない(124条1項)。
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人である親権者の同意を得ずに締結した契約を単独で取り消すことができ、成人に達することは不要である。
これに対し、未成年者は、成人に達するまでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し」たとはいえないから、単独で追認をすることができない(124条1項)。
総合メモ
第125条
条文
第125条(法定追認)
追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行
追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行
過去問・解説
(H22 司法 第3問 エ)
未成年の時における不動産の売買により代金債務を負担した者は、成年に達した後にその代金を支払った場合であっても、売買の当時未成年者であったことを理由としてその売買を取り消すことができる。
未成年の時における不動産の売買により代金債務を負担した者は、成年に達した後にその代金を支払った場合であっても、売買の当時未成年者であったことを理由としてその売買を取り消すことができる。
(正答) ✕
(解説)
125条1号は、追認をすることができる時以後に、追認をしたものとみなされる行為として「全部又は一部の履行」を挙げている。そして、追認をしたときは、以後当該行為を取り消すことができない(122条)から、設問の記述は誤っている。
125条1号は、追認をすることができる時以後に、追認をしたものとみなされる行為として「全部又は一部の履行」を挙げている。そして、追認をしたときは、以後当該行為を取り消すことができない(122条)から、設問の記述は誤っている。
(H29 司法 第2問 オ)
被保佐人Aが保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにBに対してA所有の甲土地を売り渡した。Aが行為能力者となった後に、Aが甲土地の売買代金債権を他人に譲渡したときは、当該売買契約を追認したものとみなされる。
被保佐人Aが保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにBに対してA所有の甲土地を売り渡した。Aが行為能力者となった後に、Aが甲土地の売買代金債権を他人に譲渡したときは、当該売買契約を追認したものとみなされる。
(正答) 〇
(解説)
被保佐人Aが甲土地を売り渡することは、「不動産…に関する権利の得喪を目的とする行為をすること」に当たるから、保佐人の同意を要する(13条1項5号)。したがって、被保佐人Aが保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにBに対してA所有の甲土地を売り渡した場合、13条4項に基づく取消権が成立する。
もっとも、Aが行為能力者となった後に、Aが甲土地の売買代金債権を他人に譲渡したことにより、「追認をすることができる時以後に」(125条、124条1項)、取り消すことができる行為について、「取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡」(125条5号)があったとして、法定追認が生じる。
被保佐人Aが甲土地を売り渡することは、「不動産…に関する権利の得喪を目的とする行為をすること」に当たるから、保佐人の同意を要する(13条1項5号)。したがって、被保佐人Aが保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにBに対してA所有の甲土地を売り渡した場合、13条4項に基づく取消権が成立する。
もっとも、Aが行為能力者となった後に、Aが甲土地の売買代金債権を他人に譲渡したことにより、「追認をすることができる時以後に」(125条、124条1項)、取り消すことができる行為について、「取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡」(125条5号)があったとして、法定追認が生じる。
総合メモ
第126条
条文
第126条(取消権の期間の制限)
取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
過去問・解説
(H28 司法 第2問 ア)
法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤が生じ、その錯誤により意思表示をした場合であっても、その意思表示の時から20年が経過すれば、表意者は、錯誤による意思表示の取消しを主張することができない。
法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤が生じ、その錯誤により意思表示をした場合であっても、その意思表示の時から20年が経過すれば、表意者は、錯誤による意思表示の取消しを主張することができない。
(正答) 〇
(解説)
126条は、「取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と規定している。「5年間」は消滅時効であるのに対し、「20年」は除斥期間である。
したがって、錯誤による意思表示の時から20年が経過すれば、取消権が除斥期間により消滅するから、表意者は、錯誤による意思表示の取消しを主張することができない。
126条は、「取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と規定している。「5年間」は消滅時効であるのに対し、「20年」は除斥期間である。
したがって、錯誤による意思表示の時から20年が経過すれば、取消権が除斥期間により消滅するから、表意者は、錯誤による意思表示の取消しを主張することができない。
(R2 共通 第5問 イ)
詐欺を理由とする取消権は、その行為の時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。
詐欺を理由とする取消権は、その行為の時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。
(正答) ✕
(解説)
126条における取消権の期間制限のうち、消滅時効である「5年間」の起算点は「追認をすることができる時」であるのに対し、除斥期間である「5年」の起算点はか「行為の時」である。
したがって、詐欺を理由とする取消権は、その行為の時から5年間ではなく、追認をすることができる時から5年間行使しない場合に、時効によって消滅する。
126条における取消権の期間制限のうち、消滅時効である「5年間」の起算点は「追認をすることができる時」であるのに対し、除斥期間である「5年」の起算点はか「行為の時」である。
