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質権

第342条

条文
第342条(質権の内容)
 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
過去問・解説
(H30 予備 第5問 ウ)
質権は、債務者の財産についてのみ設定することができる。

(正答)  

(解説)
342条は、質権の目的物について、「その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物」と規定している。したがって、質権は、債務者の財産だけでなく、第三者の財産にも設定することができる。
総合メモ

第343条

条文
第343条(質権の目的)
 質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
過去問・解説
(H19 司法 第12問 4)
性質上譲渡できない債権の上に質権を設定する契約をした場合、譲渡できないことについて質権者が善意であるか悪意であるかを問わず、その質権設定契約は無効である。

(正答)  

(解説)
343条は、「質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。」と規定しており、質権者の主観的事情は問われない。

(H21 司法 第13問 ウ)
質権は、譲り渡すことができない物についても設定することができる。

(正答)  

(解説)
343条は、「質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。」と規定している。
総合メモ

第344条

条文
第344条(質権の設定)
 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
過去問・解説
(H21 司法 第13問 エ)
不動産及び動産を目的とする質権設定契約は、目的物の引渡しによって効力を生ずるが、この引渡しは、簡易の引渡し又は指図による占有移転でもよい。

(正答)  

(解説)
344条は、「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」と規定している(要物契約)。そして、引渡しの方法には、現実の引渡し(183条)、簡易の引渡し(183条)、占有改定(183条)及び指図による占有移転(184条)があるところ、345条が質権設定者による代理占有を禁止していることから、344条でいう「引き渡す」には占有改定(183条)は含まれない。

(H24 共通 第10問 4)
Aは、Bに対する債権を担保するため、Bとの間で、B所有の動産甲に質権の設定を受けた。この場合、指図による占有移転により動産甲の引渡しを受けたのみでは、質権の効力は生じない。

(正答)  

(解説)
344条は、「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」と規定している(要物契約)。そして、引渡しの方法には、現実の引渡し(183条)、簡易の引渡し(183条)、占有改定(183条)及び指図による占有移転(184条)があるところ、345条が質権設定者による代理占有を禁止していることから、344条でいう「引き渡す」には占有改定(183条)は含まれないが、指図による占有移転(184条)は「引き渡す」に含まれる。

(H30 司法 第12問 ウ)
動産質権の設定は、指図による占有移転をもって目的物を債権者に引き渡すことによっても、その効力を生じる。

(正答)  

(解説)
344条は、「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」と規定している(要物契約)。そして、引渡しの方法には、現実の引渡し(183条)、簡易の引渡し(183条)、占有改定(183条)及び指図による占有移転(184条)があるところ、345条が質権設定者による代理占有を禁止ていることから、344条でいう「引き渡す」には占有改定(183条)は含まれないが、指図による占有移転(184条)は「引き渡す」に含まれる。
総合メモ

第345条

条文
第345条(質権設定者による代理占有の禁止)
 質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
過去問・解説
(H20 司法 第12問 2)
質権は、留置権とは異なり、約定担保物権であるから、約定があれば、質権設定者を代理人としてその者に占有させることにより、これを設定することができる。

(正答)  

(解説)
344条は、「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」と規定している(要物契約)。として、345条は、「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。」として、質権設定者による代理占有を禁止ていることから、344条でいう「引き渡す」には占有改定(183条)は含まれない。したがって、質権は、約定があっても、質権設定者を代理人としてその者に占有させることにより、これを設定することができない。

(R3 司法 第12問 イ)
動産質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物を占有させることができない。

(正答)  

(解説)
345条は、「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。」として、質権設定者による代理占有を禁止している。
総合メモ

第346条

条文
第346条(質権の被担保債権の範囲)
 質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
過去問・解説
(H24 共通 第17問 2)
動産質権において、質権者と質権設定者との間で、被担保債権の利息はその質権によって担保されないとの特約がされた場合においても、利息は、質権の被担保債権に含まれる。

(正答)  

(解説)
346条は、本文において「質権は、…利息…を担保する。」と規定する一方で、但書において「ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、被担保債権の利息はその質権によって担保されないとの特約がされた場合、利息は、質権の被担保債権に含まれない(同条但書)。

