現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
共同正犯(共謀) - 解答モード
現場共謀の成否 大判大正3年7月14日
概要
判例
判旨:「数人カ共同シテ他人ニ暴行ヲ加ヘタル場合ニ於テ其間ニ意思ノ連絡アルトキハ之ニ対シ刑法第60条ヲ適用シ各自ヲ正犯トシテ刑ヲ科スヘク其暴行カ共同者ノ予謀ニ出テタルト否トヲ区別スルコトナシ」
過去問・解説
(H22 司法 第5問 エ)
甲は、人通りの少ない道路を通行中、知人の乙が見知らぬ丙を「金を出せ。」と言いながらロープで縛り上げ、丙を道路脇の草むらの中に連れ込むのを偶然目撃した。その後、甲は、草むらの中に入り、同所で、丙の所持金を奪って山分けすることを乙と合意した上で、乙が緩んでいたロープをきつく縛り直した後、丙の所持金をその上着のポケットから奪った。甲には、強盗罪の共同正犯が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大3.7.14)は、本肢と同種の事案において、「数人カ共同シテ他人ニ暴行ヲ加ヘタル場合ニ於テ其間ニ意思ノ連絡アルトキハ之ニ対シ刑法第60条ヲ適用シ各自ヲ正犯トシテ刑ヲ科スヘク其暴行カ共同者ノ予謀ニ出テタルト否トヲ区別スルコトナシ」として、他の実行者と犯行の現場において初めて意思連絡をしても共謀は成立するとしている。この場合における共謀を、事前共謀という。
甲は、知人の乙が見知らぬ丙を「金を出せ。」と言いながらロープで縛り上げ、丙を道路脇の草むらの中に連れ込むのを偶然目撃したにすぎず、事前に共謀がないが、丙の所持金を奪って山分けすることを乙と合意したことで現場共謀が成立している。
したがって、甲に強盗罪の共同正犯が成立する。
共同正犯と意思連絡の要否 大判大正11年2月25日
概要
判例
判旨:「刑法第六十條ニ二人以上共同シテ犯罪ヲ實行シタル者ハ皆正犯トスト規定シ行爲者各自カ犯罪要素ノ一部ヲ實行スルニ拘ラス其ノ實行部分ニ應シテ責任ヲ負擔スルコトナク各自犯罪全部ノ責任ヲ負フ所以ハ共同正犯カ單獨正犯ト異リ行爲者相互間ニ意思ノ連絡即共同犯行ノ認識アリテ互ニ他ノ一方ノ行爲ヲ利用シ全員協力シテ犯罪事實ヲ發現セシムルニ由ル然ルニ若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ一人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス故ニ共同正犯トシテ問擬スルニハ判文中行爲者相互ノ間ニ意思ノ連絡アリタルコトヲ認ムルニ足ルヘキ事實理由ノ明示ナカルヘカラス然ルニ原判示ニ依レハ被告想市ニ對シ刑法第六十條適用シ脅迫住居侵入建造物損壞器物毀棄傷害罪ノ法條ニヨリ同被告ヲ處分シタルニ拘ラス其ノ事實理由ニハ單ニ被告想市ハ被告浮松等カ新藏方ヘ押寄セタルコトヲ聞知シ其ノ襲撃ニ參加シ右被告等ト共ニ新藏方住宅内ニ石煉瓦等ヲ投込ミ且拔刀ヲ振ツテ屋内ニ侵入シ之ヲ疊ニ突キ立テナカラ新藏等ニ對シ(以下中畧)脅迫シ前記被告等ノ犯行ニ加擔シタリトアルノミニシテ被告想市ト他ノ被告トノ間ニ叙上脅迫侵入建造物損壞器物毀棄及傷害ノ各犯行ヲ共同實行スヘキ意思連絡アリタルヤ否詳カナラス從テ被告想市ノ行爲カ共同正犯トシテ前記各罪ヲ構成スルヤ否之ヲ知ルニ由ナキヲ以テ原判決ハ此ノ點ニ於テ理由不備ノ不法アリ同判決中被告想市ニ關スル部分ハ破毀ヲ免レス」
過去問・解説
(H20 司法 第5問 イ)
甲と乙が、丙に対して同時に1発ずつけん銃を発射し、そのうち1発は丙の頭部をかすめたものの命中せず、もう1発が丙の頭部に命中し、それにより丙は死亡した。丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかった。甲は、乙がけん銃を発射することを知り、乙と共同して丙を殺害する意思で自らもけん銃を発射したが、乙は、甲がけん銃を発射することも丙を殺害しようとしていることも知らないまま、自分1人で丙を殺害する意思をもってけん銃を発射した場合、甲には殺人罪の共同正犯が成立し、乙には殺人未遂罪の単独犯が成立する。
(H22 司法 第5問 イ)
甲は、人通りの少ない道路を通行中、知人の乙が見知らぬ丙を「金を出せ。」と言いながらロープで縛り上げ、丙を道路脇の草むらの中に連れ込むのを偶然目撃した。甲が、乙が立ち去ったのを見届けてから草むらの中に入ったところ、丙が縛られたままでいたので、甲は、丙が身に付けていた腕時計を奪った。強盗罪の共同正犯が成立するか。
(H24 共通 第15問 4)
【事例】
甲と乙は、V経営の食料品店で買った弁当を食べたら食中毒になった旨の嘘を言って因縁を付けてVを脅迫するとともに、同人に軽度の暴行を加え、これらの暴行・脅迫により同人を畏怖させて、損害賠償金の名目で50万円を支払わせ、これを分配することを計画した。乙は、計画に従い、同店に行き、Vに対し、「この店の弁当を食べたら食中毒になった。店の営業を続けたければ50万円払え。払わないと、この店の弁当で食中毒になったと書いたビラをばらまくぞ。」と語気鋭く申し向けた上、Vの額を手の平成で軽くたたいた。Vは、これをよけようとした際、バランスを崩して転倒し、全治約1週間を要する後頭部打撲の怪我を負った。
Vは、乙が食中毒になったことは嘘であると気付いたが、乙の要求に応じないと、更に暴力を振るわれたり、店を中傷するビラをまかれるかもしれないと畏怖し、手持ちの現金30万円を乙に渡し、残りの20万円は翌日支払うことで乙を納得させた。
乙は、同店を出て、甲と会い、前記経緯を説明した上、Vから受け取った30万円のうち15万円を分け前として甲に渡した。
乙は、翌日、同店を訪れてVから残りの20万円を受け取ろうとしたが、通報を受けた警察官が同店近くにいたので、20万円の受取は断念した。