したがって、詐欺を理由とする取消権は、その行為の時から5年間ではなく、追認をすることができる時から5年間行使しない場合に、時効によって消滅する。
(R4 共通 第4問 オ)
取消権は、取り消すことができる行為をした時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
取消権は、取り消すことができる行為をした時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
(正答) ✕
(解説)
126条における取消権の期間制限のうち、消滅時効である「5年間」の起算点は「追認をすることができる時」であるのに対し、除斥期間である「5年」の起算点は「行為の時」である。
したがって、取消権は、取り消すことができる行為をした時から5年間ではなく、追認をすることができる時から5年間行使しないときに、時効によって消滅する。
したがって、取消権は、取り消すことができる行為をした時から5年間ではなく、追認をすることができる時から5年間行使しないときに、時効によって消滅する。
総合メモ
第127条
条文
第127条(条件が成就した場合の効果)
① 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
② 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
③ 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
① 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
② 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
③ 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
過去問・解説
(R1 共通 第4問 ア)
停止条件付法律行為は、当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したとしても、条件が成就した時からその効果が生ずる。
停止条件付法律行為は、当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したとしても、条件が成就した時からその効果が生ずる。
(正答) ✕
(解説)
127条は、1項において「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時にその効力を生ずる。」と規定する一方で、3項において「当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。」と規定している。
したがって、停止条件付法律行為は、当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、条件が成就した時以前に遡ってその効果を生ずる。
127条は、1項において「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時にその効力を生ずる。」と規定する一方で、3項において「当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。」と規定している。
したがって、停止条件付法律行為は、当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、条件が成就した時以前に遡ってその効果を生ずる。
総合メモ
第128条
条文
第128条(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
過去問・解説
(H19 司法 第4問 イ)
停止条件付売買契約において、条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は、期待権を侵害された買主に対して損害賠償責任を負う。
停止条件付売買契約において、条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は、期待権を侵害された買主に対して損害賠償責任を負う。
(正答) 〇
(解説)
128条は、「条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。」と規定しており、相手方の期待権を保護している。
したがって、停止条件付売買契約において、条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は、期待権を侵害された買主に対して損害賠償責任を負う。
128条は、「条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。」と規定しており、相手方の期待権を保護している。
したがって、停止条件付売買契約において、条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は、期待権を侵害された買主に対して損害賠償責任を負う。
(R5 共通 第6問 エ)
AがBとの間で、Bが甲大学に合格したらAの所有する動産乙をBに与える旨の贈与契約を締結した後、合否未定の間にAが乙を過失により損傷した場合には、Bが甲大学に合格しても、Aは、Bに対し、損害賠償義務を負わない。
AがBとの間で、Bが甲大学に合格したらAの所有する動産乙をBに与える旨の贈与契約を締結した後、合否未定の間にAが乙を過失により損傷した場合には、Bが甲大学に合格しても、Aは、Bに対し、損害賠償義務を負わない。
(正答) ✕
(解説)
128条は、「条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。」と規定しており、相手方の期待権を保護している。
AがBとの間における、Bが甲大学に合格したらAの所有する動産乙をBに与える旨の贈与契約は、「条件付法律行為」に当たる。
したがって、贈与契約の締結後、合否未定の間にAが乙を過失により損傷した場合には、Aは、Bに対し、期待権侵害を理由として、債務不履行(415条)又は不法行為(709条)に基づく損害賠償責任を負う。
128条は、「条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。」と規定しており、相手方の期待権を保護している。
AがBとの間における、Bが甲大学に合格したらAの所有する動産乙をBに与える旨の贈与契約は、「条件付法律行為」に当たる。
したがって、贈与契約の締結後、合否未定の間にAが乙を過失により損傷した場合には、Aは、Bに対し、期待権侵害を理由として、債務不履行(415条)又は不法行為(709条)に基づく損害賠償責任を負う。
総合メモ
第129条
条文
第129条(条件の成否未定の間における権利の処分等)
