現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
法律行為(代理)
第99条
条文
第99条(代理行為の要件及び効果)
① 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
② 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。
① 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
② 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。
過去問・解説
(H24 共通 第4問 ア)
代理人に対して意思表示をした者が、本人に対する意思表示であることを示したときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は本人に対して効力を生ずる。
代理人に対して意思表示をした者が、本人に対する意思表示であることを示したときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は本人に対して効力を生ずる。
(正答) 〇
(解説)
99条は、1項において「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」と規定し、2項において「前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。」と規定している。このように、同条2項では、代理人に対する意思表示が本人に対して効力を生じるための要件としては、代理人において本人のために受領することは要求していない。
したがって、代理人に対して意思表示をした者が、本人に対する意思表示であることを示したときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は本人に対して効力を生ずる。
99条は、1項において「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」と規定し、2項において「前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。」と規定している。このように、同条2項では、代理人に対する意思表示が本人に対して効力を生じるための要件としては、代理人において本人のために受領することは要求していない。
したがって、代理人に対して意思表示をした者が、本人に対する意思表示であることを示したときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は本人に対して効力を生ずる。
(R6 司法 第3問 ア)
相手方が代理人に対して本人のためにすることを示して意思表示をした場合において、代理人がその意思表示を受領する権限を有していたときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は、本人に対して効力を生ずる。
相手方が代理人に対して本人のためにすることを示して意思表示をした場合において、代理人がその意思表示を受領する権限を有していたときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は、本人に対して効力を生ずる。
(正答) 〇
(解説)
99条は、1項において「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」と規定し、2項において「前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。」と規定している。このように、同条2項では、代理人に対する意思表示が本人に対して効力を生じるための要件としては、代理人において本人のために受領することは要求していない。
したがって、代理人に対して意思表示をした者が、本人に対する意思表示であることを示したときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は本人に対して効力を生ずる。
99条は、1項において「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」と規定し、2項において「前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。」と規定している。このように、同条2項では、代理人に対する意思表示が本人に対して効力を生じるための要件としては、代理人において本人のために受領することは要求していない。
したがって、代理人に対して意思表示をした者が、本人に対する意思表示であることを示したときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は本人に対して効力を生ずる。
総合メモ
第100条
条文
第100条(本人のためにすることを示さない意思表示)
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
過去問・解説
(H20 司法 第6問 1)
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示であっても、代理人が本人のためにすることを相手方において知ることができた場合には、意思表示は本人に帰属する。
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示であっても、代理人が本人のためにすることを相手方において知ることができた場合には、意思表示は本人に帰属する。
(正答) 〇
(解説)
100条は、本文において「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、99項1項の規定を準用する。」と規定している。
したがって、代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示であっても、代理人が本人のためにすることを相手方において知ることができた場合には、意思表示は本人に帰属する(100条但書)。
100条は、本文において「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、99項1項の規定を準用する。」と規定している。
したがって、代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示であっても、代理人が本人のためにすることを相手方において知ることができた場合には、意思表示は本人に帰属する(100条但書)。
(H27 共通 第3問 オ)
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Aのためにすることを示さずにCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、BがAのために売買契約を締結することをCが知ることができたときは、AC間に売買契約の効力が生ずる。
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Aのためにすることを示さずにCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、BがAのために売買契約を締結することをCが知ることができたときは、AC間に売買契約の効力が生ずる。
(正答) 〇
(解説)
100条は、本文において「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、99項1項の規定を準用する。」と規定している。
Aの代理人Bは、Aのためにすることを示さずにCとの間で甲土地の売買契約を締結しているが、BがAのために売買契約を締結することをCが知ることができたときは、100条但書が適用されるため、AC間に売買契約の効力が生ずる。
100条は、本文において「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、99項1項の規定を準用する。」と規定している。
Aの代理人Bは、Aのためにすることを示さずにCとの間で甲土地の売買契約を締結しているが、BがAのために売買契約を締結することをCが知ることができたときは、100条但書が適用されるため、AC間に売買契約の効力が生ずる。
(R1 司法 第3問 ア)
Aの代理人Bがその代理権の範囲内でAのためにすることを示さずにCと契約を締結した場合、Cにおいて、BがAのために契約を締結することを知っていたのでなければ、AC間に契約の効力が生じることはない。
Aの代理人Bがその代理権の範囲内でAのためにすることを示さずにCと契約を締結した場合、Cにおいて、BがAのために契約を締結することを知っていたのでなければ、AC間に契約の効力が生じることはない。
(正答) ✕
(解説)
100条は、本文において「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、99項1項の規定を準用する。」と規定しており、但書では悪意の場合のみならず過失の場合も含まれている。
本肢は、「Cにおいて、BがAのために契約を締結することを知っていたのでなければ、AC間に契約の効力が生じることはない。」として、「相手方が、代理人が本人のためにすることを知」っていたときに限定している点において、誤っている。
100条は、本文において「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、99項1項の規定を準用する。」と規定しており、但書では悪意の場合のみならず過失の場合も含まれている。
本肢は、「Cにおいて、BがAのために契約を締結することを知っていたのでなければ、AC間に契約の効力が生じることはない。」として、「相手方が、代理人が本人のためにすることを知」っていたときに限定している点において、誤っている。
総合メモ
第101条
条文
第101条(代理行為の瑕疵)
① 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
② 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
③ 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
① 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
② 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
③ 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
過去問・解説
(H24 共通 第4問 ウ)
意思表示の効力がある事情を知っていたことによって影響を受けるべき場合、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。
意思表示の効力がある事情を知っていたことによって影響を受けるべき場合、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。
(正答) ✕
(解説)
101条1項は、「代理人が相手方に対してした意思表示の効力が…ある事情を知っていたこと…によって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。
