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民法 第608条
条文
第608条(賃借人による費用の償還請求)
① 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
② 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
① 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
② 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
過去問・解説
(H20 司法 第24問 5)
建物の賃借人が、賃貸人が修繕すべき屋根からの雨漏りを自ら費用を出して修繕したときは、賃貸人に対して、直ちに修繕費用全額の償還を請求することができる。
建物の賃借人が、賃貸人が修繕すべき屋根からの雨漏りを自ら費用を出して修繕したときは、賃貸人に対して、直ちに修繕費用全額の償還を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
608条1項は、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出した時は、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定している。そして、雨漏りの修繕費用は「賃貸人の負担に属する必要費」に当たる(札幌地判昭54年2月6日)。
したがって、建物の賃借人が、賃貸人が修繕すべき屋根からの雨漏りを自ら費用を出して修繕したときは、賃貸人に対して、直ちに修繕費用全額の償還を請求することができる。
608条1項は、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出した時は、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定している。そして、雨漏りの修繕費用は「賃貸人の負担に属する必要費」に当たる(札幌地判昭54年2月6日)。
したがって、建物の賃借人が、賃貸人が修繕すべき屋根からの雨漏りを自ら費用を出して修繕したときは、賃貸人に対して、直ちに修繕費用全額の償還を請求することができる。
(H22 司法 第23問 ア)
賃借人が、賃貸借の目的物について、目的物を通常の使用収益に適する状態で保存するために必要な費用を支出した場合は、賃貸人に対し、賃貸借の終了を待ってその償還を請求することができる。
賃借人が、賃貸借の目的物について、目的物を通常の使用収益に適する状態で保存するために必要な費用を支出した場合は、賃貸人に対し、賃貸借の終了を待ってその償還を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
608条1項は、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定している。したがって、賃借人が、賃貸借の目的物について、目的物を通常の使用収益に適する状態で保存するために必要な費用を支出した場合は、賃貸人に対し、賃貸借の終了を待たずに、「直ちに」償還を請求することができる。
608条1項は、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定している。したがって、賃借人が、賃貸借の目的物について、目的物を通常の使用収益に適する状態で保存するために必要な費用を支出した場合は、賃貸人に対し、賃貸借の終了を待たずに、「直ちに」償還を請求することができる。
(H26 予備 第11問 エ)
賃借人は、賃貸借の目的建物の保存のために必要な費用を支出した場合、賃貸借が終了する前であっても、直ちにその費用の償還を賃貸人に請求することができる。
賃借人は、賃貸借の目的建物の保存のために必要な費用を支出した場合、賃貸借が終了する前であっても、直ちにその費用の償還を賃貸人に請求することができる。
(正答)〇
(解説)
608条1項は、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定している。したがって、賃借人は、賃貸借の目的建物の保存のために必要な費用を支出した場合、賃貸借が終了する前であっても、直ちにその費用の償還を賃貸人に請求することができる。
608条1項は、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定している。したがって、賃借人は、賃貸借の目的建物の保存のために必要な費用を支出した場合、賃貸借が終了する前であっても、直ちにその費用の償還を賃貸人に請求することができる。
(H26 予備 第11問 ウ)
賃借人は、賃貸借の目的建物の改良のために工事費用を支出した場合において、その価格の増加が現存するときは、その工事について賃貸人から了解を得ていないときであっても、賃貸人の選択に従い、その支出した費用の額又は目的建物の増価額について、賃貸借の終了時にその償還を賃貸人に請求することができる。
賃借人は、賃貸借の目的建物の改良のために工事費用を支出した場合において、その価格の増加が現存するときは、その工事について賃貸人から了解を得ていないときであっても、賃貸人の選択に従い、その支出した費用の額又は目的建物の増価額について、賃貸借の終了時にその償還を賃貸人に請求することができる。
(正答)〇
(解説)
608条2項前段は、「賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。」と規定しており、196条2項本文は、「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。」と規定している。
したがって、賃借人は、賃貸借の目的建物の改良のために工事費用を支出した場合において、その価格の増加が現存するときは、その工事について賃貸人から了解を得ていないときであっても、「回復者」である賃貸人の選択に従い、その支出した費用の額又は目的建物の増価額について、「賃貸借の終了時」にその償還を賃貸人に請求することができる。
608条2項前段は、「賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。」と規定しており、196条2項本文は、「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。」と規定している。
したがって、賃借人は、賃貸借の目的建物の改良のために工事費用を支出した場合において、その価格の増加が現存するときは、その工事について賃貸人から了解を得ていないときであっても、「回復者」である賃貸人の選択に従い、その支出した費用の額又は目的建物の増価額について、「賃貸借の終了時」にその償還を賃貸人に請求することができる。
(H27 共通 第24問 1)
借主は、目的物の通常の必要費を負担する。これは、賃貸借及び使用貸借に当てはまる。
借主は、目的物の通常の必要費を負担する。これは、賃貸借及び使用貸借に当てはまる。
(正答)✕
(解説)
595条1項は、使用貸借について、「借主は、借用物の通常の必要費を負担する。」と規定しているから、使用貸借においては、借主が目的物の通常の必要費を負担する。
これに対し、608条1項は、賃貸借について、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定しているから、賃貸借においては、賃貸人が目的物の通常の必要費を負担する。
595条1項は、使用貸借について、「借主は、借用物の通常の必要費を負担する。」と規定しているから、使用貸借においては、借主が目的物の通常の必要費を負担する。
これに対し、608条1項は、賃貸借について、「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」と規定しているから、賃貸借においては、賃貸人が目的物の通常の必要費を負担する。
(R6 司法 第27問 ア)
賃借人は、賃借建物について有益費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
賃借人は、賃借建物について有益費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
608条2項前段は、「賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。」と規定している。
したがって、「有益費」については、「賃貸借の終了時」に請求できるにとどまり、「必要費」のように「直ちに」請求できるわけではない。
608条2項前段は、「賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。」と規定している。
したがって、「有益費」については、「賃貸借の終了時」に請求できるにとどまり、「必要費」のように「直ちに」請求できるわけではない。