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民法 第706条

条文
第706条(期限前の弁済)
 債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。
過去問・解説
(H22 司法 第28問 3)
債務者は、錯誤により弁済期にあると誤信して、弁済期にない自己の債務の弁済として給付をした場合には、その給付の返還を請求することができる。

(正答)

(解説)
706条本文は、「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。したがって、債務者は、錯誤により弁済期にあると誤信して、弁済期にない自己の債務の弁済として給付をした場合であっても、その給付の返還を請求することはできない。
なお、706条但書は「ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」と規定しているところ、ここでいう「これによって得た利益」とは、給付された金銭を弁済期まで運用することにより得られたであろう利息などを意味しており、「給付したもの」そのものを含まないから、給付そのものの返還請求は認められない(潮見佳男「民法(全)」第3版補訂版496頁)。

(H23 司法 第29問 2)
Aは、Bに対して債務を負っており、その弁済期前であることを知りながらその債務を全額弁済した場合、Bがそれを弁済期までの間に運用して利益を得ていたときは、その利益は、Aとの関係で不当利得となる。

(正答)

(解説)
706条は、「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」と規定しており、債務者が債権者に対して「その給付…によって得た利益」の返還を請求することができるのは、「債務者が錯誤によってその給付をしたとき」に限られる。
本肢の事例では、Aは、Bに対して債務を負っており、その弁済期前であることを知りながらその債務を全額弁済しているから、「債務者が錯誤によってその給付をしたとき」に当たらない。したがって、
Bがそれを弁済期までの間に運用して利益を得ていたとしても、その利益は、Aとの関係で不当利得とならない。

(R2 司法 第28問 ウ)
過失により弁済期が到来したものと誤信をして、弁済期が到来する前に債務の弁済としての給付を行った者は、弁済期が到来するまでは、その給付したものの返還を求めることができる。

(正答)

(解説)
706条本文は、「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。したがって、債務者は、錯誤により弁済期にあると誤信して、弁済期にない自己の債務の弁済として給付をした場合であっても、その給付の返還を請求することはできない。
なお、706条但書は「ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」と規定しているところ、ここでいう「これによって得た利益」とは、給付された金銭を弁済期まで運用することにより得られたであろう利息などを意味しており、「給付したもの」そのものを含まないから、給付そのものの返還請求は認められない(潮見佳男「民法(全)」第3版補訂版496頁)。
総合メモ
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