101条1項は、「代理人が相手方に対してした意思表示の効力が…ある事情を知っていたこと…によって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。
(H27 共通 第3問 ウ)
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、CのBに対する詐欺により、Aのためにすることを示してCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、Aは、その売買契約を取り消すことができない。
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、CのBに対する詐欺により、Aのためにすることを示してCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、Aは、その売買契約を取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
101条1項は、「代理人が相手方に対してした意思表示の効力が…詐欺…によって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。
したがって、Aの代理人Bが相手方Cの詐欺により、代理行為によりCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合は、詐欺の「事実は、代理人について決する」のだから、Aは、CのBに対する詐欺を理由として、96条1項に基づいて、その売買契約を取り消すことができる。
101条1項は、「代理人が相手方に対してした意思表示の効力が…詐欺…によって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。
したがって、Aの代理人Bが相手方Cの詐欺により、代理行為によりCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合は、詐欺の「事実は、代理人について決する」のだから、Aは、CのBに対する詐欺を理由として、96条1項に基づいて、その売買契約を取り消すことができる。
(H30 共通 第4問 ア)
特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をした場合、本人は、自ら過失によって知らなかった事情について代理人が過失なく知らなかったことを主張することができない。
特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をした場合、本人は、自ら過失によって知らなかった事情について代理人が過失なく知らなかったことを主張することができない。
(正答) 〇
(解説)
101条3項は、「特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。」と規定している。
101条3項は、「特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。」と規定している。
(H30 共通 第4問 ウ)
代理人が相手方と通謀して売買契約の締結を仮装した場合、相手方は、本人がその通謀虚偽表示を知っていたか否かにかかわらず、当該売買契約の無効を主張することができる。
代理人が相手方と通謀して売買契約の締結を仮装した場合、相手方は、本人がその通謀虚偽表示を知っていたか否かにかかわらず、当該売買契約の無効を主張することができる。
(正答) 〇
(解説)
101条1項は、「代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在…によって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。したがって、代理人と相手方とが通謀して契約の仮装をした場合、当該売買契約は無効(94条1項)になる。
なお、意思表示の取消しと異なり、意思表示の無効は原則として誰からでも主張できるから、相手方による主張も可能である。
101条1項は、「代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在…によって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。したがって、代理人と相手方とが通謀して契約の仮装をした場合、当該売買契約は無効(94条1項)になる。
なお、意思表示の取消しと異なり、意思表示の無効は原則として誰からでも主張できるから、相手方による主張も可能である。
(R5 司法 第4問 ア)
特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をした場合において、本人が自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができないのは、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときに限られる。
特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をした場合において、本人が自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができないのは、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときに限られる。
(正答) ✕
(解説)
101条3項前段は「特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。」と規定しており、代理人が本人の指示に従ってその行為をしたときという限定はしていない。
101条3項前段は「特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。」と規定しており、代理人が本人の指示に従ってその行為をしたときという限定はしていない。
(R6 司法 第3問 イ)
相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたことによって影響を受けるべきときは、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。
相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたことによって影響を受けるべきときは、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。
(正答) ✕
(解説)
101条2項は、「相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。
したがって、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決するのではない。
101条2項は、「相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定している。
したがって、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決するのではない。
総合メモ
第102条
条文
第102条(代理人の行為能力)
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
過去問・解説
(H20 司法 第2問 ア)
未成年者は代理人になれない。
未成年者は代理人になれない。
(正答) ✕
(解説)
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、制限行為能力者も代理人になることができる。
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、制限行為能力者も代理人になることができる。
(H23 司法 第4問 オ)
委任による代理人は、未成年者でもよいが、未成年者のした代理行為は、その法定代理人が取り消すことができる。
委任による代理人は、未成年者でもよいが、未成年者のした代理行為は、その法定代理人が取り消すことができる。
(正答) ✕
(解説)
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、未成年者も代理人になることができるし、未成年者の代理行為であるからといってその法定代理人が取り消せるわけではない。
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、未成年者も代理人になることができるし、未成年者の代理行為であるからといってその法定代理人が取り消せるわけではない。
(H28 司法 第1問 オ)
未成年者は、代理人となることができない。
未成年者は、代理人となることができない。
(正答) ✕
(解説)
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、制限行為能力者も代理人になることができる。
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、制限行為能力者も代理人になることができる。
(H30 共通 第4問 オ)
代理人が相手方と売買契約を締結した後、その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合であっても、本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことができない。
代理人が相手方と売買契約を締結した後、その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合であっても、本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことができない。
(正答) 〇
(解説)
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、制限行為能力者も代理人になることができるし、制限行為能力者の代理行為であるからといってそのことを理由に取り消せるわけではない。
102条本文は、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定している。
したがって、制限行為能力者も代理人になることができるし、制限行為能力者の代理行為であるからといってそのことを理由に取り消せるわけではない。
(R4 司法 第2問 ウ)
成年被後見人Aが未成年者Bの法定代理人としてした行為は、Aの行為能力の制限によっては取り消すことができない。
成年被後見人Aが未成年者Bの法定代理人としてした行為は、Aの行為能力の制限によっては取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
102条は、本文において「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定する一方で、但書において「ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない」と規定している。
したがって、成年被後見人Aが未成年者Bの法定代理人としてした行為は、Aの行為能力の制限によって取り消すことができる(102条但書)。
