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贈与

第549条

条文
第549条(贈与)
 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
過去問・解説
(H22 司法 第22問 1)
書面によらない贈与の受贈者は、贈与者に対して贈与の履行を求めることができない。

(正答)  

(解説)
549条は、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定しているから、贈与契約は不要式契約であり、当事者間の合意だけで成立する。したがって、書面によらない贈与の受贈者は、贈与者に対して、贈与契約に基づく財産権移転債務の履行を求めることができる。

(H26 司法 第22問 1)
贈与は、ある財産を無償で相手方に与える意思を表示することにより成立する単独行為である。

(正答)  

(解説)
549条は、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定しているから、贈与契約は当事者間の合意によって成立する契約であり、単独行為ではない。

(H26 司法 第22問 5)
他人の物を目的とする贈与は、贈与者がその物の権利を取得した時からその効力を生ずる。

(正答)  

(解説)
549条は、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定しており、契約締結時に贈与者が目的物の権利を有していることや、贈与者が目的物の権利を取得したことを贈与契約の成立要件とはしていない。したがって、他人の物を目的とする贈与契約は、その締結時に成立し、その効力を生じ、贈与者は、贈与契約に基づく財産権移転債務(のうち権利供与義務)として、目的物の権利を取得して受贈者に移転する義務を負う。

(H28 共通 第22問 ア)
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずるから、贈与を受ける者が贈与の申込みをし、相手方がこれを承諾しても贈与の効力は生じない。

(正答)  

(解説)
549条は、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と規定しているが、贈与契約における申込みの意思表示と承諾の意思表示は、受贈者と贈与者のいずれから行うこともできる。したがって、贈与を受ける者が贈与の申込みをし、相手方がこれを承諾した場合であっても、贈与に関する申込みの意思表示と承諾の意思表示の合致(522条1項)により、贈与契約が成立する。

(R6 司法 第26問 ア)
AがBとの間でA所有の絵画甲をBに負担付きで贈与する契約をした。AからBへの甲の引渡しがなくても、本件契約は、その効力を生ずる。

(正答)  

(解説)
549条は、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定しており、贈与契約は諾成契約であり、目的物の引渡しを要することなく成立する。そして、同条は、負担付贈与にも適用される。したがって、負担付贈与は、目的物の引渡しを要することなく、当事者間の合意のみによって成立する。
総合メモ

第550条

条文
第550条(書面によらない贈与の解除)
 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
過去問・解説
(H21 司法 第24問 ア)
贈与者と受贈者はいずれも、書面によらない贈与を解除することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

(正答)  

(解説)
550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と規定している。

(H26 司法 第22問 2)
書面によらない贈与であれば、履行の終わった部分についても解除することができる。

(正答)  

(解説)
550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と規定している。したがって、「書面によらない贈与」であっても、「履行の終わった部分」については解除することができない。

(H29 司法 第25問 ア)
書面によらないで動産の贈与がされ、その引渡しがされた場合において、その引渡しが占有改定により行われたときは、贈与者は、贈与を解除することができる。

(正答)  

(解説)
550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と規定しているから、「書面によらない贈与」であっても、「履行の終わった部分」については解除することができない。そして、目的物の引渡しが占有改定(183条)により行われた場合、贈与契約に基づく財産権移転債務における引渡義務及び対抗要件(178条)を具備させる義務(権利供与義務の一種)がいずれも「履行」されたことになる。したがって、贈与者は、贈与を解除することができない。

(R3 司法 第24問 ウ)
受贈者は、贈与契約が書面によらない場合であっても、履行の終わっていない部分について贈与契約を解除することができない。

(正答)  

(解説)
550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と規定しているから、「書面によらない贈与」は、「履行の終わった部分」については解除することができないが、「履行の終わった部分」に当たらない部分については解除することができる。

(R3 司法 第37問 ウ)
贈与契約において、贈与者の意思表示が書面によってされている場合には、受贈者の意思表示が書面によってされていないときでも、贈与者は、贈与契約の解除をすることができない。

(正答)  

(解説)
550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と規定している。そして、同条本文の趣旨は、、軽率な贈与の防止及び贈与意思の明確化にあるから、「書面」による贈与というためには、贈与者の権利移転の意思(=贈与の意思)が表示されていることを要し、かつ、それで足りる(潮見佳男「基本講義 債権各論Ⅰ」第4版120頁)。
したがって、贈与契約において、贈与者の意思表示が書面によってされている場合には、受贈者の意思表示が書面によってされていないときでも、「書面によらない贈与」に当たらないから、贈与者は、贈与契約の解除をすることができない。
総合メモ