(R1 司法 第13問 エ)
質権は、設定行為に定めがないときは、質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保しない。

(正答)  

(解説)
346条本文は、「質権は、…質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。」と規定している。したがって、質権は、設定行為に定めがなくとも、質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。

(R3 司法 第12問 オ)
動産質権者は、被担保債権について利息を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その質権を行使することができる。

(正答)  

(解説)
346条本文は、単に「質権は、…利息…を担保する。」と規定するにとどまり、満期となった最後の2年分に限定していない。
なお、普通抵当権の被担保債権の範囲については、「利息その他の定期金を請求する権利」については「満期となった最後の2年分」、遅延損害金については「最後の2年分」かつ「利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない」という制限がある(375条)。

(R6 司法 第14問 オ)
質権は、設定行為に別段の定めがないときは、質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保しない。

(正答)  

(解説)
346条本文は、「質権は、…質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。」と規定している。したがって、質権は、設定行為に定めがなくとも、質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。
総合メモ

第348条

条文
第348条(転質)
 質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。
過去問・解説
(R1 司法 第13問 ウ)
質権者は、質権設定者の承諾を得なければ、自己の債務の担保として質物をさらに質入れすることはできない。

(正答)  

(解説)
348条本文は、単に「質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。」と規定するにとどまり、転質について質権設定者の承諾を要求していない。

(R6 司法 第14問 ア)
質権者は、質権設定者の承諾を得なければ、質物について、自己の債務を被担保債権として質権を設定することができない。

(正答)  

(解説)
348条本文は、単に「質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。」と規定するにとどまり、転質について質権設定者の承諾を要求していない。
総合メモ

第349条

条文
第349条(契約による質物の処分の禁止)
 質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
過去問・解説
(H21 司法 第13問 オ)
質権により担保される債権の弁済期後であっても、質権者と質権設定者は、債務の弁済として質物を質権者に取得させることを合意することができない。

(正答)  

(解説)
349条は、「質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ…ることを約することができない。」と規定するにとどまり、債務の弁済期後の契約においては、質権者に弁済として質物を質権者に取得させることまでは禁じていない。
総合メモ

第350条

条文
第350条(留置権及び先取特権の規定の準用)
 第296条から第300条まで及び第304条の規定は、質権について準用する。
過去問・解説
(H20 司法 第15問 ア)
質権者は、善良な管理者の注意をもって質物を占有しなければならない。

(正答)  

(解説)
298条1項は、「留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。」と規定しており、同条1項は質権にも準用される(350条)。
したがって、質権者は、善良な管理者の注意をもって質物を占有しなければならない。

(H23 共通 第12問 イ)
特定動産の売買契約の売主が目的物の占有を失った場合には、買主からの当該目的物の引渡請求に対し、もはや留置権を行使することはできないが、代金支払との同時履行を主張することはできる。

(正答)  

(解説)
302条本文は、「留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。」と規定しており、同条本文は質権にも準用される(350条)。したがって、特定動産の売買契約の売主が目的物の占有を失った場合には、買主の当該目的物引渡請求に対して、もはや留置権を行使することはできない。
これに対し、同時履行の抗弁権(533条)は、目的物の占有を要件としていないから、代金支払との同時履行は依然として主張はできる。

(H26 共通 第36問 ウ)
動産質権者は、継続して占有している質物について通常の必要費を支出した場合であっても、所有者にその償還をさせることはできない。

(正答)  

(解説)
299条1項は、「留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。」と規定し、同条1項は質権にも準用される(350条)。
したがって、動産質権者は、継続して占有している質物について通常の必要費を支出した場合であっても、所有者にその償還をさせることはできない。

(R1 司法 第13問 イ)
動産質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に優先して被担保債権の弁済に充当することができる。

(正答)  

(解説)
297条1項は、「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。」と規定しており、同条1項は質権にも準用される(350条)。
したがって、動産質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に優先して被担保債権の弁済に充当することができる。