102条は、本文において「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定する一方で、但書において「ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない」と規定している。
したがって、成年被後見人Aが未成年者Bの法定代理人としてした行為は、Aの行為能力の制限によって取り消すことができる(102条但書)。
(R5 司法 第4問 ウ)
制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由として取り消すことができる。
制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由として取り消すことができる。
(正答) 〇
(解説)
102条は、本文において「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定する一方で、但書において「ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない」と規定している。
したがって、成年被後見人Aが未成年者Bの法定代理人としてした行為は、Aの行為能力の制限によって取り消すことができる(102条但書)。
102条は、本文において「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」と規定する一方で、但書において「ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない」と規定している。
したがって、成年被後見人Aが未成年者Bの法定代理人としてした行為は、Aの行為能力の制限によって取り消すことができる(102条但書)。
総合メモ
第103条
条文
第103条(権限の定めのない代理人の権限)
権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
過去問・解説
(H30 共通 第4問 イ)
権限の定めのない代理人は、保存行為をする権限のみを有する。
権限の定めのない代理人は、保存行為をする権限のみを有する。
(正答) ✕
(解説)
103条は、権限の定めのない代理人の権限として、「保存行為」(1号)と「代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」(2号)を挙げている。
103条は、権限の定めのない代理人の権限として、「保存行為」(1号)と「代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」(2号)を挙げている。
(R5 司法 第4問 オ)
権限の定めのない代理人は、代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為をする権限を有する。
権限の定めのない代理人は、代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為をする権限を有する。
(正答) 〇
(解説)
103条は、権限の定めのない代理人の権限として、「保存行為」(1号)の他に、「代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」(2号)を挙げている。
103条は、権限の定めのない代理人の権限として、「保存行為」(1号)の他に、「代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」(2号)を挙げている。
(R6 司法 第37問 ア)
権限の定めのない代理人は、保存行為をする権限を有する。
権限の定めのない代理人は、保存行為をする権限を有する。
(正答) 〇
(解説)
103条は、権限の定めのない代理人の権限として、「保存行為」(1号)を挙げている。
103条は、権限の定めのない代理人の権限として、「保存行為」(1号)を挙げている。
総合メモ
第104条
条文
第104条(任意代理人による復代理人の選任)
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
過去問・解説
(H26 司法 第3問 エ)
委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
(正答) 〇
(解説)
104条は、「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。」と規定している。
したがって、委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
104条は、「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。」と規定している。
したがって、委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
(R6 司法 第3問 ウ)
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
(正答) 〇
(解説)
104条は、「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。」と規定している。
104条は、「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。」と規定している。
総合メモ
第105条
条文
第105条(法定代理人による復代理人の選任)
法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
過去問・解説
(H28 共通 第4問 ウ)
成年後見人は、やむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
成年後見人は、やむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
(正答) ✕
(解説)
105条前段は、「法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。」と規定している。やむを得ない事由を要求していない(104条対照)。
105条前段は、「法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。」と規定している。やむを得ない事由を要求していない(104条対照)。
(R1 司法 第3問 エ)
法定代理人がやむを得ない事由があるために復代理人を選任した場合、代理人は、本人に対して復代理人の選任及び監督についての責任のみを負う。
法定代理人がやむを得ない事由があるために復代理人を選任した場合、代理人は、本人に対して復代理人の選任及び監督についての責任のみを負う。
(正答) 〇
(解説)
105条は、前段において「法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。」と規定した上で、後段において「この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。」と規定している。
105条は、前段において「法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。」と規定した上で、後段において「この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。」と規定している。
(R5 司法 第4問 イ)
法定代理人は、やむを得ない事由により復代理人を選任したときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
法定代理人は、やむを得ない事由により復代理人を選任したときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
(正答) 〇
(解説)
105条は、前段において「法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。」と規定した上で、後段において「この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。」と規定している。
105条は、前段において「法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。」と規定した上で、後段において「この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。」と規定している。
総合メモ
第106条
条文
第106条(復代理人の権限等)
① 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
② 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。
① 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
② 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。
過去問・解説
(H20 司法 第6問 5)
復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではないから、復代理人が代理行為をするに当たっては、本人のためにすることを示せば十分である。
復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではないから、復代理人が代理行為をするに当たっては、本人のためにすることを示せば十分である。
(正答) 〇
(解説)
106条1項は、「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。」と規定しているから、復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではない。だからこそ、106条は、復代理人が代理行為をするに当たって、代理人のためにすることを示すことを要求していない(顕名としては、本人のためにすることを示すことで足りる。)。
106条1項は、「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。」と規定しているから、復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではない。だからこそ、106条は、復代理人が代理行為をするに当たって、代理人のためにすることを示すことを要求していない(顕名としては、本人のためにすることを示すことで足りる。)。
(H23 司法 第4問 ウ)
委任による代理人が、やむを得ない事由があるため復代理人を選任した場合には、復代理人はあくまで代理人との法律関係しか有しないから、復代理人の行為が本人のための代理行為となることはない。
委任による代理人が、やむを得ない事由があるため復代理人を選任した場合には、復代理人はあくまで代理人との法律関係しか有しないから、復代理人の行為が本人のための代理行為となることはない。
(正答) ✕
(解説)