乙は、甲に事前に相談することなく、腹いせに、「V経営の食料品店で買った弁当を食べた客が食中毒になった。」という虚偽の事実が書かれたビラを多数の者に配った。
なお、甲は、乙がVに怪我を負わせることや前記ビラを配ることを予想していなかった。
【記述】
虚偽のビラを配ったことについて、甲には、信用毀損罪も業務妨害罪も成立しない。
(H25 共通 第17問 4)
甲は、V宅に石を投げ付け窓ガラスを割り始めた。これをたまたま見た乙は、自分も窓ガラスを割りたいと思い、甲に気が付かれないよう、V宅に石を投げ付け、甲が割った窓ガラスとは別の窓ガラスを割った。甲と乙には器物損壊罪の共同正犯は成立しない。
(H26 司法 第7問 3)
Aは、BがVを殴打しようとしているときに、Bに気付かれずにVの足を押さえ付けたため、Bは、Vの顔面を殴打して顔面打撲の傷害を負わせることができた。この場合、Aには傷害罪の共同正犯が成立する。
(R4 司法 第7問 1)
甲は、友人乙がV所有の自動車(以下「V車」という。)の車体をバットで叩いて損壊しているのを発見し、自分も加勢しようと考え、乙に気付かれないように物陰から石を投げ付け、V車の窓ガラスを割った。乙は、その直後に周囲を見回し、物陰にいた甲の姿を見て、甲がV車に石を投げ付けたと認識したが、それ以降は、甲及び乙のいずれも、V車の損壊行為を行わなかった。この場合、甲には、器物損壊罪の共同正犯が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大11.2.25)は、「若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ1人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス」として、意思連絡を欠く片面的共同正犯を否定している。
甲がV車の窓ガラスを割るまで、甲乙の間で何ら意思の連絡もないから、行為者間に意思の連絡を欠いているといえる。
また、乙は、その直後に周囲を見回し、物陰にいた甲の姿を見て、甲がV車に石を投げ付けたと認識したが、それ以降は、甲及び乙のいずれもV車の損壊行為を行わなかったから、共同実行の事実も欠ける。
したがって、甲に器物損壊罪の共同正犯は成立しない。
黙示の意思連絡による共謀の成否 最三小判昭和23年11月30日
概要
判例
判旨:「明示の意思の表示が無くても暗黙にでも意思の連絡があれば共謀があったといい得るのである。」
共同正犯と事前共謀の要否 最三小判昭和23年12月14日
概要
判例
判旨:「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。原審の採用した証拠によれば、被告人等の間に判示の犯行について共同行為の意思聯絡のもとに、互に他の一方の行為を利用し、協力して両巡査の職務執行を妨害したものであることを認め得るのであるから、原審が挙示の証拠により被告人等は共謀して本犯行をなしたと認めたことは虚無の証拠によったものとは言い得ない。」
過去問・解説
(H20 司法 第5問 ウ)
甲と乙が、丙に対して同時に1発ずつけん銃を発射し、そのうち1発は丙の頭部をかすめたものの命中せず、もう1発が丙の頭部に命中し、それにより丙は死亡した。丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかった。甲と乙は、互いに何ら意思の連絡なく、それぞれ丙を殺害する意思をもってけん銃を発射した場合、甲乙にはそれぞれ殺人未遂罪の単独犯が成立する。
(正答)〇
(解説)
確かに、甲乙間に共謀が成立していれば、丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかったとしても、一部実行全部責任の原則により、甲乙にはそれぞれ殺人既遂罪の共同正犯が成立する。そして、判例(最判昭23.12.14)は、「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。」として、共同正犯における共謀は、事前共謀でなく現場共謀でも構わない旨判示している。
しかし、甲と乙は、互いに何ら意思の連絡がないのだから、共謀の成立は認められない。そうである以上、丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかったことから、甲と乙のいずれについても、実行行為と丙の死亡との間の因果関係を認めることはできない。したがって、甲乙にはそれぞれ殺人未遂罪の単独犯が成立するにとどまる。
(H24 共通 第2問 ア)
甲は、甲の所属する暴力団事務所にVを連行し、同事務所において3日間、Vを逃走できないように見張って監禁し、その後、同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見張れ。」と言った。乙は、これを了承し、4日目から前記事務所においてVを逃走できないように見張って監禁した。5日目に乙が居眠りをした隙に、Vは、前記事務所の窓から外に飛び降りて逃げ出したが、飛び降りた際、右足首を骨折した。監禁致傷罪の共同正犯が成立するか。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭23.12.14)は、「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。」として、共同正犯における共謀は、事前共謀でなく現場共謀でも構わない旨判示している。