(R3 司法 第12問 ウ)
動産質権者は、占有している質物について必要費を支出しても、所有者にその償還を請求することはできない。

(正答)  

(解説)
299条1項は、「留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。」と規定し、同条1項は質権にも準用される(350条)。
したがって、動産質権者は、占有している質物について必要費を支出しても、所有者にその償還を請求することはできない。

(R6 司法 第14問 イ)
動産質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。

(正答)  

(解説)
297条1項は、「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。」と規定しており、同条1項は質権にも準用される(350条)。したがって、動産質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。

(R6 司法 第14問 ウ)
動産質権者は、質権設定者の承諾を得なくても、質物の保存に必要な使用をすることができる。

(正答)  

(解説)
298条2項は、「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。」と規定しており、同条2項は質権にも準用される(350条)。したがって、動産質権者は、質権設定者の承諾を得なくても、質物の保存に必要な使用をすることができる。
総合メモ

第353条

条文
第353条(質物の占有の回復)
 動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
過去問・解説
(H22 司法 第11問 5)
動産質の質権者が第三者に占有を奪われた場合、質権に基づいて返還請求をすることができる。

(正答)  

(解説)
353条は、「動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。」と規定している。したがって、動産質の質権者が第三者に占有を奪われた場合、質権に基づいて返還請求をすることはできない。

(H28 司法 第7問 ウ)
動産質権者は、第三者に質物の占有を奪われたときは、質権に基づきその質物の返還を請求することができる。

(正答)  

(解説)
353条は、「動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。」と規定している。したがって、動産質の質権者が第三者に占有を奪われた場合、質権に基づいて返還請求をすることはできない。
総合メモ

第354条

条文
第354条(動産質権の実行)
 動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
過去問・解説
(R3 司法 第12問 エ)
動産質権者は、被担保債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。

(正答)  

(解説)
354条前段は、「動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。」と規定している。

(R4 司法 第37問 イ)
動産質権者は、その債権の弁済を受けない場合において、鑑定人の評価を得ないことについて正当な事由があるときは、鑑定人の評価に代えて裁判所の許可を得ることにより、質物をもって直ちに弁済に充てることができる。

(正答)  

(解説)
354条前段は、「動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。」と規定している。
もっとも、動産質権者は、その債権の弁済を受けない場合において、鑑定人の評価を得ないことについて正当な事由があるときは、鑑定人の評価に代えて裁判所の許可を得ることにより、質物をもって直ちに弁済に充てることができる旨を定めた規定は存在しない。
総合メモ

第355条

条文
第355条(動産質権の順位)
 同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。
過去問・解説
(H22 司法 第11問 2)
動産質は、引渡しがなければ効力を生じないことから、同一の動産について、複数の質権が設定されることはない。

(正答)  

(解説)
355条は、「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。」と規定しているから、民法は、同一の動産について、複数の質権が設定されることを予定している。したがって、動産質は、同一の動産について、複数の質権が設定されることはある。

(H29 司法 第14問 ア)
同一の動産について複数の質権を設定することはできないが、同一の動産について複数の譲渡担保権を設定することはできる。

(正答)  

(解説)
355条は、「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。」と規定しているから、民法は、同一の動産について、複数の質権が設定されることを予定している。したがって、同一の動産について複数の質権を設定することはできる。なお、同一の動産について複数の譲渡担保権を設定することも可能である。

(R3 司法 第12問 ア)
同一の動産について、複数の動産質権を設定することはできない。

(正答)  

(解説)
355条は、「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。」と規定しているから、民法は、同一の動産について、複数の質権が設定されることを予定している。したがって、同一の動産について、複数の動産質権を設定することができる。
総合メモ

第356条

条文
第356条(不動産質権者による使用及び収益)
 不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
過去問・解説
(H21 司法 第3問 4)
不動産質権者は、質権の目的物である不動産の用法に従いこれを使用することができるが、不動産から生じた果実を取得することはできない。

(正答)  

(解説)
356条は、「不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。」と規定している。したがって、不動産質権者は、「質権の目的である不動産の用法に従い、その使用」するだけでなく、「収益をすること」、すなわち、不動産から果実を取得することもできる。