第551条

条文
第551条(贈与者の引渡義務等)
① 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
② 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
過去問・解説
(H26 司法 第22問 4)
贈与者は、贈与した特定物に契約不適合があった場合、売主と同様の担保責任を負う。

(正答)  

(解説)
551条1項は、①贈与者の引渡義務の内容が贈与契約の趣旨に照らして確定されることを不文の原則とした上で(契約責任説の採用)、②贈与の無償性に配慮し、贈与者が「贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」として、贈与契約の当事者の通常の意思に関する推定規定を設けている。ここでいう「贈与の目的を特定した時」とは、特定物贈与のときは契約時を、不特定物贈与のときは目的物が特定した時(401条2項)を意味する(潮見佳男「基本講義 債権各論Ⅰ」第4版122頁)。 これに対して、特定物売買における売主は、特約のない限り、契約内容に適合する種類・品質の目的物を引き渡す義務を負うから(562条1項参照)、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡すのでは足りない。

(R3 司法 第24問 イ)
贈与者は、特約のない限り、目的物が特定した時の状態でこれを引き渡せば足りる。

(正答)  

(解説)
551条1項は、「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。」と規定している。

(R6 司法 第26問 オ)
AがBとの間でA所有の絵画甲をBに負担付きで贈与する契約をした。引き渡された甲の品質が本件契約の内容に適合しない場合であっても、甲の価額が負担の価額を上回っているときは、Bは、Aに対し、負担の減縮を請求することができない。

(正答)  

(解説)
551条は、1項において「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。」と規定した上で、2項において「負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。」と規定している。同条2項でいう「負担の限度」とは、受贈者が負担を履行することによって損失を被らない限度でという意味である(潮見佳男「基本講義 債権各論Ⅰ」第4版124頁)。
負担付贈与において、引き渡された目的物の品質が契約内容に適合していない場合、受贈者は、「その負担の限度において」、贈与者に対し、負担の減額を請求することができる(551条2項及び553条による563条1項の準用)。もっとも、本肢の事例では、甲の価額が負担の価額を上回っているから、Bは、Aに対し、負担の減縮を請求することができない。
総合メモ

第552条

条文
第552条(定期贈与)
 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
過去問・解説
(H21 司法 第35問 2)
定期の給付を目的とする贈与は、たとえ書面でなされたとしても、贈与者の死亡によって効力を失う。

(正答)  

(解説)
552条は、「定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。」と規定している。

(H29 司法 第25問 ウ)
定期の給付を目的とする贈与は、受贈者の死亡によって、その効力を失うが、贈与者が死亡しても、その効力は失われない。

(正答)  

(解説)
552条は、「定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。」と規定している。したがって、定期の給付を目的とする贈与は、受贈者の死亡によってのみならず、贈与者の死亡によっても、その効力が失われる。
総合メモ

第553条

条文
第553条(負担付贈与)
 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
過去問・解説
(H29 司法 第25問 エ)
贈与については、負担付きのものであっても、双務契約に関する規定は準用されない。

(正答)  

(解説)
553条は、「負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する」と規定している。

(R3 司法 第24問 エ)
負担付贈与においては、贈与者は、受贈者がその負担である義務の履行を怠ったことを理由として、贈与契約を解除することができない。

(正答)  

(解説)
553条は、「負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する」と規定している。したがって、負担付贈与についても、債務不履行を理由とする解除に関する規定(540条以下)が準用される(内田貴「民法Ⅱ 債権各論」第3版169頁)。
したがって、負担付贈与においては、贈与者は、受贈者がその負担である義務の履行を怠ったことを理由として、贈与契約を解除することができる。

(R6 司法 第26問 ウ)
AがBとの間でA所有の絵画甲をBに負担付きで贈与する契約をした。Bが負担した義務を履行しなかったときであっても、Aは、そのことを理由として本件契約を解除することができない。

(正答)  

(解説)
541条前段は、「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」と規定しており、負担付贈与はこれを準用(533条)している。本問では、Bの債務不履行に基づく解除が可能となりうる。
総合メモ

第554条

条文
第554条(死因贈与)
 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
過去問・解説
(H22 司法 第22問 5)
死因贈与は、贈与者の単独の行為によってすることができる。

(正答)  

(解説)
544条は、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と規定しているが、死因贈与は、あくまでも契約であるから、遺贈のように一方的な意思表示によって行うことができる単独行為ではない。

(R1 共通 第23問 1)
死因贈与は、負担付ですることができない。

(正答)  

(解説)
554条は、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と規定している。そして、1002条1項は、「負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。」と規定しており、同条1項は「その性質に反しない」ものとして死因贈与に準用される。したがって、死因贈与は、負担付ですることができる。
総合メモ