本肢の事例では、甲は、甲の所属する暴力団事務所にVを連行し、同事務所において3日間、Vを逃走できないように見張って監禁し、その後、同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見張れ。」と言い、乙がこれを了承しているため、事前共謀は認められないが、現場共謀が認められる。そして、乙が、甲との現場共謀に基づき、4日目から前記事務所においてVを逃走できないように見張って監禁をし、5日目に乙が居眠りをした隙に、Vは、前記事務所の窓から外に飛び降りて逃げ出したが、飛び降りた際、右足首を骨折したのだから、甲には、監禁致傷罪(221条)の共同正犯が成立する。
共謀共同正犯の成否 最大判昭和33年5月28日
概要
②共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、共同正犯の刑責を負う。
③同一の犯罪について、順次共謀が行われた場合は、これらの者のすべての間に当該犯行の共謀が行われたものと解する。数人の間に共謀共同正犯が成立するためには、同一場所に会し、その数人の間に一個の共謀の成立することを必要としない。
判例
判旨:①「共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。」
②「したがって右のような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担または役割のいかんは右共犯の刑責じたいの成立を左右するものではない…。」
③「数人の共謀共同正犯が成立するためには、その数人が同一場所に会し、かつその数人間に1個の共謀の成立することを必要とするものではなく、同一の犯罪について、甲と乙が共謀し、次で乙と丙が共謀するというようにして、数人の間に順次共謀が行われた場合は、これらの者のすべての間に当該犯行の共謀が行われたと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H28 予備 第12問 4)
順次共謀の形式では、共謀共同正犯は成立しない。
(R5 司法 第3問 1)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。
【記述】
【判旨】を前提にすると、殺意を有する者と傷害の故意にとどまる者との間で共謀共同正犯が成立する余地はない。
(R5 司法 第3問 2)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。
【記述】
【判旨】は、共同正犯の成立には、実行行為の一部を分担することは必要ないとの立場に立っている。
(R5 司法 第3問 3)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。
【記述】
【判旨】は、共謀共同正犯の成立には、単に関与者の内心における意思の合致があるだけでは十分でなく、客観的な謀議行為が必要であるとする考えと矛盾しない。
(R5 司法 第3問 4)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。
【記述】
【判旨】に対しては、共同正犯を教唆及び幇助と区別することが困難になるとの批判がある。
(正答)〇
(解説)
【判旨】は、「このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない…。」としている。
共同正犯と教唆犯を、関与者が相互に因果的影響を及ぼし合っているかどうかで区別する見解からは、「実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない」とする立場に対して、共同正犯と教唆犯の区別を困難にするとの批判がある。
共同正犯と幇助犯を、実行行為への関与の程度・組織内の人間関係・犯行前後の徴表行為の遂行という客観的に重要な役割を担ったか否かで区別する見解からは、「実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない」とする立場に対して、共同正犯と幇助犯の区別を困難にするとの批判がある。
(R5 司法 第3問 5)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。
【記述】
【判旨】を前提にすると、共謀共同正犯の成立には、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることが必要である。
(正答)✕
(解説)
【判旨】は、「共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。…さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない…。」として、直接の関与が必ずしも必要ではないことを示している。
したがって、【判旨】を前提にすると、共謀共同正犯の成立には、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることが必ずしも必要であるとはいえない。
謀議の程度 最一小判昭和43年3月21日
概要
判例
判旨:「共謀共同正犯が成立するためには、2人以上の者が、特定の犯罪を行なうため、共同意思の下に一体となって互いに他の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪の実行をしたことを要し、右内容の謀議が成立したというためには、単に他人が犯罪を行なうことを認識しているだけでは足らず、数人が互いに他の行為を利用して各自の犯意を実行する意思が存することを要するけれども、実行者の具体的行為の内容を逐一認識することを要せず、これを公職選挙法に定める金銭供与の罪についていえば、数人の間に一定の選挙に関し一定範囲の選挙人または選挙運動者に対し、投票または投票とりまとめを依頼し、その報酬とする趣旨で金銭を供与するという謀議が成立すれば足り、その供与の相手方となるべき具体的人物、配布金額、金員調達の手段等細部の点まで協議されることを必要とするものでないことは、当裁判所の判例とするところである。」
