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超法規的違法性阻却 - 解答モード

虚偽告訴罪と被害者の同意 大判大正元年12月20日

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概要
虚偽告訴罪は個人の権利を侵害すると同時に当該官憲の職務を誤らせる危険あるから処罰するものであるから、虚偽告訴罪の告訴の承諾ありとするも本罪の構成に影響を及ぼすものではない。
判例
事案:事実と反する告訴をすることを被告訴者が同意していた事案において、虚偽告訴罪の成否が問題となった。

判旨:「誣告罪(現:虚偽告訴罪)ハ一方所論ノ如ク個人ノ權利ヲ侵害スルト同時ニ他ノ一方ニ於テ公益上當該官憲ノ職務ヲ誤ラシムル危險アルカ爲メ處罰スルモノナルカ故ニ縱シ本案ハ所論ノ如ク被誣告者ニ於テ承諾アリタル事實ナリトスルモ本罪構成上何等影響ヲ來スヘキ理由ナキヲ以テ本論旨ハ理由ナシ」
過去問・解説

(R1 共通 第9問 4)
甲は、知人乙から、「生活が苦しく刑務所に入りたいので、私から脅されたという事実をでっち上げて、私を告訴してほしい。」と依頼され、乙の承諾を得て、乙を脅迫罪で告訴した。この場合、甲には、虚偽告訴罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大1.12.20)は、「誣告罪(現:虚偽告訴罪)ハ…個人ノ權利ヲ侵害スルト同時ニ他ノ一方ニ於テ公益上當該官憲ノ職務ヲ誤ラシムル危險アルカ爲メ處罰スルモノナルカ故ニ縱シ本案ハ所論ノ如ク被誣告者ニ於テ承諾アリタル事實ナリトスルモ本罪構成上何等影響ヲ來スヘキ理由ナキ」として、虚偽告訴罪の成否に、被告訴者の承諾は関係がないことを示している。
甲は、乙の同意を得て乙を告訴しているが、虚偽告訴罪の成立に影響はない。
したがって、甲に虚偽告訴罪が成立する。


(R4 司法 第5問 エ)
甲は、刑務所に服役したいと考えている乙と口裏を合わせ、乙の同意を得て、司法警察員に対し、乙に現金を窃取された旨の虚偽の被害届を提出した。この場合、乙の同意がある以上、甲に虚偽告訴罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大1.12.20)は、「誣告罪(現:虚偽告訴罪)ハ…個人ノ權利ヲ侵害スルト同時ニ他ノ一方ニ於テ公益上當該官憲ノ職務ヲ誤ラシムル危險アルカ爲メ處罰スルモノナルカ故ニ縱シ本案ハ所論ノ如ク被誣告者ニ於テ承諾アリタル事實ナリトスルモ本罪構成上何等影響ヲ來スヘキ理由ナキ」として、虚偽告訴罪の成否に、被告訴者の承諾は関係がないことを示している。
甲は、乙の同意を得て乙を告訴しているが、虚偽告訴罪の成立に影響はない。
したがって、甲に虚偽告訴罪は成立する。

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違法建築損壊と自救行為 最二小判昭和30年11月11日

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概要
被告人がその所有家屋(店舗)を増築する必要上、自己の借地内につきでていたA所有家屋の玄関の軒先を間口8尺奥行1尺にわたりAの承諾をえないで切り取った場合において、右玄関はAが建築許可を受けないで不法に増築したものであり、また被告人の店舗増築は経営の危機を打開するため遷延を許さない事情にあって、右軒先の切除によりAのこうむる損害に比しこれを放置することにより被告人の受ける損害は甚大であってとしても、被告人の右建造物損壊行為が自救行為としてその違法性を阻却されるものではない。
判例
事案:違法建築物により被害を受けたため自力で違法建設物の一部を破壊したという事案において、違法性が阻却されるかが問題となった。

判旨:「違法建築物による侵害であっても、法令に従い、その侵害を排除するべきであり、正当防衛や、緊急避難の場合は格別、法の規定によるものではない自力救済は許されない。」
過去問・解説