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
過去問・解説
(H24 共通 第6問 ウ)
条件の付された権利は、その条件の成否が未定である間は、相続することができない。
条件の付された権利は、その条件の成否が未定である間は、相続することができない。
(正答) ✕
(解説)
129条は、「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い…相続…することができる。」と規定している。
129条は、「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い…相続…することができる。」と規定している。
(R1 共通 第4問 イ)
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
(正答) 〇
(解説)
129条は、「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。」と規定している。
129条は、「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。」と規定している。
(R6 司法 第5問 ウ)
AB間で「BがCと婚姻したら、A所有の甲土地をBに贈与する。」という契約がされた場合、Bは、その条件の成否が未定である間は、AB間の契約に基づくBの権利を第三者に譲渡することができない。
AB間で「BがCと婚姻したら、A所有の甲土地をBに贈与する。」という契約がされた場合、Bは、その条件の成否が未定である間は、AB間の契約に基づくBの権利を第三者に譲渡することができない。
(正答) ✕
(解説)
129条は、「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分…することができる」と規定している。
AB間における「BがCと婚姻したら、A所有の甲土地をBに贈与する。」という契約に基づいてAが負う財産権移転債務は、停止「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務」に当たるから、「処分」することができる。
129条は、「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分…することができる」と規定している。
AB間における「BがCと婚姻したら、A所有の甲土地をBに贈与する。」という契約に基づいてAが負う財産権移転債務は、停止「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務」に当たるから、「処分」することができる。
総合メモ
第130条
条文
第130条(条件の成就の妨害等)
① 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
② 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
① 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
② 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
過去問・解説
(H19 司法 第4問 ウ)
条件が成就することによって利益を受ける当事者が、不正な手段を用いて条件を成就させたとしても、条件は成就しなかったものとみなされる。
条件が成就することによって利益を受ける当事者が、不正な手段を用いて条件を成就させたとしても、条件は成就しなかったものとみなされる。
(正答) 〇
(解説)
130条2項は、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定している。
130条2項は、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定している。
(H22 司法 第5問 ア)
条件の成就によって利益を受ける者が故意に条件を成就させた場合には、相手方は、条件が成就していないものとみなすことができる。
条件の成就によって利益を受ける者が故意に条件を成就させた場合には、相手方は、条件が成就していないものとみなすことができる。
(正答) 〇
(解説)
130条2項は、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定している。
130条2項は、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定している。
(R1 共通 第4問 エ)
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
(正答) 〇
(解説)
130条1項は、「条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。」と規定している。
130条1項は、「条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。」と規定している。
(R5 共通 第6問 イ)
停止条件付きの動産の贈与契約が締結された場合において、贈与者が信義則に反し故意にその条件の成就を妨げたときは、受贈者は、動産の引渡しを請求することができる。
停止条件付きの動産の贈与契約が締結された場合において、贈与者が信義則に反し故意にその条件の成就を妨げたときは、受贈者は、動産の引渡しを請求することができる。
(正答) 〇
(解説)
130条1項は、「条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。」と規定している。そして、停止条件付の贈与契約における贈与者は、「条件が成就することによって不利益を受ける当事者」に当たる。したがって、贈与者が信義則に反し故意にその条件の成就を妨げたときは、受贈者は、停止条件が成就したものとみなすことにより、贈与者に対して、動産の引渡しを請求することができる。
130条1項は、「条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。」と規定している。そして、停止条件付の贈与契約における贈与者は、「条件が成就することによって不利益を受ける当事者」に当たる。したがって、贈与者が信義則に反し故意にその条件の成就を妨げたときは、受贈者は、停止条件が成就したものとみなすことにより、贈与者に対して、動産の引渡しを請求することができる。
(R6 司法 第5問 ア)
条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
(正答) 〇
(解説)
130条2項は、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定している。