106条1項は、「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。」と規定しているから、復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではない。したがって、復代理人の行為は、本人のための代理行為となる。そのことは、106条2項において、「復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。」として示されている。
106条1項は、「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。」と規定しているから、復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではない。したがって、復代理人の行為は、本人のための代理行為となる。そのことは、106条2項において、「復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。」として示されている。
(H27 共通 第3問 イ)
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Aの許諾を得て復代理人Cを選任し、AがDとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、CがDに対しAのために売買契約を締結することを示しただけで、自らが代理人Bによって選任された復代理人であることを示さなかったときは、AD間に売買契約の効力は生じない。
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Aの許諾を得て復代理人Cを選任し、AがDとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、CがDに対しAのために売買契約を締結することを示しただけで、自らが代理人Bによって選任された復代理人であることを示さなかったときは、AD間に売買契約の効力は生じない。
(正答) ✕
(解説)
106条1項は、「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。」と規定しているから、復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではない。だからこそ、106条は、復代理人が代理行為をするに当たって、代理人のためにすることを示すことを要求していない(顕名としては、本人のためにすることを示すことで足りる。)。
106条1項は、「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。」と規定しているから、復代理人は、本人の代理人であって代理人の代理人ではない。だからこそ、106条は、復代理人が代理行為をするに当たって、代理人のためにすることを示すことを要求していない(顕名としては、本人のためにすることを示すことで足りる。)。
(H28 共通 第4問 エ)
委任による代理人がやむを得ない事由があるため復代理人を選任した場合、復代理人は、復代理の委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときであっても、本人に対し、その費用の償還を直接請求することはできない。
委任による代理人がやむを得ない事由があるため復代理人を選任した場合、復代理人は、復代理の委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときであっても、本人に対し、その費用の償還を直接請求することはできない。
(正答) ✕
(解説)
106条2項は、「復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。」と規定している。
650条1項は、「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。」と規定しているところ、復代理の委任事務を処理するのに必要と認められる費用は、「委任事務を処理するのに必要と認められる費用」に含まれる。
したがって、復代理人は、復代理の委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、本人に対し、その費用の償還を直接請求することができる。
106条2項は、「復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。」と規定している。
650条1項は、「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。」と規定しているところ、復代理の委任事務を処理するのに必要と認められる費用は、「委任事務を処理するのに必要と認められる費用」に含まれる。
したがって、復代理人は、復代理の委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、本人に対し、その費用の償還を直接請求することができる。
総合メモ
第107条
条文
第107条(代理権の濫用)
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
過去問・解説
(H18 司法 第25問 オ)
権限外の行為の表見代理の規定は、自己の利益を図るためにその権限を行使した場合にも適用することができる。
権限外の行為の表見代理の規定は、自己の利益を図るためにその権限を行使した場合にも適用することができる。
(正答) ✕
(解説)
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
もっとも、これは代理権濫用行為が無権代理行為とみなされることを意味するにとどまり、権限外の表見代理行為(110条)の適用を受けることを意味するものではない。
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
もっとも、これは代理権濫用行為が無権代理行為とみなされることを意味するにとどまり、権限外の表見代理行為(110条)の適用を受けることを意味するものではない。
(H20 司法 第6問 3)
代理人が自己又は第三者のために代理権を濫用しても、それが客観的に代理権の範囲にあり、相手方が代理人の意図を知らず、知らないことに過失がないときは、代理人がした意思表示は本人に帰属する。
代理人が自己又は第三者のために代理権を濫用しても、それが客観的に代理権の範囲にあり、相手方が代理人の意図を知らず、知らないことに過失がないときは、代理人がした意思表示は本人に帰属する。
(正答) 〇
(解説)
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
したがって、代理人が自己又は第三者のために代理権を濫用しても、それが客観的に代理権の範囲にあり、相手方が代理人の意図を知らず、知らないことに過失がないときは、有権代理(99条1項)として、代理人がした意思表示は本人に帰属する。
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
したがって、代理人が自己又は第三者のために代理権を濫用しても、それが客観的に代理権の範囲にあり、相手方が代理人の意図を知らず、知らないことに過失がないときは、有権代理(99条1項)として、代理人がした意思表示は本人に帰属する。
(H25 司法 第4問 イ)
原材料甲を仕入れる代理権を本人から付与された者が、その代理権を利用して利益を図ろうと考え、本人を代理して第三者から甲を買い受け、これを他に転売しその利益を着服した場合、権限外の行為についての表見代理に関する規定が類推され、第三者は、本人に対し、甲の代金の支払を求めることができる。
原材料甲を仕入れる代理権を本人から付与された者が、その代理権を利用して利益を図ろうと考え、本人を代理して第三者から甲を買い受け、これを他に転売しその利益を着服した場合、権限外の行為についての表見代理に関する規定が類推され、第三者は、本人に対し、甲の代金の支払を求めることができる。
(正答) ✕
(解説)
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
もっとも、これは代理権濫用行為が無権代理行為とみなされることを意味するにとどまり、権限外の表見代理行為(110条)の適用を受けることを意味するものではない。
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
もっとも、これは代理権濫用行為が無権代理行為とみなされることを意味するにとどまり、権限外の表見代理行為(110条)の適用を受けることを意味するものではない。
(H27 共通 第2問 3)
Aの代理人であるBは、その代理権の範囲内でAを代理してCから1000万円を借り入れる旨の契約を締結したが、その契約締結の当時、Bは、Cから借り入れた金銭を着服する目的を有しており、実際に1000万円を着服した。この場合において、Cが、その契約締結の当時、Bの目的を知ることができたときは、Aは、Cに対し、その契約の効力が自己に及ばないことを主張することができる。
Aの代理人であるBは、その代理権の範囲内でAを代理してCから1000万円を借り入れる旨の契約を締結したが、その契約締結の当時、Bは、Cから借り入れた金銭を着服する目的を有しており、実際に1000万円を着服した。この場合において、Cが、その契約締結の当時、Bの目的を知ることができたときは、Aは、Cに対し、その契約の効力が自己に及ばないことを主張することができる。
(正答) 〇
(解説)
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
Cが、その契約締結の当時、Bの目的を知ることができたときは、「相手方がその目的を知り」に当たり、Bの代理行為は無権代理行為とみなされるから、本人Aがその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない(113条1項)。
したがって、Aは、Cに対し、その契約の効力が自己に及ばないことを主張することができる。
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定している。
Cが、その契約締結の当時、Bの目的を知ることができたときは、「相手方がその目的を知り」に当たり、Bの代理行為は無権代理行為とみなされるから、本人Aがその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない(113条1項)。
したがって、Aは、Cに対し、その契約の効力が自己に及ばないことを主張することができる。
(H29 司法 第5問 ア)
代理人が自己又は第三者の利益を図るために契約をした場合において、それが代理人の権限内の行為であるときは、本人は、代理人の意図を知らなかったことについて相手方に過失があったとしても、その行為について責任を免れることができない。
代理人が自己又は第三者の利益を図るために契約をした場合において、それが代理人の権限内の行為であるときは、本人は、代理人の意図を知らなかったことについて相手方に過失があったとしても、その行為について責任を免れることができない。
(正答) ✕
(解説)
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」として、代理権濫用相行為について、相手方が悪意である場合のみならず、相手方に過失がある場合にも、無権代理行為とみなす旨を規定している。