過去問・解説
(H28 予備 第12問 2)
共謀共同正犯が成立するためには、実行行為を行わない者が実行行為の具体的内容の詳細を認識していることが必要である。
実行行為者でない者の共謀の成否 最一小決昭和57年7月16日
概要
判例
判旨:「被告人甲は、タイ国からの大麻密輸入を計画した乙からその実行担当者になって欲しい旨頼まれるや、大麻を入手したい欲求にかられ、執行猶予中の身であることを理由にこれを断ったものの、知人の丙に対し事情を明かして協力を求め、同人を自己の身代りとして乙に引き合わせるとともに、密輸入した大麻の一部をもらい受ける約束のもとにその資金の一部(金20万円)を乙に提供したというのであるから、これらの行為を通じ被告人甲が右乙及び丙らと本件大麻密輸入の謀議を遂げたと認めた原判断は、正当である。」
過去問・解説
(H28 予備 第12問 1)
共謀共同正犯が成立するためには、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることが必要である。
(正答)✕
(解説)
判例(最決昭57.7.16)は、「被告人甲は、タイ国からの大麻密輸入を計画した乙からその実行担当者になって欲しい旨頼まれるや、大麻を入手したい欲求にかられ、執行猶予中の身であることを理由にこれを断ったものの、知人の丙に対し事情を明かして協力を求め、同人を自己の身代りとして乙に引き合わせるとともに、密輸入した大麻の一部をもらい受ける約束のもとにその資金の一部(金20万円)を乙に提供したというのであるから、これらの行為を通じ被告人甲が右乙及び丙らと本件大麻密輸入の謀議を遂げたと認めた原判断は、正当である。」として、指揮命令をしていない者に対しても共同正犯の成立を認めている。
したがって、共謀共同正犯が成立するために、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることは必ずしも必要ではない。
スワット事件 最一小決平成15年5月1日
概要
判例
判旨:「被告人に共謀共同正犯が成立するかどうかが問題となるところ、…被告人は、スワットらに対してけん銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件けん銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容していたものであり、そのことをスワットらも承知していた…。なお、弁護人らが主張するように、被告人が幹部組員に対してけん銃を持つなという指示をしていた事実が仮にあったとしても、前記認定事実に徴すれば、それは自らがけん銃等の不法所持の罪に問われることのないように、自分が乗っている車の中など至近距離の範囲内で持つことを禁じていたにすぎないものとしか認められない。また、…前記の事実関係によれば、被告人とスワットらとの間にけん銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があったといえる。そして、スワットらは被告人の警護のために本件けん銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件けん銃等を所持させていたと評し得るのである。したがって、被告人には本件けん銃等の所持について、…スワット5名等との間に共謀共同正犯が成立するとした第一審判決を維持した原判決の判断は、正当である。」
過去問・解説
(H26 司法 第19問 1)
【事例】
暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、実行行為者とその背後者の間に明示の意思連絡が常に必要なわけではない。
(H26 司法 第19問 2)
【事例】
暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には、背後者について狭義の共犯が成立することはなく、共謀共同正犯が成立することとなる。
(H26 司法 第19問 3)
【事例】
暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、一般に、実行行為を行わない者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要である。
(H26 司法 第19問 4)
【事例】
暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、仮に【事例】において、現実には被告人がスワットらの拳銃等の所持を認識・認容していたのに、スワットらは、これらの所持に被告人が気付いていないと思っていた場合でも、被告人には共謀共同正犯が成立することとなる。
(H26 司法 第19問 5)
【事例】
暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】では、被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の組織内での地位が、被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。