130条2項は、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定している。
総合メモ
第131条
条文
第131条(既成条件)
① 条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
② 条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。
③ 前2項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第128条及び第129条の規定を準用する。
① 条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
② 条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。
③ 前2項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第128条及び第129条の規定を準用する。
過去問・解説
(H24 共通 第6問 ア)
条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合、その条件が解除条件であるときは無条件の法律行為となり、その条件が停止条件であるときは無効な法律行為となる。
条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合、その条件が解除条件であるときは無条件の法律行為となり、その条件が停止条件であるときは無効な法律行為となる。
(正答) 〇
(解説)
131条2項は、「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。」と規定している。
131条2項は、「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。」と規定している。
(R1 共通 第4問 ウ)
不能の解除条件を付した法律行為は、無効となる。
不能の解除条件を付した法律行為は、無効となる。
(正答) ✕
(解説)
131条2項は、「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、…その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。」と規定している。
131条2項は、「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、…その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。」と規定している。
(R6 司法 第5問 イ)
停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していたときは、その法律行為は、無効である。
停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していたときは、その法律行為は、無効である。
(正答) 〇
(解説)
131条2項は、「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする」と規定している。
本肢では、停止「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合」として、法律行為は無効となる。
131条2項は、「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする」と規定している。
本肢では、停止「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合」として、法律行為は無効となる。
総合メモ
第132条
条文
第132条(不法条件)
不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。
不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。
過去問・解説
(H24 共通 第6問 イ)
不法な条件を付した法律行為は無効であるが、不法な行為をしないことを条件とする法律行為は有効である。
不法な条件を付した法律行為は無効であるが、不法な行為をしないことを条件とする法律行為は有効である。
(正答) ✕
(解説)
132条は、「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。」と規定している。
したがって、不法な条件を付した法律行為も、不法な行為をしないことを条件とする法律行為も、無効である。
132条は、「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。」と規定している。
したがって、不法な条件を付した法律行為も、不法な行為をしないことを条件とする法律行為も、無効である。
(R5 共通 第6問 ア)
AがBとの間で、Bが一定期間窃盗をしなかったら10万円をBに与える旨の贈与契約を締結した場合において、その期間窃盗をしなかったBがAに10万円の支払を請求したときは、Aは、これを拒むことができる。
AがBとの間で、Bが一定期間窃盗をしなかったら10万円をBに与える旨の贈与契約を締結した場合において、その期間窃盗をしなかったBがAに10万円の支払を請求したときは、Aは、これを拒むことができる。
(正答) 〇
(解説)
132条は、「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。」と規定している。
AB間におけるBが一定期間窃盗をしなかったら10万円をBに与える旨の贈与契約は、「不法な行為をしないことを条件とするもの」であるから、無効である(132条後段)。
したがって、Aは、Bからの10万円支払請求を拒むことができる。
132条は、「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。」と規定している。
AB間におけるBが一定期間窃盗をしなかったら10万円をBに与える旨の贈与契約は、「不法な行為をしないことを条件とするもの」であるから、無効である(132条後段)。
したがって、Aは、Bからの10万円支払請求を拒むことができる。
総合メモ
第134条
条文
第134条(随意条件)
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
過去問・解説
(H22 司法 第5問 オ)
停止条件付の法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効である。
停止条件付の法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効である。