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」として、代理権濫用相行為について、相手方が悪意である場合のみならず、相手方に過失がある場合にも、無権代理行為とみなす旨を規定している。
(R5 司法 第36問 ア)
代理人が自己の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合には、相手方がその目的を知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
代理人が自己の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合には、相手方がその目的を知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
(正答) ✕
(解説)
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」として、代理権濫用相行為について、相手方が軽過失にとどまる場合にも、無権代理行為とみなす旨を規定している。
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」として、代理権濫用相行為について、相手方が軽過失にとどまる場合にも、無権代理行為とみなす旨を規定している。
(R6 司法 第4問 オ)
代理人が第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
代理人が第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
(正答) 〇
(解説)
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」として、代理権濫用相行為について、相手方が悪意である場合のみならず、相手方に過失がある場合にも、無権代理行為とみなす旨を規定している。
107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」として、代理権濫用相行為について、相手方が悪意である場合のみならず、相手方に過失がある場合にも、無権代理行為とみなす旨を規定している。
総合メモ
第108条
条文
第108条(自己契約及び双方代理等)
① 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
② 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
① 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
② 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
過去問・解説
(H20 司法 第6問 2)
自己契約及び双方代理は、債務の履行行為及び本人があらかじめ許諾した行為を除き原則として効力を生じないが、本人の保護のための制度であるから、無権代理行為として、本人が追認すれば有効になる。
自己契約及び双方代理は、債務の履行行為及び本人があらかじめ許諾した行為を除き原則として効力を生じないが、本人の保護のための制度であるから、無権代理行為として、本人が追認すれば有効になる。
(正答) 〇
(解説)
108条1項は、自己契約及び双方代理について、本文において「同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
また、自己契約及び双方代理は、原則として「代理権を有しない者がした行為」、すなわち無権代理行為とみなされるため、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力は生じない。」と規定している113条1項の適用を受ける。したがって、自己契約及び双方代理の場合であっても、本人が追認すれば有効になる(法律行為の効果が本人に帰属する。)。
108条1項は、自己契約及び双方代理について、本文において「同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
また、自己契約及び双方代理は、原則として「代理権を有しない者がした行為」、すなわち無権代理行為とみなされるため、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力は生じない。」と規定している113条1項の適用を受ける。したがって、自己契約及び双方代理の場合であっても、本人が追認すれば有効になる(法律行為の効果が本人に帰属する。)。
(H27 共通 第3問 エ)
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Cから甲土地を売却する権限を与えられてCの代理人にもなり、A及びCを代理してAC間の甲土地の売買契約を締結した場合、Bが双方代理であることをA及びCの双方にあらかじめ通知したときは、AC間に売買契約の効力が生ずる。
Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Cから甲土地を売却する権限を与えられてCの代理人にもなり、A及びCを代理してAC間の甲土地の売買契約を締結した場合、Bが双方代理であることをA及びCの双方にあらかじめ通知したときは、AC間に売買契約の効力が生ずる。
(正答) ✕
(解説)
108条1項は、双方代理について、本文において「同一の法律行為について、…当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
Bが双方代理であることをA及びCの双方にあらかじめ通知したことは、「本人があらかじめ承諾した」ことを意味するものではない。
したがって、原則通り、BがA及びCを代理して締結したAC間の甲土地の売買契約は、双方代理であることを理由に無権代理行為とみなされるから、AC間に売買契約の効力は生じない。
108条1項は、双方代理について、本文において「同一の法律行為について、…当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
Bが双方代理であることをA及びCの双方にあらかじめ通知したことは、「本人があらかじめ承諾した」ことを意味するものではない。
したがって、原則通り、BがA及びCを代理して締結したAC間の甲土地の売買契約は、双方代理であることを理由に無権代理行為とみなされるから、AC間に売買契約の効力は生じない。
(R1 司法 第3問 イ)
Aは、B及びCからあらかじめ許諾を得た場合、B及びCの双方を代理してBC間の契約を締結することができる。
Aは、B及びCからあらかじめ許諾を得た場合、B及びCの双方を代理してBC間の契約を締結することができる。
(正答) 〇
(解説)
108条1項は、双方代理について、本文において「同一の法律行為について、…当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
108条1項は、双方代理について、本文において「同一の法律行為について、…当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
(R5 司法 第4問 エ)
Aが、Bの代理人として、AB間の契約に基づくBのAに対する債務の履行をしたときは、その履行は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
Aが、Bの代理人として、AB間の契約に基づくBのAに対する債務の履行をしたときは、その履行は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
(正答) ✕
(解説)
108条1項は、双方代理について、本文において「同一の法律行為について、相手方の代理人として…した行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
108条1項は、双方代理について、本文において「同一の法律行為について、相手方の代理人として…した行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する一方で、但書において「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」と規定している。
総合メモ
第109条
条文
第109条(代理権授与の表示による表見代理等)
① 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
② 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
① 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
② 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
過去問・解説
(H18 司法 第25問 エ)
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その他人が代理権を与えられていないことを当該第三者が知り又は過失により知らなかったことを証明して、表見代理の責任を免れることができる。
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その他人が代理権を与えられていないことを当該第三者が知り又は過失により知らなかったことを証明して、表見代理の責任を免れることができる。
(正答) 〇
(解説)
109条1項は、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない」と規定しており、相手方の悪意・過失について本人が証明責任を負うこととしている。
すなわち、表見代理の成立を主張する相手方において、請求原因として、自己の善意・無過失について証明責任を負うのではなく、表見代理の成立を争う本人において、抗弁として、相手方の悪意・過失について証明責任を負うのである。
109条1項は、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない」と規定しており、相手方の悪意・過失について本人が証明責任を負うこととしている。
すなわち、表見代理の成立を主張する相手方において、請求原因として、自己の善意・無過失について証明責任を負うのではなく、表見代理の成立を争う本人において、抗弁として、相手方の悪意・過失について証明責任を負うのである。
(H20 司法 第6問 4)
何らの代理権がない者が代理人と称してした契約であっても、相手方が代理人と称した者に当該契約を締結する権限があると信じ、そのように信じたことにつき正当な理由がある場合には、本人に対してその効力を生じる。
何らの代理権がない者が代理人と称してした契約であっても、相手方が代理人と称した者に当該契約を締結する権限があると信じ、そのように信じたことにつき正当な理由がある場合には、本人に対してその効力を生じる。
(正答) ✕
(解説)
表見代理の規定(109条、110条、112条)には、本人の帰責性に対応する要件が設けられているところ、本肢の事例では、代理権授与表示(109条)、基本代理権の授与(110条)、過去における代理権の授与(112条)のいずれも欠くから、表見代理は成立しない。
表見代理の規定(109条、110条、112条)には、本人の帰責性に対応する要件が設けられているところ、本肢の事例では、代理権授与表示(109条)、基本代理権の授与(110条)、過去における代理権の授与(112条)のいずれも欠くから、表見代理は成立しない。