(H30 司法 第5問 エ)
借地人が、自己の借地内にある自己所有の店舗を増築する必要に迫られ、その借地内に突き出ている隣の家屋の屋根をその所有者の承諾なく切除した場合、自救行為として違法性が阻却され、建造物損壊罪は成立し得ない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.11.11)は、本肢と同種の事案において、「違法建築物による侵害であっても、法令に従い、その侵害を排除するべきであり、正当防衛や、緊急避難の場合は格別、法の規定によるものではない自力救済は許されない。」としている。
借地人が借地内に突き出ている隣の家屋の屋根をその所有者の承諾なく切除した行為は、自己の借地内にある自己所有の店舗を増築する必要に迫られたにすぎず、正当防衛や緊急避難に当たらず、単なる自力救済であって違法性は阻却されない。
したがって、自救行為として違法性が阻却されず、建造物損壊罪が成立する。

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被害者の承諾と傷害罪の成否 最二小判昭和55年11月13日

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概要
被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきである。過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的で、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、右承諾は、当該傷害行為の違法性を阻却するものではない。
判例
事案:被害者の同意の上、保険金詐欺目的で交通事故を発生させたという事案において、被害者の同意を理由に傷害行為の違法性が阻却されるかが問題となった。

判旨:「被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきものであるが、本件のように、過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的をもって、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、右承諾は、保険金を騙取するという違法な目的に利用するために得られた違法なものであって、これによって当該傷害行為の違法性を阻却するものではないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H19 司法 第16問 エ)
甲は、乙に傷害を負わせることについての乙の承諾がないのに、これがあると誤信して、過失による事故を装って保険金を詐取するため、甲の運転する自動車を乙に衝突させ、乙に傷害を負わせた。甲に傷害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.11.13)は、「過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的をもって、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、右承諾は、保険金を騙取するという違法な目的に利用するために得られた違法なものであって、これによって当該傷害行為の違法性を阻却するものではないと解するのが相当である。」としている。
甲は、過失による事故を装って保険金を詐取する目的で、甲の運転する自動車を乙に衝突させ、乙に傷害を負わせているから、甲の主観では乙の承諾があったと誤信していたとしても犯罪の成立に影響はない。
したがって、甲に傷害罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H23 共通 第8問 3)
甲は、乙が保険金をだまし取るのに協力する目的で、乙の右手の親指を包丁で切断した。親指の切断について乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合、甲の行為は、傷害罪の構成要件に該当せず、同罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.11.13)は、「過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的をもって、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、右承諾は、保険金を騙取するという違法な目的に利用するために得られた違法なものであって、これによって当該傷害行為の違法性を阻却するものではないと解するのが相当である。」としている。
甲は、保険金をだまし取る目的で被害者乙の右手親指を切断しているが、被害者乙の同意によって違法性は阻却されない。
したがって、甲に傷害罪が成立する。


全体の正答率 : 0%

(R1 共通 第9問 2)
甲は、自らが組長を務める暴力団の組員乙から、「暴力団を脱退したい。」との申出を受けたので、「落とし前として、指を詰めろ。」と言い、乙の承諾を得て、乙の右手小指の根元を出刃包丁で切断した。この場合、甲には、傷害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.11.13)は、「被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきである。」としている。
甲が乙にした、暴力団の脱退と引き換えになされた小指の切断は、社会通念上許されないものであり、傷害罪の違法性が阻却されない。
したがって、甲に傷害罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R4 司法 第5問 ウ)
甲は、乙と保険金詐欺を共謀し、過失による自動車事故を装い、甲運転の自動車を乙運転の自動車に故意に追突させて、乙に傷害を負わせた。この場合、乙が傷害を負わされることに同意している以上、甲に傷害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.11.13)は、「過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的をもって、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、右承諾は、保険金を騙取するという違法な目的に利用するために得られた違法なものであって、これによって当該傷害行為の違法性を阻却するものではないと解するのが相当である。」としている。
甲は、保険金詐欺を共謀し、過失による自動車事故を装い故意に追突させて傷害を負わせているから、被害者乙の同意があったとしても違法性は阻却されない。
したがって、甲に傷害罪が成立する。

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