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民法 第182条

条文
第182条(現実の引渡し及び簡易の引渡し)
① 占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
② 譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。
過去問・解説
(H21 司法 第9問 2)
動産の所有者であって賃貸人であるAが、その賃借人として引渡しを受けているBとの間で売買契約を締結した場合、占有権を譲渡する旨のAとBの意思表示によって、Aは動産の占有権を失う。

(正答)  

(解説)
182条2項は、「譲受人…が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。」として、簡易の引渡しについて定めている。
動産の所有者であって賃貸人であるAが、その賃借人として引渡しを受けているBとの間で売買契約を締結した場合、占有権を譲渡する旨のAとBの意思表示がなされたときは、「譲受人…が現に占有物を所持する場合」において、「当事者の意思表示のみによってする」「占有権の譲渡」であるから、これにより、Aは動産の占有を失う。

(H21 司法 第9問 5)
動産の所有者であって賃貸人であるAの承諾を得て、賃借人であるBが、その賃借権を第三者Cに譲渡し、動産を引き渡した場合、Bは動産の占有権を失う。

(正答)  

(解説)
動産の所有者であって賃貸人であるAの承諾を得て、賃借人であるBが、その賃借権を第三者Cに譲渡し、動産を引き渡した場合、「占有物の引渡し」(182条1項)という現実の引渡しがなされている。
したがって、Bは動産の占有権を失う。

(H24 共通 第10問 3)
Aは、Bから借用して占有していた動産甲をBから買い受けた。この場合、Aは、Bに動産甲をいったん返還した上でBから改めて動産甲の現実の引渡しを受けない限り、その所有権の取得を第三者に対抗することはできない。

(正答)  

(解説)
182条2項は、「譲受人…が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。」として、簡易の引渡しについて定めている。
Aは、Bから動産甲を借用していたのだから、「譲受人…が現に占有物を所持する場合」に当たる。
したがって、A及びBという「当事者の意思表示」のみによって「占有権の譲渡」をすることができる
よって、Aは、意思表示による簡易の「引渡し」によって対抗要件(178条)を具備できるから、Bに動産甲をいったん返還した上でBから改めて動産甲の現実の引渡しを受けていなくても、その所有権の取得を「第三者」に対抗することができる。

(R3 司法 第8問 オ)
動産甲をその所有者Aから賃借して占有していたBが、Aとの間で、Aから甲を買い受けてAの占有権を譲り受ける旨の合意をしたときは、Bの占有は、自主占有となる。

(正答)  

(解説)
182条2項は、「譲受人…が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。」として、簡易の引渡しについて定めている。
Bは、Aから動産甲を賃借して占有していたため、「譲受人…が現に占有物を所持する場合」に当たるから、Bが、Aとの間で、Aから甲を買い受けてAの占有権を譲り受ける旨の合意をしたときは、「当事者の意思表示」のみによって「占有権の譲渡」がなされたことになる。
そして、Bの占有取得の原因は売買契約であるから、Bの占有は、他主占有から自主占有に切り替わる。

(R4 共通 第8問 オ)
Aからその所有する絵画甲を預かり占有していたBが、Aから甲を購入した場合において、占有をBに移転する旨の意思表示がAB間でされたときは、Bは、甲の所有権の取得を第三者に対抗することができる。

(正答)  

(解説)
182条2項は、「譲受人…が現に占有物を所持する場合」において、「占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができることを規定している(簡易の引渡し)。
本問においても、AB間で意思表示による簡易の引渡しがなされたと言えるから、設問の記述は正しい。

182条2項は、「譲受人…が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。」として、簡易の引渡しについて定めている。
Bは、Aから絵画甲を預かり占有していたのだから、「譲受人…が現に占有物を所持する場合」に当たる。
したがって、占有をBに移転する旨の意思表示がAB間でされたときは、「当事者の意思表示」のみによって「占有権の譲渡」がなされたことになる。
よって、Bは、意思表示による簡易の「引渡し」によって対抗要件(178条)を具備できるから、甲の所有権の取得を「第三者」に対抗することができる。
総合メモ
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