(H24 司法 第5問 1)
Aは、見知らぬ他人であるB宅に侵入し、Bの印章と登記関係の書類を盗み出し、それを用いて、BがAにB所有の甲不動産を売却する代理権を与えた旨の委任状を偽造し、Bの代理人として、Cに対して甲不動産を売却する契約を締結した。この場合において、CがAに代理権がないことについて善意無過失であっても、表見代理は成立しない。
Aは、見知らぬ他人であるB宅に侵入し、Bの印章と登記関係の書類を盗み出し、それを用いて、BがAにB所有の甲不動産を売却する代理権を与えた旨の委任状を偽造し、Bの代理人として、Cに対して甲不動産を売却する契約を締結した。この場合において、CがAに代理権がないことについて善意無過失であっても、表見代理は成立しない。
(正答) 〇
(解説)
本事例では、BがAに対して印章と登記関係の書類を交付したわけでも、委任状を交付したわけでもないから、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した」とはいえない。
したがって、109条1項の表見代理は成立しない。
なお、110条及び112条の表見代理が成立する余地もない。
本事例では、BがAに対して印章と登記関係の書類を交付したわけでも、委任状を交付したわけでもないから、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した」とはいえない。
したがって、109条1項の表見代理は成立しない。
なお、110条及び112条の表見代理が成立する余地もない。
(H25 司法 第4問 ウ)
子が父から何らの代理権も与えられていないのに、父の代理人として相手方に対し父所有の不動産を売却した場合、相手方において、子に売買契約を締結する代理権があると信じ、そのように信じたことに正当な理由があるときは、表見代理が成立する。
子が父から何らの代理権も与えられていないのに、父の代理人として相手方に対し父所有の不動産を売却した場合、相手方において、子に売買契約を締結する代理権があると信じ、そのように信じたことに正当な理由があるときは、表見代理が成立する。
(正答) ✕
(解説)
表見代理の規定(109条、110条、112条)には、本人の帰責性に対応する要件が設けられているところ、本肢の事例では、代理権授与表示(109条)、基本代理権の授与(110条)、過去における代理権の授与(112条)のいずれも欠くから、表見代理は成立しない。
表見代理の規定(109条、110条、112条)には、本人の帰責性に対応する要件が設けられているところ、本肢の事例では、代理権授与表示(109条)、基本代理権の授与(110条)、過去における代理権の授与(112条)のいずれも欠くから、表見代理は成立しない。
(H29 司法 第5問 イ)
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その他人に代理権が与えられていないことをその第三者が知り、又は過失によって知らなかったことを主張立証すれば、その表示された代理権の範囲内においてされた行為について責任を免れる。
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その他人に代理権が与えられていないことをその第三者が知り、又は過失によって知らなかったことを主張立証すれば、その表示された代理権の範囲内においてされた行為について責任を免れる。
(正答) 〇
(解説)
109条1項は、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない」と規定しており、相手方の悪意・過失について本人が証明責任を負うこととしている。
すなわち、表見代理の成立を主張する相手方において、請求原因として、自己の善意・無過失について証明責任を負うのではなく、表見代理の成立を争う本人において、抗弁として、相手方の悪意・過失について証明責任を負うのである。
109条1項は、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない」と規定しており、相手方の悪意・過失について本人が証明責任を負うこととしている。
すなわち、表見代理の成立を主張する相手方において、請求原因として、自己の善意・無過失について証明責任を負うのではなく、表見代理の成立を争う本人において、抗弁として、相手方の悪意・過失について証明責任を負うのである。
(R6 司法 第4問 ア)
AがBに対しCに代理権を与えた旨を表示した場合に、代理権授与の表示による表見代理が成立するためには、Cに代理権が与えられていると信じ、かつ、そのように信じたことについて過失がないことをBが主張立証しなければならない。
AがBに対しCに代理権を与えた旨を表示した場合に、代理権授与の表示による表見代理が成立するためには、Cに代理権が与えられていると信じ、かつ、そのように信じたことについて過失がないことをBが主張立証しなければならない。
(正答) ✕
(解説)
109条1項は、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない」と規定しており、相手方の悪意・過失について本人が証明責任を負うこととしている。
すなわち、表見代理の成立を主張する相手方において、請求原因として、自己の善意・無過失について証明責任を負うのではなく、表見代理の成立を争う本人において、抗弁として、相手方の悪意・過失について証明責任を負うのである。
109条1項は、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない」と規定しており、相手方の悪意・過失について本人が証明責任を負うこととしている。
すなわち、表見代理の成立を主張する相手方において、請求原因として、自己の善意・無過失について証明責任を負うのではなく、表見代理の成立を争う本人において、抗弁として、相手方の悪意・過失について証明責任を負うのである。
総合メモ
第110条
条文
第110条(権限外の行為の表見代理)
前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
過去問・解説
(R6 司法 第4問 イ)
AがA所有の土地をBに売却し、その所有権移転登記手続をCに委任し、その代理権を与えた場合において、CがDとの間で権限外の行為をした。Cに当該行為についての権限があるとDが信ずべき正当な理由があるときは、Aは、Dに対して当該行為についての責任を負う。
AがA所有の土地をBに売却し、その所有権移転登記手続をCに委任し、その代理権を与えた場合において、CがDとの間で権限外の行為をした。Cに当該行為についての権限があるとDが信ずべき正当な理由があるときは、Aは、Dに対して当該行為についての責任を負う。
(正答) 〇
(解説)
110条は、「前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。」と規定している。
本肢の事例では、①AがA所有の土地をBに売却し、その所有権移転登記手続をCに委任し、その代理権を与えたことが「代理人のその権限」(基本代理権の授与)を、②CがDとの間で権限外の行為をしたことが「代理人がその権限外の行為をした」ことを、③Cに当該行為についての権限があるとDが信ずべき正当な理由があることが「第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」を、それぞれ根拠づけるから、110条の表見代理が成立する。
110条は、「前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。」と規定している。
本肢の事例では、①AがA所有の土地をBに売却し、その所有権移転登記手続をCに委任し、その代理権を与えたことが「代理人のその権限」(基本代理権の授与)を、②CがDとの間で権限外の行為をしたことが「代理人がその権限外の行為をした」ことを、③Cに当該行為についての権限があるとDが信ずべき正当な理由があることが「第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」を、それぞれ根拠づけるから、110条の表見代理が成立する。
総合メモ
第111条
条文
第111条(代理権の消滅事由)
① 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
② 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
① 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
② 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
過去問・解説
(H20 司法 第34問 4)
被相続人が第三者から与えられていた代理権は、相続人に承継されない。
被相続人が第三者から与えられていた代理権は、相続人に承継されない。
(正答) 〇
(解説)
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人の死亡」を挙げている。
したがって、被相続人が第三者から与えられていた代理権は、相続人に承継されない。
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人の死亡」を挙げている。
したがって、被相続人が第三者から与えられていた代理権は、相続人に承継されない。
(H23 予備 第1問 ウ)
代理人が保佐開始の審判を受けたときは、代理権は消滅する。
代理人が保佐開始の審判を受けたときは、代理権は消滅する。
(正答) ✕
(解説)
111条1項は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」(2号)を挙げているが、代理人が保佐開始の審判を受けたことは挙げられていない。
したがって、代理人が保佐開始の審判を受けたときであっても、代理権は消滅しない。
111条1項は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」(2号)を挙げているが、代理人が保佐開始の審判を受けたことは挙げられていない。
したがって、代理人が保佐開始の審判を受けたときであっても、代理権は消滅しない。
(H24 共通 第4問 イ)
代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは消滅する。
代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは消滅する。
(正答) 〇
(解説)
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」を挙げている。
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」を挙げている。
(H28 共通 第4問 イ)
代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは消滅する。
代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは消滅する。
(正答) 〇
(解説)
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」を挙げている。