(H26 司法 第11問 オ)
不動産質権者は、設定者の承諾を得なければ、質権の目的である不動産の使用及び収益をすることができない。

(正答)  

(解説)
356条は、「不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。」と規定するにとどまり、設定者の承諾が必要であるとはしていない。
総合メモ

第357条

条文
第357条(不動産質権者による管理の費用等の負担)
 不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。
過去問・解説
(R6 司法 第14問 エ)
不動産質権の目的である不動産の管理の費用は、設定行為に別段の定めがないときは、不動産質権者が負担する。

(正答)  

(解説)
357条は、「不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。」と規定する一方で、359条は、「前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき…は、適用しない。」と規定している。
総合メモ

第358条

条文
第358条(不動産質権者による利息の請求の禁止)
 不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。
過去問・解説
(H19 司法 第13問 ウ)
不動産質権は、担保する債権の元本のほか、利息その他の定期金のうち満期となった最後の2年分に限り、それらを担保する。

(正答)  

(解説)
358条は、「不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。」と規定している。
なお、359条は、「前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき…は、適用しない。」と規定しているから、設定行為に別段の定めがあるときは、利息を請求することができる。

(H22 司法 第11問 3)
不動産質権者は、不動産を使用収益することができるから、当事者間で特約をしても利息を請求することはできない。

(正答)  

(解説)
358条は、「不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。」と規定する一方で、しかし、359条は、「前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき…は、適用しない。」と規定している。したがって、設定行為に別段の定めがあるときは、利息を請求することができる。

(R1 司法 第11問 エ)
不動産質権者は、設定行為に定めがあるときは、その債権の利息を請求することができる。

(正答)  

(解説)
358条は、「不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。」と規定する一方で、359条は、「前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき…は、適用しない。」と規定している。したがって、設定行為に別段の定めがあるときは、利息を請求することができる。
総合メモ

第359条

条文
第359条(設定行為に別段の定めがある場合等)
 前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法第180条第2号に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。
過去問・解説
(H24 共通 第17問 3)
不動産質権者は、質権の目的物を使用及び収益をすることができ、質権者と質権設定者との間の特約で、その使用収益権を排除することはできない。

(正答)  

(解説)
356条は、「不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。」と規定する一方で、359条は、「前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき…は、適用しない。」と規定している。したがって、設定行為に別段の定めをすることにより、不動産質権者の使用収益権を排除することができる。

(H30 司法 第12問 エ)
不動産質権については、質権者と質権設定者との間の特約で、質権者が目的物を使用収益しない旨を定めることができる。

(正答)  

(解説)
356条は、「不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。」と規定する一方で、359条は、「前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき…は、適用しない。」と規定している。したがって、設定行為に別段の定めをすることにより、不動産質権者の使用収益権を排除することができる。
総合メモ

第360条

条文
第360条(不動産質権の存続期間)
① 不動産質権の存続期間は、10年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、10年とする。
② 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から10年を超えることができない。
過去問・解説
(R1 司法 第11問 オ)
抵当権の存続期間は、10年を超えることができない。

(正答)  

(解説)
360条1項は、不動産質権の存続期間について、「不動産質権の存続期間は、10年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、10年とする。」と規定している。
しかし、抵当権については、存続期間に関する規定は存在しない。したがって、抵当権の存続期間は、10年を超えることができる。
総合メモ

第362条

条文
第362条(権利質の目的等)
① 質権は、財産権をその目的とすることができる。
② 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前3節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。
過去問・解説
(H24 司法 第9問 4)
債権は別の債権を目的とすることができるが、物権は債権を目的とすることはできない。

(正答)  

(解説)
588条は、消費貸借契約に基づく債権を消費貸借の目的とする準消費貸借契約について規定しているから、債権は別の債権の目的とすることができる。また、362条は、「財産権をその目的とする」権利質について規定しており、ここでいう「財産権」には債権も含まれるから、物権は債権を目的とすることができる。