(正答) 〇
(解説)
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
(H27 司法 第5問 ウ)
AがBに対し「将来気が向いたら、私が所有する甲自動車を贈与する」と約束したとしても、その贈与契約は無効である。
AがBに対し「将来気が向いたら、私が所有する甲自動車を贈与する」と約束したとしても、その贈与契約は無効である。
(正答) 〇
(解説)
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
(R1 共通 第4問 オ)
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無条件となる。
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無条件となる。
(正答) ✕
(解説)
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
(R5 共通 第6問 オ)
AがBとの間で、Aの気が向いたらBに10万円を与える旨の贈与契約を締結した場合において、BがAに10万円の支払を請求したときは、Aは、これを拒むことができない。
AがBとの間で、Aの気が向いたらBに10万円を与える旨の贈与契約を締結した場合において、BがAに10万円の支払を請求したときは、Aは、これを拒むことができない。
(正答) ✕
(解説)
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
AB間におけるAの気が向いたらBに10万円を与える旨の贈与契約は、「停止条件付法律行為」であって「その条件が単に債務者の意思のみに係るとき」に当たるから、無効である。
したがって、Aは、Bからの10万円支払請求を拒むことができる。
134条は、「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」と規定している。
AB間におけるAの気が向いたらBに10万円を与える旨の贈与契約は、「停止条件付法律行為」であって「その条件が単に債務者の意思のみに係るとき」に当たるから、無効である。
したがって、Aは、Bからの10万円支払請求を拒むことができる。
総合メモ
第136条
条文
第136条(期限の利益及びその放棄)
① 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
② 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
① 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
② 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
過去問・解説
(H30 司法 第21問 イ)
弁済期の定めのない貸金債権を有する者は、当該貸金債権の債務者に対して、弁済期が未到来の売買代金債務を負担している場合には、当該売買代金債務の期限の利益を放棄した上で、これらの債権債務を対当額において相殺することができる。
弁済期の定めのない貸金債権を有する者は、当該貸金債権の債務者に対して、弁済期が未到来の売買代金債務を負担している場合には、当該売買代金債務の期限の利益を放棄した上で、これらの債権債務を対当額において相殺することができる。
(正答) 〇
(解説)
136条2項本文は、「期限の利益は、放棄することができる。」と規定している。
本肢では、弁済期が未到来の売買代金債務の期限の利益を放棄すると、その期限が到来し、「2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるとき」(505条1項本文)として、貸金債権と売買代金債務が相殺適状に至る。
したがって、これらの債権債務を対等額において相殺することができる。
136条2項本文は、「期限の利益は、放棄することができる。」と規定している。
本肢では、弁済期が未到来の売買代金債務の期限の利益を放棄すると、その期限が到来し、「2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるとき」(505条1項本文)として、貸金債権と売買代金債務が相殺適状に至る。
したがって、これらの債権債務を対等額において相殺することができる。
(R6 司法 第5問 エ)
期限の利益は、その放棄が相手方の利益を害するときは、これを放棄することができない。
期限の利益は、その放棄が相手方の利益を害するときは、これを放棄することができない。
(正答) ✕
(解説)
136条2項は、本文において「期限の利益は、放棄することができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。」と規定している。
136条2項は、本文において「期限の利益は、放棄することができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。」と規定している。
総合メモ
第137条
条文
第137条(期限の利益の喪失)
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
過去問・解説
(H22 司法 第5問 ウ)
金銭債務の債務者が担保を提供する義務を負う場合において、担保を提供しないときは、債務者は、期限の利益を主張することができない。
金銭債務の債務者が担保を提供する義務を負う場合において、担保を提供しないときは、債務者は、期限の利益を主張することができない。
(正答) 〇
(解説)
137条3号は、債務者が「期限の利益を主張することができない」場合として、「債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき」を挙げている。
137条3号は、債務者が「期限の利益を主張することができない」場合として、「債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき」を挙げている。
(R6 司法 第5問 オ)
期限の到来前に担保を滅失させた債務者は、期限の利益を主張することができない。
期限の到来前に担保を滅失させた債務者は、期限の利益を主張することができない。
(正答) 〇
(解説)
137条2号は、債務者が「期限の利益を主張することができない」場合として、「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき」を挙げている。
137条2号は、債務者が「期限の利益を主張することができない」場合として、「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき」を挙げている。