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」を挙げている。
(H30 共通 第4問 エ)
代理人が保佐開始の審判を受けたときは、代理権は消滅する。
代理人が保佐開始の審判を受けたときは、代理権は消滅する。
(正答) ✕
(解説)
111条1項は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」(2号)を挙げているが、代理人が保佐開始の審判を受けたことは挙げられていない。
したがって、代理人が保佐開始の審判を受けたときであっても、代理権は消滅しない。
111条1項は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」(2号)を挙げているが、代理人が保佐開始の審判を受けたことは挙げられていない。
したがって、代理人が保佐開始の審判を受けたときであっても、代理権は消滅しない。
(R1 司法 第36問 ア)
代理権を授与した本人が死亡しても、代理権は消滅しない。
代理権を授与した本人が死亡しても、代理権は消滅しない。
(正答) ✕
(解説)
111条1項1号は、代理権の消滅事由として、「本人の死亡」を挙げている。
したがって、代理権を授与した本人が死亡したときは、代理権は消滅する。
111条1項1号は、代理権の消滅事由として、「本人の死亡」を挙げている。
したがって、代理権を授与した本人が死亡したときは、代理権は消滅する。
(R6 司法 第3問 エ)
代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは、消滅する。
代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは、消滅する。
(正答) 〇
(解説)
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」を挙げている。
111条1項2号は、代理権の消滅事由として、「代理人が…後見開始の審判を受けたこと」を挙げている。
総合メモ
第112条
条文
第112条(代理権消滅後の表見代理等)
① 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
② 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
① 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
② 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
過去問・解説
(H18 司法 第25問 ア)
代理権消滅後の表見代理の規定は、法定代理に適用することはできない。
代理権消滅後の表見代理の規定は、法定代理に適用することはできない。
(正答) 〇
(解説)
112条は、代理権消滅後の表見代理について、「他人に代理権を与えた者」と規定しているため、法律によって代理権が与えられた法定代理に適用されることは予定されていない。
112条は、代理権消滅後の表見代理について、「他人に代理権を与えた者」と規定しているため、法律によって代理権が与えられた法定代理に適用されることは予定されていない。
(H21 司法 第6問 ア)
代理権消滅後にその代理権を越えて代理行為を行った場合には、表見代理は成立しない。
代理権消滅後にその代理権を越えて代理行為を行った場合には、表見代理は成立しない。
(正答) ✕
(解説)
112条2項は、代理権消滅後の越権行為について、「他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、…その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、…その行為についての責任を負う」と規定している。
112条2項は、代理権消滅後の越権行為について、「他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、…その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、…その行為についての責任を負う」と規定している。
総合メモ
第113条
条文
第113条(無権代理)
① 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
② 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
① 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
② 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
総合メモ
第114条
条文
第114条(無権代理の相手方の催告権)
前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
過去問・解説
(H19 司法 第3問 ウ)
Aは、Bとの間で、B所有の不動産を代金1000万円で購入する旨の契約を締結した。Aが本人Cを無権代理して契約を締結した場合、BがCに対し、相当の期間を定めて、その期間内にAの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告し、Cがこの期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。
Aは、Bとの間で、B所有の不動産を代金1000万円で購入する旨の契約を締結した。Aが本人Cを無権代理して契約を締結した場合、BがCに対し、相当の期間を定めて、その期間内にAの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告し、Cがこの期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。
(正答) 〇
(解説)
114条は、無権代理の相手方の催告権について、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定している。
したがって、Aが本人Cを無権代理して契約を締結した場合、BがCに対し、相当の期間を定めて、その期間内にAの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告し、Cがこの期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。
114条は、無権代理の相手方の催告権について、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定している。
したがって、Aが本人Cを無権代理して契約を締結した場合、BがCに対し、相当の期間を定めて、その期間内にAの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告し、Cがこの期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。
(H22 司法 第4問 エ)
無権代理人の締結した契約について、相手方が本人に対して、相当の期間を定めて、追認するかどうかを確答すべき旨の催告をしたにもかかわらず確答がなかったときは、その相手方は、本人に対して、契約の履行を請求することができる。
無権代理人の締結した契約について、相手方が本人に対して、相当の期間を定めて、追認するかどうかを確答すべき旨の催告をしたにもかかわらず確答がなかったときは、その相手方は、本人に対して、契約の履行を請求することができる。
(正答) ✕
(解説)
114条は、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定しているから、催告期間内に確答をしなかった場合の法律効果は、追認の擬制ではなく、追認拒絶の擬制である。
114条は、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定しているから、催告期間内に確答をしなかった場合の法律効果は、追認の擬制ではなく、追認拒絶の擬制である。
(H23 共通 第3問 イ)
無権代理行為の相手方は、本人に対して相当の期間を定めて、その期間内に追認するか否かを催告することができ、本人がその期間内に確答をしないときは、追認したものとみなされる。
無権代理行為の相手方は、本人に対して相当の期間を定めて、その期間内に追認するか否かを催告することができ、本人がその期間内に確答をしないときは、追認したものとみなされる。
(正答) ✕
(解説)
114条は、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定しているから、催告期間内に確答をしなかった場合の法律効果は、追認の擬制ではなく、追認拒絶の擬制である。
114条は、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定しているから、催告期間内に確答をしなかった場合の法律効果は、追認の擬制ではなく、追認拒絶の擬制である。
(H27 司法 第35問 イ)
無権代理人がした売買契約について、その売買契約の相手方が、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内にその売買契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をし、本人がその期間内に確答をしなかった場合には、その売買契約を追認したものとみなされる。
無権代理人がした売買契約について、その売買契約の相手方が、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内にその売買契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をし、本人がその期間内に確答をしなかった場合には、その売買契約を追認したものとみなされる。
(正答) ✕
(解説)
114条は、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定しているから、催告期間内に確答をしなかった場合の法律効果は、追認の擬制ではなく、追認拒絶の擬制である。
114条は、「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」と規定しているから、催告期間内に確答をしなかった場合の法律効果は、追認の擬制ではなく、追認拒絶の擬制である。
総合メモ
第115条
条文
第115条(無権代理の相手方の取消権)
代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。
代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。
過去問・解説
(H24 司法 第5問 3)
代理権を有しない者が代理行為として契約をした場合、その契約の時に代理権のないことを知っていた相手方は、本人が追認をする以前でもこれを取り消すことができない。
代理権を有しない者が代理行為として契約をした場合、その契約の時に代理権のないことを知っていた相手方は、本人が追認をする以前でもこれを取り消すことができない。
(正答) 〇
(解説)
115条は、本文において「代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。」と規定している。