(R1 予備 第3問 オ)
物権は、権利を目的として成立することがある。

(正答)  

(解説)
362条1項は、「財産権をその目的とする」権利質について規定している。したがって、物権は、権利を目的として成立することがある。

(R1 司法 第13問 オ)
Aは、Bに対して有する債権を担保するために、BがAに対して有する債権を目的として質権の設定を受けることができる。

(正答)  

(解説)
362条1項は、「質権は、財産権をその目的とする」権利質について規定している。したがって、Aは、Bに対して有する債権を担保するために、BがAに対して有する債権を目的として質権の設定を受けることができる。

(R4 予備 第5問 ア)
地上権は、質権の目的とすることができない。

(正答)  

(解説)
362条1項は、「財産権をその目的とする」権利質について規定しており、ここでいう「財産権」には、動産・不動産の所有権は含まれない(それは、動産質権・不動産質権と同じだからである。)が、
金銭債権、賃借権、地上権、株式・無体財産権などが含まれる(道垣内弘人「担保物権法」第4版106頁)。

(R4 共通 第13問 オ)
AのBに対する貸金債権甲を被担保債権とし、BのCに対する貸金債権乙を目的とする質権がBにより設定され、BがCに対して口頭でその旨の通知をした。Aの債権質の効力は、債権乙に係る利息には及ばない。

(正答)  

(解説)
297条1項は、「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。」と規定しており、同条1項は質権にも準用される(350条)。そして、362条2項は、権利質については、「その性質に反しない限り、前3節(総則…)の規定を準用する。」と規定しているから、権利質にも350条を介して297条1項が準用される。
したがって、Aの債権質の効力は、債権乙に係る利息に及ぶ。
総合メモ

第364条

条文
第364条(債権を目的とする質権の対抗要件)
 債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第467条の規定に従い、第3債務者にその質権の設定を通知し、又は第3債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第3債務者その他の第三者に対抗することができない。
過去問・解説
(H23 司法 第13問 エ)
債権者が個人である指名債権を質権の目的とした場合において、その質権設定を質権の目的である債権の債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付のある証書による通知又は承諾が必要である。

(正答)  

(解説)
364条は、「債権を目的とする質権の設定…は、第467条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。」と規定している。そして、467条2項は、「前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」と規定している。したがって、債権者が個人である指名債権を質権の目的とした場合において、その質権設定を質権の目的である債権の債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付のある証書による通知又は承諾が必要である。

(H29 司法 第21問 ア)
AのBに対する債権を目的としてAがCのために質権を設定し、AがBに対してその質権の設定を通知した後であっても、BがAに弁済をした場合には、Bは、Cに対してもその弁済の効果を対抗することができる。

(正答)  

(解説)
364条は、「債権を目的とする質権の設定…は、第467条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。」と規定している。
BがAに弁済をしたのは、AがBに対してその質権の設定を通知して債務者対抗要件を具備した後であるから、Bは、Cに対してその弁済の効果を対抗することができない。

(R4 共通 第13問 ア)
AのBに対する貸金債権甲を被担保債権とし、BのCに対する貸金債権乙を目的とする質権がBにより設定され、BがCに対して口頭でその旨の通知をした。Cは、Bから質権設定の通知を受けるまでにBに対して債権乙に係る債務を弁済していた場合であっても、これをもってAに対抗することができない。

(正答)  

(解説)
364条は、「債権を目的とする質権の設定…は、第467条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。」と規定している。CがBに対して債権乙に係る債務を弁済したのは、BにCに対して口頭で通知して債務者対抗要件を具備する前であるから、Cは、Bに対して債権乙に係る債務を弁済していたことをもってAに対抗することができる。

(R6 司法 第15問 ウ)
AはBに対して貸金債権甲を有するとする。
DがAから甲を目的とする質権の設定を受け、EもAから甲を目的とする質権の設定を受けた場合において、EがDよりも先に質権の設定の第三者対抗要件を備えたときは、Dは、質権を喪失する。

(正答)  

