現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

民法 第634条

条文
第634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。 
 一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
 二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
過去問・解説
(H22 司法 第25問 5)
請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができるが、仕事の内容が可分であり、既にその一部が完成し、完成部分が注文者にとって有益なものである場合には、注文者は、未完成部分に限り契約の解除をすることができる。

(正答)

(解説)
641条は、「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」と規定しているから、本肢前段は正しい。
これに対し、634条2号は、「請負が仕事の完成前に解除された」場合において、「請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。」と規定している。そして、平成29年改正前民法下の判例(最判昭和56年2月17日)は、請負人が仕事を完成させることができなくなったことを理由とする請負契約の解除について、①仕事の内容が可分であり、②その仕事の一部が完成していて、かつ、③注文者が完成部分に関して利益を有するときは、完成部分については契約を解除できない(未完成部分について契約を一部解除できるにとどまる)と解しており、634条2号でいう「請負が仕事の完成前に解除されたとき」とは、上記のような一部解除を指している。なぜなら、注文者が契約を全部解除した場合、全部の報酬支払義務を免れるはずであるのに、634条2号により割合的な報酬請求権が認められるのでは、矛盾するからである(潮見佳男「詳解 改正民法」初版510頁)。このように、①ないし③を満たす場合には、注文者は、未完成部分に限り契約の解除をすることができる。したがって本肢後段も正しい。

(H24 司法 第27問 ア)
請負が注文者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。

(正答)

(解説)
634条1項1号は、「注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった」場合について、「請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。」と規定している。

(H29 司法 第28問 オ)
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができるが、契約の目的である仕事の内容が過分である場合において、請負人が既に仕事の一部を完成させており、その完成部分が注文者にとって有益なものであるときは、未完成部分に限り、契約を解除することができる。

(正答)

(解説)
641条は、「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」と規定しているから、本肢前段は正しい。

これに対し、634条2号は、「請負が仕事の完成前に解除された」場合において、「請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。」と規定している。そして、平成29年改正前民法下の判例(最判昭和56年2月17日)は、請負人が仕事を完成させることができなくなったことを理由とする請負契約の解除について、①仕事の内容が可分であり、②その仕事の一部が完成していて、かつ、③注文者が完成部分に関して利益を有するときは、完成部分については契約を解除できない(未完成部分について契約を一部解除できるにとどまる)と解しており、634条2号でいう「請負が仕事の完成前に解除されたとき」とは、上記のような一部解除を指している。なぜなら、注文者が契約を全部解除した場合、全部の報酬支払義務を免れるはずであるのに、634条2号により割合的な報酬請求権が認められるのでは、矛盾するからである(潮見佳男「詳解 改正民法」初版510頁)。このように、①ないし③を満たす場合には、注文者は、未完成部分に限り契約の解除をすることができる。したがって本肢後段も正しい。

(R6 司法 第28問 オ)
注文者Aが請負人Bに甲建物の建築を請け負わせた。
請負契約がBの債務不履行により中途で解除された場合において、可分な部分の給付によってAが利益を受けるときは、Bは、Aが受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。

(正答)

(解説)
634条2号は、「請負が仕事の完成前に解除された」場合について、「請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。」と規定している。
したがって、本肢の事例では、可分な部分の給付によってAが利益を受けるときは、Bは、Aが受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
総合メモ
前の条文 次の条文