115条は、本文において「代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。」と規定している。
(H25 司法 第3問 5)
代理権を有しない者がした契約の本人による追認は、その契約を相手方が取り消した後は、することができない。
代理権を有しない者がした契約の本人による追認は、その契約を相手方が取り消した後は、することができない。
(正答) 〇
(解説)
115条は、本文において「代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。」と規定している。
115条は、本文において「代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。」と規定している。
(H30 司法 第5問 ウ)
代理権を有しない者がした契約を本人が相手方に対して追認した場合であっても、契約の時においてその者が代理権を有しないことを相手方が知らなかったときは、相手方は契約を取り消すことができる。
代理権を有しない者がした契約を本人が相手方に対して追認した場合であっても、契約の時においてその者が代理権を有しないことを相手方が知らなかったときは、相手方は契約を取り消すことができる。
(正答) ✕
(解説)
115条本文は、「代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。」と規定している。
したがって、本人が相手方に追認の意思表示をした後は、相手方は契約を取り消すことができない。
115条本文は、「代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。」と規定している。
したがって、本人が相手方に追認の意思表示をした後は、相手方は契約を取り消すことができない。
総合メモ
第116条
条文
第116条(無権代理行為の追認)
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
過去問・解説
(H24 共通 第4問 エ)
代理権を有しない者がした契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。
代理権を有しない者がした契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。
(正答) ✕
(解説)
116条本文は、「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と規定している(追認の遡及効)。
116条本文は、「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と規定している(追認の遡及効)。
(R6 司法 第3問 オ)
代理権を有しない者がした契約について本人が追認したときは、その効力は、別段の意思表示がない限り、将来に向かってのみ生ずる。
代理権を有しない者がした契約について本人が追認したときは、その効力は、別段の意思表示がない限り、将来に向かってのみ生ずる。
(正答) ✕
(解説)
116条は、「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と規定している(追認の遡及効)。
116条は、「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と規定している(追認の遡及効)。
総合メモ
第117条
条文
第117条(無権代理人の責任)
① 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
② 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。
① 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
② 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。
過去問・解説
(H24 司法 第5問 4)
無権代理人が本人の追認を得ることができなかったときは、代理権の不存在につき善意無過失の相手方は、無権代理人に損害賠償を請求することができる。
無権代理人が本人の追認を得ることができなかったときは、代理権の不存在につき善意無過失の相手方は、無権代理人に損害賠償を請求することができる。
(正答) 〇
(解説)
117条は、無権代理人の責任が否定される事由として、1項において「自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たとき」と規定し、2項において「他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき」(1号)と「他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき」(2号本文)を挙げている。
117条は、無権代理人の責任が否定される事由として、1項において「自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たとき」と規定し、2項において「他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき」(1号)と「他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき」(2号本文)を挙げている。
(H28 共通 第4問 ア)
無権代理行為の相手方は、代理人が代理権を有しないことを過失によって知らなかったときは、民法上の無権代理人の責任を追及することができない。
無権代理行為の相手方は、代理人が代理権を有しないことを過失によって知らなかったときは、民法上の無権代理人の責任を追及することができない。
(正答) ✕
(解説)
117条に基づく無権代理人の責任は、無過失責任であるから、無権代理人の過失の有無にかかわらず成立する。
117条に基づく無権代理人の責任は、無過失責任であるから、無権代理人の過失の有無にかかわらず成立する。
(R1 司法 第3問 オ)
無権代理人は、本人の追認を得られなかったとしても、自己に代理権があると過失なく信じて行為をしたときは、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負わない。
無権代理人は、本人の追認を得られなかったとしても、自己に代理権があると過失なく信じて行為をしたときは、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負わない。
(正答) ✕
(解説)
117条に基づく無権代理人の責任は、無過失責任であるから、無権代理人の過失の有無にかかわらず成立する。
117条に基づく無権代理人の責任は、無過失責任であるから、無権代理人の過失の有無にかかわらず成立する。
(R2 司法 第4問 ア)
Aは、Bの代理人と称して、Cとの間でBの所有する土地をCに売却する旨の売買契約を締結したが、実際にはその契約を締結する代理権を有していなかった。AがCに対する無権代理人の責任を負う場合、Aは売買契約の履行をするか、又は損害賠償責任を負うかを自ら選択することができる。
Aは、Bの代理人と称して、Cとの間でBの所有する土地をCに売却する旨の売買契約を締結したが、実際にはその契約を締結する代理権を有していなかった。AがCに対する無権代理人の責任を負う場合、Aは売買契約の履行をするか、又は損害賠償責任を負うかを自ら選択することができる。
(正答) ✕
(解説)
117条1項は、無権代理人の責任について、「相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。」と規定しているから、代理人であるAが責任の内容として「履行又は損害賠償」のいずれかを選択できるわけではない。
117条1項は、無権代理人の責任について、「相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。」と規定しているから、代理人であるAが責任の内容として「履行又は損害賠償」のいずれかを選択できるわけではない。
(R2 司法 第4問 イ)
Aは、Bの代理人と称して、Cとの間でBの所有する土地をCに売却する旨の売買契約を締結したが、実際にはその契約を締結する代理権を有していなかった。Bが売買契約を追認した場合、AはCに対する無権代理人の責任を負わない。
Aは、Bの代理人と称して、Cとの間でBの所有する土地をCに売却する旨の売買契約を締結したが、実際にはその契約を締結する代理権を有していなかった。Bが売買契約を追認した場合、AはCに対する無権代理人の責任を負わない。
(正答) 〇
(解説)
117条1項は、無権代理人の責任が否定される事由として、1項において「自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たとき」と規定している。したがって、Bが売買契約を追認した場合、AはCに対する無権代理人の責任を負わない。
117条1項は、無権代理人の責任が否定される事由として、1項において「自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たとき」と規定している。したがって、Bが売買契約を追認した場合、AはCに対する無権代理人の責任を負わない。
(R2 司法 第4問 ウ)
Aは、Bの代理人と称して、Cとの間でBの所有する土地をCに売却する旨の売買契約を締結したが、実際にはその契約を締結する代理権を有していなかった。代理権を有しないことを知らないことにつきCに過失がある場合、Aは、自己に代理権がないことを知っていたときであっても、Cに対する無権代理人の責任を負わない。
Aは、Bの代理人と称して、Cとの間でBの所有する土地をCに売却する旨の売買契約を締結したが、実際にはその契約を締結する代理権を有していなかった。代理権を有しないことを知らないことにつきCに過失がある場合、Aは、自己に代理権がないことを知っていたときであっても、Cに対する無権代理人の責任を負わない。
(正答) ✕
(解説)
117条は、無権代理人の責任が否定される事由として、1項2号本文において、「他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき」を挙げている一方で、但書において「ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。」との例外を設けている。
代理権を有しないことを知らないことにつきCに過失がある場合であっても、Aは、自己に代理権がないことを知っていたときは、117条1項2号但書が適用されるため、AのCに対する無権代理人の責任は否定されない。
117条は、無権代理人の責任が否定される事由として、1項2号本文において、「他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき」を挙げている一方で、但書において「ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。」との例外を設けている。
代理権を有しないことを知らないことにつきCに過失がある場合であっても、Aは、自己に代理権がないことを知っていたときは、117条1項2号但書が適用されるため、AのCに対する無権代理人の責任は否定されない。