(解説)
364条は、「債権を目的とする質権の設定…は、第467条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。」と規定しているが、EがDよりも先に質権の設定の第三者対抗要件を備えたときは、Dは、質権を喪失するのではなく、Dの質権がEの質権に劣後するにとどまる。
総合メモ

第366条

条文
第366条(質権者による債権の取立て等)
① 質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
② 債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
③ 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
④ 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。
過去問・解説
(H21 司法 第14問 5)
Aは、Bのために、AがCに対して有する指名債権である金銭債権を目的として、質権を設定し、Cに対して質権の設定を通知した。Bは、被担保債権及び目的債権が弁済期にある場合、被担保債権額の範囲内でCから目的債権を直接取り立て、被担保債権に充当することができる。

(正答)  

(解説)
366条2項は、「債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。」と規定している。
したがって、Bは、被担保債権及び目的債権が弁済期にある場合、被担保債権額の範囲内でCから目的債権を直接取り立て、被担保債権に充当することができる。

(H23 司法 第13問 イ)
甲債権の質権者は、被担保債権の弁済期が到来するとともに、質権の目的である甲債権の弁済期が到来したときは、甲債権を直接に取り立てることができる。

(正答)  

(解説)
366条は、1項において「質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。」と規定した上で、4項において「債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。」と規定している。したがって、甲債権の質権者は、被担保債権の弁済期が到来するとともに、質権の目的である甲債権の弁済期が到来したときは、甲債権を直接に取り立てることができる。

(H25 共通 第13問 3)
質権の目的である債権が金銭債権であるときは、質権者は、その被担保債権の額にかかわらず、当該金銭債権の全額を取り立てることができる。

(正答)  

(解説)
366条2項は、「債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。」と規定している。

(H29 司法 第14問 ウ)
債権質の目的である債権の弁済期が到来した場合には、被担保債権の弁済期が到来していないときであっても、質権者は、債権質の目的である債権を直接に取り立てることができる。

(正答)  

(解説)
366条3項前段は、「前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。」と規定している。
したがって、債権質の目的である債権の弁済期が到来した場合において、被担保債権の弁済期が到来していないときは、「前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したとき」という要件を満たさないから、質権者は、債権質の目的である債権を直接に取り立てることができない。

(R1 司法 第13問 ア)
債権質の質権者は、質権の目的が金銭債権でない場合、これを直接に取り立てることはできない。

(正答)  

(解説)
366条1項は、「質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。」と規定している。

(R4 共通 第13問 ウ)
AのBに対する貸金債権甲を被担保債権とし、BのCに対する貸金債権乙を目的とする質権がBにより設定され、BがCに対して口頭でその旨の通知をした。Aは、債権甲及び債権乙が共に弁済期にあるときは、債権甲の金額の範囲内でCから債権乙を直接取り立てることができる。

(正答)  

(解説)
366条は、1項において「質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。」と規定した上で、2項において「債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。」と規定している。
したがって、Aは、債権甲及び債権乙が共に弁済期にあるときは、債権甲の金額の範囲内でCから債権乙を直接取り立てることができる。

(R4 共通 第13問 エ)
AのBに対する貸金債権甲を被担保債権とし、BのCに対する貸金債権乙を目的とする質権がBにより設定され、BがCに対して口頭でその旨の通知をした。債権甲の弁済期より前に債権乙の弁済期が到来したときは、Aは、Cにその弁済をすべき金額を供託させることができる。

(正答)  

(解説)
366条3項前段は、「債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。」と規定している。
したがって、権甲の弁済期より前に債権乙の弁済期が到来したときは、Aは、Cにその弁済をすべき金額を供託させることができる。

(R6 司法 第15問 オ)
AはBに対して貸金債権甲を有するとする。GがAから甲を目的とする質権の設定を受けた場合において、GがBから甲を取り立てることができるときは、その取立ては、Aの名においてしなければならない。

(正答)  

(解説)
366条は、「質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。」と規定しているから、質権者は、債権の目的である債権に係る債権者Aの名においてではなく、自己の名で債権を取り立てることができる。したがって、Gは、自己の名においてBから貸金債権甲を取り立てることができる。
総合メモ